ふいに目が覚めた。


お気に入りの毛布を顔まで引き上げて、暖かさを堪能する。
あー…。ぬくぬく大好き。


また目を瞑ってみたけど…



残念。目が冴えてしまった。


新しいセミダブルのベッドはふかふかで、でもしっかりとした造り。
前のパイプベッドの時より起きた時が身体が楽になった気がする。
流石、高いのは違うわ…
(値段は知らないけど絶対高いはず。そうよね?)


隣に寝ている大きな身体。
小さな灯りでも分かる、綺麗な綺麗な顔。
セミダブルを2人で寝るなんて、絶対狭いはずなのに
この男は別々に寝ようとしない。


隣にある自分のベッドはキングサイズだし、疲れた身体をゆっくり休めれるのに…。
出張以外は絶対にあいつはここで眠る。

私がAE○Nで買ってきたメンズのTシャツを着て
ここに置いてるスウェットを履いて。
どんな時でも隣で眠るんだ。



つくしはベッドからゆっくりと降りた。
キッチンで水を飲み、戻ってきてソファーに座り
ベッドに眠る男を見ていた。


足を引き上げて抱え込む。

脚の傷跡を無意識に擦った。
もう数え切れないほど繰り返している、つくしのクセ。


昔程は痛まない。
時間が経つのは早いなぁと思う。


あの頃は…本当に一日一日が長くて…
時計を見ながら一分過ぎるのを待っていたのに。




病院の白い壁。

足の引き攣れた痛み。
立つことすら出来なかった。


私、どうなるんだろう。
私、どうすればいいんだろう。
このまま歩けなかったら? 
どうしよう。どうしよう。
生活は?
仕事は?
家にすら帰れない。
住んでいるアパートは階段しかない。
車椅子になったら、バリアフリーの家を探さなきゃいけない。
ううん、家だけじゃないよ。
職場にも車椅子ならどうやって行くの?



進が一緒に住もうって言ってくれた。
俺が支えるからって。
家族じゃん、って。



つくしは夜になると布団を被って泣いた。
4人部屋だから真夜中になるまで我慢して、声を立てずに
肩を震わせて。



足の傷跡は醜かった。

歩けない足。
こんな足なんて無くなってしまえばいい。




長い間、病院の白い天井を見ていると白い天井が大嫌いになっていく。
模様もないから数える事も出来ない。


リハビリが終わると布団を頭までかぶって泣いた。
痛くて、痛くて。


そして、道明寺を想って泣いた。

自分を憐れんで泣いた。




退院してからも、足が疼く夜。

そんな日は会いたくてたまらなかった。






願いは叶ったのに…。

華麗に羽ばたける男を引き留めている気がして。




道明寺が寝返りをうった後…腕を動かした。
シーツを擦る。



!そうか。
私を探してるんだ。



…ぷぷ。

大きな図体をしてるのに、抱っこグマがないと眠れないって?


つくしはベッドへゆっくりと歩いていった。

起こさないように気をつけていたのに、ベッドが軋む音で
綺麗な目がゆっくりと開いた。


「…どうした?」

「もぉ、いいから寝てなって。」

「トイレか?」

「女子に向かって何よ、もう。」

「暗いとあぶねぇだろ。起こせよ。」

「はいはい。」


横向きになると、後ろからギュッとくっついてきた。
重なるスプーンポジション。
柔らかな黒髪にキスされる感触に、私の胸が高鳴る。

大きくて温かな身体に抱きしめられて眠る喜び。


ああ、涙が出そう。





道明寺が好きだ。

好きって何だろうね。

ときめくこと?
側にいたいと思うこと?
可愛いなって思うこと?



「…おい、何で笑ってる?」

「だ、だって。」

「…何だよ。」

「あ、あんたがあのチョコでホワイトデーとかするから。ぶっ!」


逞しい腕にひっくり返された。
厚い胸板に抱きしめられる。


「喜んでたじゃねぇかよ。」

「ぶぶ、まぁね。」


照れくさそうな声にますます愛しくなる。


「…あんたってさ。」

「あ?」

「可愛いとこあるよね。」

「はぁ??」

「ぶはははは、や、止めてって!くすぐるの禁止!!」

「男に可愛いとか言うからだ。」


息を整えてる間に、また横向きになった。
後ろから抱きしめられるのが好きなんだよね。

…あったかい。


「可愛げ大事じゃん。」

「どうせならいい男って言えよ。」

「性格の話だってば。」

「可愛げがある男がいいのか?」

「へ?」

「ハニー、もう一回だけ。なぁ頼むよ。」


耳を甘く噛まれて、腰を押し付けられた。
つくしは目を見開き慌てて毛布を被る。


「あーねむっ!お休み!」

「おいっ、コレどうすんだよ!?」

「あんだけして足りないとか信じられない。…やっぱり可愛くない。」


ブツブツ呟くつくしの頭に司は、愛情を込めて毛布の上からキスをした。


「だろ?」


司は笑いながら抱きしめて、そしてくっついて眠った。









「司様、どうされました?」

「あ?…ああ。」


リムジンの中。
西田は書類から顔を上げ、目の前に座る華やかな男を見た。
今日のスケジュールを伝えていたが、明らかに上の空な様子が分かる。


「牧野様はプレゼントをお喜びでしたか。」

「…ああ。まぁな。」


口元を大きな手が覆う。
微笑みを隠しているのだろうな。


「あいつ、可愛げが大事って言うんだよ。」

「は?」

「男にだぜ。よくわかんねぇよな。」


西田は小さく咳をした。


「司様。このあとのスケジュールですが…、」







可愛げが大事。


この西田には…
よぅく、わかりますとも。










その頃、つくしは笑いながらプレゼントのネックレスを眺めていた。


「チ○ルのお返し…。ぷぷ。やっぱり可愛いよね、あいつ。」





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