「手洗ってくるわ。」


つくしは粉のついたエプロンを見下ろし、手でパパッと払った。
お腹がぐーっとなる。


「待っててくれたんだろ、わりぃ。」

「あ、ううん。」


ジャケットを受け取り、ハンガーに掛けに行く。
あいつが手を洗いに行ったのを確認して…ドアの陰で
大きなジャケットを抱きしめる。


あー……いいにほ〜い…


へへ。

毎回毎回よくこんな違うスーツあるなぁ。
あいつのクローゼットはどうなってるんだろ。
しかもオーダーメイド。
あー…手触り最高!
私って布フェチなのかも。


キッチンに戻ると、シャツの袖をまくったあいつが立っていた。


「手伝うことあるか?」


ふおおお。
シャツの腕まくり、日本絶景の一つだと思わない?


にやっと笑う顔。

げ。
また聞こえてた?


「ないない、すぐ食べれるから座ってー。」

「これ、お前に。」

「へ?」


渡されたのは小さな紙袋と、それより大きな紙袋。


「なに?お土産?」

「あー…ほら、ホワイトデーってヤツだ。」


つくしの手が止まる。
ホワイトデー?


「…あたし、あんたにチョコやったっけ。」

「ああ。」

「え?そうだっけ。」

「おう。」

「記憶が…。え、どんなやつ?」


マジで記憶喪失かも。
進とパパには侍の刀みたいなチョコ。
見つけた瞬間、コレだーって。パパ達にはウケ狙いで選ぶんだ。
会社では女性皆でお金を出し合って…



「ねぇ。私渡したっけ?刀みたいなやつ?」

「チ○ル、って書いてたな。」


つくしは思考が停止した。




チ○ルて、なに?


渡した覚えないんだけど。



…そういえば前にエレベーターの中で落としたよね。
ま、まさかアレ!?
えええええ
嘘でしょー!!





…受け取れないって言ったら逆に悪いよね。



ちら。


照れたような顔。


「あ、ありがとう。」

「おう。」


開けると…


「わぁ!可愛い。」

「そっか。良かった。」


素直に言えるぐらいの、蝶モチーフのネックレス。
派手過ぎなくて付けやすそう。
A○KAH?
凄いハイブランドじゃなくて良かった。


「うん、可愛い。チ○ルだったのに…(しかも落とした)ありがとうね。」

「付けるぞ、貸してみろ。」


華奢なチェーン。
後ろから付けてくれるのって照れちゃうな。


「へへ、どぉ?」

「似合う。」


嬉しそうな顔。
贈り物を貰ったのが、まるで自分みたい。

綺麗な顔がゆっくりと降りてきた。




優しいキス。


胸がギュッとなる。


「…こら。冷めちゃうよ。」

「ん。」


キスを止めない道明寺を笑いながら軽く押した。


「お腹空いたんだって。」

「俺よりだんごかよ。ったく。」


さっきより、軽いついばむようなキス。


「続きは後でな。」

「はいはい。後で、ね。」








ぶわっっっ!!

と、顔が一気に赤くなった。
寝る前の事を思い出したからだ。


つくしは顔をぶるるると振って、思い出した事を追い出そうとしてみる。

色っぽい男。



「…はふ。」


朝ごはんに昨夜のだんご汁の残りを食べて、ほっと一息。

今日は家の事を色々する予定だったけど…



ネックレスを触った。
小さな小さな蝶を指で遊ぶ。


落としたチ○ルで…
どんなわらしべ長者だよ。

でも…何も渡してなくても、プレゼントをくれた気もする。


胸がきゅうっとなった。

あの目、あの笑い方、あの声。


あの大きくて綺麗な手。



私も、あいつが喜ぶ顔が見たい。



つくしは家事を済ませると、着替えをし家を出た。

直ぐ様SP達が駆け寄ってきたが、つくしは車を断った。
行きたい場所は分かっている。
ワクワクしながらバスを待った。






敷居が高い。

分かっていたから、今日はデニムじゃなくてスカートにしたんだ。
そしてノーカラージャケットで少し綺麗めにするのも忘れずに。
胸元にはプレゼントの蝶がキラリと光っている。


オッサレーなカップルが店に入っていく。
そしてハイセンスな美人も。


ううう。



…よし!


つくしは店の中に入っていった。








「いらっしゃいませ。」


上品な声が出迎える。

行きなれた店にはない、かなりの広い空間に美しく陳列された商品たち。



想像してみて。
いつもUNI○LOやG○で買い物をしているのに、ヒルズのハイブランドに入り込んだ違和感…
違った、場違い感だ。
うひぃ〜!

タイミング良く店内には客が多い。
つくしはこの隙にプレゼントを探す事にした。




パパなら肌着や、UNI○LOでシャツ。
進なら好きそうなブランドでちょっと奮発するか、UNI○LO。
なら私も選べる。
だけど今回は…

ハイブランド過ぎてお手上げだ。

ジャケットやニット、シャツ…。
そもそもサイズどのぐらいだっけ?
L?XL?
規格外の手足の長さだからなぁ…

パンツやデニムは絶対ムリ。
渡して短かったら?
かっこ悪すぎる…

私には難易度が高い。
となると…



靴下…。

ぶっ。
うちのパパにかっての。


うわぁ、靴下でも3000円する!
どんな絹糸だ?
専用の蚕でも飼ってるわけ?


そうだ、ハンカチは?

う。
たか!!

ハンカチでもお洒落やなー!
(喋り方でテンパリ具合が脳内でもよくわかるわ。)


でも。
彼氏にハンカチって…
ホワイトデーか引っ越しでもあるまいし。
他に…、


「いらっしゃいませ。」


声につくしは引き戻され、後ろを振り向く。
そこには先日接客してくれた責任者がにこやかに立っていた。


「先日はありがとうございました。」

「あ、どうも。こんにちは。」

「今日は…プレゼントをお探しでしょうか?」

「はい。あの、ちょっと見せて下さい。」


にこやかに笑って対応され、つくしは肩の力を抜いた。


場違いに感じるこのお店で、あたふたしながらプレゼントを選んでいるのは…


あいつの為だ。



あの男に相応しいものを贈りたいから。






昔からプレゼントしたがる男だった。
あいつもきっと同じ気持ちだったんだなぁ。


喜ぶ顔が見たいから。







つくしは一生懸命、プレゼントを選んでいた。



ああ、道明寺。
早くあんたに会いたいよ。















御結婚おめでとうございます。
そしてメンバーの皆さん、いつも待っていてくれてありがとう♫



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