会議、視察、会食、会議。
今日だけでいくつ予定をこなしたんだよ。
毎日毎日、まったくこき使うよな。

ジロリ、と前に座る秘書を睨んだが書類から目線をあげず
黙々と読んでやがる。
(こいつ、本当に喰えねぇよな。)


夜中の1時を過ぎた。
流石に今日は頭が重い。
こめかみをきゅうっと締め付ける痛みが取れねぇ。
あの胸糞悪い会食からだ。
相手側が娘だのめいだの連れてくるのには辟易するぜ。
化粧臭いし、あれだけ着飾っているのに皆揃って身体が弱いと言いやがる。
別室へと誘っているのは明らかだ。
昔からこんな事は日常茶飯事。

ただ、ただウンザリする。



「頭痛薬をお出ししましょうか?」

「…いらねぇ。」

「今日はゆっくりお休み下さいませ。明日の朝お迎えにあがります。」

「ああ。」


毎日繰り返されるやりとり。 
礼をする男達を横目で見ながら、今や自分のものとなったマンションに入っていった。



…流石に寝てるよな。

それでもいい。
あいつの側にいたい。

くぅくぅ眠る柔らかな身体を抱きしめて眠りたい。


SP達で固められたマンションには、司にとって唯一無二の存在が暮らしている。
帰国したあと、壁を隔てて眠る事がどんなに歯がゆかったか。
渡米してからを思うと…随分贅沢になったものだ。


あいつ付きのSP達が扉から離れ、フロアからいなくなった。
セキュリティを解除しドアを開ける。



あいつの匂いが俺を包み込んだ。


すっげぇいい匂いだ。

甘い。


俺にとって、唯一の女。





…くそ、頭が痛い。
薬を貰っとけば良かったか?

前なら強い酒を飲んで寝た。
毎晩、毎晩。



シャワーを浴びてあいつの横に滑り込もう。
4時間半は眠れるはずだ。

寝たら少しは…

司は首筋を軽く揉みながらバスルームへと直行した。
いつも低い位置にあるシャワーヘッド。
それを高い場所に置く。
そして、ピンクのパッケージのシャンプーやトリートメントの横にある
自分用のボトルに手を伸ばす。


邸やメープルのスイートにある専用のシャワーブースと使い勝手は違う。
いつもシャワーヘッドを下げるのを忘れて言われるしよ。
俺みたいに体格が大きいやつには狭すぎる。


だけど、抱きしめながら眠る幸せの前にはそんなこと気になんねぇ。

だろ?




髪をタオルでわしゃわしゃと乱暴にふきながらキッチンに入った。
水を注ぎ、飲んでいるとそれが目に入る。

薄暗い明かりの中でもハッキリとわかる、テーブルの上に置かれている黒い包み。



なんだ?



シックな包装紙を手に取ると、何かがハラリと落ちた。
司の長い指が小さなメッセージカードを捉える。


「…“道明寺へ。”」




俺?



カードを読むうちに、首筋を揉んでいた左手が自然と止まる。



 

俺、に?




あいつから?




そこからは素早かった。
急いで電気を点け、包みを凝視する。



細長い箱。




ビリビリと破きながら湧き上がる思い。


何で?
あいつから?
なんだよ、何かしたか?俺。
期待しちまう。
おい、これだけ盛り上げといてよ。
中身、果し状とかじゃねぇだろうな。  
マジであり得るからこえぇんだよ。






「…あ…、」



間違いねぇよ。

俺に、だ。



綺麗に畳まれたネクタイ。
俺の好きな赤。



真っ赤じゃねぇ。
少し黒を落としたような、深い赤。

柄はない。
だからこそどんなスーツにも合いそうだった。



「…やべぇ。この女。」


サプライズに…まさかこんなに胸を打たれるとは思わなかった。


俺はネックレスを選びながらずっと、あいつの事を考えていた。
昔のネックレスより、華奢なものなら毎日つけれるか考えたり
似合うだろうな、とかどんな顔して受け取るんだろう、とか。



嬉しい。


あいつも俺の為に選んでくれた。




やべぇ、嬉しすぎる。



司はベッドへ向かった。

キッチンからの明かりで寝室は明るい。
だけど、くぅくぅ寝たまま。
いつもの幸せそうな顔で寝てやがる。



…起こすか?


もうすぐ2時になる。
くそっ!
明日に限ってこいつ仕事だしよ。
こういう時に叩き起すと機嫌悪いんだよな…



でも俺は今、幸せなんだ。




司はキッチンの明かりを消し、ベッドに潜り込む。
こいつの携帯アラームが鳴ったらすぐに嬉しさを伝えるつもりだ。


横向きに重なり合う。
甘い髪の香りと寝息に心が落ち着く。
司は目を閉じた。









…ダメだ。

嬉しくて眠れねぇ。





司はつくしのパジャマが急に邪魔に感じてきた。

ゴワゴワした布着てる方が疲れねぇ?
俺みてぇに裸で寝ればいいんだよ。


脱がせといてやるか。



「…ん…、」

「寝てろ。」


パジャマのボタンを外して、ズボンを脱がせて…

下着も?






ちょっと待て。

女って熟睡したまま感じるのか?





疑問は解消しなきゃなんねぇ。
そうだろ?



司はつくしの下着をスルリと脱がせた。







にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村