ああ、晴れた日って大好き。


こういう青空って何か干したくなる衝動…
なんでだろ。
朝から少しヒンヤリして、空気がピリッとしてる。


あ。
はじき豆発見! 
ウキウキ。
 
前足でちょん、と強く触ると中の種がパン!と散った。
弟とよくした遊びを思い出す。交互に触れて散ったら負け。
ふふふ。
あのこ、弾けたらいつもビックリ顔するから面白くって。



空を見上げた。

大きな鳥がずっと頭上を旋回している。
そりゃかなり離れてるけど、ちょっと前からずっといる。


猛禽類。
鷲?鷹?
かなり大きい。

私の住みか辺りには居なかった。
つまり、中央は近いということ。

うっわ!あの爪!
もしかして私狙われてる?
ぞわぞわぞわ。
鳥の羽毛気持ち良さそう、触ってみたいなぁって思ってたけど
誰も触らせるわけないし。


てくてくてく。



ホントはね。
あいつと一緒だったんだよ。

前足が大分良くなったし、本格的に寒くなる前に行きたいし。
森の中央まで太陽が上ったり、沈んだり。

凄いのがね
そろそろ休憩、ってあいつが言う時には休憩場所が用意されてること!
見晴らしが良くて、日当たりも良くてご飯まで新鮮なまま置かれてるの。
大きな葉っぱに入っている蜜にはビックらこいた。
甘い花の蜜だよ?
疲労回復にいいぞって、葉っぱ二枚が毎回用意されてるの。

あいつ、秘書でもいるのかな。
さすが王様ってぐらい、豪華な行き道。


あと1日って所で、あの銀色軍団の一匹がやってきた。
なんでも中央に厄介な相手がやってきたんだと。
内容までは聞こえなかったけど、舌打ちするあいつに
道わかるし大丈夫って無理やり先に行かせたの。
あいつが全速で駆ければ、あっという間に着くだろう。
渋ってたけど、最後には折れた。
銀色の仲間と一緒に姿が見えなくなった途端、私はいつも以上にブラブラ散歩気分。

道草しながら向かっている。




ふんふんふん、ふ。


ま、また休憩場所がある。
葉っぱは一枚。
本当に凄いよ。
わたしゃ貴族か?


勿体ないので蜜を頂き、果物を口に入れた。
上を見る。
あ、あの鳥がいない。


シャクシャクシャク…



ふぉー!!

目の前の丸太にいたぁー!   


間近で見ると更にデカイ。
鋭い爪とくちばし。
何も見逃さない目。


シャクシャクシャク…


〈あ、あの。果物食べます?〉


鳥が目を見開いた。

今気付いた。
目の回りに丸い模様があるんだなぁ。



〈いえいえ、お気持ちだけで結構ですよ。〉

〈あ、ハイ。〉

〈沢山召し上がれ。〉

〈じゃあ遠慮なく…。〉


なんて丁寧な鳥さんなんだ。
大丈夫、私は果物や魚が好きだからね。
鶏の唐揚げやチキン南蛮はなくてもいいからね。


シャクシャクシャク。


ふぅ。

あの模様って眼鏡みたい。
渋い鳥さんだなぁ。




ちょっと休も。

足がジンジンしてきちゃった。
ってふかふかの寝床すごー!


鳥さんはまだそこにいる。
若い鳥じゃないな。
羽にうっすら銀色が混ざっている。


サッと翼を広げて飛び立った。

フッと息をつくと、体を横たえて丸くなる。
やがてくーくーと寝息をたて始めた。








上空からは何でも見渡せる。
よく見える目には、寝てしまったあの痩せた雌がうつっていた。


近付く者がいないかを見張る。


…まったく。

護衛ならいつもの者たちにさせればいいものを。
雄を近付けたくないという王の命令で、この私が見張りをすることに。


私も一応、雄なんだが。




遠目に中央が見える。

今ごろは大わらわだろう。





あのお方は発情期に入りかけている。
王様が初めての、交尾をするのだ。


森中の雌たちがその匂いに活気づいていた。





眼下にいる呑気に昼寝をしている雌を見た。

あの方の妃候補。




中央まではあと数時間。


さあ、老体に鞭をうって警備をしなければ。
やれやれ。









森中がザワつき始めていた。



にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村