邸からいつも通り司様につく。


資産は数千億と言われる、道明寺財閥の御曹司だ。


幼少の頃は誘拐を試みる者が後を絶たず
26歳の今も誘拐、テロ、嫌がらせからの警護で身辺は厳重だった。


ただでさえ、御曹司という肩書きをお持ちだが
この方はそれだけではない。


185㎝のモデル体型に、超美形と称えられる顔の造り
そして華やかな存在感に
王者の風格をお持ちな方だ。


ただの金持ち坊っちゃんではない。


世界的な企業、道明寺ホールディングスの
日本支社長だ。


頭脳明晰で決断力がある
生まれながらのリーダーである。




私は城之内。

単身N.Yに渡られた時から、上司である尾上主任のもと司様をお守りしている。


司様がN.Yに行かれる前は新人であったので、司様付きではなかった。
精鋭だけが司様付きになれる。
警護班に入社してからずっと憧れたものだ。


それまで、あー…司様は気難しい方だと伺っていたのでN.Yへ渡った時は
一番下っぱということもあり、ビクビクしていた。


だが、それまでと違い
学業と経営の勉強に毎日のように徹夜する姿を見守り、あまりの変わりように
SP全員が衝撃を受けた。

やはり、この方はトップになるべく産まれてきたのだ。
そう思った。



不思議だったのが、全く女性の影を感じない事だった。
あれだけの美男だし、権力も財力もある司様には必ずどこにいっても女性がむらがる。


パーティーのエスコートには椿様。
会食に先方が娘や妹を連れてきた時は失礼にならないように、早めに切り上げる。

なるべく女性と一緒にいないようにされていた。
秘書も男性を好まれる。



世間の噂ではゲイや、女嫌いと言われていたが
司様は気にしていなかった。


一度、パーティーの後に司様の部屋に入り込もうとした令嬢との写真を撮られ
記事になる前に出版社と令嬢の父親の会社を潰された。
(あの時の激怒は凄かった。)





8年ぶりに帰国し
(私は1年に1,2回は帰っていた。)
アメリカでも日本でも変わらず
分刻みのスケジュールをこなされている。





中国へ出張の際、お土産を買われた司様に誰もが驚いた。
日本へ帰国してからは、表情が少し柔らかくなったし 目の下の隈が少し良くなっていた。





ある朝。
いつも通りに出社された。

エントランスを歩いていると、ふと司様が立ち止まりロビーのソファー側、売店がある方を凝視している。


いきなりそちらへ向かう。


走るように早く歩かれて
一体何事か?と後を追う。


売店の前で立ち止まると
新しく作られた郵○局の出張所に釘付けになっていた。



“牧野つくし”



道明寺の警護班で知らないものはいないだろう。
司様を変えた1人の女性。



郵○局の制服を着て、ニコニコしながら電話中だった。



司様は放心されていて、慌てて売店に入る。
店員に何かを聞かれたあと
レジ横にあったお菓子を買われた。






その後
警護班にいる仲間から聞いたのだ。

新しく警護班にあるチームが入る。
そのチームは、ずっと牧野様を守っていたのだと。



なんというか…
一般人な私から見ても普通の女性だ。

地に足のついた生活をする、25歳の女性。


よく見れば可愛い方か?
派手さはない。
そんな方を司様は一途に思われている。


司様を1人の男として見るのは難しい。
肩書きや家柄、財産、見た目を普通なら1番に考えるだろう。


ただ…牧野様だけが、彼をただの男として見る。


そう、今も。







ティッシュにチラシを詰めるのを手伝う司様を見ていた。


「チラシが逆!
もー、二度手間だから帰ってよ。
でかい図体も邪魔なのよね。」

「悪かったって。
ほら、こうだろ?」

「ん。」

「これ、何か楽しいな。」


徹夜だったはずなのに、顔色も良く
笑いながらチラシを詰める。





司様がこちらに気付き、時計を確認した。

守衛の制服を着てる私を見て、首をかしげる牧野様に挨拶をする。


「本日からこちらの出張所にも、安全の為
入口に常時セキュリティがつくことになりました。
私が担当の城之内です。
よろしくお願いいたします。」


牧野様は眉をつりあげて、司様を見たが
しばらくして   ああ~と頷いた。


「そうか。
ここにはATMや多少の現金もありますもんね。
意外と限定の切手狙いもあるかもしれないし。」
うんうん、と一人で納得されている。


ちゅっ
司様は牧野様の頭にキスをし、立ち上がった。


「な、な、な、な。」

「後でな。」

歩きながら手をひらひら振り、司様がにやっと笑った。


「職場で何すんのよ!このタコ!!」
真っ赤になりながら牧野様が叫んでいた。


司様は楽しそうに笑って出ていった。







今日から私の仕事は、司様にとって一番大切な者を守ること。

午後からは新しくチームに入る女性が来るはずだ。
姉がシークレットサービスだったらしく
その人も元警察官だ。
その人と二人でこれから出張所を守る。




ああ、そうだ。
業務日誌の連絡事項に記入しなければ。


※牧野様にティッシュ配りをさせないよう
残りの400個も警備班が配ること。


出張所に客が来ないように
司様のご命令通り
出張所の名前と住所を消したチラシと入れ替えること。






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