牧野様がお勤めされている出張所は
基本二人体制だ。


道明寺HDビルに入っている為に
わざわざこの郵○局に入っていく人は少ない。

エントランス裏の売店横にある為に
社員でも知らない人が多かった。 


と、いうことはつまり…。




「牧野ちゃん何してんの?」

牧野様は、あ、い、う、と大きく口を動かしていた。
 
「今日もお客様来ませんねぇ。
喋ってないから顔の筋肉が固まってそうな気がして。
ティッシュ500個も配ったはずなのになぁ」


悲しそうに言われるので胸が痛む。

チラシにはこの出張所は記載されていない。
司様の指示だ。


出張所の入口には二人セキュリティがいる。
守衛の制服を着た城之内と
スーツ姿の私、上野美鈴だ。

城之内さんは常に入口に立つ役目。
私は牧野様付きだ。
(入口に立つと目立つので、案内係と腕章をつけて郵便局と売店の間にいる。)


「顧客獲得もここにいたら中々無理よね。
私は週の半分だけだけど。」

そう声が聞こえた。
郵○局もやはり個人の達成の数が決まっている。 
私達SPも初期に入っていた。
(非番に皆私服で。)


が。


牧野様のすごいところが、今まで達成を落とした事がないのだ。

窓口にきた方が
「あなたから入りたい」と言うのを何度も聞いた。
人を引き寄せる力がある方だ。


「そっかー。
そうですよね、ここに座ってるだけじゃあなぁ。
フロア回ってもいいのかな?」


城之内さんと私が目を合わせる。



「城之内さん。」

「はい。」

「このビルって、チラシとか配ったらダメですかね?」

「そうですね…。
セキュリティの為に出入りフロアは決まっていますから。」

「ですよねー。」



首から下げているIDカードを見る。

「赤の縁取りは意味があるんですかね?
赤の人見たことなくって。」



そうだろう。
道明寺HD日本支社長の恋人、ただ一人のカラーだ。
支社長執務室にいたるまでこのビルの全てが通行可能という意味だ。
(でもチラシ配りは困る。)


「あー、本当だ。
私達は朝から通行証取らなきゃ入れないしね。出張所専属だからかな。」


「あー、ポストの赤か!」 
うまいことするなぁ、と牧野様は感心していた。


「いや、ラブの赤でしょう。」
SP二人が呟いた。




「お疲れ様です。」

「あ、いらっしゃ~い!」


郵○局の同僚が二人やってきた。
誰かがやってくるだけで活気づく。


「この近くで営業会議があったんですよ。」

そう言ってはいるが、警護班にはわかっていた。
この20代の二人は牧野様ファンだ。


一人は前の支店の“SEC○M”を発動させた20代半ばの後半。
もう一人は丸の内支店の“イケメン男子”。


「道明寺ビルに出来た、噂の出張所を見たくて。」
「噂かい!」
牧野様はケタケタ笑いながら、カウンターから出てきた。

「もうすぐお昼ですよね。久しぶりにランチ行きませんか?」
後輩がぜひ!と誘っている。



「そうだね、行こっか!」

にこやかに言われる牧野様に我々は肩を落とす。
騒ぎに巻き込まれる気がする…。



「社食が改装中らしくて、私も行ったことないんだよね。
この近く…あんまり外行かないからな。
先輩お先にすみませ~ん。
城之内さん、上野さん、休憩行ってきますねー」

こちらに会釈をして、3人で出張所を出ていく。

すかさず内線で報告する。




3人がエントランスを歩き、外に出ようとドアに向かった時

ブザーが鳴り響き、警備員が出口に集まり
つくしは外に出るのを止められた。


「ふぇ?な、何?」

「牧野様、出張所へお戻り下さい。
お荷物が届いております。」

「は?
もう一人いるので運んで貰えれば…」

「IDがないと上層階へは入れませんので。」


んじゃ取りにくれば。
と思ったが、お客様は神様だ。


「わかりました。
ごめんね、またねー!」
呆然とする二人を残し、手を振って出張所へ走っていく。




そんな様子をエントランス上の吹き抜けから見ている人影があった。


「くっくっ…誰が行かせるかよ。」

「…お荷物は何にしますか?」

「城之内に適当に用意させろ。
ああ、ホワイトハウスからの招待状が着ていたな。
それでいい。呼び出されるのも納得するだろう。」


「かしこまりました。」


「ああ、さっきの二人は頭が冷えるように
寒い所が合ってるんじゃねぇか?
今は全国どこでも手紙は届くらしいからな。」


あいつに嫌がらせした化粧の濃い女も、島の暮らしを楽しんでるだろうよ。
二人も島がいいかな…

呟きながら楽しそうに執務室に向かう上司の後を追う。



ご機嫌で何より。



 

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