【東京 11日 ロイター】 来週の外為市場は、主要な経済指標の発表やイベントの開催が予定されており、内容によっては相場に直接影響するため外為市場の関心も高まっている。このうち1―3月期の実質国内総生産(GDP)が予想よりも強い数字を示せば、日銀の追加利上げの前倒し実施に関する期待感から円が買われる展開が予想される。また、米国経済については、最近の経済指標が強弱まちまちで方向感をつかみにくいため、来週発表の4月米消費者物価指数(CPI)や4月米住宅着工が引き続き注目されている。
 <GDPが強ければ利上げ前倒しに期待、円買いの地合いに>

 金利・為替市場関係者を対象にロイターが4月27日に実施した緊急アンケート(回答者52人)で、日銀が金利正常化に向けてもっとも重視するデータは何とみているか聞いたところ、GDPとの答えが19人(36%)と最も多く、CPIの9人(17%)を大きく引き離した。CPIが当面マイナスにとどまるとの観測から、利上げ判断の指標として市場がGDPを注目していることがわかる。 

 同じ調査で、次回の利上げ時期を聞いたところ、7─9月が27人(51%)と最も多くなった。参院選が7月22日に実施される見通しとなっていることから、市場では8月か9月の利上げ実施との見方が多い。しかし、1―3月期GDPが予想を上回った場合「利上げ前倒し実施の機運が市場に生まれる」(ドイツ証券シニア為替ストラテジスト、深谷幸司氏)として、円買いの地合いが広がる可能性を指摘している。

 1―3月期GDP発表と同じ日に、日銀金融政策決定会合が開かれる。福井俊彦日銀総裁は10日都内での講演で、経済成長に比べて実質金利が低いことから、為替相場がかなり円安となっていること、地価が上昇し始めていることなどを指摘しながら、現在の金利水準はかなり低水準であり「このまま据え置けば経済を変に刺激することになる」として、利上げ継続の強い姿勢を示した。決定会合後の記者会見でもこうした発言を強調するとみられる。

 ロイターが民間調査機関の予測をまとめたところ、1─3月期GDPは、予測中央値で前期比プラス0.7%、年率プラス2.7%と堅調な見通し。懸念されていた前年10─12月期の高成長(前期比プラス1.3%、年率プラス5.5%)の反動は限定的にとどまり、1%台後半とみられている潜在成長率を上回って9四半期連続のプラス成長が見込まれている。

 <米CPI・住宅着工戸数に関心、弱めの数字ならドル売り>

 米商務省が4月27日に発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値は市場予測を下回ったが、その一方で4月米雇用統計は悪化するなど、最近発表の米国経済指標は強弱まちまちで、方向感をつかみにくいとの声が市場にある。ある邦銀関係者は「相場展開は今後も経済指標をにらんだものになる」としたうえで、「CPIまでは経済指標は弱めになり、結果としてドル売りの展開が予想される」という。

 9日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文の内容が注目されたが、JPモルガン・チェース銀行チーフFXストラテジスト、佐々木融氏は「微妙な表現の違いを踏まえて考えると、年前半の米国経済のスローダウンを認めながらもインフレ懸念のスタンスは変わっていない」と総括したうえで年後半の利上げ予想を継続している。

 OMCと英中銀、ECBの政策決定会合でサプライズがほとんどなかったため、ドルに対する弱気感が後退したことや、ポールソン財務長官のドル高は米国の利益との発言から、ドルは今週末にかけて、海外市場で一時120.54円に上昇したが、その後は米株安などの影響で軟調となった。

 総じてみると、輸入企業などのドル買い需要にサポートされる一方、120円前半から半ば付近では利益確定売りなどが出やすいため上値が重く、約1円の狭いレンジの中での値動きが続いた。来週の経済指標などが市場のシナリオ通りなら、引き続き同じような展開になりそうだ。

 <G8サミット開催、ECBの6月以降の利上げ言及の可能性も>

 18、19日にドイツ・ポツダム近郊で主要8か国(G8)財務相会議が開かれる。巨額の投機資金を動かすヘッジファンドについて規制強化を検討するのが柱。サミットの主要議題となる地球温暖化対策では、エネルギーの効率的な利用に向けた税制措置などについて協議する見通し。

 渡辺博史財務官は10日、財務省内で記者団と懇談し、G8サミットについて、6月主要国首脳会議(サミット)の準備会合という位置づけのため、為替や世界経済動向についての議論はメーンテーマにはならないとの見通しを示した。ただ、欧州の要人がECBの6月以降の利上げに言及する可能性もあり、その場合にはユーロ相場に直結するとみられている。

 ECBは10日、ダブリンで開いた理事会で、予想通り金利据え置きを決めた。先行きについて、インフレ予防に向けて6月に利上げする意向を示唆したが、その後に関する見通しをほとんど示さなかったと市場で受け止められ、前日の海外市場ではユーロ売りの展開となった。こうした流れを受け、今週末の東京市場でもユーロ売りが先行した。


【googleニュースより】