地上にヒョウが舞い降りた日、浮かれていた僕に天罰が下った話 - にぽたん研究所

July 23, 2017

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2017/7/18 14 時過ぎ、東京都心は広範囲なゲリラ豪雨に見舞われた。



その日、JR 新宿駅直結のオフィスビルの 19F、見晴らしの良いデスクで仕事をしていた自分は、昼休みに窓の向こうにひろがる少しずつ暗雲が垂れ込めていく都心の風景に時折目をやりながら、東京アメッシュ高解像度降水ナウキャストの画面を凝視していた。
もう間も無くこちらにやって来るであろうゲリラ豪雨に「妙な高揚感」を抑えられなかった。

14:10、Yahoo! 防災速報アプリから一本の通知が送られてきた。
今いるオフィスではなく、私の自宅のある居住区が 14:50 頃から 191mm/h の降雨に見舞われそうだとの予報。
数値だけではピンと来にくいが、東京都の平均年間降水量が 1528.8mm なので、ほぼ一ヶ月半分の雨が、これからたった一時間で降ってしまうであろうことを表している。

実はこの二日前の 7/16 18:30 に、Yahoo! 防災速報アプリから同じく私の自宅のある居住区に対して 185mm/h の雨が降る予報が送られてきた。
この日は日曜日でまさにその時間帯に自宅にいた。
同様に降雨状況を凝視しながら固唾を飲んで成行を見守っていた。
しかし、予想された時刻の 19:20 頃には微妙に風向きが変わったり、発達した雨雲はすっかり勢力を落としたことから、ゲリラ豪雨らしい雨風の直撃は免れた。

これで少し拍子抜けしたこともあり、それから 2 日後の 191mm/h 予想は、にわかには信じられなかった。

それまでの間 SNS で豪雨が直撃している場所の実況ツイートや写真や動画を積極的に検索しては「妙な高揚感」を膨らましていた。

先日、九州豪雨があったばかりの今日に、この高揚感自体が、不謹慎、不適切な感情であることは承知している。
ただ、「混沌」とまではいかずとも、降雪や落雷や台風などの気象に起因する「非日常」には、「どうなってしまうんだろう」という後ろ向きな恐怖と同時に、微かな「どうなってしまうのか知りたい」という前向きな高揚感が表裏一体に存在することは、どうしても否定出来ない。

14:40 頃、タイムラインに「雹 (ひょう) が降ってる!」といった類の発言が増えはじめた。

Wikipedia で「雹」について調べると

雹(ひょう)とは積乱雲から降る直径5mm以上の氷粒。直径5mm未満の氷粒は霰(あられ)と呼ぶ。

雹 - Wikipedia

と、氷粒の大きさによって呼び名が変わることが記されている。

実情は、大きさにかかわらず氷粒が降れば多くの人が「霰が降ってる」とは言わずに「雹が降ってる」と表現する。

そう。やはり大半が雹ではなかった。

そんな中、タイムラインから目に飛び込んできた一本の動画に目を疑った。

ゴルフボール大の氷粒が大量に降り注いでいる…。
これは、紛れもなく、雹である…。

この動画をアップしたばーちーさんは、かつて酒を飲んでいた頃の飲み仲間的な間柄。
今では酒を飲まなくなった私だが、酒を飲んでいた頃によく地元の飲み屋でお会いしたり、何度かディファ有明で格闘技を観戦している時にお会いしたりするような、要するに趣味の合う「地元民」だ。
私の家の最寄駅は田端ではないのだが、田端は徒歩圏にある。
そう、徒歩圏の田端でこの惨状だ。

この動画をきっかけに、不謹慎な「妙な高揚感」はすっかり醒めてしまった。

気になったのは、この動画に映っている黒い車。
よく観ていると、ボンネットに高速に落下するゴルフボール大の雹がボコボコと何発も激突している。

「車ってこの衝撃に耐えられるの…?」

去年、ホンダフリードが初のフルモデルチェンジを行なった。
以前からフリードを買おうと考えていた私は、新型フリードの記者発表直後にディーラーで新車を注文し、昨年 11 月にめでたく納車された。
つまり、この雹が降り注ぐ田端から徒歩圏にある自宅に「わりと新しめのマイカー」が停めてある。
一応は 1F が駐車場になっている戸建てで、屋根はあるといえばあるのだが、シャッターがあるわけではなく、ましてや車体すべてが屋根の下にスッポリ入るような駐車場ではない。そのため、前や横から吹き込む風雨への耐性がない。
どんな駐車場なのかいまひとつピンと来ない方は、「山手線沿線 車庫付き戸建て 外観」で Google 画像検索してもらえれば「前や横から吹き込む風雨への耐性がない」感じの物件の実例が多数出てくるので、何となくおわかりいただけるかとおもう。
我が家の場合は、フロントウィンドウの上半分ぐらいは家屋の下に入るが、下半分から先は屋根がないような状況にある。

雨がすっかりあがった夜、仕事から帰宅し、暗がりの中でマイカーをざっと確認した。
風雨で砂ぼこりまみれなのと、雹が近隣に生える樹木に激突し続けた影響で、ボンネットが枝や葉っぱまみれになっていた…。
暗さと汚なさで、車が受けたダメージをあまりしっかり確認できなかったため、夜が明けてからある程度車体をきれいに掃除してから確認をすることに。

ちなみに隣家は窓ガラスが 5 枚割れていた。

翌朝、簡単に車を洗い、確認してみた。

before ボンネット

before フェンダー

before A ピラー

before ドア


写真では伝わりにくいのだが、5mm 程度のへこみは無数にあり、3cm ぐらいはあろうかという目立つへこみも数カ所。
へこみはボンネットと左フェンダー部に集中していた。
要するに、駐車場の左側から雹が降り注いだようだ。
幸いバンパーは樹脂製なのでへこんでいない。

へこんだ箇所の数を数える。
遠目にあきらかにわかるものもあれば、光を当てたり角度を変えたりしてようやく気付くものもある。
一つ一つへこみを見付けるたびに溜息をつく。

別に、車自体の性能が損なわれるようなダメージはなさそうなので、気にしなければ修理しなくても乗れる。
ただ、そんな風に「走ればいい」などと気にしない人間が、わざわざ新車なんて買うはずもなく、当然、気になって気になって仕方がない。
「修理しないで乗る」などという選択肢はまったく考えられない。
仮に自分が乗ってるのが 3 年落ちぐらいの中古車だったとしても、自分の性格を考えたら恐らくは修理をするだろう。

ただ、昔、自損事故で板金塗装修理をしてもらった経験があり、修理を担当してくれたのが腕の悪い板金塗装工だったのか、素人目にも明らかに「修理しました」感のある、形状の不自然さ、色のボケなどの違和感を感じたことがある。
今乗ってるのは、マイカの複雑な屈折で煌めくホワイトオーキッドパールのボディなので、下手に塗装して欲しくないのが本音。
「事故車」扱いにもなる板金塗装を極力選びたくなかった。

ダメージを受けたパーツだけを丸々交換する選択肢はないものか…と考えた。
色々調べてみたが発売から数年経った車種なら、同車種同カラーのスクラップからパーツ取りなども出来るのかも知れないが、恐らくはあまりスクラップにはなってなさそう。メーカー修理で部品交換になれば、未塗装の新品部品を買って、塗装してもらって、取り付けてもらってなどで相当額になりそう…。

ちなみに、雹で受けたダメージの修理にかかる費用は、一般的には任意保険で車両保険に入っていれば補償される。
しかし、ダイレクト型自動車保険に加入した自分は「天災による被害は滅多には起こらないし起きても修理費はたかが知れてるものだから」と、補償範囲には含めずに掛け金の倹約を選んでいた。
なので、本件の修理に掛かる費用は全額自腹になる。

自動車保険_補償範囲

おとなの自動車保険」に入っているのだが、「おとななら掛け金が安くなる」という魅力に惹かれ、おとならしからぬケチっぷりを発揮したことが今回完全に仇となっている。
いや、何社も見積もりを出して吟味した末に加入した保険なので、こんな不運に見舞われさえしなければ、カバレッジと掛け金のバランスで考えればどこよりも良い保険だとはおもう。
保険のオプション選びばかりは確率と補償額と掛け金のバランスで取捨選択するもの。
なのでこればかりは自己責任。

もし、万が一、自分の認識違いで、実は修理費が保険で補償される方法があるのではないか?
などと藁にもすがる思いで保険会社に問い合わせてみたが、恐らくは何度も推敲を重ねられたであろうとても丁寧な文章で、私の認識が正しく、保険でカバー出来る道は残されてないということを返答いただいた。

丁重なご返答

結局、自腹で修理するのなら、とにかく費用対効果重視で選ぶしかない。

「パーツ丸ごと交換」の費用対効果の悪さを考れば、あと残された道は、あまりいい思い出のない「板金塗装」しかないのだろうか…?

他の方法がないか検索をし続けた中で「ペイントレスデントリペア」通称「デントリペア」というものがあることを知る。
馴染みのないこの言葉に、最初「ペインレスデンタルリペア」に空目した。
「無痛麻酔を使って痛くない歯の治療?車と何の関係が…?」などとおもったが、よく見ればペイントレス (塗装なし) デント (へこみ) リペア (修理) だった。
へこみなどの程度が酷くなければ、基本的には塗装不要で、デントツールという特殊工具を使用し、押したり引っ張ったり叩いたりして、へこみをほぼわからないレベルまで戻す修理方法のようだ。

早速、家からさほど遠くないデントリペア屋さんを数件調べた。
費用はお店によってさまざま。
一般的にへこみの大きさによって値段が設定されていて、同じパーツに対して、二個目からは割引になるケースなどもあったり。
「板金塗装より安い」みたいなウリ文句が多かったけれど、確かに 1、2 箇所なら間違いなく安い。
ただ、自分のように 2 ケタいくと、本当に安いかどうかは若干疑わしく感じた。

とにかく、まず自分の車のヘコミを素人目線で何個あるのか数えて概算を出してみる。

左 A ピラー 4 箇所
左助手席ドア 1 箇所
左フェンダー 4 箇所
ボンネット 12 箇所
合計 21 箇所

想像していたより範囲が大きかった。
当初考えていたパーツ交換はまったく現実味がない感じ。
デントリペアでの修理費用が 1 個あたり 1 万円だとしたら 21 万円ぐらいか…。

二軒隣のお宅が、屋根なしの駐車場で、年式違いのホンダフリードに乗っている。
いやーお互いにヤラレましたなーなんて話の流れで、修理の見積をしてもらったというので聞いてみたら、30〜40 万円と言われたそうな…。

後日追記: 結局 65 万円かかって、修理に 1 週間かかったらしい


うちは屋根があるぶんもっとマシだとはおもうが…最悪そのぐらいの費用がかかるかも知れないという覚悟が出来た…。

支払いにクレジットカードが使えて、修理費用が比較的安くて、経験が豊富そうで、web に修理の実例の写真を載せていて、仕上りがとても綺麗そうなお店という条件で主観で徐々に絞りこんでいったところ、板橋区小茂根にあるスイングクラフトというお店が条件的には一番良さそうだったので、さっそく連絡をした。
7/22 (土) の朝 9:00 に、車を見て、まず見積をしていただけることになった。

7/22 朝 9:00 ジャストにお店に到着し、早々に見ていただく。
へこんでいる箇所に黄色いテープの目印を貼っていく。
ものすごいスピードでへこみを見付けていく。

へこみ目印

「全部で 30 箇所ぐらいになるんですが、けっこうな量なので、けっこうな金額になるとおもいます…」

素人目で数えた 21 箇所の 4 割増…。
これいくらになるんだ…。

とりあえず、保険が効かないので全額自腹であることなどを伝えたところ

「雹害車の場合は、だいたい 15 万円からスタートという感じで、そこからへこみの量などを見てお見積を出すのが普通で…」

うー、やはり 30 〜 40 万円コースか…。

「ただ、10 個で 5 万円という割引もあって、今回は 30 個なので、15 万円というのも出来ます」

おおっ!しかし、なんか妙に「忖度」していただいている感じもあって、逆に申し訳ない気分。

「しかも Facebook でいいねしていただいてるので、そこから 1 割引になります」

おおおおっ!
実は家を出る前に「Facebook 割」という制度があるのを知って、お店に行く直前に慌ててお店の Facebook ページにいいねをした。これで初回のみ 1 割引だそうな。
本来は「いいねしてます」って言うのだろうが、事前に把握していてくれた模様。

とりあえず、15 万円がベースで、1 割引なら、当初の覚悟していた金額よりはかなり安くしていただけているので、二つ返事でお願いすることに。

裏からデントツールが入るところは綺麗に仕上げられるが、裏からデントツールが入らない箇所は、「プーリング」といって、へこみ部分に特殊工具を貼りつけて引っ張る方法で直すとのこと。
これが、車種やメーカーによっては塗膜が弱いので場合によって塗装が剥げる場合があったりすること。
また、ツールが届くところよりはやはり仕上がりが綺麗にならない場合もあるというお話をうかがった。
そういったリスクが多少あることの説明を事前に受け、了承の上、修理作業をお願いした。

「10 箇所ぐらいなら今日中に完了するのですが、今ちょうど別の雹害車の修理をしているので、そちらの修理が終わってからの作業になりますし、今回 30 箇所もあるので、恐らくは明日ぐらいになるとおもいます。明日完了の目処が立ったら何時ぐらいに完了するかご連絡をします」

そうか、さすがに 1 日入院になるよな。
まぁ、板金塗装じゃ 1 日じゃ済まないだろうし、そう考えればかなり早い。

ということで、1 日預かっていただくことに。


…しかし、当日の 15:45 頃にデントリペア屋さんから着信が…。
予定より断然早い連絡なんて、悪い予感しかしない…。
なんか修理する上で問題があったとかじゃないだろうか…。

「修理が順調にいっていまして、午後 6:00 ぐらいには完了するとおもいますがいかがなさいますか?」

なんと!だいぶ早い!
ということで、朝出した車が、日帰りで修理していただいて手元に戻ってくることに。

18:00 ちょうどぐらいに到着して、一通り仕上がりのほどを確認。

んー…。
この仕上がりは…。
わからない…。
どこにへこみがあったのか、凝視しても触れても、まっっっっったくわからない…。

すごい技術だ…。

after ボンネット

after フェンダー

after A ピラー

after ドア

どうもやっぱり写真ではまったく伝わる感じがしないのだが、とにかく新品のように一点の歪みもなく綺麗。

「A ピラーが 7 箇所あったんですが、プーリングで無事綺麗に仕上がりました。朝の時点で見付からなかったへこみがいくつか見付かりまして、最終的に 42 箇所のへこみを修理しました」

ええええっ?!
朝 30 箇所だったのにさらに +12 箇所!
素人の私の目見当が 21 個だったので、倍だ…。

見積段階から修理箇所が大幅に増えていたけれど、見積段階で聞いていた値段でやっていただけた…。
ホント、かなり「忖度」していただいた感じある…。

ということで、今回の修理代は 135,000 円に消費税を足して 145,800 円。
クレジットカードでお支払いして、晴れてへこみ一つない綺麗な車に元通り。

デントリペア、すばらしかった…!


もし自分の車がかなり乗りまわしたオンボロだったら、ちょっと自分で直してみたくなったかも知れない。
素人向けのデントリペアツールもそこそこ売ってるので、自己責任で安く済ませたい場合はアリかも知れない。
でも、新しい車だったり、高級だったりする車は、やっぱり多少お金をかけてもプロの職人技で、しっかりと直してもらえたほうが安心かも知れない。

雹害はもうまっぴら御免だが、もしこの先ドアパンチとかやられたら、1、2 箇所ならもっと少額で短時間で直してもらえそうなので、またスイングクラフトさんにお願いしようかなとおもいました。

一応、東京都内を雑に言えば、山手線の池袋から田端あたりを線で結んで、その線の北西側あたりには雹が降ったような感じだったという印象です。

山手線 池袋駅や駅の周辺がゲリラ豪雨と雹の影響で浸水や看板が破壊され世紀末 7/18 - NAVER まとめ
山手線 巣鴨駅と駅の周辺がゲリラ豪雨と雹の影響で地獄絵図「凶器レベルのヒョウ降ってきた」7/18 - NAVER まとめ
山手線 駒込駅がゲリラ豪雨と雹の影響で屋根が破壊 駅の周辺も浸水被害 7/18 - NAVER まとめ
山手線 田端駅と駅の周辺がゲリラ豪雨と雹の影響でカオス状態「一瞬で海出現、田端でバタバタ」7/18 - NAVER まとめ

7/18 にその付近を走行していた方、駐車場に停めていた方、またそれ以外の地域でも雹がけっこう降ったかも知れません。

気になる方は今一度、ご自身のお車を確認してみてはいかがでしょうか。
そして、そこそこへこみが見付かったなら、デントリペア屋さんに見てもらって、サクっと直してもらうことをおすすめします。






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nipotan at 16:01 | Comments(1) | その他 
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Comments

1. Posted by bulkneets   July 24, 2017 09:43
天罰なんていうから某元CTOみたいに
不倫の末にリベンジポルノでもされたのかと
思ったが違った
痛い出費だけど、綺麗になおってよかったですね

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