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北アルプス連峰のふもとの村に、東野サキは父・幸治と年老いた家政婦の三人で住んでいた。サキは週末になるとスペイン語を習うため東京の外国語学校へ出かけ、夜は父の知人の画家・草薙の家に泊まっていた。ある日曜日にサキは、別れた母・加代の居所を草薙から聞き出し、彼女の経営するバーへ向かった。驚きの表情で迎えた加代は、美しく成長したサキの姿に感慨深げであった。そこへ、加代と深い仲の徳田が入って来る。その晩三人は加代の店に泊った。そこでサキは、加代と徳田の愛し合う姿を見て、強い衝撃をうける。数日後、サキは加代の店のバーテン・佐々木と愛し合った。日増しに美しくなるサキに、加代は意外な事実を知らせる。サキは加代と草薙との間にできた子供だったのである。幸治はサキを実子として育てていた。サキが家に帰ると、徳田をナイフで刺し、逃げて来ていた。そんな幸治を、加代は軽蔑しているから何でも許すのだと言い残すと、寂しげにサキの前から姿を消した。それからもサキは明るくふるまった。サキは身も心も大人に成長していたが、大人達の葛藤を見るにつけ、より無邪気に幼くふるまった。その姿は少女らしく、妖精のように美しかった。

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