2005年03月02日

第66話:無法の街

眼下に広がるシャムタンティの丘のふもとには、城砦で囲まれ、
雄大なジャバジ河で見事に二分された街が見える。
「罠の待ち受ける港町」とも呼ばれる城砦都市・カーレだ。


元々は、すぐそばのラムール湖と、カクハバードの海を行き来する
漁船を狙って待ち伏せする海賊の居留地がその発祥だったらしい。
居留地が村に、村が街にと変化するにつれ、ろくでなしどもの巣窟として
定着していったと言われている。全国から札付きのワルが(以下略)

で、そういった状況から身を守るため、カーレの住人達は街の至る所に
数々の罠を作り上げたらしい。
そんな余裕があったら、さっさと引っ越せばいいのにな。
漫画でよくある「優等生と不良が同じ高校に通う」設定並に無理が無いか?


俺はなぜそんな危険な街にわざわざ向かうのかって?
この旅の目的である、冠を奪った魔王マンパンが住む砦に向かう
ためには、どうしてもジャバジ河を越えていく必要があるのだ。
そして、唯一それが可能なのが、このカーレってワケだ。

カーレとその外の世界はふたつの門でつながれている。
俺の目の前、シャムタンティの丘のふもとにそびえ立つ南門、そして
マンパン砦への通り道となる不毛の地バクランドに面した北門だ。


俺は、スヴィンの酋長に貰った南門の鍵を荷物袋から取り出した。



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