November 23, 2018

俳優にして映像作家の宮崎陽介さんと一緒に、
早稲田大学演劇博物館で開催中の
企画展『現代日本演劇のダイナミズム』
を見に行きました。

写真 2018-11-20 19 53 43


この企画展では、
光栄にも僕の演劇関連のことも扱って頂いていて、
そこで展示している僕の演劇のダイジェスト映像を宮崎さんが作ってくれたのです。
『破壊ランナー(2017年版)』や舞台『弱虫ペダル』など、
いくつかの作品を十数分の映像にまとめてあるのですが、
自分で見てもすごく面白いです。

2.5次元演劇の潮流についての文章のパネルもあって、
そこには僕の名前や僕がずっと前からやっている演出手法についてもしっかり記載されています。
嬉しいです。
早稲田大学が演劇博物館を運営して、
こういう企画展を行ったりしていること、
素晴らしいことだと思います。

この企画展は、1月20日まで開催されていて、誰でも無料で入場できます。
よかったら是非。

宮崎さんが、早稲田大学演劇博物館を背景に、
僕の写真を撮ってくれました。

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とうとう、
コートを着ないと外出できない気候になってきましたね。
僕は先日から取り掛かっている脚本の第3稿を仕上げ、
今は、さらにこの冬書くつもりの2作品の
プロット構築作業を行っています。

折り紙の作業が予定より時間がかかっているのですが、
これも一生懸命進めていこうと思います。

nishidashatner at 16:12コメント(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

November 15, 2018

ある作品の脚本をずっと書いています。
とうとう、秋の虫もほとんど声がしなくなりました。
今年鳴いていた連中の子どもたちが、
また来年の秋には声を聞かせてくれると思います。

ハエトリグモを折りました。
猪も折りました。
お正月に備えて亥も折りました。
これは手順が少ないので、近々折り方を公開したいなと思ってます。
手順少ないシンプルな折り紙は、
創るの簡単そうに見えるかもしれないですね。
実際には、シンプル作品を創作できるようになるには
それなりの技術や考え方の蓄積が必要で、
なかなかに歯ごたえがあります。

★★★ハエトリグモ (4)★_2

イノシシ1 (13)★2

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nishidashatner at 09:21コメント(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote
diary:N氏の普通日記MIX | 折り紙倉庫

October 06, 2018

折り紙を折っています。

ずっと、
自分は「折り紙作家」であって「折り方作家」ではない、
などと思っていたのですが、
このところ、それは素直ではない考えだったと思い至りつつあります。

折り紙の美しさは、
その姿だけで成立しているのではないのです。
出来上がった姿と、出来上がるまでの過程とは、決して切り離せる関係ではないのです。
どう折られてその姿になっているのか、過程と姿との関わりが美しいのです。
生き物が、
姿形だけではなく、その生きる様や体内の活動と絡み合っているからこそ美しいことと、
同じです。

折り紙作家たちは、
正方形1枚を、切らずに折るだけで作品を折るケースが多いようです。
それは、そのほうが折り紙の美しさを感じやすいからでしょう。
複数枚の紙や長方形を使ったり、ハサミを入れたりした作品も
美しい構造や成り立ちを持っていますし、
むしろその美しさは正方形1枚折りを凌駕するほどに豊かでしょう。
ただ、その成り立ちを想像する選択肢が広くなりすぎて、
折った本人以外には美しさを堪能することが少々難しいのです。
「正方形1枚で折った」という単純な情報が、
成り立ちの美しさを想像しやすくしてくれます。

そのようなことに、改めて気づきつつあります。

このことは、演劇の美しさとも同じなのだと、
いまさら思いました。

087ダリの象2稿 (249)

311大きなオベリスク正面UP



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diary:N氏の普通日記MIX 

September 27, 2018

先日。
雨の中、バスに乗って、
早稲田大学の稲田キャンパスにある早稲田演劇博物館へ行きました。
自分の芝居のポスターやチラシなどを、資料を届ける用事があったのです。
この場所に、僕は17年ぶりに伺いました。

早稲田演劇博物館で、
企画展『現代演劇のダイナミズム』が9月29日から始まります。
僕の演劇の資料も少し展示されます。
僕のスペースはたぶんささやかな感じだと思うんですけど、
他にすごい演出家の方たちの資料がいっぱい展示されてるので、
よかったら見に来てください。

早稲田演劇博物館企画展『現代演劇のダイナミズム』

展示の中には、僕の最近の演劇のダイジェスト映像もあり、

・『ロボ・ロボ』(2015)
・『破壊ランナー』(2017)
・『熱闘!! 飛龍小学校☆パワード』(2016)
・『レッド・ジャケット』(2016)
・『ALL OUT !! THE STAGE』(2017)
・「舞台『弱虫ペダル〜ザ・キングダム〜』(2018)

のハイライトシーンが見られます。
短いですけど、すごく面白いです。
展示の中で、『破壊ランナー』は全編映像も閲覧可能になるそうです。
2017年の、池田純矢くん版です。とても面白いです。
舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇〜ザ・キングダム〜のポスターも展示されますよ。

破戒ランナー2017 西田シャトナー

ROBOROBO2015 西田シャトナー


3ヶ月以上という長期間の展示なので、また時々お知らせしますね。

◇      ◇      ◇

17年前の2001年、早稲田演劇博物館が、
『惑星ピスタチオの世界』という企画展を開いてくださったことがありました。
解散したばかりでしょんぼりしていた僕らにとって、
それは大変光栄で、大きな力をいただいた企画でした。
企画展の中で、
自分たちがどんな芝居をやっているのか講演してほしいと言われ、
喋るのではなく、実際に芝居をやって説明に代えたいと考え、
保村大和のひとり芝居『Believe』を上演させていただいたりしました。

資料を届けに行った時、
学生たちが楽しそうに歩いている向こうで、
博物館のテラスが雨にけぶっていました。
17年前には、僕らの舞台で使用した巨大鉄彫刻を展示させていただいた場所です。
その彫刻を作ってくれた鉄彫刻家・橘宣行さんのFaceBookを見に行くと、
なぜだかちょうど、
橘さんがその彫刻作品の写真をアップしていました。

C_Tachibana_Nobuyuki1

その彫刻は「鉄血球ライダー」。
舞台に置くとその重力で空間が曲がるような、最高の鉄彫刻なのです。
今、橘さんのアトリエの草原で、
ゆっくりと錆を纏って立っています。

nishidashatner at 21:52コメント(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

September 05, 2018

今更ですけれども、
僕のHPは西田シャトナー演劇研究所。こちらにはメールフォームもあります。
Twitterアカウントは@Nshatner。
FacebookとInstagramにもアカウントがありますが、あまり更新していないのです。


台風も地震もたくさん続いて驚いています。
こんなに自然災害がたくさんあるなんて。
緊張します。


『ルパン三世PART5 第20話 怪盗銭形』、
ご覧下さった皆さん、ありがとうございました。
お褒めのメッセージくださった皆さん、ありがとうございます。
実は脚本そのものは1年前に書いたのです。
そこから長い時間をかけて、
監督とスタッフのみなさんと俳優の皆さんが、作品を作りました。
僕は驚くばかりでした。
他のゲスト脚本家の皆さんの作品も、
すごく面白かったですね。
あちこちの有料サイトで、
『怪盗銭形』含め、放映終わったエピソードもまだ見られるようです。

池袋では、セミの鳴く声が少なくなりました。
僕は今また、少し先の作品のための脚本を準備していて、
資料を読んだり、プロットを設計したりしています。
折り紙についてやり遂げたい仕事があって、
これもずっと作業をしています。
また報告します。

『日本劇作家大会』という、
劇作家たちが企画する文化祭みたいなイベントがありまして、
2019年は1月に大分で開催されるのです。
僕もいくつかのトークショーとワークショップで
参加させていただくことになりました。
https://jpac2019-oita.org/program/24-27/
そのうち1個のイベントでは折り紙をやるんですが…
「なんでやねん」と思われそうですね。
折り紙を折りつつ、芝居の宇宙の話をできるよう、
準備して参ります。

僕の友人がまだ眠っています。
僕にできることをやってゆこうと思います。

nishidashatner at 17:58コメント(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

August 25, 2018

遅いお知らせですみません。
現在日テレで放映中のTVシリーズ『ルパン三世PART5』で、
第20話『怪盗銭形』の脚本を書かせていただきました。
ルパン三世の宿敵・銭形警部が、なぜか泥棒をやるという話です。
一生懸命書きました。
アニメーションの脚本を担当させていただけたのは初めてです。
憧れのルパン三世のセリフを書くことができて、とてもとても嬉しいです。

公式サイト
東京では21日の深夜に放映され、
他地域ではそれぞれの地域ごとにすこし遅れて放映されるようです。
ネットでは、もう見られるそうですし、
28日までは無料で公開されているので、良かったら見て下さいね。
※ニコニコ動画→ルパン三世PART5#20『怪盗銭形』
※GYAO!→ルパン三世PART5#20『怪盗銭形』

#20_0023

#20_0008


先日、53回目の誕生日を迎えました。
暑い夏ですが、元気にしています。
毎日たくさん、麦茶を飲んでいます。
このところずっと、ふたつのことをやっています。
ひとつは、ある折り紙作品群の折り手順のデザイン。
もうひとつは、ある物語作品のプロット構築です。
どちらも一生懸命やっています。
誕生日に、ずっと欲しかったクラシックギターをもらいました。
少し難しい曲に挑戦しています。
池袋でも、セミが鳴いています。
もうしばらくその声を聴くことできそうですね。

災害が起きたり、
社会が不安だったりして、
どうも緊張してしまいます。
良いことをひとつでも、ささやかでも起こすことができるよう、
一日一日を歩いてゆこうと思います。

nishidashatner at 00:18コメント(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote

May 06, 2018

IMG_4569
夏が背を伸ばしてきてる。
街でたくさんJAZZが聞こえてきた日だった。

芝生の美しい池袋の南公園を通りかかると、
BBBBがニューオリンズジャズを演奏し、
人々の間を練り歩いていた。
雲のない青空に、
色とりどりの音符と花が舞いあがってゆくように見えた。

そこから池袋駅に向かう途中、
道の向こう側の楽器店で、
サックス奏者とエレクトーン奏者が演奏していて、
近くの歩道の人々は皆、歩くステップをその音に合わせているようだった。

僕は池袋から地下鉄で銀座へ移動した。
さっき聞いたニューオリンズのせいで、
電車のガタンゴトンが音楽になっていた。
時折り電車が地上に出て窓から陽光が入ると、それはシンコペーションのように感じられた。

銀座に着き、しばらく歩き、
山野楽器の前を通りすぎようとしたら、
古くて美しいジャズの音色に脚をなでられて、僕は立ち止まった。
店頭で『GINZA JAZZ』というCDのキャンペーンが行われていた。
山野楽器のスタッフが選んだジャズ黄金時代の名曲コンピレーションアルバムだった。
しばらく耳を傾け、買うことに決めて、
「あの…」
とスタッフさんに声をかけると、そのスタッフさんは僕に最後まで言葉を言わせず、
「どうぞ」
とCDを掲げた。僕は受け取った。
スタッフの誇らしげな笑顔に音符が舞っていた。
僕はレジに並んだ。
レジのスタッフも、やはり音符の舞う誇らしげな笑顔で、
「ありがとうございます」
と言った。
レジ操作の指先が躍っていた。
自分たちが作ったものを売ることの喜びと音楽の喜びが、
スゥイングしていた。

そんな一日。
僕は買い物をしたことがすごく嬉しくなりました。

僕の買ったCDはこれです。
→ 山野楽器、オリジナルアルバム『GINZA JAZZ』


nishidashatner at 01:36コメント(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote
diary:N氏の普通日記MIX 

March 25, 2018

(3月3日、神戸公演直前)

池袋芸術劇場は、
僕にとって東京で演劇を始めた最初の場所でした。
ところで、神戸と新神戸オリエンタル劇場も、
僕には特別な場所です。

劇団時代、僕は神戸でよく芝居作りをしました。
神戸大学の演劇研究部の仲間と一緒に
在学中に劇団を立ち上げたので、
いつも大学構内の片隅で稽古していたのです。

六甲台の大きな階段を往復しながら発声練習をしたり、
日曜日には宣伝を兼ねて、
三宮の駅前の広場でストリート練習をしたりしていました。

その頃の僕らにとって新神戸オリエンタル劇場は、
きらびやかなホテルのショッピングモールの中にあって、
東京の有名劇団がやってくる、
そんな憧れの眩しい大きな劇場でした。

旗揚げして4年後に、
とうとうこの劇場で芝居を打つことができました。
ホントにホントに嬉しかったです。
『白血球ライダーDX』というタイトルの、
すごく反省の多い芝居なのですけれど。
公演に備え、たくさんの準備をし、頑張りました。

大劇場で公演を打つ初めての経験でした。
いつもの小劇場より圧倒的に大きな空間での芝居に備え、
劇団員は1年間体操インストラクターについて
体術を磨きました。
マイクを使わず生声で上演する主義だったので、
とことん声も磨きました。

それでも、大劇場の空間はでかかったです。
ああ、いつもの2倍努力しても、
空間がデカければ芝居は70%くらいに目減りするんだな、
と知りました。
でも観客は空間が大きくなれば芝居も大きくなるんだと期待して劇場に来る。
だから僕らは8倍努力しないといけないんだな、
と気づきました。それでやっと2倍くらいになるかもしれない。
心を引き締め努力の量をさらに増やし、
僕たちはそれから何度も
この劇場で芝居を上演させていただきました。

新神戸オリエンタル劇場の支配人だったYさんは、
最初僕らのことをいぶかしんでいたけれど、
芝居を持っていくたびに見てくれて、
僕らのことをすごく応援してくれました。

オリエンタル劇場で初めて大きな劇場に辿り着いてから、
さらに6年劇団は頑張り、
そして解散しました。
それから僕はやがて1人になり、名古屋へゆき、東京にも来て、
ぽつりぽつりと一生懸命芝居をやりました。

やがて2012年、
最初の舞台『弱虫ペダル』を作ることができました。
とても手ごたえがあり、
もし続編が作れたら幸せだなと思いました。
その日は1年後にやってきました。
『眠れる直線鬼』。
しかし痛恨なことに、切望したこの続編の演出を
僕はスケジュールが合わずに引き受けられなかったのです。
それでも機会は続き、
インターハイ篇の製作が決まりました。

こんどこそ僕は続編の演出をやることができます。
劇場は池袋サンシャイン劇場です。
稽古をしながら僕は、
新神戸オリエンタル劇場で初めて芝居をやった日々のことを思い出していました。

あの頃生声にこだわっていたな、とか。
大劇場のふかふかの固定椅子の客席に演出卓を置き、
「うわー客席すげー」って思ったな、とか。
今僕は役者がマイクをつける芝居を作っていて、
少しだけど小道具だって使う。衣装も着替える。
あの頃の僕と今の僕は違う男かな、とか。

応援してくれて、僕らに中華料理をご馳走してくれた支配人のYさん、今どうしてるかな。
ある日稽古場でそこまで考えた時、
忘れていたある事を思い出したのです。
僕らが解散する直前に
Yさんは新神戸オリエンタル劇場から移動になり、
そして今では東京の劇場の支配人になっていると聞いたことを。

記憶をたぐりました。
これから僕が
インターハイ篇を持ってゆく池袋サンシャイン劇場こそが、
そのYさんがいる劇場なんじゃなかったっけ?
調べてみると、確かにYさんが支配人であることがわかりました。

2014年の夏、劇場仕込みの日、サンシャイン劇場で、
Yさんが笑顔で僕を待っていました。
長身でハンサムで、英国紳士のようないでたちのYさんです。
握手をし、
「Yさん、また会えましたね、会いたかったです」
と言いました。

実はYさんはその直後にサンシャイン劇場の支配人を
またも退職することが決まっていたのです。
僕は、最後に間に合ったのだ、と思いました。
インターハイ篇〜The First Result〜。
最高の芝居をYさんの劇場でやることができました。

あれから、また少し時間が経ちました。
僕は、新インターハイ篇〜ザ・キングダム〜を持って、
新神戸オリエンタル劇場に戻ってきました。
Yさんはいませんけれど、
Yさんの声が聞えるようです。
あの頃きらびやかだったショッピングモールは今閑散として、
好きだったカフェも書店も閉店していますけれど、
楽屋口の通路はあの時のままの道順です。

あの頃、あんなに巨大に見えた客席を、
少しこじんまりと感じています。
僕は、何かをどこかに置き忘れているのかな、と、
客席の真ん中で自問してみました。
僕は、置き忘れていない、と思いました。
僕の右腕に炎が燃えているようです。
僕の足が大地を割る気がします。

初日を前に、長々と思い出話をツイートしました。
自分のために書いておこうと思いました。

nishidashatner at 10:14コメント(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote
(2月27日、劇場入りの翌日)

劇場仕込みの一日でした。
スタッフ各セクションが、こだわり抜いて頑張っています。
僕もいろいろ作業をしました。
今夜もまだ作業続行中。明日のためにいろいろやります。

1991年か92年に、僕は初めて東京で作品を上演しました。
短いコントです。
池袋の東京芸術劇場で開催されたアートパフォーマンスイベントに、
コントを出品したのです。

上演が終わった夕方、劇場前の公演で大きな虹を見ました。

お金がなくて、
上演の前の日に劇団員の車2台で大阪からやってきていました。
メンバーの半数は、劇場の近くで車の中で皆で寝て、
車に入れない半数は、公園の石の地面で眠りました。
実は僕も、公園で寝ました。
そういうことがとても楽しかったのです。
夢ばかり語って過ごしていました。
今もそれは変らないですけれども。
あの日の空の虹は、それまでの人生で見た一番大きな虹です。

それから、僕にとって池袋は特別な街になりました。
「いつかここで芝居をやろう」
と自分に向かって夢をつぶやき、
その夢は98年にかないました。
その公演は劇団員が何人かいなくなって初めての公演で、
辛いこともありましたけれど、
オリジナル音楽も作り、とても頑張りました。
大ホールで、生声で、
運命を切り開く「ナイフ」という男の芝居をやりました。

劇団を解散したあと、
僕は1人で芝居を作ることが多くなりました。

ずい分長くそんな日々を過ごし、
2010年にまた池袋で芝居をやれる機会をいただきました。
『ソラオの世界』
という芝居です。

『ソラオの世界』はもともと、2008年に
大阪の劇場で企画されていた芝居でした。
大掛かりなプロジェクションマッピングや
多彩なジャンルのパフォーマーが集まって
にぎやかな芝居をやるという企画です。
そのために依頼されて書いた脚本でした。
ですが、そのように企画された最初の『ソラオの世界』は、
制作上のトラブルで、
上演中止になってしまっていたのです。

実は僕はずっと、
「この脚本は、自分の好きにさせてもらえるなら、
 映像も大道具も使わずに俳優だけで上演したい」
と言っていたのですが、
当時のプロデューサーは誰も、
それができると信じてくれなかったのです。
ところが、
上演中止になったために、予想外の流れになりました。
プロデューサーが、
「中止になったために、予算がない。
 ところでシャトナー、
 お前、何もなくてもこれを上演できると言ってたな?
 あれは本当なのか」
と僕に言いました。
僕は本当ですと答え、そして、
僕の好きな「なにもない」スタイルでの上演が
改めて実現したのです。

『ソラオの世界』はまず2009年に
萬劇場という小劇場で上演されました。
プロデューサーはこの上演を見て、
「なるほど、お前が天才だってことは分かった。
 来年もこれを上演しよう。劇場を探すから待ってな」
と言いました。
そして2010年に、東京劇術劇場小ホールで
『ソラオの世界』を上演する日が来たのです。

僕は「池袋に戻ってくることができた」と思いました。
とても嬉しかったです。

毎日自転車で、
劇場の周りをぐるぐる走ったりしました。
僕はその頃、名古屋に自宅がありましたが、
池袋に仕事のための部屋を借りていたのです。

秋葉原での仕事が多かったので、
芝居のない日はたいてい池袋と秋葉原を
自転車で往復していました。
そんな中での『ソラオの世界』の上演でした。

『ソラオの世界』の楽日の頃、
ある舞台制作会社の者だと名乗るプロデューサーが
やってきました。

芸術劇場のロビーで、その人は僕に、
「ソラオの世界、最高に面白かったです。
 ところで、漫画原作の舞台化に興味はありますか?」
と言いました。その人は続けました。
「少年チャンピオンの漫画なんですけれど」
僕は「毎週読んでいますよ」と答えました。
「では、『弱虫ペダル』も?」
「ええ、第一話から読んでますよ。最高ですよね」
「あの作品を舞台にできると思いますか?」
プロデューサーは、僕にそう訊いたのです。

僕は、目の前で、火花が弾けたような気がしました。
僕は毎日池袋から秋葉原に自転車で通いながら、
小野田坂道に勇気づけられて暮らす漫画読みでした。
そして、『破壊ランナー』を始め長年、
役者だけでレースを表現してきた演出家でもありました。
気づくと
「僕にしか、出来ないと思います」
と答えていました。
能力ではなく、運命だと思ったのです。
それが2010年でした。

2年後の2012年に、
舞台『弱虫ペダル』の最初の上演が実現しました。
『ソラオの世界』でソラオを演じてくれた大山真志くんが
キャストとして参加してくれていました。
ハンドルひとつでキャストが走る写真が
ネットで笑われたりもしましたが、
僕は最高の芝居を作ることができたと思いました。
最高でした。

今、2018年になりました。
舞台『弱虫ペダル』を持って、
僕は今日また、東京芸術劇場に戻ってくることができました。
本当に本当に嬉しいのです。
夜でも僕には虹が見えます。

嬉しいんです、と一言書きたかっただけなのです。
でも、ずいぶん長い昔話をしてしまいましたね。
さて今夜も作業をします。
明日も明後日も、キャスト・スタッフ皆で準備を続け、
最高の弱虫ペダルをお目にかけます。
是非楽しみにしててください。

ところで、
僕はウルトラマンの中では
『ウルトラマンガイア』が一番好きなんですが、
ガイアの最終回のラストシーンで主人公・我夢が
空を見上げる場所は、東京芸術劇場の前ですよね。
素晴らしいラストシーンです。

nishidashatner at 10:01コメント(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote
舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇〜ザ・キングダム〜、
脚本を書き、稽古をして、公演をおこなう日々が終わりました。
芝居作りをしている間、印象的だったことをいくつか日記に書いておきたいと思います。
すでにTwitterに書いたことをまとめただけですが。


(2月、稽古終盤)

名古屋に住んでいた頃。
友人のアメリカ人ミュージシャンが、
乱暴な運転をするタクシーの窓に、
「ヘイ! ドライバー!」
と詰め寄ったことがありました。
あっ殴りかかる…と僕は思ったのですが、彼が続けた言葉は、
「…リラックス!」
でした。

今回の稽古の終盤、深夜まで及んだ打ち合わせの帰り。
タクシーの中で、
僕はその友人のことを思い出していました。
乱暴な別のタクシーが道をふさいだりしたので、
つい思い出したのです。
こういう時彼は怒らず「ヘイ、ドライバー! …リラックス!」
と言ったなあ、と。

稽古も連日長時間になり、帰宅しても膨大な作業があり、
それに加えて早朝打ち合わせ、さらに深夜の打ち合わせ。
追いつめられ、稽古場で声を荒げてしまって、
僕は凹んでいたのです。そんなある日のタクシーの中でした。

そのタクシーの車内には、
料金や広告動画が表示されるモニターがありました。
ほんの少し不思議なことが起きました。
僕が「ヘイ! ドライバー!」という友人の声を思い出して10秒後くらいに、モニターの中、何かのイベントの宣伝で、
「Relax」という大きな文字が現れたのです。

僕は疲れすぎていて、
「ああ、Relaxか…そんな綴りだっけ」
と思っただけで、その小さな偶然に気づかなかったのです。
帰宅して1時間ほど眠り、また作業をしてから稽古場に向かい、
途中喫茶店でコーヒーを飲んでいる時、やっと
「あっ、昨夜のタクシーの中で小さな偶然があったな」
と気づきました。

小さな偶然だけど、ちょっと嬉しいな…と漠然と思いました。
その時店内では、聞き覚えのある古い曲が流れていました。
「そうだ、小さな偶然に気づいた記念に、
 この曲のタイトルを覚えておこう」
と思い、スマートフォンの曲名検索アプリを起動しました。

曲名が表示されました。
その曲は、
フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの『Relax』
でした。
その瞬間頭がクリアになりました。
疲れすぎていて聴き取れていなかった歌詞が
急に聴き取れました。
「Relax ! don't do it !」
というサビが繰り返されていました。

偶然ではなく、メッセージなのだと思いました。
リラックスしろと言われたのだと思いました。
僕はリラックスして稽古場にゆきました。
ずっと悩んでいた配曲、悩んでいた演出に答えがでました。
稽古場での最後の日だったかもしれません。

そんなことが、この芝居を作っていた中で、ありました。
今も、僕のiTunesから、
あの時その場で買った『Relax』が流れています。

nishidashatner at 09:39コメント(0)  このエントリーをはてなブックマークに追加 Clip to Evernote