創業して間もない昭和58年に、当時としては画期的な業務用無線機が当社トラックに装着された。今の様にもちろん携帯電話なども無く、一度会社を出発すると、ドライバーと連絡が取れない時代において、大きな業務改革となった。

電波が繋がる距離は、基地局の会社事務所から30kmほど。どこでどんな状態なのかの確認や、会社に帰ってこなくても次の指示が出せるなど、配送の効率は格段に良くなった。「ニッシン1からニッシンウンユどうぞ〜」「はい、ニッシンウンユです。どうぞ〜」私が入社した23年前も、こんなやりとりは続いていた。

無線の使用には許可がいる。総務省が管轄し、5年ごとに機械の点検や更新申請が必要で、費用ももちろん掛かる。携帯電話が普及し始めた当時に止めることも考えたが、それなりに使い勝手が良い部分もあったので、今日まで使ってきた。

だが、携帯電話がスマホになり、連絡手段は会社としてもそちらに移行された。もうそろそろ無線機はお役御免と判断し、今年が更新年だったが更新せずに、今月末で終了することにした。40年もの長い間、大きな故障もせず使用出来たのは、本当に感心する。昔の機械は丈夫だ。

旭川から地方へ配達に行き、旭川へ戻って来る時に無線連絡を入れ、次の指示を仰ぐのが社内ルールだった。「ニッシン1ダイバ」「ニッシン2ヒガシカグラ」「ニッシン3トーマ」「ニッシン4ピップ」これは各地から市内に入る時の地名で、会社から30分ぐらいの場所となっていた。

電波法で名前でのやり取りは出来ないので、ニッシン1からニッシン30ぐらいまで、トラックに番号を付けて交信をしていた。事務所内にその無線のやり取りが聞こえてくる。「あのドライバーが帰ってきたな」「声が荒げてるぞ。こいつは機嫌が悪そうだ」「今日は何か良いことがあったかな」スピーカーから聞こえてくる声で、そんなことが感じ取れた。

時代の流れと共に、アナログ的なことが無くなって行く。しかし、スマホ画面では感じ取れないこともあり、これで良いのかと複雑な気持ちにもなる。声や表情などから感じ取る。そんなことが苦手という人が、これから増えて行くのかもしれない。。。



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