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由香がコンビニの仕事にも馴れた頃、近くに同じ系列の店舗が増えることになった。日々風景が変わるかのようにコンビニが乱立され、毎日のように今日はどこどこのオープンだという言葉を聞いていた。
そのうち由香も、オープンの手伝いに借り出されるようになった。
店のオープンの時は、コンビニとしてはあまりやらないセールがあり、近所の主婦から子供、もちろんいつもの客層であるサラリーマンやドライバーなど多くの人が押し寄せ、レジに人が絶えることがない。
本部からも手伝いが来るので数人で客や荷物をさばくのだが、そのあいだにもどんどん業者がやってきて荷物の検品やら品出しがあり、少し人が落ち着いたところで伝票を綴じるファイルを作ったりプライスカードの点検をしたり、ラベラーで値段を貼ったり…と休む暇もない。

何店舗目かのオープンの手伝いに行った時、由香はCVS本部長に呼ばれた。
「今度、時間があるとき本部に来てもらえる?こっちの仕事もやって欲しいんだ。もちろんいつもの店とオープン店の手伝いも今まで通り頼むよ」
由香は、自分が認められたようで、嬉しかった。ただ、本部長の次の言葉には戸惑った。
「後、私の店の面倒を見てもらえないかな?今は私が店長と本部長を兼務してるんだが、両方はなかなか厳しくてね。今の店でも店長の仕事、やってくれてるって聞いてるから出来るよね?あとはシフトを組んでくれることくらいかな」
「私はまだ入ってそんなに経たないし、とても無理です」
由香は断ったが本部長は譲らなかった。
「売り上げがどうとか利益や採算がどうとかそんなことを君に言うつもりはないから。人の管理と店の仕入れなんかを見てくれれば。店長が決まるまでだけ、代理をお願いしたいんだ」
その話を聞きながら、由香はあのときのお兄ちゃんを思い出していた。彼もこうやって店長代理の話を聞いたのだろうか。

結局、由香は本部長の店の店長代理と本部の仕事、オープンスタッフ、そしていつもの店のバイトを掛け持つことになった。うっすらと夜が明けてくるのを横目にハンドルを握って帰路に着く毎日を送るようになった。
数時間だけ寝て朝には学校へ、そんな日々が続いたがそれでも仕事は楽しかった。
ただ店長業務で、一番頭を痛めたのがシフトだった。
コンビニは24時間365日営業。その全てに人を配置しなければならない。でも学生がバイトに入りたがらないテスト期間中、クリスマスや大晦日などイベントの時、連休、それらの日をどうやって埋めるか、いつも考えていた。
いろんな仕事をこなしながら、お兄ちゃんはどうしてるだろうと考えた。同じように店長代理の仕事をしながら一喜一憂しているのだろうか…と。
しかし、そんな話をしようにも、お兄ちゃんからの連絡はなかった。