And juseppe loves her

にたないけんの生存と残像と記録

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にたないけん。

男。
1984年生まれ。
東京都葛飾区立石在住。

ひとりで歌とギターとハーモニカ。

高校生からずっとドラムを叩いていたが、2008年アコースティックギターを買って歌をつくって歌いはじめる。

ライブ演奏をするようになる。
都内でも地方でもライブハウスでも飲み屋でもどこでも歌うようになる。



2011年23曲入りの1st album(CD-R)をつくる。
2013年20曲入りの2nd albumをつくる。
2015年9月10曲入りの3rd albumをつくる。
入手方法はライブ会場で購入するか通販のみですが、岡山の古本屋ながいひる、横浜の喫茶へそまがり、の2店舗には置いてありますので、そこで買うこともできます。

2016年3月3人編成のロックバンドジョズエを結成。
にたないけん:エレキギターとボーカル
うわがわこういち:エレキベース
たなかけいご:ドラム

twitter:@nitanaiken
instagram:wagahaiken



いついきなりきみとであってもいいように
ぼくはきょうもちいさな歌をじゅんびしている
この歌はしらない街をあるくための靴にもなるし
ゆうだちから身をまもるためのおおきなはっぱにもなる
ばけネコがいやがる音をだす笛にだってなるし
いつだったかの夜あけのあまくこげたこおひいにだってなる
かなしまないでポーラ
そんなことはぼくにはいえない
うんとかなしんで
それからそのきみがもってきた
ちぢんだてのひらにあるものを
くしゃくしゃにまるまったものを
ぼくの歌ととりかえっこする日がいつかくるよ

2015年5月 にたないけん





【VIDEO】


「ずぶぬれシアター」



「ダンス」



「うそでもいいのさ」



ジョズエ「ダンス」


おたより、チケット予約、ライブ出演のお誘いはこちらまで
→ nitanaiken@gmail.com





―7月―

■7/3(日)新宿ロックンロール以外は全部嘘
18:30open/19:00start
1600円 +drink
石田千尋/一人でももじゃグレープフルーツ/ワイコ/しげるカントリー(ザ・モーレツアタック40'S)/大薮麻琴/にたないけん
※にたないけん出演は最後21:30~

■7/4(月)下北沢ぷあかう
「パルプフィクション vol.2」
19:00open/19:30start
1000円+drink
タカダダクミ的/にたないけん/尾島隆英(富山)/Lilly lee ICHIKA
※にたないけん出演は最後21:30~

■7/5(火)西荻窪のみ亭
18:30くらいに開店/19:30開演
投げ銭
にたないけん/尾島隆英(富山)/佐古勇気

■7/18(月)池袋Adm

bullbonesfes20160718

13:30open/14:00start
前売2500円/当日3000円 +drink(2日間通し券:前売4000円/当日5000円)
※ジョズエ出演は2番目14:45~


■7/27(水)西荻窪ARTRION
―ARTRION3周年特別企画ONEMAN月間―
【にたないけん独唱2016~俺の酒と俺の歌~】
18:30open/19:30start
前売2500円/当日3000円 +drink
にたないけん
guest musician:ハダユキコ/ピアノ 森山あこ/アコーディオン
opening guest:小棚木もみじ

■7/28~31(日)高円寺古着屋Fizz
なかないで毒きのこちゃん古着屋講演
「ミッドナイト・イン・高円寺」
作演出:鳥皮ささみ
出演:浅川千絵(FUKAIPRODUCE羽衣)/尾崎桃子/伊藤香菜/猪股和磨
開演21:00
料金¥2000
※芝居です
開演前に前座で演奏します
にたないけんは最終日7月31日に出演
予約必要なので興味のある方はnitanaiken@gamil.comまでおねがいします



―8月―

■8/1(月)池袋Adm
九代目梅雨将軍2man series「再会将軍」
19:00open/19:30start
前売2000円/当日2500円 +drink(e+6/18から発売)
ジョズエ×僕のレテパシーズ
opening guest:Vulpes Vulpes Schrencki
※ジョズエ出演は21:10~

■8/6(土)渋谷club乙-kinoto-
BAIDOKU presents「NAKED PUNK FESTIVAL’16」
14:30open/15:00start
前売¥2,000/当日¥2.500 +drink
※18歳未満入場禁止
Very Ape/ED WOODS/ヒミツの錯乱棒/クライムシティ/PAPAPA/東京梁山泊
マネーショット(徳島)/ジョズエ/クロメ/GISIRI/バイドクfeat.ビンタ(fromデッドバンビーズ)

Special Guest:Pole Dancer
rabbi(JapanPoleDance)/Mika/もみぃ

DJ:ユウジロウ(乙副店長)/Ko-Hey!(JUKE BOX JIVE)
Tequila Girl:ちひろ
Food:中村屋

※ジョズエ出演は16:10~

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■8/7(日)新宿ロックンロール以外は全部嘘

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■8/9(火)高円寺U-hA
19:00open/19:30start
2000円+drink
にたないけん/水野寝地/sunny sunny girl
※にたないけん出演は最後20:50~

■8/14(日・昼)池袋ロワンディシー
「ブクロックフェスティバル2016」

■8/14(日・夜)渋谷喫茶SMiLE
「今、共に鳴る 3」
19:00open/19:30start
2000円+drink
にたないけん/かえる王国/ミヤザキナオコ
※にたないけん出演は2番目20:20~

■8/23(火)堺居酒屋たろやん(大阪)
「二杯目の歌」
18時開店/19時開演
にたないけん/じゃっく(イヌガヨ)/藤井えい子
opening act:ざ・なかじま
※ざ・なかじま店長の居酒屋ライブ
チャージはありません飲み食いするだけでだいじょうぶです
投げ銭はやろうと思ってます

■8/24(水)心斎橋酔夏男

■8/28(日・昼)高円寺銭湯小杉湯
※営業前の銭湯を借り切ってのライブです
詳細お待ちください

■8/28(日・夜)横浜喫茶へそまがり
「晩夏のギター、魂ふるえる」
14時開場/15時開演
1600円+drink
にたないけん/輪/鈴木良典
※にたないけん出演は最後16:40~


―9月―

■9/3(土)浅草銀幕ロック
しげるカントリー36歳誕生日企画『第一回うたいてさん』
18:00open/18:30start
1500円+drink
しげるカントリー/にたないけん/カツクラダイスケ
看板娘:Qちゃん
※にたないけん出演は19:50~

■9/14(水)高円寺U-hA
19:00open/19:30start
2000円+drink
にたないけん×中川五郎
※にたないけん出演は19:30~

■9/19(月・祝)寺田町Fireloop(大阪)
※ジョズエでの出演になります

■9/25(日)新高円寺CLUB LINER
※ジョズエでの出演になります


―10月―

■10/2(日)横浜黄金町試聴室

■10/8(土)幡ヶ谷36°5
シュン・フェス2016~秋の陣~『扉を開けたら、超絶ウキウキ!!』
17:00open/17:30start
前売2500円/当日3000円 +drink
いおかゆうみ/浦林くるみ/にたないけん/古宮夏希/ほりちえ/huenica
※にたないけん出演は20:15~

■10/12(水)亀有KIDBOX



チケット予約・お問い合わせ・ライブ出演のお誘い→ nitanaiken@gmail.com






なかなかライブを観にいけない
でもCDを聴いてみたい
という方のために
にたないけんは通信販売を受け付けています




cd

「吾輩は猫ではない 名前はにたない」(CD-R)
23曲入り1000円

1.アニー
2.日が暮れるよりも早く
3.ライフイズビューティフル
4.メランとコリー
5.ぼくの神さま
6.ぼくはきみのかわいさしか知らない
7.雨男
8.レディドントダイ
9.戦車がやってくる
10.ダンス
11.風になるのさ
12.ダンボールムーン
13.アイラブユーはいらないよ
14.バイオハザード
15.長い夢
16.パレードはおわったよ
17.女生徒
18.メリミー
19.ずぶぬれシアター
20.むてきだぞ
Bonus track
21.もしも日曜日がきたら
22.1000のバイオリン(THE BLUE HEARTS)
23.スーパーカー




jacket

「きみを見つけるためにここで暮らすのも悪くない」
20曲入り2000円

1.トリップ
2.遠くへ行こう
3.名古屋駅
4.何もはじまってないのに
5.きみは何になりたかったんだい
6.アクアドルフィンランド
7.女がほしい
8.ゴースト
9.大掃除の朝
10.赤いマント
11.ブルーハーツ
12.夜になれば
13.ボーイミーツガール
14.きみにさわりたい
15.熱帯夜
16.カバンとコートとカートコバーン
17.鴨川
18.トムとソーヤ
19.うそでもいいのさ
20.愛の言葉



waretakutibiru

「われたくちびる」
10曲入り1500円

1.東京パンクミュージック
2.三浦海岸
3.地獄の犬
4.夏のはじっこ
5.ロッテリア
6.酔いざめの星
7.ぽたぽた焼き
8.ペチカ
9.ベトナム
10.まだねない



■注文の仕方■

1.お名前、住所、メールアドレス、欲しいCD、枚数を明記して
nitanaiken@gmail.com
までメールをください。

2.折り返しこちらからメールで口座番号などをお伝えしますので、そちらの銀行口座に金額をお振り込みください。

3.入金確認後、CDを発送させていただきます。

4.なお、送料として300円別にいただきます。2枚以上でも300円です。
銀行手数料はご負担くださるようお願いします。ご了承ください。


ぜひご利用ください
おたよりお待ちしてます!


にたないけんより




プールで父親がちいさな娘に泳ぎをおしえている
キックしろ、もっとキックだ!と言われた娘は水中で父親にローキックをかまし
父親はちょっと本気で怒っている

4月にあたらしくジョズエっていうバンドをはじめて
きのう4回目のライブをした

1.もしも日曜日がきたら
2.ギロチン
3.カバンとコートとカートコバーン
4.脱走木馬
5.女生徒
6.ダンス

ともだちにたくさん会った
ともだちといっていいのか
ともだちと呼ばせてくれ
たまに会ってくれ

出演時間が昼間だったせいか
そのあと泥酔い
ドリンクスタンド小島になぜか2回も行った
池袋Admの連中は小島は知らないはずだ
なぜならまず教えてないし食べログで調べたわけでもないし
いつだったかのクソ暇な大晦日に開いててなんとなく立ち寄って見つけた店だからだ
ししゃもと塩辛と瓶ビール

めちゃくちゃのこてんぱんのくっくどぅーどぅるどぅーに酔っぱらい
朝目覚めたら自宅だった
よかった
かつて目覚めたら砂浜だったことがある
なぜか電車の車庫に行ってしまったこともある
点検のひとに「なんでいるんですか」って怒られた
寝てたのだ知らんがな起こせ
それにくらべたら上出来である
ぼくはライブの日に酔っぱらっていつもなにかをなくすのだが
今回は目薬とサングラスとエフェクター一式をなくした
財布や携帯やPASMOはもちろん何度もなくしてるし
3万もしたアコギ用プリアンプをなくしたことあるし
CDやコートや家の鍵もなくしている
なくしたことないのはギターとこの体ぐらいである
次はギターな気がする
あとは死ぬだけ

でもいちばんなくすのは記憶であり
これはもういつもてんでばらばらの白昼夢である
昨日も18時くらいまではいいのだがそのあとはドリーミンドリーミンである

そのかわりぼくは二日酔いはしない
頭痛もないしだるさもないし吐かない
喉だけアホほどかわく
2リットルなら平気ですらすら飲み干す

それでもほんとのほんとに獄飲したときは
翌日なんか残ってるなという感覚はあって
無気力だいだらぼっちになりさがる
むむ、もしやこれが人様が言うところの二日酔いだろうか
そんなときに一番効果てきめんなのがウコンの力でも大田胃散でもグレープフルーツジュースでもなく食事である
とにかく食いまくる
力のかぎり食いまくる
腹のかぎり食いまくる
なんでもいいから食いまくる
これでたいがいしゃっきりする


さっきDVDを返しに蔦屋にいった
公園のベンチにばあさんがぼーっと座っていた
缶のウーロンハイを飲んでいた


最寄りの蔦屋が隣町の青砥なのでいつも自転車でこいでいく
高架下をこいでいく
14歳まで青砥に住んでいた
高架下に公園があって
高架下の公園てめずらしいだろうかそういえば
ひがし東京だとよく見る景色だ
なんなら高速道路の下にも必ずといっていいほど公園がある
こどものときよくその青砥高架下の公園で遊んでいた

ここしばらくその公園にひとりのホームレスが住んでいる
週に3回ぐらいそこを通るけどいつもいる
終電がなくて青砥から歩いて帰るときもベンチで寝てる彼をよく見る
数年前からベンチにはホームレス対策がしてある
ついたてが建てられて寝転がれないようになっている
でも彼はそれをものともせずいつも器用に寝ている

今日もいた
寝転がって本を読んでいた
その彼の横にも、ボロボロの、色とりどりの、本が積まれていた
まえに鴨川で仲良くなったホームレスもそうだったけど
彼はホームレスになったんじゃない
ホームレスを選んだんだ、と思った

金がないと生きていけない
でも金をもっていると金を使うことでしか満足をおぼえなくなる
想像力が枯れてゆく
だからおれは金は使う
吐き出す
吐き出しまくる
なくなるまで使う
清貧という言葉がある
貧乏なのがかっこいいわけではないが
ぼくらは生きかたをえらべる

ぼくとあなたに共通してることは2つしかない
この世に生まれてきたこと
いつか死ぬこと
この2つだけだ
死に方は選べないが生き方はえらべる
ぼくのともだちのことば
「豚として死ぬか虎として死ぬかだ」


レジで会計をすませたオバタリが袋に商品をつめようとしたとき
玉ねぎが1個落ちた
あららあらら、という間に玉ねぎは転がっていき
オバタリは身をかがめるが見つからないようだった
それを隣で見そめていたサラリマンも、こっちでしょうかねと、自分の足元を探し始め
少し離れたところにいる僕も、え、じゃあこっちかなと、身辺のつるつるの床を凝視した
客3人がなにやら中腰でアンダーグラウンドしているので
暇なレジの店員もいぶかしく思い前線に参加しはじめた

4人の大の大人による必死の捜索にもかかわらず玉ねぎは見つからなかった
玉ねぎは4人ものアダルトを完膚なきまでに翻弄しそして蒸発した
そもそも玉ねぎは落ちていなかったのではないだろうか
確かにオバタリの手から何かが落ちたような動向は目のはしっこにうつった気がしているのだが
それか4人以外の誰かが早々に拾得してしまったのか
激しく転がっていき途方もない遠方にいってしまったのか
玉ねぎにヨーヨー機能がついていて袋にとっくに戻っているのか

4人は玉ねぎをあきらめのっそりとそれぞれの持ち場にもどった
これはただの玉ねぎ1個が人間の暮らしのリズムをかき乱したというひとつのレアな反逆である

スーパーをでるとき後ろをふりかえって床を見てみた
玉ねぎはなかった


プールの帰り自転車をこいでいる
夏の午後のほてった住宅街
人はちっとも歩いていない
葛飾小学校の前におっさんが立っている
あの人きのうもいたな
いつもまっすぐなにかを見ている
ぐあぐあと声がして目の前に鳥が降り立つ
道路のまんなかに鳥が降り立つ
急ブレーキをかけて自転車をとめる
ハトでもない
カラスでもない
スズメでもない
カルガモだ
道路のまんなかにたたずんで動かない
車は1台も走ってない
買い物袋をぶらさげたばあさんが立ち止まっている
カルガモを見ている
まあ、こんなところにカルガモが、という顔で見ている
口をあけて見ている
僕はそのばあさんを見ている
牛乳瓶のようなめがねとエプロン
5秒たつとカルガモはまた飛び立っていった
カルガモってあんなに飛ぶんですね、っていう顔をばあさんに向ける
ばあさんは一瞬こっちを見たようだった
いや見てないかもしれない
まっすぐ前を向いて歩きはじめた
ばあさんは飛び立たない
ゆっくり歩きはじめた
ぼくも飛び立たない
自転車をこぎはじめた
ばあさんは家に帰る
買い物袋のなかみを冷蔵庫にしまう
旦那がいる
娘がいる
孫もいる
テレビがついている
ばあさんは台所に向かう
なにも話さない
今日カルガモを見たってことは誰にも話さない



新宿のツタヤを初訪問した
まずビルの7階にあるうえにエレベが1基しかなくエスカも存在しないので非常に行きづらい
エレベのまえに待ちぼうけの人々がわだかまる寸法になる
夏の狭い廊下で汗みどろである
そこを辛抱してかいくぐるとようやく店内に入れる


拍子抜けした
非常にちんまりした間取りである
腐っても新宿、もっと巨大な魔法世界のようなものが展開されていると思った
ぼくのふだん使っている青砥のツタヤ平和橋のツタヤの半分もない
しかしこの失望は5分後歓喜のむせびに変わる

それは映画の並べ方である
あかさたなではなく国別、監督別、俳優別に並んでいるのだった
夢にまで見たこの壮観
映画好きにとってこんなに映画が探しやすい並べ方はない
してその品数の多さ
観たくても地元のツタヤにないからあきらめてきた映画が山ほどある
たとえば僕の好きなウディアレンの棚を見ると
地元はせいぜい5,6作品くらいなのにファッキン新宿はなんと20作品あまりを蔵している

古くてDVD化されてないものもVHSで大量に寿司詰めになっており
しかもビデオデッキ貸出無料



かんぜんに興奮のるつぼを頭上でくりくり回しまくりそのまま勢いでリフティングして半月板を割るというアクシデントはあったが
なんなく燃えさかる左手でDVD3本わしづかみ黄金の右手で金を払った
これはしばらく通うはめになりそうである
なにせ冗談抜きに観たい映画が100本ぐらい増えたのだから
新宿ツタヤおそるべし
しかもちんまりして倉庫っぽいから探しやすいんだこれが
ふだんのツタヤのあれはなんだおまえ明るくて広くて妙な歌ながしてショッピングモールぶりやがってダボが


でもいちばん印象に残ったのはとある客であった
あきらかなるオタッキーな様相の二人の青年、メガネに半シャツの、大学生くらいだろうか、がゆっくり店内を徘徊しつつ、おのれの映画論を炸裂させているのである
カサヴェテスのこわれゆく女が、とか
アメリカンニューシネマってなんだろうね、ヒッピームーブメントのことかな、とか
とかく片っ端から思いつくまま無尽蔵に映画の話をしているその姿



ぼくにはずっと映画を話せるともだちがいなかった
高校生のときハルベリーと言ってもわかるのは現文の佐々木先生ぐらいなもので
なんだにたない映画すきなのかと言われた

べつに映画の感想なんて言う必要ないしってずっと思いながら15年ぐらい観てきた
でも新宿ツタヤの青年2人を見てはっきりと判明したのである
ぼくはほんとうは映画の話ができるともだちがほしかったんだ


青年、映画はおまえの時間をおおく奪ってゆくだろう
そして映画を観ることが将来の役に立つとか人間が素晴らしくなるとか背が伸びるとか痩せるとか
そういうことはまったくない
映画はただの娯楽である
ニューシネマパラダイスでアルフレドも言ってただろう
人生は映画じゃないって
働いたほうが身のためである
生きるのは壁の連続である
最後までたたかっても勝てないこともある
何度も悲しさや苦しさを知るはめになる
だから青年、映画があるのだ
映画それはすてきな時間の無駄使い
そして青年、ともだちをだいじにしなさい
しわくちゃになって歯がなくなってもきみたちが映画の話をしますように



外に出たら炎天下の夕暮れ
浴衣の男女がいる
たくさんの買い物袋をぶらさげた外国人の少女が笑ってる
老婆のまがった腰にトンボがとまり
ぬげたハイヒールが車にひかれてる

ぼくは映画を観る


「だめだ、ホエールウォッチングは前日までに予約しないといけないし高い」

クジラ見物は未遂に終わった


でもこれさ、船乗ってクジラでてこなかったらどうするの?
「え?お金返してくれるよ」
あ、そうなの
「こっちは買い物ってなんでもそうだよ、電化製品とか買って持って帰って、なんかちがうなってなって、お店持ってったら1週間後でもふつうに返品できる、レシートなくてもできる、ソーリーソーリーって言ってくれる」

それはすごい、日本じゃかんがえられない、おれなんかこの前ヘッドホン買って、したら自分のウォークマンと規格が合わなくて使えなかったから、店持ってってさ、レシート渡して事情説明して、買ってから1時間後だよ、店員もおれの顔おぼえてるよ、なのに、「1度開封してしまってるので返品はできません」て、病気のロバみたいな顔で沈痛に申し渡しやがって、でも耳にはめてないですよって言っても、「でも1度開封してしまってるので」って、そりゃあ開封してしまいますよこちとら、だって開封してしまわずにヘッドホン使うサイコパスがどこにおるんだよクソロバが、って思って、じゃあこれ試してみてくださいって言って、そのロバ野郎にヘッドホンはめてCD再生してさ、そのときおれブルーハーツのSTICK OUT聴いてたんだけど、「あ、でも聴こえますよ」って、そう、再生はされるんです、でも停止ボタンがきかないんですよ、「ほんとだ、ブルーハーツがとまらない」、うるせえ、なんかかっこいいこと言ってんじゃねえよって思って、曲の頭出しもできないんですよ、困りますよ、「ほんとですね、でも1度開封してしまってるので」って、なんなんこのマニュアルロバ、もういいわ、6000円なんてはした金おまえにくれてやる、ってなっておんおん泣きながら帰宅してさ、これが日本ですよ

「なにそれひどいね、どこそれ」
新宿のディスクロバオン


「じゃあアイフォン直しにいく?アップルストアいこうか、することもないし」




2日前にぼくは携帯が壊れてしまったのだ
海外で携帯電話をつかうと暴力的な通信料を搾取されるらしく、それを回避しつつ携帯電話をつかうには、なんでもウィーフィー?を使えば無料で通信できるらしい
実は日本をでるまえにウィーフィーのことを調べたのだが頭がたりなくてなんのことかちっともわからなかった
これはぼくが推測するに
電気や電波というのは目に見えない
しかしウィーフィーだけがその電気や電波をからだに付着して運搬することができるごく微細なプランクトンで、電話会社はそこに目をつけて近年ついにウィーフィーの捕獲および飼育および増殖に成功したんだろう
ルーターとかいうのはおそらくウィーフィーを住まわせてる虫かごのことだ
なんだそういうことかとすっきりして僕は日本をでたものだ


今回泊まったホテルにもfree wi-fiというお知らせの紙があり
受付で教わったパスワードを入力すればホテルで飼ってるウィーフィー1GBまで無料で使えるとのことだった
1GBというのは1垓匹ということである
垓というのは〈がい〉と読み、あんまり馴染みがないかもしれないが、億のあとが兆でそのあとが京でそのあとが垓である
このホテルは1垓匹も使わせてくれるというのだ
なんとも大盤振る舞いではないか
ということでウィーフィーを飛ばせてメール受信などしていた

するとなんだ、画面に「OSをアップロードしますか?」という文面が出現した
OSとはなんのことだ、まあいい、アップロードするということは今よりも状況が良くなるということだろう、おーけー、きみにまかせる、精勤したまえ
ということでアップロードを許可した
なにやらパワーゲージをためているような画面になり、順調にためていると思ったら、急に画面が暗くなった
おや、どうした、わがはい急ぎの文の返事をしたためている途中であったのだぞ
すぐに明るくなりパスコードを入力せよとのたまうので、いつもの暗号をつたえる、だのに「ちゃう、もっかい」とかえってくる
え、なぜだ、また伝える、「だからちゃうって、もっかい」
え、あってるはずであろう「あーもうええわ、5分後にまたきなはれ」
5分後またたずねると「ちゃうよ、ほしたら10分後や」
10分後またたずねると「どつかれたいんか?30分後にまたきいや」
え、まじ?なにごと?と思い30分後にいくと「あんたにたないちゃうやろ、これが最後やで、1時間後にきなや」
ぼくはまっこと恐ろしくなり、これ以上はいかんき、刺されるがじゃ、とおぼしめし
アンに救いをもとめた


携帯うごかんくなった、拒否しはじめた
「見せて、・・・・・ああこれだめだね、さわらないほうがいい、なにやったの?」
いや、OSとかいうのをアップロードしようとしたら、
「え、なにやってんの?OSしらないの?OSは〈おしりしまおう〉、対ウィーフィー用殺虫剤のことだよ」
そんなカバな
「ウィーフィーはおしりに電波を付着させて運んでるの、なんでそんなこともしらないの?」
そ、そんなハヴァナ
「おしりしまっちゃったウィーフィーなんて何も運べないんだよ」
でも携帯がアップロードを推薦してきて、しかも1垓匹もいるのになぜ
「携帯とウィーフィーは冷戦状態にあるの、使用する側と使用される側には常に諍いがある、これ世の中の常でしょ、OSはウィーフィーにとって外出禁止令みたいなものよ、おしりだしてたら即射殺よ」
ガッデム、、、わたすこげん時どったら顔しだらいいがわがんね
「わらっどげ」




といういきさつがあったのだ
携帯なんて使わなくても日本帰ればなんとなく直るだろと思ったのだが
アンは親切なのでアップルストアに連れて行ってくれた

トラムという路面電車に乗り、バスに乗り、ショッピングモールへ
うーむ、亀有のアリオとちっとも変らぬと思いつつ歩いているとアップル発見
マイケルムーアのようなおっさん店員が即座にちかづいてくる
ぼくはイギリス語がわからないのでアンが対応している

ムーアなんていってる?
「おまえの電話はおだぶつだ、初期化するしかないぜ、いいか?って」
おふこーすゆーどぅー

葬儀はものの1分で終わり晴れてほやほやのアイフォンが手元に帰ってきた



腹がへったのでフードコートを歩いた
SUMOという名前の寿司屋があった

一軒のキャッフェにはいった
サーモンとアボカドのベーグルとコーヒー
オープンテラスになっていて気持ちよかった

このショッピングモールでも裸足の人をよく見かけた
オージーの裸足移動率は高い

電気屋にいったら知らないメーカーのエレキギターが並んでいた
オージーのミュージシャンはどこで楽器を買うのだろうか


バスにのって市街へ
日が暮れていた
トワが車でむかえにきてくれた
「きょうなにしてたんすか?」
携帯なおしてた
「おれさっき時間あったんでサーフィンしてきたっす」
どうだった?
「いやあ、やっぱたのしいっす、でもまだ波すげえたかくてこわいっす」
へえー見てみたかったな
「おれなんてまだまだっす、ともだちとやってんすけど、おたがいけなしあってて、でもそのほうがうまくなるっす」


ゴールドコースト空港でおろしてもらう
「おれ実家熊本なんで日本帰るとき東京寄るっす、けんさんのライブ観てみたいっす」
トワはすばらしい男だった
まるで太陽からやってきた男だった
だってほら夕焼けに向かって帰ってゆくよ


アンといっしょにジェットスターの出国カウンターへ
行きの飛行機であんなにファッキンジェッツだったのにいともたやすく通過
なんなら荷物の重さも計られなかった
なおさら行きのイカサマジェッツが憎たらしい


19時搭乗口
アンはパッタイを食っている
アンはシドニーにかえってしまう
ぼくは日本へ
アンは7年前ぼくがはじめて歌をつくって人前で歌った初ライブをたまたま目撃したひと
本とか映画好きなんだねって言われた
会った時間はすごく少ないけれど
アンはぼくのともだち
田口トモロヲにインタビューしただかするだか言ってたアン
握手をしてわかれた




飛行機にのりこむ
帰りは直接成田空港にいくのではなくメルボルンで乗り換えになる
約3時間の飛行
斜めうしろに座ってる太らせたアントニオバンデラスがあきらかにどんよりと酒臭く、隣に座ってパソコンで仕事してる風のイタリー系イケメンサラリーマンになにやら話しかけている
迷惑だろうなと思いきや、意外な展開に
トッティがなにかちょこちょこ話すたびにバンデラス爆笑
どうやらトッティが非常にクレバーでユニークな会話能力を持参しているらしくバンデラスとにかく爆笑、ひいひい言い出す始末
スチュワーが通るたびにバンデラス酒を買いトッティにもおごりスチュワーにもなにやら冗談を飛ばし
ああ、こういうところは日本の場末の酒場と変わらない
おかげさまで仮眠すらとれなかった



22:30メルボルンに着陸
ここが一番緊張していた
次の出航が24:10
実質1時間くらいでまた受付やらセキュリティやら審査やらこなさなあかんかった
しかも国内便から国外便までの道がわからない

しぜんと早歩き、いや遅走りで移動するにたけん
空港がむちゃくちゃに広い、メルボルン空港がスーパーだとするとゴールドコースト空港なぞ駄菓子屋ばい
途中で外にでた瞬間から妙に不安になり、これはまずい、すこしでも道を間違えると変なほうにいってしまう、アボリジニの生霊にブーメランで狩り殺される、それはあかん、おれは日本に帰りたい、レシートいいですとか言う暮らしに戻りたい
こういうとき火事場の馬鹿力というものがひとには働くものであり、つなぎを着た空港スタッフと思しき男につかつかと歩み寄り
イクスキューズミー、ウエアーイズメルボルンエアポルト、インターナショノーデパルチャー
とすらすらと話すことができた自分に喝采、事実これがこの旅でいちばんまともに話せた英会話であり、なんと言われたのかは忘却したが、この建物の2階だようまくいくといいな、みたいなことをつなぎが言ったのが瞬時に飲み込め、それに対してもぼくは
サンキューソーマッチ、グッデイ
と自然に返すことができ、よい1日をっておめえもう23時だよアホちゃん、と思いつつもスムーズに国際ターミナルまでいけたのだった

受付は無人であった
おそらく空港スタッフはみんな定時で帰宅したのだ
旅行者はなにやらATMのようなものを操作して手続きをしていた
画面を見る、英語でなにがなにやらわからない、パスポートをスキャンする、反応しない、tryとばかり言われる、どうしたらいいのかわからない、手間取る、あせる、アクセル、アセトアルデヒド、汗とアルコールでひどい人、それは水を飲まないからや、店員さんにいってお冷もらいまひょ、と漫談をしていたら急にピコポンと鳴って、チケットがでてきた

とにかくよかったよかったっちゅうことで荷物検査へ
顔がぶこぶこしたポリスに速攻で我がカバンがはねられる
え、なんぞ
脇からスティーブブシェミが出現してチェックしていいかと聞いてくる、もちろんどす、なんもやましいことありまへん、ブシェミかばんを開ける、使用済みの下着類をかぐ、コンタクトレンズの洗浄液をふる、やがてひとつの瓶を手に持ち、これはいけないぜボーイと言う
ベジマイトである
なんやねん、ベジマイト危険なんかい、サリンじゃあるまいし、オーストラリアの文化を広めたいとは思わんのか
とにかくベジマイトは没収される
これは予想外だった食ってみたかったのに
あのベジマイトはきっと今夜ブシェミの食卓にあがっている

パスポートと顔面を照らしわせるゲートは自動改札みたいになっててすんなり通れた
ゆるいなオージー

遅走りで搭乗口へ
無事に飛行機に間に合う
なぜかフラフープの練習をしているオバタリアンがいる
最後まで自由な国オーストラリア



飛行機にのりこむ
3列席の真ん中の席
右に座ったジョージクルーニーに話しかけられる
「メルボルンは好きか?」
・・・(いや乗り換えで降りただけだからよくわからない、って言いたい)
「オーストラリアにはなんできたんだ?」
ワーク(ちがう)
「そうか、おれはメルボルンが好きだ」
マイフレンドイズゴールドコースト(ちがう)
「おれの妻は日本に住んでるんだ」
へー、、、アイリブドインカツシカ(つうじるかしら)
「カツシカ?どこだそれは、おれの妻は品川に住んでいる」
・・・(あ、そっからね、30分ぐらい電車で行ったところに住んでるんよ、って言いたい)
「妻のお母さんが病気でね、脳をわずらっててね、それで今回日本へいくんだ」
・・・(それはお気の毒に、、、って言いたい)
「・・・(こいつ全然英語だめだな)」
・・・(全然英語だめだわ)

そこからクルーニー沈黙、なんとなく気まずい、パソコンで海外ドラマを見始めるクルーニー
左隣はほっそりしたオバタリ、飛行機備え付けのテレビでコメディ映画を視聴、声をあげて爆笑
うしろの席は母親と赤ん坊、ベイビー爆音で号泣
まったくの不眠のまま朝9時飛行機は成田に着陸する


降り際だめもとでクルーニーと最後に会話してみたいと思い勇気をだして話しかけた
ハウメニードゥーユーゴートゥージャパン?
「ああ、それなら14回だ、じゃあな!」
・・・(常連やんけ、じゃあ日本語で話してくれたっていいだろう)




なつかしいという感覚もいっさいなく成田空港を歩く
オーストラリアドルを円に両替する
みちゆく旅行者を横目に駅へむかう
駅の売店で日本人の店員から缶ビールを買う
16時間飲まず食わずの喉にたたきこむ
日本は蒸し蒸しして暑いな
上着をぬいでカバンにしまう
京成線に乗る
日本人のサラリーマンがいて
日本人の大学生がいて
成田駅からは日本人の高校生が乗ってくる
空腹をかんじる
おれは今なにが食いたい
おれは今だれに会いたい
車窓からは千葉の田舎の風景がみわたせる
みどりいろの木とあおいいろの空とつちのいろをした地面だ
旅はまだつづいている
きみもきっと今おなじ空をみている



goldcoast




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