And juseppe loves her

にたないけんの生存と残像と記録

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にたないけん。

男。
1984年生まれ。
東京都葛飾区立石在住。

ひとりで歌とギターとハーモニカ。

高校生からずっとドラムを叩いていたが、2008年アコースティックギターを買って歌をつくって歌いはじめる。

ライブ演奏をするようになる。
都内でも地方でもライブハウスでも飲み屋でもどこでも歌うようになる。



2011年23曲入りの1st album(CD-R)をつくる。
2013年20曲入りの2nd albumをつくる。
2015年9月10曲入りの3rd albumをつくる。
入手方法はライブ会場で購入するか通販のみですが、岡山の古本屋ながいひる、横浜の喫茶へそまがり、の2店舗には置いてありますので、そこで買うこともできます。

2016年3月3人編成のロックバンドジョズエを結成。
にたないけん:エレキギターとボーカル
うわがわこういち:エレキベース
たなかけいご:ドラム

twitter:@nitanaiken
instagram:wagahaiken



いついきなりきみとであってもいいように
ぼくはきょうもちいさな歌をじゅんびしている
この歌はしらない街をあるくための靴にもなるし
ゆうだちから身をまもるためのおおきなはっぱにもなる
ばけネコがいやがる音をだす笛にだってなるし
いつだったかの夜あけのあまくこげたこおひいにだってなる
かなしまないでポーラ
そんなことはぼくにはいえない
うんとかなしんで
それからそのきみがもってきた
ちぢんだてのひらにあるものを
くしゃくしゃにまるまったものを
ぼくの歌ととりかえっこする日がいつかくるよ

2015年5月 にたないけん





【VIDEO】


「ずぶぬれシアター」



「ダンス」



「うそでもいいのさ」



ジョズエ「ダンス」


おたより、チケット予約、ライブ出演のお誘いはこちらまで
→ nitanaiken@gmail.com





―9月―

■9/3(土)浅草銀幕ロック
しげるカントリー36歳誕生日企画『第一回うたいてさん』
18:00open/18:30start
1500円+drink
しげるカントリー/にたないけん/カツクラダイスケ
看板娘:Qちゃん
※にたないけん出演は19:50~

ginmakurock


■9/4(日)高円寺小杉湯
銭湯ライブ「肩までつかりましょ 男湯編」
11:30開場/12:00開演
1500円
にたないけん/たろおみ/横澤俊一郎/歳星/片岡フグリ
※にたないけん出演は最後14時~
住所:東京都杉並区高円寺北3-32-2

■9/14(水)高円寺U-hA
19:00open/19:30start
2000円+drink
にたないけん×中川五郎
※にたないけん出演は19:30~

■9/18(日)二条nano(京都)
18:30open/19:00start
前売1500円/当日2000円 +drink
ジョズエ/花柄ランタン/わたなべよしくに/サイナラトモロック

■9/19(月・祝)寺田町Fireloop(大阪)
JUNIOR BREATH×Fireloop 15th Anniversary presents 「eightbeat sickness ver.27.4」
ロックブレスユーシリーズ最終章×ソウルフードレコ発編!
17:00open/17:30start
前売2300円/当日2800円 +drink
THE リマインズ/ベランパレード/ジョズエ/ソウルフード/JUNIOR BREATH/「また、明日。」(opening act)
...more secret band 
※ジョズエ出演は20:05~

■9/25(日)新高円寺CLUB LINER
ヌーダ・ピッシャーズ初企画「BOMB×6」
11:45open/12:00start
前売1500円/当日2000円 +drink
ヌーダ・ピッシャーズ/モダンだもん/ジョズエ/太陽民芸/ゴールデンローファーズ/ハテンコウ
※ジョズエ出演は4番目14:00~


―10月―

■10/2(日)横浜黄金町試聴室
「へそまがり4周年フェス」
14:30開場/15:00開演
前売2000円/当日2500円 +drink
ClaSSIC4/にたないけん/石指拓朗/臍藤シンタ/佐立努/輪/
ぐらむまさら/zou/s.u.z.u.k tultuuga ockestla/RiversideDJs/へそバンド
※にたないけん出演は2番目15:20~

■10/5(水)西荻窪アートリオン
18:30開場/19:30開演
前売2500円/当日3000円 +drink
◎当日スペシャルフードあり
折坂悠太/にたないけん/沢田ナオヤ

■10/8(土)幡ヶ谷36°5
シュン・フェス2016~秋の陣~『扉を開けたら、超絶ウキウキ!!』
17:00open/17:30start
前売2500円/当日3000円 +drink
いおかゆうみ/浦林くるみ/にたないけん/古宮夏希/ほりちえ/huenica
※にたないけん出演は20:15~

■10/12(水)亀有KIDBOX
19時開場/20時開演
2000円(2drink込み)
にたないけん/モテギスミス(アナトオル・フランス)

■10/21(金)吉祥寺Days
“FACTORY GIRL'S BIRTHDAY PARTY HARD!!”
19:00open/20:00start
2000円 +1drink
多田羅幸宏/nanohana/にたないけん/Sosu feat.cumimami/大薮麻琴BAND

kichizyouzidays


■10/23(日)下北沢BASEMENT BAR
※ジョズエでの出演になります

■10/27(木)高円寺U-hA
19:00open/19:30start
2000円 +drink
にたないけん/まめ(パンパンの塔)
※にたないけん出演は20:30~

■10/28(金)池袋Adm
THE ELEKING 2nd Album「THE ELEKING a-GOGO」レコ発ライブ
19:00open/19:30start
前売2000円/当日2500円 +1drink
THE ELEKING/ジョズエ/ザ・サイレンズ
DJ:高橋浩司(HARRIS/DQS/THe COMMONS/ZOMBIE,DON'T RUN,wax eye)


―11月―

■11/2(水)新宿ロックンロール以外は全部嘘
「にたないけんトリビュートライブ」
にたないけんのカバーができる参加者募集してます
プロアマチュア未経験者問いません
詳しくはブログ「にたないけんトリビュートライブ募集要項」までどうぞ



チケット予約・お問い合わせ・ライブ出演のお誘い→ nitanaiken@gmail.com






なかなかライブを観にいけない
でもCDを聴いてみたい
という方のために
にたないけんは通信販売を受け付けています




cd

「吾輩は猫ではない 名前はにたない」(CD-R)
23曲入り1000円

1.アニー
2.日が暮れるよりも早く
3.ライフイズビューティフル
4.メランとコリー
5.ぼくの神さま
6.ぼくはきみのかわいさしか知らない
7.雨男
8.レディドントダイ
9.戦車がやってくる
10.ダンス
11.風になるのさ
12.ダンボールムーン
13.アイラブユーはいらないよ
14.バイオハザード
15.長い夢
16.パレードはおわったよ
17.女生徒
18.メリミー
19.ずぶぬれシアター
20.むてきだぞ
Bonus track
21.もしも日曜日がきたら
22.1000のバイオリン(THE BLUE HEARTS)
23.スーパーカー




jacket

「きみを見つけるためにここで暮らすのも悪くない」
20曲入り2000円

1.トリップ
2.遠くへ行こう
3.名古屋駅
4.何もはじまってないのに
5.きみは何になりたかったんだい
6.アクアドルフィンランド
7.女がほしい
8.ゴースト
9.大掃除の朝
10.赤いマント
11.ブルーハーツ
12.夜になれば
13.ボーイミーツガール
14.きみにさわりたい
15.熱帯夜
16.カバンとコートとカートコバーン
17.鴨川
18.トムとソーヤ
19.うそでもいいのさ
20.愛の言葉



waretakutibiru

「われたくちびる」
10曲入り1500円

1.東京パンクミュージック
2.三浦海岸
3.地獄の犬
4.夏のはじっこ
5.ロッテリア
6.酔いざめの星
7.ぽたぽた焼き
8.ペチカ
9.ベトナム
10.まだねない



■注文の仕方■

1.お名前、住所、メールアドレス、欲しいCD、枚数を明記して
nitanaiken@gmail.com
までメールをください。

2.折り返しこちらからメールで口座番号などをお伝えしますので、そちらの銀行口座に金額をお振り込みください。

3.入金確認後、CDを発送させていただきます。

4.なお、送料として300円別にいただきます。2枚以上でも300円です。
銀行手数料はご負担くださるようお願いします。ご了承ください。


ぜひご利用ください
おたよりお待ちしてます!


にたないけんより




仕事が終わり生の烏賊などを切り刻んで生姜醤油などをなすりつけて食いながら、野菜四天王を決めるとしたらやっぱりキャベツ、多真似戯、忍神、邪害喪、の4つかしら、まあそうだろうね、おおむね、などと独り言をかましながら酒をぴゃらぴゃら喰らっていたら、忽然として母親が神妙な面持ちであらわれ、20年飼っていたイエヤス(犬)が死んでしまった、みたいなテンションで目前に迫ってきて、ついぞこう言ったのだ

「あんた前から言おうと思ってたんだけど、その髪型どうにかならない?」

急だ、それはまた急だ、うまく頭が動作せず、返答に窮していると

「別にかっこよくしてほしいわけじゃなくてふつうでいいの、あんたそれがいいと思ってるの?そもそも人前で音楽やるのにそんなかっこ悪い頭じゃ売れないでしょ、お店のお客さんもみんなそう言ってます」

と、まるでやさぐれて地元の暴走族に入団してしまった息子をいさめるように言う
うちの母はなにかをひとに忠告するときの口癖が「~ってみんな言ってる」なのであり
しかし店のお客さんの総人口全員すべてが、息子の髪型がださすぎる、と餃子の感想そっちのけで母に告げ口しているというのは大変に考えづらく、ごちそうさまも言わずに開口一番息子の髪型ださすぎると陳情するというのは大変に考えづらく、というか少なくとも今までは一度も聞いたことないのであり、思わず

「へー、誰が言ってるの?」と聞くと

「そんな常連さんのこと言えないわよ」となぜか半笑いで言う


完全にでっちあげの事実である
まあそれはいつものことなのでよい
そしてまだまだ破竹が止まらない母であり

「あのね、伸ばしてもいいの、でも伸ばし方ってもんがあるでしょ、あんたのはなんなの、ただ伸びっぱなしにしてるだけ、うしろも重いし、髪の毛も目にはいりそうだし、みっともないったらありゃしない、ちゃんと手入れしなきゃ、1ヵ月に1回は美容院に行きなさい、前髪は2週間に1回、プロのミュージシャンはみんなそうしてます」

なぜ30年ずっと餃子を売ってきたおばはんにそんなこと言われなきゃならんのじゃ、ぷすりと怒りがほとばしったが、うちの母も60代半ば、しかもろくに立石から出てないのだから仕方がない、つい先日も「新宿に居酒屋はあるの?」というまじなのかぼけてるのかわからない爆弾クエスチョンを頂戴し、「うん、あるよ」と答えておいた、そんな母なのだから容姿に関する感覚のずれというものは仕方がない、怒りは速攻でおさまり


「言ってることはわかる」

「そうでしょ、ただしいでしょ?」

「いや、ただしいというか、、、」

「なに?」

「なんて言えばいいだろ、好きか嫌いかの話なんだよな」

「どういうこと?」

「たとえば前髪の毛を切ったときにメンバーに怒られたことがある、長いほうがかっこいいから切っちゃだめだって」

「うーん、、、」

「おれは別にどっちでもいいと思ってる、したい髪型ないし」

「じゃあ切りなさいよ」

「でもすごく短いのはしたくない」

「だから長くてもいいのよ、もっときれいにしなさいよ」


これではもう堂々巡りのハゲ地蔵である
説明するより実際見てもらおう、そうしまひょ、携帯電話でおもむろに画像を見せる作戦にした
まずは銀杏少年達という楽団の峯田和伸の写真を見せてみると

「なにこれ?こじき?」との返答


「いや、若者に絶大な人気のあるミュージシャンです」

「うーん、、、」

口中に無茶苦茶にくさいガムをいきなりほうりこまれたような顔面になってしまい

「これは?俳優だけど、女性ならたいがいみんな好き」
とオダギリジョーの写真を見せると

「うーん、、、顔は悪くないけど、、、うーん」

ああ、母はいま、まさに、未知との遭遇をしているな、というのがつぶさにわかり、じゃあ比較的身近な存在を引き合いにしてみようと思い、同い年であり、同じ東京葛飾の育ちであるクリープハイプの尾崎世界観の写真を見せると

「なにこれ、かつら?」

「いやこういう髪です」

「なんで切らないの?」

「わかりません」

「売れてるの?」

「うん、このまえそこの葛飾シンフォニーでやったよ」

「え!シンフォニーで!?」

と本日最大の好反応を示したのでふっへっへとなり、少しく調子にのってしまい、

「これはともだちの写真」といってラモーンズの写真を見せると

「おばけじゃん!」と悲鳴をあげる母

「ライブハウスなんてそんな人ばっかだよ」と追い討ちをかけ、でもあながちほんとにそうだな、とひとり納得しながら、母の様子をさぐると


「それとあんたね、服もなんとかしなさい、変な格好ばっかして、いくら歌がうまかったとしてもそんな格好じゃ誰も聴いてくれないんだから」

なんとまさかの急激な話題転換、ファッキンガッデム宮殿である、そんなこといわれたって、そもそも母は我がライブステージを1度も見たことがないのであり、そのまえに仕事でしか会わないのだから、私服をほとんど見たことがないはずであり、いや、じぶんの服装感覚がべつだん優れているとは微塵も思ってないが、それにしたって何をもってしてそんな苦情をたてまつるのかがまったくに不可解だったので、じゃあなにか、チェックのシャツの裾チノパンにぶちこんで街をかっぽれしたろか、ああ、母が向井秀徳を見たらなんというのだろう、と少し頭によぎり、しかし母も60代半ば、張り合ったって栓無きこと、親というものはときどきこどもをあやすようにはいはいとあしらうのが丁度のいいことだと思いますあっし


「わかった、いらない服は捨てるよ」

「そうしなさい」

「でもほしい服ないんだよな」

「かっこいい服買いなさい、領収書でおとしていいから」


こうしてちいさな戦争が終わり、母はなにかを産み落とした後かのような安らかな顔面になり、いそいそと鍋洗い仕事にカムバックしていき、こちとらすっかり酔いも覚めちらかして、帰りまひょ、と戸を開けて帰ろうとしたところ、

「なんで髪の毛の話で1時間も話したんだろ、ばかばかしい」

と吐き捨てる母である


戸をしめて家路
僥倖、暁、焼け野原、膀胱、浅葱、関ケ原、とわけのわからぬメロデーの呪文を連呼しながら歩行する俺、オモイデインマイベッド



ひとといるときはにたないけんを演じているだけのようなきがする
ひとりになる
ぼくはぼくをとりもどす
ぼくは地球のほくろ
砂にのこした足跡も風がきれいにけしてくれる


朝10時に東京駅
トランクに座ってエビスを飲んでるケーゴさん発見

ドリンク1杯無料券を持ってたので売店のにいちゃんに見せると
あー、ここじゃなくて、ホームの売店のほうが品揃えいいっすよ
なんやきみは、だまって酒売ればいいんじゃ
とまた二人悪態をつきながらホームまでのぼる
売店につくとケーゴさんシャウト
銀河高原ビールがある、これは激熱
柿の種をついばみながら新幹線がくるまでビールを飲む

さらに500缶を2本買って新幹線に乗り込む
ケーゴさんは350缶2本
完全なる酒盛りと化しあることないこと喋り散らかす
途中酒がなくなり三島駅で500缶2本買い足す
酩酊の挙句9マス将棋で遊びまくる
ケーゴさん寝る
14時44分京都に着陸する


地下鉄を使って二条nanoへ
雨がせらせら降っている
店が開いてなかったので楽器だけおいてコンビニへゆく
ビールを買う
なにやら向こうから裸足で長髪の男が歩いてくると思ったらウーちゃんだった
なんで裸足なの?
いやバスから降りた瞬間鼻緒がきれちゃって
なにしてたの?
二条城見てた

雨がいっこうに強くなっていく
モグラさん外からやってくると思いきや店の中からむっくりあらわれる
さすがモグラ


夜ジョズエでライブをする


終わったあとは、ジョズエ、はないくん、すずこ、トモさん、ランタンで花柄荘へ

焼酎お湯割り飲みながらみんなでファミコンをやる
むずかしすぎてばたばたと死んでゆく
現実でもみなばたばたと死んでゆく
でもぼくらは何度でもよみがえる



朝7時花柄荘を出立
京阪電車かわいい
新今宮で下車

朝9時半の新世界
酒の穴でモーニングをきめこむ
おでん
串カツ
八宝菜
マグロ山かけ
漬け物
納豆
ネギ焼き
ビール大瓶5本
店内はむちむちのぎゅうぎゅうである

1時間だけ漫画喫茶へいく
寝ればいいのにみんな律儀に漫画を読む


13時30分寺田町に着陸
リハーサル後ひとりで北新地へゆく
野田加奈子の絵の展示をみにゆく
絵が目を通り過ぎて鼻の裏にいってしまう
眉間がつんとなる
そのつんが両目まで伝わってしまう
ぼくには好きな絵がある


寺田町へ戻る
じゃっくさんと料理の話でひとしきり盛り上がる


夜ジョズエでライブをする


そのまま押し流されるようにはなぶさで打ち上げ
ジョズエの2人はいよいよ眠ってしまう
じゃっくさんとたかいくんとひたすら焼酎
アカエイの韓国風炒めが鮮烈なうまさ


夜明け前店を出てケーゴさんと始発で関西空港へ
ここからほとんど記憶にない
飛行機にはちゃんと乗ったらしい
いつのまにかひとりになっていた
朝9時30分の成田空港のホームにたっていた
東京は雨だった
道中ずっと雨だった
アンパンマンの傘をひろって使っていたのだがかなちゃんにあげた



京都で出会ったみなさま
大阪で出会ったみなさま
ほんとうにありがとうございました
ジョズエでははじめての関西ライブでした
ジョズエが次に関西にいけるのはいつになるかわかりません
ステージのうえからみえたみんなの顔顔顔
そればかりが残像になっています
思い出はまえにすすめる足をとめてしまう
回想はまえにもがく手をふさいでしまう
またあたらしくなって会えたらいいと思ってます
さっきも言っただろう
ぼくらは何度でもよみがえる
その向こうできっときみが手をふっている



昔の流行りの服や髪形の男女を見つけるとたいへんにダサい
でも古い街並みをみて、いいなと思ったり心が安らぐのはどうしてだろう
街は流行りではないからだ
足跡であり呼吸であり生き物だからだ


9月18日は京都、9月19日は大阪
ジョズエでライブしにいきます
くわしくはライブスケジュールをごらんください
観にきてもらえたらうれしいです

うらぎられても
ばかにされても
すべてをはねかえす
鏡をぼくはもつ



目の前を歩くおばさんが
袋の底が抜けたらしく
かぼちゃが地面におちて
ちいさく叫んで
ころがっていくかぼちゃをつかまえて
ひろってすこし笑ってあるきだした

生涯を一瞬に濃縮するとしたら
ぼくはどんな顔をするだろう


目覚めると布団にいる
布団と布団のあいだにせかいさんが寝ていて
そのまた向こうの布団になおやさんが寝ている

ひどく喉がひからびている
誰のかわからない水を飲み干す
それでも足りなくて隣の部屋に行くと死体の山である
誰のかわからない水をもう1本飲み干す
トイレに行こうとしたら鍵がかかってあかない
死体の数を数えるとちゃんと全員死んでる
では誰がぜんたいトイレにこもっているのか

死体がつぎつぎによみがえり朝食の準備がはじまる
その間ゆうべの残りのチューハイを飲む
にたないさんは朝がいちばん腹が減っているのでわくわくさんである
女性陣が出現する
女性というのはやはりたいした生き物であって
さっきまで寝てましたという感じがまったくない
新宿から快速に乗り換えるときのような顔をして朝食にあらわれるではないか


アジの開き
きざみモロヘイヤ
海苔
卵焼き
しらすおろし
いさきのあら汁
ご飯

にたないさんご飯を3杯食う


10時朝食が終わり朝風呂に出向くものまた眠りだすものてんでばらばらに活動がはじまる
にたないさんとなおやさん芋焼酎を飲み始める
女性陣4人ウイスキーハイボールを飲み始める
とつじょオセロさんがオセロをやろうと提案する
オセロさんとももこさんがオセロをはじめる
オセロさんが信じられないくらいに圧勝する
もはや勝負というより一方的な暴力、リンチ、ポアである
ももこさんとおりえさんが試合をする
オセロさんとまつさんが試合をする
なおやさんとうーみさんが試合をする
ふたたび酒が霧消していく
いずれも名試合だったため酒がたいへんに前進するのだ


12時臨海荘をでる
まつさん、せかいさん、けいすけさん、たくさんは別の車で早退
残りのメンバでゆっくり帰る運びに

車内でも相変わらずの酒リンピック


龍宮窟に寄る
海のくち

サンドスキー場にいく
ボードもないのに皆の衆裸一貫でおおいに転がり滑り砂まみれになる

夕方頃、さわやかハンバーグにいく
にたないさんは腹が減ってないのでビールとサラダをたのむ
オセロさんとハンバーグを折半する
図に乗ってワインも飲む


夜の車内でふたたびピンクしりとりをやる
うーみさんのピンク司会が炸裂
まこと愉快な遊戯である


19時頃西荻窪アートリオンに到着
うーみさんのみ帰宅
残党による酒盛りが佳境を迎える
内容は死泥喪泥
だれかとだれかがアームレスリングをはじめ
ももこさんウイスキを生で飲み始め
にたないさん焼酎を3回も床にこぼし
目の前が点滅しはじめた22時にたないさん、ももこさん、ゆうじさんが離脱
だいじゅさん、なおやさん、おりえさん、オセロさんはさらに夜の街へと姿くらまし
エンドロールの総武線
黄色い電車と黒い夜


たくさんお酒を飲むことを牛飲だとか鯨飲だとか呼ぶことがある
それならば今回の旅はまさに龍飲であった
寝てるとき以外はずっと酒を飲んでいた
ただしそんなことはなんの自慢にもならぬ
にんげんの最下層、屑龍賤、酒あばずれ、ファッキンドンガバチョである
なにせ11人も音楽人が集まって1秒も音楽の話をしなかったのだ

うごくな
しね
よみがえれ
うるせえ
しゃべるな
またやろう
もしもきみがおなじ気持ちでいてくれたなら



8月29日
朝7時に新宿駅西口に合集
まず乾杯するから酒買ってこいとのお達しでコンビニをさがす
雨が降っていてハダザムだったのでにたないさんワイン1本買う

まつさん、たくさん、せかいさん、ももこさん、うーみさん、にたないさんの6人が一色田になって車出発
さっそくおのおの酒を飲みはじめる
ピンクしりとりというたいへんに痛快な遊戯がはじまり朝8時の車内が夜11時のテンションに化ける


海老名サビースエリアに着く
だいじゅさん、ゆうじさん、けいすけさん、なおやさん、おりえさん、オセロさんと流合する
プラカップが配布され焼酎の1升瓶がそそがれる
ペットボトルにはいったウイスキもそそがれる
かるい酒盛りがおっぱじまる
朝9時のサビースエリアではまず見られない光景であり、逮捕されてもおかしくないとおぼしめす
すでに目がラリってる御仁もいくばくか見受けられる


浄蓮の滝に中途で寄る
たいりょうの水の塊がある程度の高さからおちていく現象のことを滝と呼ぶ
なぜただそれだけなのにずっと見ていられるのか不思議である
親子がヤマメを釣っている
わさびの田んぼが緑のじゅうたんである



13時くらいに静岡は下田の臨海荘に着到する
だいじゅさんの親御さんが経営する旅館さんである
ワインが飲み終わってしまったので部屋に腰をねじこむなり、にたないさん、なおやさんとともに芋のお湯割りをてくてく飲む
すでに飲みつかれて眠りこける兵もいる

臨海荘というだけあって徒歩30秒で海までいける
タイフーンがきてるだかきてないだかで波がすごく高まっている
それでも泳いでるひとがけっこういる
「ほらごらん、あれがビキニのねえちゃんだよ」
「ほんとうだ、あの絶滅したと言われている」
「お尻がゆれているね」
「ぼくもおひとつお尻をだしてみましょう」



ということで酩酊の12人それぞれ水着を装備して海に殺到してゆく
なおやさんは水着がないらしくジーパンで海に特攻してゆく
にたないさんは海に入るのが小学4年生のじゃりんこ以来らしく異様に興奮している
しょっぺえしょっぺえとほざいている
それはそうである
彼はふだん料理をするとき薄めに味付けするので海なんて激烈にしょっぱくてたまらないらしい

だいじゅさんがおれの肩にのって高く跳躍せよと号令する
にたないさん、たくさん、うーみさんの3人がだいじゅさんの肩を踏み台にして大跳躍をこころみる
うーみさんはその類稀なる体幹とバランス感覚により花火のように打ち上がったが
にたないさんとたくさんは跳ぶこともままならず海にたたきつけられてエイひれになっている
このときだいじゅさんの鎖骨は完全粉砕される
せかいさんは童心にかえったのかしらないがひとりもくもくと砂を掘っている

だいじゅさんこんどはボディボードを数枚もってきておまえらを波にのせてやると言う
にたないさん、たくさん、うーみさん、おおいに波にのる



旅館にもどり温泉にはいる
でたら浴衣を装着する
晩餐まで時間があるので、にたないさん、またなおやさんと焼酎を飲む




18時晩餐会がもよおされる

金目鯛刺身
いさき刺身
いさき刺身炙り
さざえ刺身
さざえ煮付け
とこぶし煮付け
松茸吸い物
葉生姜
黒あわび刺身
白あわび刺身
かさご唐揚げ
いさき煮付け
ぶだい煮付け
めじな煮付け

けたたましいほどの魚貝のパレード
みな目の前で起こっていることを理解できないでいる
理解が追いつかないので会話も忘れ
ただじりじりといそいそと反芻と飲酒の間をいったりきたりするばかりである
その連続運動のなかでときたま思い出したように頭をあげて
痴呆老人のようにだらけきった顔面をぶらさげ目を細めている
途端急に我に返り、一言なにか言おうとするのだが
なにも浮かばずに言葉すらも喉の奥に飲みこんでしまう
ええい、もう、どうにでもなれ
箸と酒器を再度にぎりしめ食と酒の往復に戻るのみである
あまりに素晴らしすぎる食事はひとをもの言わぬ奴隷にしてしまう


にたないさんは特にあわびの肝刺しが気に入ったらしい
あのたかが3センチほどの塊に海がつまっている
これぞ生涯の味




あとのことはもうゆめまぼろしのごとくなり
酒瓶の死骸を築き上げ
寝るもの
ババ抜きをするもの
顔面に落書きされるもの
延々と飲み続けるもの
女子部屋に侵入してしまって銃殺されるもの
便所にたてこもってありがとうありがとうと連呼しているもの
時間の感覚もなくなり
東西南北もなくなり
夜のしじまに妖怪が12匹
飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで
まわってまわってまわって堕ちる



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