2012年03月

2012年03月31日

手強いワシントン条約(その2)

先回、お話したワシントン条約の続きです。楽器のような一般的なものも法律により輸出入はデリケートな問題になるのですねー。

セカイモンでの取り扱いが無理なら、直接やり取りしてみようと思いましたが、万が一税関で没収でもされたら大変ですので、ワシントン条約についてネットで調べてみました。そうすると管轄は経済産業省とのことで早速電話で問い合わせをしました。

1965hofner3窓口の担当の男性は非常に親切に色々説明をして下さいました。要約すると、ローズウッドでも種類が多々あり、ワシントン条約に抵触するのは「ブラジリアン・ローズウッド(=ハカランダ)」で、もしこのブラジリアン・ローズウッドが使われているのならば輸入するのに色々な書類を提出しなくてはならないとのこと。(そのらの書類フォームは経済産業省HPからダウンロード出来ます)それ以外のローズウッドならば輸出許可書のみでOKとのこと。使われているローズウッドの種類はメーカーに問い合わせてください、と。

でも47年前に作られた楽器の(それも指板部分の)材質が、ドイツの片田舎のギターメーカーに問い合わせて、すぐに返事来るのか〜?、という疑問と、もう既にその入り組んだ話の複雑さが私のキャパを越えていました。もう、諦めようか・・。

また楽器輸入のプロであるJ氏にお尋ねしたところ「その手のモノは非常に微妙なので、万が一のことを考えるとパスした方が無難」というお答えでした。

1965hofner4その後、税関のホームページを見てみると昨年にワシントン条約に抵触して没収された品目の一覧があり、その商品は漢方薬、象牙工芸品、革製バック・鞄などがほとんどで、楽器はニシキヘビの皮を使った胡弓が数点あっただけでギターの没収実績はありません。「これはもしやイケるかも・・」

もう直接、出品している楽器店に問い合わせてみよう、といことでネット自動翻訳という便利なツールを使ってこんなメールを送ってみました。「コンニチハ。私は日本に住んでいマース。日本にこのヘフナーは問題なく送れますか?もし問題ないならばすぐにでも買いたいデース。」

すると半日ぐらいでこんな返事が。「ハーイ!メールサンキューです!ぜんぜーん、問題ナイデスヨー。日本にもトモダチたくさんイマース!何度も日本にギター送ってますヨー。この素晴らしいヴィンテージ・ヘフナーはあなたに大きな喜びをもたらすでしょう!ハハハハ!(多少意訳あり)」と非常にアメリカンな明るい前向きなメールではありませんか!

その明るく前向きな内容に、色々アドバイスを頂いた方々の慎重かつ社会的な言葉よりも私のイケない物欲の方が脳の大半を占拠して、そしてPayPalの振り込みボタンを、プチッ・・。「えーい、ままよ!」

だって税関で象牙やニシキヘビの胡弓だったら見て分かるけど、そんなんギターの木の種類が「これはブラジリアン・ローズウッドだ」って税関職員が分かるのかぁー?

ということで無事届くのでしょうか・・?

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nksmkzts4068 at 15:51|PermalinkComments(6)TrackBack(0)蒐集日記 

2012年03月25日

手強いワシントン条約(その1)

コレクターもインターネットが普及してきてからは、国内だけに留まらず海外のオークションサイトや海外コレクターと直接やり取りをすることも普通になって来ました。私も何度か海外オークションサイトを利用して、特にトラブルはなかったのですが今回は法律の大きな壁があったのでした。

1965hofner1少し前の休日、私は海外最大オークションサイトeBayの日本代理サイト「セカイモン」でヘフナーベースを検索して暇つぶしに何気なく見ていました。そうしたらその中で一つに目が留まりました。「1965年 ヴィンテージ オリジナル・ヘフナー ビートル・ベース」という商品で、写真を見てもなかなか良さそうな感じで、価格も即決落札で2,199ドル(約18万円)というものでした。

ポールマッカートニーの使用しているベースは1963年モデルですが部分的に62年のパーツも使用しているという変則的なレアモデルで、ポール仕様に近い1963、62年モデルは100万円以上の超プレミア価格になっています。その後の1964、65年モデルは徐々に仕様も変わってきて60年代後半のモデルは、同じバイオリンベースでも「似ていても非なり」というぐらいに別モノになってしまいます。

1965hofner2マニアにとってギリギリの仕様である65年モデルでも日本の楽器店では通常40万円〜50万円ぐらいの価格であり、通常はすぐに手の出せる価格ではないのですが、今回のように20万円以下ならばちょっと頑張れば買えそうと悪い病気がムクムクと頭をもたげて来たのです。

それも自分と同じ65年生まれで、さらに今回のベースは塗装の色合いがポールに近そうなのと、ピックアップが何故か65年タイプのものではなく、ポールと同じ63年タイプのスモールエスカッションのものが付いていたのが更に拍車を掛けたのでした!後で付け替えたようではなく、その部分の塗装やボディの様子から、このモデルは最初からこのピックアップが付いていたのではと思います。ボディに少し塗装の剥がれとビス穴跡があるのを考慮に入れても、なかなか「買い」のブツです。

「これは欲しい!」と思い、ウオッチリストに登録すると警告文が・・。「この商品には輸入禁止ワード『rosewood(ローズウッド)』が使われており、ワシントン条約に抵触する恐れがあります。入札しないで下さい」

・・・ガーン、だったら検索の時点で除外しろよ。うーん、だったらセカイモンではなくて、直接アメリカのeBayでやりとりすれば良いか。

そこから法の世界の厳しさを知るのでありました・・・(つづく)

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nksmkzts4068 at 11:52|PermalinkComments(4)TrackBack(0)蒐集日記 

2012年03月04日

ライヴ前のチューニングの謎

今回は久しぶりにマニアックに考察していきたいと思います。考察内容は『ビートルズのライブ前チューニングの謎』です。今まで何も特に思いませんでしたが、最新号の『レコードコレクターズ』の連載コラム「ビートルズ来日学」に興味深い内容が載っていました。

ビートルズのライヴでの特徴はいくつかあります。1、時間が短い(約35分〜40分) 2、アンコールをやらない 3、チケットが安い(これは最近言われていることで、エプスタインの方針でティーンエイジャーが買いやすい価格設定をして入場数を増やしたとのこと) そして4、始める前にギターチューニングをする 等々です。

今回はこの4、ギターチューニングをするという点についてです。ギターチューニングといってもステージ上で調弦をするのではなく、おもむろに登場してギターやベースをアンプに繋いで「ビョーン、ビーン」と音量や音調整をするアレです。ビートルズマニアにとっては映像を観ても普通の行為なので、マヒしてしまっていますが改めて言われると確かに不思議です。今のプロのホールライブでは考えられない光景ですが、私自身は60年代はビートルズ以外のバンドでも普通にしていることかと思っていましたが、どうもそうではなかったようです。

backstege『レコードコレクター』最新号の「ビートルズ来日学」で当時の日本公演のテレビ収録担当の日本テレビ・フロア・マネージャー 伊藤滋夫氏が、インタービュー聞き手の宮永正隆氏(ビートルズ大学学長)に逆にそのビートルズのステージ上でのチューニングに対して、なぜあんなことをするのか?と質問しています。当時でも実は珍しい光景だったようで、前座で出演したドリフターズの故いかりや長介氏も「あれはひとつの演出だと思った」と語っていたそうです。

そこで宮永氏は色々な興味深い考察をしています。まずビートルズはいつからステージ上でチューニングをするようになったかという点。たしかに我々にはひとつのビートルズライブの特徴の一つだと思っていたので考えたことがなかったですが、初期の1963年頃のライブ映像はステージの幕が上がるのと同時に演奏しているスタイルがほとんどだということに気付きます。(上の写真は幕が上がる前にチューニングをしている証拠写真です)

最初にそのステージ上チューニングが行われたのは1964年2月の初アメリカ上陸コンサートのワシントンDCではないか、と宮永氏は推測しています。このコンサートは中央にステージがあって四方から観客が観るという特殊なスタイルのライブで、必然的にそうならざるを得なかったでしょう。でもそれが異様に観客を盛り上げる演出として効果があるとメンバーやエプスタインが気付いたという考え方も出来ます。

まだ幕開けと同時に演奏がスタートする1964年1月フランス公演での映像です。

またビートルズが異常な人気になるにつれて、警備上の問題でもライブ会場に事前に入ってリハーサルや音チェックをすることが出来なくなって来た事が考えられます。日本公演もすでに前座演奏が始まっている時間帯に日本武道館入りしたことが分かっています。今ならば音響担当者やローディーが代理で事前にチェックを済ましておくこともできるでしょうが、当時のビートルズロードマネージャーだったマル・エバンスやニール・アスピナールが楽器を弾けた様子もなく、それも不可能だったのでしょう。

たまたま必然的に始まったステージ上のチューニングですが、エプスタインによる先見的な演出効果の発見によりビートルズの特徴になってしまった数あるビートルズマジックのひとつなんでしょうね。

有名なEHエリック氏の紹介で登場してチューニングする1966年6月30日日本公演

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nksmkzts4068 at 12:05|PermalinkComments(4)TrackBack(0)ビートルズマニア