June 13, 2016

"The Notorious Byrd Brothers" The Byrds

thenotoriousbyrdbrothers6月ももう半月近くが過ぎまして、梅雨のこの時期らしい天気が続いております。今年の梅雨入りもほぼ平年通りだそうで、暑さの方も数年前に記録した35℃を超える猛暑もなく、この時期らしいジメジメとした湿度の高さを感じるもので、それでも暑さに弱い自分には嫌な季節になってきましたが、まだエアコンのお世話になってないだけマシかなと思ってる今日この頃であります。さてほぼ放置状態の続いている幣ブログでありますが、おかげさまで昨日で丸12年を迎えまして、ここまで続けることができましたのも、こんな放ったらかしの幣ブログでも読んで下さっている方々のおかげでございます。今後もこんな感じで細々と続けていければと思っておりますので、引き続きご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。そして、今回のエントリはネタ切れ寸前になってきてますが、毎年ブログ開始○周年記念のエントリはバーズ関連のエントリとなっておりますので、今回は1968年にリリースされたバーズの5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』をご紹介したいと思います。

今回ご紹介するバーズの5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』は1968年1月15日にリリースされましたが、アルバム紹介の前に前作『Younger Than Yesterday(昨日より若く)』がリリースされた頃から今回ご紹介する『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』がリリースされる頃までのバーズの活動について簡単に書いてみたいと思います。この時期のバーズは1967年2月に前作『Younger Than Yesterday(昨日より若く)』をリリースした後は2月末から3月にかけてスウェーデンとイギリスに渡ってテレビ出演などを行います。そして、同じく3月13日にアルバムからのシングル・カットでボブ・ディランのカヴァー「My Back Pages」(全米30位)(B面は"デヴィッド・クロスビージム・マッギン作の「Renaissance Fair」)がリリースされます。その後はアメリカ国内でライヴやレコーディングなどの活動を行い、5月22日にはまたもアルバムからのシングル・カットでクリス・ヒルマン作の「Have You Seen Her Face」(全米74位)(B面はアルバム未収録でジム・マッギン&クリス・ヒルマン作の「Don't Make Waves」)がリリースされます。そして、6月17日にはモンタレー・ポップ・フェスティバルに出演しますが、デヴィッド・クロスビーは翌6月18日にもニール・ヤングの代わりにバッファロー・スプリングフィールドのメンバーとして出演したことから、ジム・マッギンとクリス・ヒルマンから反感を買うこととなります。そして、6月21日から今回ご紹介する5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』のレコーディングに突入し、7月13日にはデヴィッド・クロスビー作でアルバムには未収録のシングル「Lady Friend」(全米82位)(B面はアメリカとヨーロッパではクリス・ヒルマン&ジム・マッギン作で今回ご紹介する5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』にも収録された「Old John Robertson(年老いたジョン・ロバートソン)」(ただしこのシングルとアルバム収録のものではミックスが異なります)、イギリスでは先述したジム・マッギン&クリス・ヒルマン作でアルバムには未収録の「Don't Make Waves」)がリリースされます。そして、8月7日にはバーズ初のベスト・アルバム『The Byrds' Greatest Hits』がリリースされ、その後もアルバムのレコーディングとライヴなどの活動が並行して行われますが、9月になるとデヴィッド・クロスビー作で後にジェファーソン・エアプレインが取り上げる「Triad」のレコーディングが難航していたこともあってアルバム用の楽曲のレコーディングが遅れていたことから、急遽ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作でダスティ・スプリングフィールドのカヴァーとなる「Goin' Back」(全米82位)をレコーディングすることを決めますが、デヴィッド・クロスビーはそのレコーディングに参加しなかったことと「Triad」をアルバムに収録しないと決定したことに反発したことから、10月にロジャー・マッギンとクリス・ヒルマンから解雇を言い渡されて脱退することとなります。その後のデヴィッド・クロスビーについてはみなさんもご存じと思いますが、元バッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルスと元ホリーズグレアム・ナッシュクロスビー,スティルス&ナッシュを、その後ニール・ヤングを加えたクロスビー,スティルス,ナッシュ&ヤングをそれぞれ結成し、バーズ在籍時以上の活躍をすることとなります。一方、デヴィッド・クロスビーの抜けたバーズは1966年に脱退したオリジナル・メンバーのジーン・クラークが復帰して先述の「Goin' Back」(全米89位)やアルバムのラストに収録された「Space Odyssey」のレコーディング、テレビ出演などに参加しますが、そのジーン・クラークもディラード&クラークを結成するために脱退してしまいます。そして、10月20日にシングル「Goin' Back」(全米89位)(B面はクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Change Is Now(今が転機)」)がリリースされ、その後もアルバムのレコーディングは続きますが、レコーディングが終了した12月にドラマーのマイケル・クラークが脱退してしまいます。マイケル・クラークの脱退した理由については、このアルバムのレコーディング・セッションで彼は収録曲の半分程度しかドラムを叩いておらず、残りの約半数の楽曲をジム・ゴードンやハル・ブレインといった腕利きのセッション・ドラマーを起用したことに不満があったことだそうです。また正確な時期は不明ですが、リーダーのマッギンはこの1967年に宗教上の理由でそれまでの"ジム・マッギン"から"ロジャー・マッギン"へ改名しています。そして、1968年を迎えて正式なメンバーはロジャー・マッギンとクリス・ヒルマンだけになりましたが、1月15日に今回ご紹介する5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』がリリースされ、アメリカでは47位とまずまずのチャート成績でしたが、イギリスでは12位と前2作以上のヒットとなりました。それでは今回ご紹介する5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』の内容ですが、プロデューサーは前作に続いてゲイリー・アッシャーで、レコーディングにはメンバーの他にドラマーのジム・ゴードン、ハル・ブレイン、ギタリストのクラレンス・ホワイト、バック・コーラスにカート・ベッチャー、ゲイリー・アッシャーなどのセッション・ミュージシャンも参加していて、収録曲は全11曲中メンバーによるオリジナル曲が9曲、カヴァーが2曲となっております。アナログでいうところのA面のオープニング・ナンバーとなるロジャー・マッギン,クリス・ヒルマン&マイケル・クラーク作の「Artificial Energy(人造エネルギー)」はホーンを導入したブラス・ロック風のアレンジのナンバーですが、アルバムのレコーディング・セッションの最後に録音されたこともあり、少々やっつけ仕事的な感じがする微妙な仕上がりな楽曲だと個人的には思います。2曲目のジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作でダスティ・スプリングフィールドのカヴァーとなる「Goin' Back」(全米82位)は先述しましたようにデヴィッド・クロスビーの脱退のきっかけとなってしまった先行シングルのナンバーですが、このバーズのカヴァーは特にハーモニーが素晴らしく、後に作者のキャロル・キングも自身のアルバム『Writer』と『Pearls: Songs of Goffin And King』で2度もセルフ・カヴァーしているように、素晴らしい楽曲といえると思います。3曲目のクリス・ヒルマン作の「Natural Harmony(自然なハーモニー)」はラーガ・ロック的な香りのするサイケデリックなナンバーですが、アルバムに合わせてこういった曲作りをするクリス・ヒルマンの器用さに感心させられます。4曲目のデヴィッド・クロスビー,クリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Draft Morning」は元々デヴィッド・クロスビーが書いていた楽曲をロジャー・マッギンとクリス・ヒルマンの2人が仕上げたナンバーということですが、楽曲自体はデヴィッド・クロスビーらしい浮遊感の漂うナンバーで、そこにバーズらしいハーモニーが加わって、個人的にはアルバム前半では一番出来の良い楽曲だと思っています。5曲目のジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作でキャロル・キングが自身で結成したバンド”ザ・シティ”のアルバム『Now That Everything's Been Said』と自身のアルバム『Pearls: Songs of Goffin And King』でもセルフ・カヴァーした「Wasn't Born To Follow」はバーズが後に展開するカントリー・ロック的なアレンジが感じられるナンバーで、後に映画『イージー・ライダー』サウンドトラックにも使用されることになります。6曲目のクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Get To You」はワルツ調のハーモニーが美しいナンバーですが、最近になってこの楽曲はジーン・クラークとロジャー・マッギンが書いたものだという説があるみたいで、CDなどのクレジットを見ても作者はクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギンとなっていて真相は定かではありませんが、もし御存じの方がおられましたらご教示いただけばと思います。そして、アナログでいうところのB面のオープニング・ナンバーはクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Change Is Now(今が転機)」は先行シングル「Goin' Back」(全米89位)のB面曲ですが、フォーク・ロックの曲調にカントリーやサイケデリックの要素を融合させたといえるナンバーで、バーズの過去・現在・未来が入り組んでいるようなこのナンバーはこのアルバムの立ち位置を象徴してる曲なのかなと個人的には思ったりします。2曲目のクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Old John Robertson(年老いたジョン・ロバートソン)」はシングル「Lady Friend」(全米82位)のB面曲でシングルとはミックスが違いますが、このナンバーも「Wasn't Born To Follow」同様にバーズが後に展開するカントリー・ロック的な要素が垣間見れるナンバーといえます。3曲目のデヴィッド・クロスビー&クリス・ヒルマン作の「Tribal Gathering(部族集会)」はデイヴ・ブルーベック・カルテットの「Take Five」を思わせる4分の5拍子を取り入れたナンバーで、変拍子がハマるとクセになるほど心地良いナンバーです。。4曲目のデヴィッド・クロスビー,クリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Dolphin's Smile」はイルカ好きのデヴィッド・クロスビーが中心になって書いたナンバーで、曲中にイルカの鳴き声が挿入されたりしてますが、デヴィッド・クロスビーとクリス・ヒルマン、ロジャー・マッギンの3人によるハーモニーが美しいナンバーに仕上がっています。アルバムのラスト・ナンバーはロジャー・マッギン&ロバート・ジェイムス・ヒッパード作の「Space Odyssey」はバーズお決まりともいえるお遊び的なナンバーですが、ロジャー・マッギンがこのアルバムの他の楽曲にも積極的に導入したモーグ・シンセサイザーを前面に押し出したものとなっています。そして、1997年にリリースされたリマスターCDにはロジャー・マッギン作のインストゥルメンタル「Moog Raga」、マイケル・ブリューワー&トム・マスティン作のインストゥルメンタル「Bound To Fall」、デヴィッド・クロスビー作で後にジェファーソン・エアプレインが取り上げたことでも知られる「Triad」、「Goin' Back」の初期ヴァージョン、「Draft Morning」のエンディング違いヴァージョン、「Change Is Now(今が転機)」のインストゥルメンタルから始まり途中からこのアルバムのラジオCMになり、最後は「Dolphin's Smile」のセッションになる「Universal Mind Decoder」が収録されており、また2012年にリリースされたモノラル&ステレオの両方の音源を収録したリマスターCDには収録時間の関係で1997年版のボーナス・トラックは未収録となりましたが、その代わりにデヴィッド・クロスビー作のシングル「Lady Friend」(全米82位)とそのB面曲でクリス・ヒルマン&ロジャー・マッギン作の「Old John Robertson(年老いたジョン・ロバートソン)」のモノ・シングル・ヴァージョンが収録されています。今回ご紹介したアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』は当時ビートルズが発表して一大ムーヴメントとなっていたアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に影響を受けて制作されたバーズ版トータル・コンセプト・アルバムといえるもので、楽曲面でメンバーによるオリジナル曲以外の曲を採用したのはトータル・コンセプト・アルバムという観点からは残念ではありますが、メンバーによるオリジナル曲もフォーク・ロックをベースにサイケデリックやジャズ、カントリーなどの様々なジャンルの音楽を上手くミックスしたものを作り、サウンド面で今回モーグ・シンセサイザーを積極的に取り入れて独特の世界観を表現したところが、このアルバムの聴きどころではないかと思います。またプロデューサーのゲイリー・アッシャーとバック・コーラスで参加したカート・ベッチャーはこの『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバーズ兄弟)』と同じく1968年にリリースされたソフト・ロックの名盤とされるサジタリアスの『Present Tense』とミレニウムの『Begin』の制作をほぼ同時期に行っていたということもあるので、この『The Notorious Brothers(名うてのバード兄弟)』はそういったソフト・ロックが好きな方々にも好まれているアルバムともいえます。ダラダラと長いアルバムの説明になりましたが、アルバムは全編通しても30分弱と短い収録時間であっという間に聴けますすので、少しでも興味を持たれた方は是非とも聴いてみてください。

June 13, 2015

"Ballad Of Easy Rider" The Byrds

balladofeasyrider6月ということで梅雨入りしてから1週間ほど経ちますが、雨の日とそうでない日がほぼ半々といったところで、雨の降り方としては結構しっかり降ってる感じであります。それでも暑さの方はここ数年と比べるとまだマシな感じではありますが、これからは湿度も高くなって蒸し暑くなってきますから、年齢も年齢ですので体調管理もしっかりしないといけないなと思う今日この頃であります。さて今回のエントリですが、昨日でこのブログを開始して11年となりましたので、毎年恒例のバーズ関係のエントリということで、今回は1969年11月10日にリリースされたバーズの8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』をご紹介したいと思います。

今回ご紹介するバーズの8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』は1969年11月10日にリリースされましたが、アルバム紹介の前に前作『Dr. Byrds & Mr. Hyde(バード博士とハイド氏)』がリリースされた頃から今回ご紹介する『Ballad Of Easy Rider』がリリースされる頃までのバーズの活動について簡単に書いてみたいと思います。前作『Dr. Byrds & Mr. hyde(バード博士とハイド氏)』のリリースから多少前後しますが、この時期のバーズはアメリカ本国でのライヴを行いながら(この時期のライヴは2000年にリリースされたライヴ・アルバム『Live At The Fillmore - February 1969』で聴くことができます)、同じく2月に映画『イージー・ライダー』で使用されるロジャー・マッギン作の「Ballad Of Easy Rider」とボブ・ディランのカヴァー「It's Alright, Ma (I'm only Bleeding) 」をロジャー・マッギンのソロ名義でレコーディング(マッギンの他にはジーン・パーソンズがハーモニカで参加)を行います。ここで映画『イージー・ライダー』のサウンドトラックとしてロジャー・マッギン作の「Ballad Of Easy Rider」が使用されるのですが、元々この楽曲は主演のピーター・フォンダがボブ・ディランに依頼し、ディランは少しだけ作詞をしたところで続きをマッギンに依頼して完成したもので、楽曲のクレジットも本来ならディランとマッギンの共作となるところがマッギンの単独作となっているのは、ディランが映画の内容を気に入らなかったのでクレジットも拒否したためであります(「It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)」のディランのヴァージョンの使用の許可が下りなかったのも恐らく同じ理由だと思われます)。ところでバーズの活動に戻りますが、3月27日にボブ・ディランのカヴァー「Lay Lady lay」(全米132位)をレコーディングしますが、4月18日にプロデューサーのボブ・ジョンストンがメンバーの許可を得ずに女性コーラスのオーヴァー・ダビングを行います。そして、メンバーがそのオーヴァー・ダビングのことを知らないまま、5月2日にシングル「Lay Lady Lay」(全米132位)(B面はトラディショナル・ナンバーの「Old Blue」)がリリースされますが、メンバーは女性コーラスをオーヴァー・ダビングされたことに気付いて激怒し、プロデューサーのボブ・ジョンストンを解任します。そして、6月17日からはセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』以来4年ぶりにテリー・メルチャーを再びプロデューサーに迎え、今回ご紹介する8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』のレコーディングに突入します。レコーディングは8月26日までかかりますが、実際にはレコーディング以外にライヴなどの仕事もありましたので、レコーディングに費やした日数は2週間ほどでした。同じく8月には映画『イージー・ライダー』サウンドトラック・アルバムがリリースされます(バーズ名義では5枚目のアルバム『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』収録のジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作の「Wasn't Born To Follow」、ロジャー・マッギン名義で2月にレコーディングされたロジャー・マッギン作の「Ballad Of Easy Rider」とボブ・ディランのカヴァー「It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)」が収録)。9月26日にはジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作のシングル「Wasn't Born To Follow」(B面は前作『Dr. Byrds & Mr. Hyde(バード博士とハイド氏)』収録のロジャー・マッギン&デヴィッド・グルーシン作の「Child Of The Universe」)がリリースされますが、同じく9月にジョン・ヨークが脱退してしまいます。そんな中で10月1日には6月にバーズ名義で新たにレコーディングされたロジャー・マッギン作のシングル「Ballad Of Easy Rider」(全米65位)が続けてリリースされ、同じく10月には新メンバーのスキップ・バッティンが加入して早速ライヴ活動に参加します。そして、11月10日には今回ご紹介する8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』がリリースされ、12月15日にはアルバムからのシングル・カットでアーサー・リード・レイノルズのカヴァーとなる「Jesus Is Just Alright」(全米97位)(B面はボブ・ディランのカヴァーとなる「It's All Over Now, Baby Blue」)がリリースされますが、映画『イージー・ライダー』の興業的な成功もあって、アルバムは全米36位、シングル2枚はトップ100入りするなど前作よりセールス的には成功となりました。それでは今回ご紹介する8枚目のアルバム『Ballad of Easy Rider』の内容ですが、プロデュースは先述しましたが、前作のボブ・ジョンストンからセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』以来4年ぶりにテリー・メルチャーとなり、収録曲は全11曲中メンバーによるオリジナル曲が3曲、トラディショナルのアレンジも含めたカヴァーは8曲となっております。アナログでいうところのA面のオープニング・ナンバーは先行シングルとしてリリースされたロジャー・マッギン作の「Ballad Of Easy Rider」(全米65位)は先述しましたように元々は映画『イージー・ライダー』のサウンドトラックとして書かれた楽曲で、映画のサウンドトラック用にレコーディングされたヴァージョンはマッギンのアコースティック・ギターにジーン・パーソンズのハーモニカのみのシンプルなアレンジでしたが、バーズ名義のこのアルバムと先行シングルでのヴァージョンはグレン・キャンベルの「Gentle On My Mind」(全米39位)やハリー・ニルソンがカヴァーしたフレッド・ニール作の「Everybody's Talkin'(うわさの男)」(全米6位)あたりを意識したストリングスを加えたアレンジとなっております。2曲目のジョン・ヨーク作の「Fido」は作者であるジョン・ヨークがリード・ヴォーカルのナンバーで、グルーヴ感のあるナンバーでバーズらしくないですが、様々なジャンルが入り混じったこのアルバムでは妙にしっくりくる不思議なナンバーです。3曲目の「Oil In My Lamp」はトラディショナル・ナンバーをジーン・パーソンズとクラレンス・ホワイトがアレンジしたナンバーで、クラレンス・ホワイトのリード・ヴォーカルによる全編コーラス主体のカントリー・ロックに仕上がっています。4曲目のパメラ・ポランド作の「Tulsa County Blue」はロジャー・マッギンがリード・ヴォーカルのナンバーで、クラレンス・ホワイトによるストリング・ベンダーが素晴らしいカントリー・ロックに仕上がっています。5曲目の「Jack Tarr The Sailor」は英国フォークのトラディショナル・ナンバーをロジャー・マッギンがアレンジしたもので、リード・ヴォーカルもロジャー・マッギンですが、バーズ解散後の1976年にリリースされたマッギンのソロ・アルバム『Cardiff Rose』収録の「Jolly Roger」に通じるところがあるナンバーです。アナログでいうところのB面のオープニング・ナンバーのアーサー・リード・レイノルズのカヴァーとなる「Jesus Is Just Alright」(全米97位)は後にドゥービー・ブラザーズも取り上げたゴスペル・ロック!?ともいえるナンバーで、このバーズのヴァージョンはロジャー・マッギンがリード・ヴォーカルですが、この時期以降のライヴでもよく演奏されたナンバーです。2曲目のボブ・ディランのカヴァーとなる「It's All Over Now, Baby Blue」はロジャー・マッギンのリード・ヴォーカルで、セカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』のセッションの際もガレージ・ロック風のアレンジでレコーディングされるも当時お蔵入りとなりましたが、今回新たにスローなカントリー・ロック調にアレンジしてレコーディングされ、哀愁漂う素晴らしいカヴァーに仕上がっています。3曲目のゴスディン・ブラザーズのカヴァーとなる「There Must Be Someone」はジーン・パーソンズが渋いリード・ヴォーカルのカントリー・ロックです。4曲目のジーン・パーソンズ作の「Gunga Din」は作者のジーン・パーソンズがリード・ヴォーカルのブルーグラス風味のカントリー・ロックに仕上がっています。5曲目のウディ・ガスリーのカヴァーとなるウディ・ガスリー&マーティン・ホフマン作の「Deportee (Plane Wreck At Los Gatos)」はロジャー・マッギンがヴォーカルの弾き語りナンバーで、6枚目のアルバム『Sweetheart Of The Rodeo(ロデオの恋人)』で取り上げた「Pretty Boy Floyd」の続編ともいえるナンバーです。アルバムのラスト・ナンバーとなるのはジーク・マナーズ&スコット・シーリー作の「Armstrong, Aldrin And Collins」はアポロ11号の操縦士を讃えたナンバーで、ロケット発射のSEで始まりますが、その後はロジャー・マッギンによる弾き語りでアルバムを締め括ります。そして、1997年にリリースされたリマスターCDにはペンタングルも取り上げたトラディショナル・ナンバーの「Way Behind The Sun」、ジャクソン・ブラウン作の「Mae Jean Goes To Hollywood」、「Oil in My Lamp」の別ヴァージョン、ジョン・ヨークがヴォーカルの「Tulsa County Blue」、トラディショナル・ナンバーがロジャー・マッギンがモーグを取り入れてアレンジした「Fiddler a Dram (Moog Experiment)」、間奏でクラレンス・ホワイトのストリング・ベンダーによるソロが聴ける「Ballad Of Easy Rider」のロング・ヴァージョン、クラレンス・ホワイト&ジーン・パーソンズ作のインストゥルメンタルの「Build It Up」がボーナス・トラックとして収録されており、さらに2014年に日本のみでリリースされたリマスターCDには1997年のリマスターCDでのボーナス・トラックの他に「Ballad Of Easy Rider」(全米65位)のモノラル&ステレオ・シングル・ヴァージョン、「Oil in My Lamp」、「Wasn't Born To Follow」、「Jesus Is Just Alright」(全米97位)、「It's All Over Now, Baby Blue」のモノラル・シングル・ヴァージョン、「Fido」の別ヴァージョンが追加収録されています。最後になりますが、今回ご紹介した8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』は前作『Dr. Byrds & Mr. Hyde(バード博士とハイド氏)』と同じメンバーで制作されたこともあって、サウンド的には前作同様カントリー・ロックが基盤となっていて、メンバー各々がリード・ヴォーカルをとる楽曲がそれぞれ収録されていたりしていますが、楽曲によってはフォークに回帰したり、ゴスペルなどのカントリー・ロック以外のジャンルのものを取り入れたりしてバーズらしさを出そうとしているところもあり、個人的にはバーズのアルバムの中で今でも結構気に入って聴いているアルバムですので、興味を持たれた方は是非聴いてみてください。

June 13, 2014

"Turn! Turn! Turn!" The Byrds

turnturnturn今月も半ばに差し掛かりまして、梅雨の季節にどっぷり入っておりますが、今年の梅雨は地域によって多く雨が降っている地域とそうでもない地域が極端なようでして、こちら関西はそんなに降ってないのですが、雨が多く降っている地域の方々は災害などにくれぐれもご注意ください。さて話題は変わりますが、昨日で弊ブログ"BYRD'S SELECT MUSIC"も開設より丸10年が経ちまして、おかげさまで10周年を迎えることができました。これもひとえに読者やリンク先の皆様方のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。今後も変わらねご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。こうしてみるとこの10年で自分自身はそんなに変わったとは思わないのですが、この10年でインターネットを取り巻く環境は大きく変わったなとつくづく思います。10年前にこのブログを始めた頃はブログよりもウェブサイトの方がまだ主流で、ウェブサイトを作るには専用のソフトを使って作るか、エディタに直接HTMLタグを打って作るかしかなくて、その作ったサイトをFTPソフトというファイルをサーバーにアップロードするソフトでテキスト(文章)や画像のファイルをアップロードしてたわけなんですが、特に画像ファイルはHTMLタグで指定した場所と違う場所にアップしてたりして、いざアップロードしたサイトを見ると画像だけ「×」だらけという失敗もよくしたものでした(苦笑)。その点ブログはサービスにログインするとブラウザ上でテキスト(文章)を書けて、画像も簡単なボタン操作だけでアップロードできるので、ウェブサイトを作るよりかなり便利になったなと当時は感じました。そして、ウェブサイトの時代には別に掲示板を設置して他のユーザーと交流するのが主流だったのが、ブログではコメント欄というものが予め用意されている場合がほとんどなので、これまでもより気軽にユーザー同士が交流できるようになったように思います。そして、国内でブログが浸透し出した同じく2004年にSNSのmixiが誕生したり、翌2005年には動画サイトのYouTubeが登場し、その後もTwitterやFacebook、LINEといったSNSが次々と登場して現在に至るのですが、それらを閲覧する端末もPCからスマートフォンへと主流が変わってるのですから、やはり10年も経つとそれなりに時代は変わったと実感する次第であります。さて今回のエントリですが、今回は10周年記念のエントリということで1965年にリリースされたバーズのセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』をご紹介したいと思います。

今回ご紹介するバーズのセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』は1965年12月6日にリリースされましたが、アルバム紹介の前に前作『Mr. Tambourine Man』がリリースされた頃から今回ご紹介する『Turn! Turn! Turn!』がリリースされる頃までのバーズの活動について簡単に書いてみたいと思います。ファースト・アルバムをリリースした頃のバーズは既にサード・シングル用の楽曲のレコーディングを始めていて、1965年6月には後にリリースされるピート・シーガー作のサード・シングル「Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)」(全米1位)のB面曲となるジーン・クラーク作の「She Don't Care About Time」、当時はお蔵入りとなってしまったボブ・ディランのカヴァー「It's All Over Now, Baby Blue」(1969年に再録音され、その再録音のヴァージョンが8枚目のアルバム『Ballad Of Easy Rider』に収録されています)が録音されます。その後はデビュー・シングル「Mr. Tambourine Man」(全米1位)のヒットを受けてイギリスや本国アメリカなどでツアーを行い、9月からはサード・シングル及びセカンド・アルバム用の楽曲のレコーディングを行いますが、その録音された楽曲の中からピート・シーガーのカヴァーとなる「Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)」(全米1位)をサード・シングルとして10月1日にリリースし、見事5週連続で全米No.1に輝く大ヒットとなり、バーズ最大のヒット曲となります。そして、12月6日に今回ご紹介するセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』がリリースされ、翌1966年1月10日にはアルバムからのシングル・カットでジーン・クラーク作の「Set You Free This Time」(全米79位)がリリースされますが、2月18日には当初はB面だったジム・マッギン(ロジャー・マッギン)&ハーヴィー・ガースト作の「It Won't Be Wrong(悪くはないぜ)」(全米63位)をA面にして再リリースされます。それでは今回ご紹介するセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』の内容ですが、プロデュースは前作に続いてテリー・メルチャーで、メンバーによるオリジナル曲が5曲、カヴァー曲が6曲の全11曲という構成になっていて、メンバー以外ではプロデューサーのテリー・メルチャーがオルガンでレコーディングに参加してます。アナログでいうところのA面のオープニング・ナンバーは先行シングルとしてリリースされたピート・シーガーのカヴァーとなる「Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)」(全米1位)ですが、歌詞は旧約聖書の「伝道の書」から引用されたもので、バーズがカヴァーする以前には1963年にジュディ・コリンズもカヴァーしていて、その当時の録音にはジム・マッギン(ロジャー・マッギン)も参加していました。2曲目のジム・マッギン(ロジャー・マッギン)&ハーヴィ・ガースト作の「It Won't Be Wrong(悪くはないぜ)」(全米63位)は元々バーズを名乗る前のビーフィーターズ時代に「Don't Be Long」というタイトルで一度録音されたフォーク・ロック・ナンバーで、1964年10月にエレクトラ・レコードからジーン・クラーク,ジム・マッギン(ロジャー・マッギン)&ハーヴィ・ガースト作のシングル「Please Let Me Love You」のB面としてリリースされましたが、今回新たに録音し直され、アルバムからのシングル・カットもされました。3曲目のジーン・クラーク作の「Set You Free This Time」(全米79位)はフォークというよりかカントリーからの影響が強いナンバーで、アルバムからシングル・カットされました。4曲目のボブ・ディランのカヴァーとなる「Lay Down Your Weary Tune」は前作からの流れを汲むフォーク・ロック時代のバーズの看板ともいえるディランのカヴァーですが、当時ディラン自身のヴァージョンは未発表(1985年にリリースされた3枚組の『Biography』で初めて陽の目を見ました)で、このバーズのヴァージョンが初出となりました。5曲目の「He Was A Friend Of Mine(友だちだった彼)」は元々は古いトラッド・ナンバーでしたが、ジム・マッギン(ロジャー・マッギン)が歌詞をジョン・F・ケネディ大統領暗殺のことに書き換えてカヴァーされました。アナログでいうところのB面のオープニング・ナンバーのジーン・クラーク作の「The World Turns All Around Her(彼女は世界の中心)」は前作からの流れを汲むフォーク・ロック・ナンバーです。2曲目のジョー・レッド・ヘイズ&ジャックローズ作でポーター・ワゴナーのヒットで知られる「Satisfied Mind」はカントリー畑出身のクリス・ヒルマンがカヴァーを薦めたそうで、後にバーズをカントリー・ロック路線へと進めていったクリス・ヒルマンらしい選曲ともいえます。3曲目のジーン・クラーク作の「If You're Gone」は次作『Fifth Dimension』の雰囲気が漂うナンバーです。4曲目のボブ・ディランのカヴァーとなる「The Time They Are A-Changin(時代は変わる)」はかなりテンポを上げてカヴァーされています。5曲目のジム・マッギン(ロジャー・マッギン)&デヴィッド・クロスビー作の「Wait And See」は前作からの流れを汲むフォーク・ロックですが、デヴィッド・クロスビーが作者として初めてクレジットされたナンバーでもあります。アルバムのラスト・ナンバーとなるのがスティーブン・フォスター作の「Oh! Susannah」はアルバム最後のお遊び的にカヴァーされたものであります。そして、1996年にリリースされたリマスターCDのボーナス・トラックにはジーン・クラーク作で当時未発表に終わった「The Day Walk (Never Before)」、シングル「Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)」のB面曲「She Don't Care About Time」がシングル・ヴァージョンと初期ヴァージョンの合計2ヴァージョン、アルバム収録の「The World Turns All Around Her(彼女は世界の中心)」の別ミックス、ボブ・ディラン作で当時未発表に終わった「It's All Over Now, Baby Blue」の初期ヴァージョン、アルバム収録の「The Times They Are A-Changin'(時代は変わる)」の初期ヴァージョン、デヴィッド・クロスビー作のインストゥルメンタル「Stranger In A Strange Land」が収録されており、さらに2012年に日本のみでリリースされたモノラル&ステレオの両方の音源を収録したリマスターCDには収録時間の関係上、「The Day Walk (Never Before)」、「The World Turns All Around Her(彼女は世界の中心)」の別ミックス、「Stranger In A Strange Land」は未収録となりましたが、その代わりにアルバムのタイトル曲でシングルとして大ヒットしたピート・シーガー作の「Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)」(全米1位)のリアル・ステレオ・ミックスが新たに収録されております。今回ご紹介したバーズのセカンド・アルバム『Turn! Turn! Turn!』はファースト・アルバム『Mr. Tambourine Man』と同じくフォーク・ロック路線のアルバムで内容的には良いと思いますが、タイトル曲の「Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)」(全米1位)以外の楽曲が少し地味な点とリリース時期がビートルズのアルバム『Rubber Soul』とほぼ同時期ながらオリジナル曲が少ない点で少し物足りないと思うのがこのアルバムについての個人的な感想です。あと現在リリースされているCDにはボーナス・トラックとして収録されてますが、個人的にはやはりシングル「Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)」(全米1位)のB面曲でジーン・クラーク作の「She Don't Care About Time」はアルバムに収録すべきだったと思ってまして、もし収録されていたらアルバムの印象も少し変わっていたかなと思っています。個人の感想としてはあまり良いように書きませんでしたが、このアルバムはタイトル曲の「Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)」(全米1位)を含めてバーズのフォーク・ロック・サウンドの完成形として一般的には表価されているアルバムで、オリジナル曲ではジーン・クラークの楽曲が前作同様素晴らしく、特に「Set You Free This Time」(全米79位)や「If You're Gone」あたりは後のバーズのサウンドを予見させるところもありますので、是非聴いていただきたいと思います。

トラックバックさせていただいたブログ
音楽の杜: The Byrds 「Turn! Turn! Turn!」

June 13, 2013

"Byrdmaniax" The Byrds

byrdmaniax本日こちら関西の昼間は35度を超える真夏のような気温でありましたが、この時期にこれだけ暑いとまだ体が慣れてないこともあってへばってしまいそうですが、熱中症にならないように気をつけないといけないですね。それと今年は梅雨入りが早かったのですが、梅雨入り後はほとんど雨が降っていない状態で今回の台風3号は関西からは逸れていきましたので、本日オープンのあべのハルカス近鉄百貨店本店には晴天で良かったのですが、雨も降らないと水不足なども心配されますので、適度に降ってほしいものであります。さて今回のエントリですが、昨日でこのブログを開始して9年となりますので、毎年恒例のバーズ関係のエントリということで、今回は1971年6月にリリースされたバーズの10枚目のアルバム『Byrdmaniax』をご紹介したいと思います。

今回ご紹介するバーズの10枚目のアルバム『Byrdmaniax』は1971年6月23日にリリースされましたが、アルバム紹介の前に前作『(Untitled)』がリリースされた頃から今回ご紹介する『Byrdmaniax』がリリースされる頃までのバーズの活動について簡単に書いてみたいと思います。この時期はバーズとしては珍しくメンバーの交代はなく、主にライヴが活動の中心で(2008年にリリースされたライヴ・アルバム『Live At Royal Albert Hall 1971』でこの時期のライヴ音源を楽しむことができます)、そのライブ活動の合間となる1970年10月6日と翌1971年1月9日〜26日、3月1日〜6日に今回ご紹介するアルバム『Byrdmaniax』のレコーディングを行います。そして、6月23日に今回ご紹介するアルバム『Byrdmaniax』がリリースされ、8月20日にはアルバムからのシングル・カットとなるアーサー・レイノルズ作の「Glory, Glory」(全米110位)がリリースされます。それでは今回ご紹介する10枚目のアルバム『Byrdmaniax』の内容ですが、プロデュースはテリー・メルチャーとクリス・ヒンショウで、メンバーによるオリジナル曲が8曲、カヴァー曲が3曲の全11曲という構成となっていて、メンバー以外にはラリー・ネクテル、フライング・ブリトー・ブラザーズのスニーキー・ピート・クライナウらがレコーディングに参加してます。アナログでいうところのA面のオープニング・ナンバーのアーサー・レイノルズ作の「Glory, Glory」(全米110位)はロジャー・マッギンがヴォーカルをとるトラディショナルなナンバーで、女性コーラスを導入したゴスペルを意識したアレンジが施されており、シングルA面としてシングル・カットもされました。2曲目のロジャー・マッギン&ジーン・パーソンズ作の「Pale Blue(淡い影)」もロジャー・マッギンがヴォーカルをとるアコースティックなバラード・ナンバーですが、ストリングスが導入されたアレンジとなっております。3曲目のロジャー・マッギン作の「I Trust(生きる道)」もロジャー・マッギンがヴォーカルで、女性コーラスを導入したアレンジも含めてゴスペルから影響を受けて書かれたナンバーです。4曲目の「Tunnel Of Love(恋のトンネル)」と5曲目の「Citizen Kane(市民ケイン)」は共にスキップ・バッティン&キム・フォーリーの書いた楽曲で、もちろん2曲ともスキップ・バッティンがヴォーカルをとってますが、「Tunnel Of Love(恋のトンネル)」はファッツ・ドミノを意識したブルージーなナンバー、「Citizen Kane」はシングルB面としてシングル・カットもされた1940年代のハリウッド映画を題材にした歌詞のナンバーです。アナログでいうところのB面のオープニング・ナンバーのロジャー・マッギン&ジャック・レヴィ作の「I Wanna Grow Up To Be A Politician(政治家になりたい)」はロジャー・マッギンがヴォーカルで、前作『(Untitled)』収録の一部の楽曲同様に元々はミュージカル『ジーン・トリップ』用に書かれた楽曲であります。2曲目のスキップ・バッティン&キム・フォーリー作の「Absolute Happiness(本当にしあわせ)」は土臭さのするカントリー・ロックなナンバーで、スキップ・バッティンのヴォーカルもなかなか雰囲気が出ていて良いです。3曲目のジーン・パーソンズ&クラレンス・ホワイト作の「Green Apple Quick Step」は中後期のバーズでは定番ともいえるブルーグラスのインストゥルメンタル・ナンバーです。4曲目のヘレン・カーターのカヴァーとなるカントリー・ソングの「My Destiny(わが運命)」ですが、クラレンス・ホワイトがヴォーカルもさることながら、スニーキー・ピート・クライナウの演奏するスティール・ギターもイイ味を出してます。5曲目のロジャー・マッギン&ジャック・レヴィ作の「Kathleen's Song(キャスリンの歌)」だけは前作『(Untitled)』のレコーディング・セッションから録音が開始された元々はミュージカル『ジーン・トリップ』用の楽曲で、ロジャー・マッギンがヴォーカルをとるオーケストラを導入したアレンジが施されたアコースティックなバラードとなっております。そして、アルバムのラスト・ナンバーとなるのがクラレンス・ホワイトがヴォーカルをとるジャクソン・ブラウン作の「Jamaica Say You Will」は作者のジャクソン・ブラウン本人も翌1972年にリリースする自身のファースト・アルバムでも歌っておりますが、このバーズのヴァージョンは作者のヴァージョンよりも半年ほど早くリリースされてクラレンス・ホワイトがジャクソン・ブラウンをソングライターとして早くから目を付けていたというのがスゴイことですし、このバーズのヴァージョンでのクラレンス・ホワイトのヴォーカルも味わい深いものがあり、個人的にはこのアルバムでのベスト・トラックだと思います。そして、現在発売されているCDのボーナス・トラックにはボブ・ディランのカヴァーでロジャー・マッギンがヴォーカルの「Just Like A Woman(女の如く)」、ロジャー・マッギン&ジーン・パーソンズ作の「Pale Blue(淡い影)」の初期ヴァージョン、ジーン・クラーク作でクラレンス・ホワイトがヴォーカルの「Think I'm Gonna Feel Better」が収録されております。今回ご紹介したバーズの10枚目のアルバム『Byrdmaniax』はバーズ結成以前のフォーク路線への回帰やゴスペルの要素を取り入れたサウンドを目指したリーダーのロジャー・マッギンとこれまでのカントリー・ロックを基軸とするウエストコースト・ロックを推し進めるクラレンス・ホワイトをはじめとする他のメンバーとの音楽的趣向の違いが決定的に出たアルバムで、特にロジャー・マッギンの楽曲でストリングスなどの加え方が少々過剰気味なところがあるので正直あまり聴かないアルバムだったのですが、今回改めて聴いてみると、ベスト・トラックはクラレンス・ホワイトの歌うジャクソン・ブラウン作の「Jamaica Say You Will」に変わりはないのですが、このアルバムに収録されているロジャー・マッギンの楽曲はバーズ解散後のソロ・アルバムの路線にも通じるものがあり、次作でラスト・アルバムとなる『Father Along』よりロジャー・マッギンらしさのするアルバムだと思いました。興味のある方は是非聴いてみてください。

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1960〜70年代の洋楽を中心にレビューを書いております。

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