Hi, 松岡みーです。How are you?

「必修漏れ10道県63校」-- 今日の朝日新聞 (朝刊) のトップの見出しです。受験対策を優先し、必修とされている世界史を履修させていなかった問題です。

高校が履修科目に関して教育委員会に虚偽の報告をしているのは、今に始まった話ではありません。「英語によるコミュニケーション能力の一層の育成を図る」 という目的で、文部省の 『高等学校指導要領』(1989年) では、「オーラル・コミュニケーションA」(会話)、「オーラル・コミュニケーションB」(聞き取り)、「オーラル・コミュニケーションC」(発表、ディスカッション) という科目を導入しました。

受験指導で OC (オーラル・コミュニケーション) どころではない、というのが現場の声がもれてきました。こうした状況の中、当時、この OC 授業の実態調査はほとんどなされませんでした。唯一、アルクの 『英語教育事典』(1996年) が包括的な調査をしていました。高校の英語教師、各都道府県の教育委員会及び教育センターを対象にアンケート調査をしたのです。

高校の教師の回答の中に、「OCを他の授業に振り替える」 と答えたものが16%もありました。コメント欄には、「教育課程上は2単位となているが、実際には0.5単位。1.5単位はグラマーの授業を行っている。他の進学校も似たような状況にある」 といったコメントが目につく、とこの調査は報告していました。

みぽこの主人も、1997年に、東京、埼玉、神奈川の33校の高校生を対象にアンケート調査をしました。

「聞く」 授業が、
「あまり行われていない(21%)」
「ほとんど行われていない(21%)」
「全く行われていない(3%)」
これらを合計すると 45% でした。

「話す」 授業については、
「あまり行われていない(52%)」
「ほとんど行われていない(21%)」
「全く行われていない(3%)」
これらを合計すると 76% でした。

また、何人かの先生に聞き取り調査をすると、
「オーラルG というんですよ。オーラル・コミュニケーションという授業名のもとに、中身は受験対策の文法(grammar)をやっているんです」
という声が聞かれました。教育委員会には OC をやっているように報告しているわけです。

こんな先生の声もありました。
「リスニングの授業をやっても、結局、受験にリスニングがないからといって、生徒は全く興味を示してくれない」

教育を行う側も、受ける側も、「受験のせい」 にしないでほしいとみぽこの主人は言います。確かに、大学入試の内容には問題点が少なくはありません。柔軟性をもつべきことばに対して、正誤適否を問う出題が少なくありません。教育者としては、一方で、こうした入試問題の内容に改善を求めながらも、現場では、ことばの教育の本質を見失わないで指導してほしいと言う。教育を受ける側も、近視眼的な学習目標に翻弄されないで欲しいと言う。

論文
みぽこの主人がこの調査をしたのは、 『国際コミュニケーションのための英語教育 -- 日本における英語教育の現状分析と提言:大学入学試験問題の影響を中心に』(1997年)という論文の中の一節を書くためでした。この論文の中で、みぽこの主人はたくさんの具体的な提言をしています。その内のひとつ、「センター試験は率先してリスニングを入試に導入すべき」 は、論文を書いてから9年目の今年1月に実現されました(まだ、質的量的問題はありますが)。

みーかご4
この論文に興味のある方は
nbmatsuoka@ybb.ne.jp
までメールをください。原稿(100ページ)をWORDでメールに添付してお送りします。

それじゃあ、また明日。Mya you!!

予告 : 今週の Weekend Guest は、原稿がその辺まで来ています。お楽しみに。