■今回の金融版9.11世界同時多発不況のショックで、CDS=クレジットデフォルト(債権破綻)保険 の保険金支払い義務を負ったA、A’、A’’などの金融機関が支払不能に陥って破綻したら、次はB、B’、B’、社が、さらに、C社が・・、と発行していた債券も破綻し、無数の各社が債券にかけられていたCDSの保険金支払いが必要となり・・・といった具合に、破綻が

     ドミノ倒し的に、 もしくは  核分裂的に

どんどん連鎖拡大していく可能性が大だ。


■米国のウォーレン・バフェットは、CDSが持つ核分裂のような連鎖拡大反応的な危険性を

        「金融の大量破壊兵器」

と呼んだ。ブッシュが通させた7000億ドルの注入法案は、焼け石に水と小生のほかのブログで指摘したとおり、このデリバティブの破綻は、数十倍のテコ(ラバリッジ)を利かせた物凄く効率よい集金装置だったので、逆に爆発(破綻)すると、7000億ドルくらいでは、とても防ぎきれない破壊力を発揮する訳です。いま、まさに、世界経済に、その爆風が破壊的に及ぼうとしています。

 

■そのことが徐々に各国首脳に認識され始めたので、今週末には、世界の首脳が、一堂に会して、有効な世界協調金融策を模索するでしょう(まだ、確定ではありません)。

 

■欧米金融投資モデルは、今後二度と浮上することはありません。欧米投資モデルで、トレーダーなどの活躍が脚光を浴びた時代は既に終わりました・・・・

 

私事ですが・・・その甚大な余波を浴びて倒産寸前のアイスランドの先日国有化されたNO1の銀行KAUP.ICの件で
シンガポールのプライベートバンク(PB)を舞台に、欧米の銀行や企業の債権(年利7%~9%)をいろいろと分散買いしていた知人がいる。

 

その際、常に指標にしていたのがS&Pなどの格付けの他に、もう一つは、PB銀行の投資担当者の意見だった。

この連中が、実際にはいい加減だったことが、今回の金融版9.11後の、葉茶目茶な暴落と、その後のフォロウのいい加減さで

化けの皮が剥がされた。

 

景気の良いときは、化けの皮は隠れて分からないし、恐らく誰がアドバイスしても結果は同じで、収益成績は良いに決まっていた。それを、いかにもプロフェッショナル然として、偉そうに勿体をつけていただけだった訳だ。

 

ところが、ここにきて、彼等が、実は素人と大して変わらないこと、全てはブルンベルグの情報とか、プライベート銀行のデーターを一寸使うだけで投資の”教授”とやらを、くわえタバコや、コーヒーをすすりながら、もしくは談笑しながら、やっていただけだと分かった。彼等は、いい加減な連中だった。

 

銀行から、取引量の一定の割合を報酬としてもらう。そのために、特別高度な金融理論とか、経験に裏付けられた哲学など、全くなし。ただ、連中の能力は、大手のプライベート銀行に就職できたという幸運だけ、それが全てという、ていたらくだった。(これだけの仕事で、連中は、年棒2000万円は貰っているはずだ。)

 

たとえば、一例だが、連中は、アイスランドの最大の銀行KAUP.ICの債権を、アイスランドでNO1の銀行です、クーポン(年利)は・・、格付けは・・といって勧めてきた。注文は、個人では不可能だから、彼等に一任せざるを得ないし、それ以上の情報を得る手段もないから、買うことになる。

ここまでなら、真の相場は神様にしか分からないのだから、こと事態がこんなに悪くなってしまったとしても、よしとしよう(有能で誠実な連中なら、こうなる前に売り逃げるとかの手をアドバイスすべきだが)。

許せないのはその後だ。

 

■KAUP.ICが国有化された。国有化されても、欧州からの支援を断られて、あとはロシアからの40億ユーロの支援に望みをかける国家財政、それが破綻寸前になっているのに、何の連絡もフォロウもしてこない。

勿論、何かできるわけじゃない。ただ、ただ、待っているだけしかない、様子見の事態ではある。しかし、せめて・・・こんな情勢ですが売り買いもできない、もう一寸我慢して様子を見ましょう、程度の連絡くらいしても良いじゃないですか。

 

■知人は、連中からじゃなくて自分で、そのニュースを掴んで、自分のほうから担当者に電話した。

 

担当者:国有化しても、預金は全額保証されるが、債権は今のところ、どうなるか分からない、この銀行の債権は今は10ドル台(買った時は85ドル)ですね。

 

知人:アイスランドでNO1の銀行だったんじゃないの?

 

担当者:はははっ、全てが急落している現状では、国で1番とか3番とか、全く無意味な数字ですよ。まあ、変化があったら、逐一連絡します。

 

・・・なんて奴らだ。はははっと笑いやがった。コッチに勧めるときは、NO1の銀行だから、って言ったくせに。手のひらを返した訳じゃないだろうが、笑うのは許せない。

 

この金融版9.11は1,2年はじっと我慢するしかない。

 もし、潰れず幸いにも生き残れて債権も全額OKになれ 

 ば、運が良かったというだけのことです。

これからは(といっても1、2年後に大損しない程度に回復 

 したとき売り逃げられる迄まって)二度と、欧米型投資モデ 

 ルは、決して信用しない・・トレーダー達も。

 

知人は吐き捨てるように、そう呟いた。

 

註:当ブログで取りあげた事柄の中で、銀行の人物については全て

  実感を出す為の創作であって、実在する人々とは関係ありません。