ベーシックインカム(以下BI)については半年前に書かせてもらったことだが、最近またまたBIの話が蒸し返されているようだ。
なぜこんな机上の空論の社会主義政策が上手くいくと勘違いする人が多いのか不思議でならない。
とりあえず日本国民に月8万円払うという堀江の考えを前提に書かせてもらう。
相変わらず堀江はBIは可能だと最近のブログ記事でも書いているみたいだが、それによると、
「「労働は最重要」と「労働は無価値」の両極端」などと言っているが、まあ正直私は労働が無価値というよりは食糧生産以外の生存にあまり関係ない労働は尊いというものでもなく余暇の延長みたいなものだと考えています。つまりやらなくても構わない。
でも人の役に立つというのはそれなりに楽しいし充実感もあるものだから、仕事を続けたければ続けてもいいのである。その前提にあるのは産業革命、エネルギー革命などの技術革新により食料が少数の農業従事者により安定的に供給されることである。それが先進国で実現されたのはここ50年未満のことである。それ以前は多くの人が皆を食わせるために食糧生産に従事していた。
筆者の言うとおり欧州で200年の歴史があろうが、ベーシックインカムは長い間実現不可能だったが、技術革新がそれを可能にしたのだ。
ということらしい。つまり、穀物の多くは大規模化と機械化が進んで大きく生産性が伸びているから、一部の人だけ働けば他の多くの人は働かなくても生きていけるという理屈らしい。だからBIという保障で月8万円あげても問題ないと言いたいのだろう。
じゃあその財源はどこからくるのかという問題が出てくるが、半年前の堀江のブログ記事によれば、
予算が問題ではあるんですが、とりあえず120兆配って消費税率を20%くらいに上げると日本のGDPの内需部分が300兆円くらいあるとして、300 x 20%=60兆。プラス無駄な公共事業を減らし、年金・生活保護・その他補助金をやめてベーシックインカムに統合。すればなんとかなりそうな気がしてきた。その辺シミュレーションだれかしてないんだっけ?
ということが書かれている。曖昧でなんら核となる部分がないから問題外だが、半年前にこれに呼応して金融日記にBIの財源について書かれている。ここでは月5万円支給前提になっている。
一部抜粋すると、
さて、月に5万円、年に60万円のベーシックインカムを配るにはいったいいくら必要なのか?
60万円x1億3千万人=78兆円
ざっくり言って80兆円必要なわけだ。
それでは日本は年間にどれぐらい税金を使っているのか?
財務省の資料によれば一般会計の歳出は約90兆円である。
平成21年度一般会計歳出の内訳 (出所:財務省)

のグラフを眺めるとベーシックインカムの導入でかなりの付け替えが出来ることが分かる。
社会保障のところの年金10兆円と福祉・その他の4兆円はベーシックインカムの導入で必要がなくなる。
また日本の場合、公共事業は雇用対策の目的で実施されることが多い。
ベーシックインカムと言うセーフティネットが出来れば公共事業による雇用対策の必要性はなくなるので、この7兆円の公共事業費のうち少なくとも3兆円ぐらいは削れるだろう。
防衛費を見ると5兆円ぐらい使っていることが分かる。
自衛隊も雇用対策の一面があるので、3兆円ぐらい削っても問題ないだろう。
そして、その他の10兆円、地方交付金等の17兆円のところを見ると、これもセーフティネット的な部分が多い。
例えば、潰れそうな零細企業を助けたり、地方の外郭団体にお金をばらまいたり。
日本ではこういう仕組みが社会のセーフティネットになっていたのだが、今や完全に既得権益化してしまい、社会に対しても害を与えることが多くなってしまった。
だから、やろうと思えばここから10兆円ぐらいは簡単にベーシックインカムに置き換えることが出来るだろう。
また、この前のエントリーでも書いたが日本の農業で規制撤廃すれば5兆円ぐらいひねり出せる。
以上の割と保守的な概算をまとめると次のようになる。
年金:10兆円
福祉・その他:4兆円
公共事業の雇用対策部分:3兆円
防衛費の雇用対策部分:3兆円
中小企業対策、地方交付金等々の社会保障的部分:10兆円
農業完全自由化:5兆円
-----------------------------------------
合計:35兆円
ところで国の予算には一般会計と特別会計がある。
今、見てきたのは一般会計の方だ。
外交、国防、警察、社会保障のように国の運営にどうしても必要な部分をひとつの財布で運営している。
もちろんこの財布には国民の税金が入っているわけだ。
そこで特別会計とは何か?
これは例えば道路のようにその恩恵を得る人がガソリン税や高速道路の料金などで直接に負担する仕組みだ。
例えば道路の特別会計は他の会計とは独立していて道路事業だけで完結している。
道路の他には厚生年金などの特別会計がある。
こう言ったものを全て合わせると年間120兆円ぐらいになる。
民主党のドンブリ勘定ではないけど、ベーシックインカムと言うセーフティネットを導入することにより公務員や行政法人などの公務員的な人たちを解雇するのも容易になるし、こう言った官営の事業はどう考えても無駄なことがたくさんあるので、120兆円から15兆円ぐらいはコストカットできるだろう。
すると一般会計の中でベーシックインカムに置き換える部分で捻出できた35兆円と特別会計の15兆円のコストカット部分を合わせると全部で50兆円出てきたことになる。
ベーシックインカムに必要なお金は80兆円なので、残りの30兆円は何らかの増税でまかなう必要がある。
平成21年度一般会計歳入の内訳 (出所:財務省)

この図を見ると5%の消費税による税収は10兆円だと分かる。
日本のGDPが500兆円だから5%の消費税だと25兆円じゃないのかと思う人もいるかもしれないが、日本は中小企業の政治力が強いので売上げいくら以上じゃないと消費税を払う必要がないとかいろいろあってGDPの全てには消費税がかからないのだ。
もちろんそう言った中小企業も自社のモノを売る時は5%の消費税を上乗せしているわけで、その5%はそっくりそのまま自分の利益になってしまうのである。
ベーシックインカムを導入したらこのような零細企業に対する優遇措置も改める必要があると思うが、そこは100歩譲ってベーシックインカム実現に足りない部分を全て現行の消費税でまかなうとしよう。
消費税は5%で10兆円の税収だ。
今までの計算ではまだ30兆円足りないのだから、消費税をあと15%上げればいいことが分かる。
要するに、以上のざっくりした計算で消費税を20%にすれば、月に5万円のベーシックインカムを実現できるのである。
消費税20%と言ったら世界の先進国の平均ぐらいで全く大したことはない。
ほとんど金融日記の丸写しになってしまったが、これが月5万円の保証をする財源論である。
これを見る限りでは、もしかしたら月5万円なら支給が可能ではないかと考えてしまうだろう。しかしそんな都合のいい話があるだろうか?
特別会計の120兆円(?)から15兆円ぐらいコストカットできるとあるが、なんら根拠が示されていない。あくまで藤沢氏の想像である。
医療と年金の給付が46兆円、介護を含めたそれらの補助金が17兆円超、2.1兆円は生活保護給付への補助金2.5兆円が保育場運営や児童手当、障害者保健福祉への給付補助、1.6兆円が公立小中学校への教員給与補助、1.9兆円が私学助成金、地方交付税交付金等17.7兆円。
国債償還などの費用から無駄を削減するのは不可能だから、残りは上に書いた分と庁費・委託費・施設費6.1兆円から削除するしかない。
まず年金を平均で3割ぐらいカット。高齢者の医療費を現役並の3割負担の強制。都心の保育園不足ことを考慮すると保育の運営は削れないし、更に障害者への給付のカットは難しいことから、あとは児童手当のカットや公立小中学校の公務員への補助カット。そして偏差値の低い大学への補助を全額カットすれば、もしかしたら15兆円のコストカットは可能かもしれない。
重複部分もあるからなんとも言えないが、一般会計からの削除35兆円を合わせると50兆円。消費税を20%にすることで80兆円。というのが単純計算で導き出した藤沢氏の試算である。
しかし、こういう単純計算の試算には他の要素が含まれていないご都合主義なのがパターンだ。まず堀江ブログではこう解釈している。
政府から金もらって好きなことやってればいいじゃん。私みたいなワーカホリックは放っておいても働くよ。むしろ雇用を創出したりとややこしいことを考えなくて済む分、便利なものとか新しい事業とかを立ち上げる事に集中できて生産性があがるじゃないかな。
こういう発想は完全に自分よがりである。人間の多くは怠け者でワーカホリック(仕事大好き人間)ではない。何もしなくてもお金を支給してくれた場合、ほとんどの人が生活保護みたいな生活をするというのは目に見えている。
人間というのは高潔ではない。以前にも書いたが、社会というのは性善説では成り立たない。共産主義社会は人間の性善説を信じて作られた制度だが、結局社会はまともに機能しなかった。結果的に機能しているのは、性悪説を前提にしていると思われる資本主義社会だ。人間の欲を利用して発展する仕組みの社会でないと世の中は成り立たないのが俺の持論だ。
ましてや堀江の言う月8万円の支給なんてされたらみんな好き勝手なことをやる可能性が高い。いい年した親父がバンドを永遠とやり続けたり、才能もないのに俳優を目指したりするドリーマー、そして人との関わりが苦手な場合は無理して仕事につかないことが予想される。
挙句の果てに、政治の世界では衆愚政治が横行し、BIの支給額を増やしますマニフェスト競争が起きること疑いようがない。甘やかし社会とは、高い確率でそういう実現不可能な世界へと人々を導くだろう。そういう社会は統制経済を採らない限り、必ずインフレで矛盾を是正する圧力が加わるが、そういう前提を一切無視して堀江は次のように展開する。
ベーシックインカムがあると恐らくだけど、みんながやりたがらないけど、絶対やらなきゃいけないような仕事の給料は上がるし、引く手あまたになるだろう。たまに数ヶ月そこで仕事して、その金で世界旅行したっていいし。そういう企業に縛られない生き方ができるようになるはず。だって仕事なくなったってベーシックインカムがあるから安心。
仕事をしない人が増えるということは、その分給料が上がってしまうということだ。給料を上げないと人材が確保できない社会になれば、当然インフレ圧力が出てくる。インフレになれば、BIの支給額を増やさないと働かなくても暮らせるという前提は崩れることになる。つまり、BIという働かなくても暮らしていける社会の実現など不可能だということだ。
自由な市場を作っている限り、必ずインフレで矛盾は正される。もしこの矛盾が正されない統制経済を採れば、生産性は大きく落ちていくだろうし、円の信用も失ってしまうから、外貨準備が途切れれば、資源や食料の輸入もできなくなるだろう。つまり、極端なことを言えば餓死者続出である。
サウジアラビアのように資源が豊富で、外国人に働かしておけばなんとかなる国ならBIも可能だし、実際にそれに近いことをやっている。しかし日本には資源がないからサウジアラビアのような制度の維持など不可能だし、外貨も稼げない。
人件費が上がった分は日本製品の価格競争力が無くなってしまうわけだから、当然円安圧力につながっていく。円安になれば資源や食料などの1次産品が乏しい日本では大打撃を受けてしまうことになる。
日本には需給ギャップが35兆円分あるからとかわけのわからないことを書く人も多いが、それはあくまで2次産品の話だし、1次産品を輸入する段階で円安圧力に国内の需給ギャップは関係ない。そして完成品を売ったり整備したり保障したりするという第3次産業は主に労働集約型のサービス業である。
いくら需給ギャップがあろうが、国内に無限の資源が眠っていない限り、人件費が上昇すれば物価は上がってしまうだろう。
インフレになれば税収が増えるという論者もいるかもしれないが、ほとんどの人が消費税以外の税金を支払わないで一方的にBIという形でお金をもらえる状況だと、インフレ率通りの税収増加も考えにくい。
しかも上に書いた金融日記のBI支給の試算は、年金や医療の保険料収入分が今まで通りあることが前提の内容だから、そういう別枠の収入も労働人口が減れば前提が崩れてしまう。つまり、労働者が減ってしまう時点でBIの支給試算は破綻しているし、インフレになればなおさらだ。
結局BIは破綻し、働かなければ食べていけない社会に回帰するだろう。
それにしても、なんでこんな話が何度も蒸し返されるのか不思議でならない。BIというのは、結局みんなが今まで通りに必ず働いて今まで通りに税金やその他社会保障を支払うという前提がないと成り立たない。こういう性善説は共産主義の実験で失敗したことを学んだはずだ。
そして歴史を学ぶのではなく歴史に学べない人がなぜこんなにも多いのか。世の中というのは性悪説でないと成り立たないのだ。BIのような社会主義者が考えそうなありえない前提を信じてしまうのはカルト宗教と同じだ。
甘いささやきというのは麻薬みたいなもので、怠け者という人間の性質を考えればどうしてもそれを信じてしまう人が多いのは致し方ないのかもしれない。それに堀江みたいな有名人がこういう幻想を振り撒くと、安易に信者がそれにすがってしまう危険性を持つ。有名人ほど夢よりも現実社会を教えてあげるべきなのだ。
現実と夢(妄想)を混同させる暇があったら、結果としての現在を受け入れて努力するほうが100万倍有益だろう。


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なぜこんな机上の空論の社会主義政策が上手くいくと勘違いする人が多いのか不思議でならない。
とりあえず日本国民に月8万円払うという堀江の考えを前提に書かせてもらう。
相変わらず堀江はBIは可能だと最近のブログ記事でも書いているみたいだが、それによると、
「「労働は最重要」と「労働は無価値」の両極端」などと言っているが、まあ正直私は労働が無価値というよりは食糧生産以外の生存にあまり関係ない労働は尊いというものでもなく余暇の延長みたいなものだと考えています。つまりやらなくても構わない。
でも人の役に立つというのはそれなりに楽しいし充実感もあるものだから、仕事を続けたければ続けてもいいのである。その前提にあるのは産業革命、エネルギー革命などの技術革新により食料が少数の農業従事者により安定的に供給されることである。それが先進国で実現されたのはここ50年未満のことである。それ以前は多くの人が皆を食わせるために食糧生産に従事していた。
筆者の言うとおり欧州で200年の歴史があろうが、ベーシックインカムは長い間実現不可能だったが、技術革新がそれを可能にしたのだ。
ということらしい。つまり、穀物の多くは大規模化と機械化が進んで大きく生産性が伸びているから、一部の人だけ働けば他の多くの人は働かなくても生きていけるという理屈らしい。だからBIという保障で月8万円あげても問題ないと言いたいのだろう。
じゃあその財源はどこからくるのかという問題が出てくるが、半年前の堀江のブログ記事によれば、
予算が問題ではあるんですが、とりあえず120兆配って消費税率を20%くらいに上げると日本のGDPの内需部分が300兆円くらいあるとして、300 x 20%=60兆。プラス無駄な公共事業を減らし、年金・生活保護・その他補助金をやめてベーシックインカムに統合。すればなんとかなりそうな気がしてきた。その辺シミュレーションだれかしてないんだっけ?
ということが書かれている。曖昧でなんら核となる部分がないから問題外だが、半年前にこれに呼応して金融日記にBIの財源について書かれている。ここでは月5万円支給前提になっている。
一部抜粋すると、
さて、月に5万円、年に60万円のベーシックインカムを配るにはいったいいくら必要なのか?
60万円x1億3千万人=78兆円
ざっくり言って80兆円必要なわけだ。
それでは日本は年間にどれぐらい税金を使っているのか?
財務省の資料によれば一般会計の歳出は約90兆円である。
平成21年度一般会計歳出の内訳 (出所:財務省)

のグラフを眺めるとベーシックインカムの導入でかなりの付け替えが出来ることが分かる。
社会保障のところの年金10兆円と福祉・その他の4兆円はベーシックインカムの導入で必要がなくなる。
また日本の場合、公共事業は雇用対策の目的で実施されることが多い。
ベーシックインカムと言うセーフティネットが出来れば公共事業による雇用対策の必要性はなくなるので、この7兆円の公共事業費のうち少なくとも3兆円ぐらいは削れるだろう。
防衛費を見ると5兆円ぐらい使っていることが分かる。
自衛隊も雇用対策の一面があるので、3兆円ぐらい削っても問題ないだろう。
そして、その他の10兆円、地方交付金等の17兆円のところを見ると、これもセーフティネット的な部分が多い。
例えば、潰れそうな零細企業を助けたり、地方の外郭団体にお金をばらまいたり。
日本ではこういう仕組みが社会のセーフティネットになっていたのだが、今や完全に既得権益化してしまい、社会に対しても害を与えることが多くなってしまった。
だから、やろうと思えばここから10兆円ぐらいは簡単にベーシックインカムに置き換えることが出来るだろう。
また、この前のエントリーでも書いたが日本の農業で規制撤廃すれば5兆円ぐらいひねり出せる。
以上の割と保守的な概算をまとめると次のようになる。
年金:10兆円
福祉・その他:4兆円
公共事業の雇用対策部分:3兆円
防衛費の雇用対策部分:3兆円
中小企業対策、地方交付金等々の社会保障的部分:10兆円
農業完全自由化:5兆円
-----------------------------------------
合計:35兆円
ところで国の予算には一般会計と特別会計がある。
今、見てきたのは一般会計の方だ。
外交、国防、警察、社会保障のように国の運営にどうしても必要な部分をひとつの財布で運営している。
もちろんこの財布には国民の税金が入っているわけだ。
そこで特別会計とは何か?
これは例えば道路のようにその恩恵を得る人がガソリン税や高速道路の料金などで直接に負担する仕組みだ。
例えば道路の特別会計は他の会計とは独立していて道路事業だけで完結している。
道路の他には厚生年金などの特別会計がある。
こう言ったものを全て合わせると年間120兆円ぐらいになる。
民主党のドンブリ勘定ではないけど、ベーシックインカムと言うセーフティネットを導入することにより公務員や行政法人などの公務員的な人たちを解雇するのも容易になるし、こう言った官営の事業はどう考えても無駄なことがたくさんあるので、120兆円から15兆円ぐらいはコストカットできるだろう。
すると一般会計の中でベーシックインカムに置き換える部分で捻出できた35兆円と特別会計の15兆円のコストカット部分を合わせると全部で50兆円出てきたことになる。
ベーシックインカムに必要なお金は80兆円なので、残りの30兆円は何らかの増税でまかなう必要がある。
平成21年度一般会計歳入の内訳 (出所:財務省)

この図を見ると5%の消費税による税収は10兆円だと分かる。
日本のGDPが500兆円だから5%の消費税だと25兆円じゃないのかと思う人もいるかもしれないが、日本は中小企業の政治力が強いので売上げいくら以上じゃないと消費税を払う必要がないとかいろいろあってGDPの全てには消費税がかからないのだ。
もちろんそう言った中小企業も自社のモノを売る時は5%の消費税を上乗せしているわけで、その5%はそっくりそのまま自分の利益になってしまうのである。
ベーシックインカムを導入したらこのような零細企業に対する優遇措置も改める必要があると思うが、そこは100歩譲ってベーシックインカム実現に足りない部分を全て現行の消費税でまかなうとしよう。
消費税は5%で10兆円の税収だ。
今までの計算ではまだ30兆円足りないのだから、消費税をあと15%上げればいいことが分かる。
要するに、以上のざっくりした計算で消費税を20%にすれば、月に5万円のベーシックインカムを実現できるのである。
消費税20%と言ったら世界の先進国の平均ぐらいで全く大したことはない。
ほとんど金融日記の丸写しになってしまったが、これが月5万円の保証をする財源論である。
これを見る限りでは、もしかしたら月5万円なら支給が可能ではないかと考えてしまうだろう。しかしそんな都合のいい話があるだろうか?
特別会計の120兆円(?)から15兆円ぐらいコストカットできるとあるが、なんら根拠が示されていない。あくまで藤沢氏の想像である。
医療と年金の給付が46兆円、介護を含めたそれらの補助金が17兆円超、2.1兆円は生活保護給付への補助金2.5兆円が保育場運営や児童手当、障害者保健福祉への給付補助、1.6兆円が公立小中学校への教員給与補助、1.9兆円が私学助成金、地方交付税交付金等17.7兆円。
国債償還などの費用から無駄を削減するのは不可能だから、残りは上に書いた分と庁費・委託費・施設費6.1兆円から削除するしかない。
まず年金を平均で3割ぐらいカット。高齢者の医療費を現役並の3割負担の強制。都心の保育園不足ことを考慮すると保育の運営は削れないし、更に障害者への給付のカットは難しいことから、あとは児童手当のカットや公立小中学校の公務員への補助カット。そして偏差値の低い大学への補助を全額カットすれば、もしかしたら15兆円のコストカットは可能かもしれない。
重複部分もあるからなんとも言えないが、一般会計からの削除35兆円を合わせると50兆円。消費税を20%にすることで80兆円。というのが単純計算で導き出した藤沢氏の試算である。
しかし、こういう単純計算の試算には他の要素が含まれていないご都合主義なのがパターンだ。まず堀江ブログではこう解釈している。
政府から金もらって好きなことやってればいいじゃん。私みたいなワーカホリックは放っておいても働くよ。むしろ雇用を創出したりとややこしいことを考えなくて済む分、便利なものとか新しい事業とかを立ち上げる事に集中できて生産性があがるじゃないかな。
こういう発想は完全に自分よがりである。人間の多くは怠け者でワーカホリック(仕事大好き人間)ではない。何もしなくてもお金を支給してくれた場合、ほとんどの人が生活保護みたいな生活をするというのは目に見えている。
人間というのは高潔ではない。以前にも書いたが、社会というのは性善説では成り立たない。共産主義社会は人間の性善説を信じて作られた制度だが、結局社会はまともに機能しなかった。結果的に機能しているのは、性悪説を前提にしていると思われる資本主義社会だ。人間の欲を利用して発展する仕組みの社会でないと世の中は成り立たないのが俺の持論だ。
ましてや堀江の言う月8万円の支給なんてされたらみんな好き勝手なことをやる可能性が高い。いい年した親父がバンドを永遠とやり続けたり、才能もないのに俳優を目指したりするドリーマー、そして人との関わりが苦手な場合は無理して仕事につかないことが予想される。
挙句の果てに、政治の世界では衆愚政治が横行し、BIの支給額を増やしますマニフェスト競争が起きること疑いようがない。甘やかし社会とは、高い確率でそういう実現不可能な世界へと人々を導くだろう。そういう社会は統制経済を採らない限り、必ずインフレで矛盾を是正する圧力が加わるが、そういう前提を一切無視して堀江は次のように展開する。
ベーシックインカムがあると恐らくだけど、みんながやりたがらないけど、絶対やらなきゃいけないような仕事の給料は上がるし、引く手あまたになるだろう。たまに数ヶ月そこで仕事して、その金で世界旅行したっていいし。そういう企業に縛られない生き方ができるようになるはず。だって仕事なくなったってベーシックインカムがあるから安心。
仕事をしない人が増えるということは、その分給料が上がってしまうということだ。給料を上げないと人材が確保できない社会になれば、当然インフレ圧力が出てくる。インフレになれば、BIの支給額を増やさないと働かなくても暮らせるという前提は崩れることになる。つまり、BIという働かなくても暮らしていける社会の実現など不可能だということだ。
自由な市場を作っている限り、必ずインフレで矛盾は正される。もしこの矛盾が正されない統制経済を採れば、生産性は大きく落ちていくだろうし、円の信用も失ってしまうから、外貨準備が途切れれば、資源や食料の輸入もできなくなるだろう。つまり、極端なことを言えば餓死者続出である。
サウジアラビアのように資源が豊富で、外国人に働かしておけばなんとかなる国ならBIも可能だし、実際にそれに近いことをやっている。しかし日本には資源がないからサウジアラビアのような制度の維持など不可能だし、外貨も稼げない。
人件費が上がった分は日本製品の価格競争力が無くなってしまうわけだから、当然円安圧力につながっていく。円安になれば資源や食料などの1次産品が乏しい日本では大打撃を受けてしまうことになる。
日本には需給ギャップが35兆円分あるからとかわけのわからないことを書く人も多いが、それはあくまで2次産品の話だし、1次産品を輸入する段階で円安圧力に国内の需給ギャップは関係ない。そして完成品を売ったり整備したり保障したりするという第3次産業は主に労働集約型のサービス業である。
いくら需給ギャップがあろうが、国内に無限の資源が眠っていない限り、人件費が上昇すれば物価は上がってしまうだろう。
インフレになれば税収が増えるという論者もいるかもしれないが、ほとんどの人が消費税以外の税金を支払わないで一方的にBIという形でお金をもらえる状況だと、インフレ率通りの税収増加も考えにくい。
しかも上に書いた金融日記のBI支給の試算は、年金や医療の保険料収入分が今まで通りあることが前提の内容だから、そういう別枠の収入も労働人口が減れば前提が崩れてしまう。つまり、労働者が減ってしまう時点でBIの支給試算は破綻しているし、インフレになればなおさらだ。
結局BIは破綻し、働かなければ食べていけない社会に回帰するだろう。
それにしても、なんでこんな話が何度も蒸し返されるのか不思議でならない。BIというのは、結局みんなが今まで通りに必ず働いて今まで通りに税金やその他社会保障を支払うという前提がないと成り立たない。こういう性善説は共産主義の実験で失敗したことを学んだはずだ。
そして歴史を学ぶのではなく歴史に学べない人がなぜこんなにも多いのか。世の中というのは性悪説でないと成り立たないのだ。BIのような社会主義者が考えそうなありえない前提を信じてしまうのはカルト宗教と同じだ。
甘いささやきというのは麻薬みたいなもので、怠け者という人間の性質を考えればどうしてもそれを信じてしまう人が多いのは致し方ないのかもしれない。それに堀江みたいな有名人がこういう幻想を振り撒くと、安易に信者がそれにすがってしまう危険性を持つ。有名人ほど夢よりも現実社会を教えてあげるべきなのだ。
現実と夢(妄想)を混同させる暇があったら、結果としての現在を受け入れて努力するほうが100万倍有益だろう。
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