行かない旅 - お笑い編

笑いの世界はもっと広かった!あらゆるお笑い・コメディを精力的に、いや全力で探索中!

史上最長のカーレース(ブレイク・エドワーズ)

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「グレートレース」(1965年・米)
監督 ブレイク・エドワーズ
脚本 ブレイク・エドワーズ アーサー・A.ロス 音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 トニー・カーティス ジャック・レモン ピーター・フォーク ナタリー・ウッド
"The Great Race"
Blake Edwards /Arthur A. Ross /Henry Mancini /
Tony Curtis /Jack Lemmon /Natalie Wood /Peter Falk /Burt Kwouk
 危険な興行で人気をとっているレスリー(トニー・カーティス)はアメリカの自動車会社と提携して、前代未聞の大会を企画した。それはニューヨークを出発してパリのゴールを目指すという史上最長の自動車大レース。
 常々レスリーの人気を妬んでいた同じく興行師のライバル、フェイト教授(ジャック・レモン)も参戦を決定。その他、全六台の参加でレースはスタートした。

 調べてみると1908年に実際行われたニューヨークからパリまでの自動車レースをモチーフにしているようで、ネット上に当時のニュースを紹介してくれているところもいくつかあります。実際はゴールまで五ヶ月くらいかかったようですね。

 映画的にはまず「八十日間世界一周」(1956年)の影響が大きいでしょう。上映時間はどちらも160分ほど。10年経って、もう一度あのような作品を作ってみようと企画が持ち上がったのでは。超大規模なロードムービーなので、各地の環境や文化の違いがガラッとシチュエーションを変えていって華があります。

 ブレイク・エドワーズはとてもマンガチックな表現をしていて、のちのティム・バートンの初期作品とかを思い出すくらい。今回はノートリミングのDVDで見たのでしっくりきました。
 こういうデフォルメされた表現は、作りこみに加え、画面の構図の力なども込みで成立させているから、トリミングバージョンだとうすら寒く見えたりしていけませんね。

 ギャグはベタベタのドタバタだけどそれもまた良し。ヘンリー・マンシーニのノスタルジックな音楽が素晴らしくて、うまく映画の世界観を包み込んでいるんだと思います。でも酒場の大喧嘩シーンのスタントなんかはずいぶん激しい。人がビュンビュン壁に突っ込んだりして。
 あと当時の女性解放運動もスパイスに加えていますね。

 出演陣ではナタリー・ウッドがすごく魅力的。くるっとカールした髪型とか、スタイルも良くてマンガチックなファッションが映えるなぁ。白い歯キラリと光るトニー・カーティスはイイ体を見せるため、わざわざもろ肌脱いで格闘します。
 敵役のジャック・レモンは悪くないけど、彼の素晴らしさを感じられる映画はもっと他にあるな。与太郎皇太子との二役は見せ場ではありますが。助手を演じるのはピーター・フォーク。

 展開はレスリーとフェイト教授の2チーム5名に絞っているのですが、作品規模を考えるともう少しいろんなチームが競う映画にしても良かったかもしれない。まあでも160分の長尺を飽きず気楽に楽しめる作品です。

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セラーズの一面にしか過ぎない(ブレイク・エドワーズ)

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「暗闇でドッキリ」(1964年・米)
監督 ブレイク・エドワーズ 原作 ハリー・カーニッツ マルセル・アシャール
脚本 ブレイク・エドワーズ ウィリアム・ピーター・ブラッティ 音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 ピーター・セラーズ エルケ・ソマー ジョージ・サンダース ハーバート・ロム バート・クウォーク
"A Shot in the Dark"
Blake Edwards /Harry Kurnitz /Marcel Achard /William Peter Blatty /Henry Mancini /
Peter Sellers /Elke Sommer /George Sanders /Herbert Lom /Burt Kwouk
 バロン氏(ジョージ・サンダース)の屋敷で射殺事件が発生、クルーゾー警部(ピーター・セラーズ)が捜査にあたる。
 第一発見者の執事モーリスによれば、メイドのマリア(エルケ・ソマー)が死体の横で銃を持って立っていたという。しかしクルーゾーは別の真犯人がいるのではないかと疑う。

 見直し含め、ブレイク・エドワーズ監督作をいくつか取り上げようと思います。まずは「ピンク・パンサー」シリーズの二本目にあたるこの作品。ドレフュス本部長(ハーバート・ロム)や使用人のケイトー(バート・クウォーク)ら、シリーズおなじみのキャラクターが登場したのもココからです。

 それにしても見直してみて、やっぱりあまりピンと来ない作品でした。

 クルーゾー警部はピーター・セラーズが演じた中でひときわ知名度の高い役でしょうが、イギリス時代の作品をたくさん見てみると、彼の魅力の一面しか引き出していないキャラのように思えます。
 実際見比べてみると、スティーヴ・マーティンは思ったよりはクルーゾーらしさを捉えているのかもしれない。やっぱりセラーズの都会的なフラとの違いは感じるけれど。

 でもこの作品の一番の問題はブレイク・エドワーズじゃないかな。ヘタな人だとはまったく思いませんが、ドタバタコメディには向いているのだろうか。画面作りが落ち着き過ぎです。
 確かにギャグにあざとい演出は禁物なんだけど、ここまで距離を置くと訴えかける力が半減してしまうような気がします。

 クルーゾー警部のギャグの中身だけ見直してみると、いい加減な推理やトンチンカンな言動などなど、結構好みの小ネタの数々なんだけどなぁ。ミステリー映画のパロディとしての展開はちゃんとオチをつけ、90分ほどにまとめてあるのでそれなりに楽しめます。

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知的だけれど都会的ではない(ハラルド・ズワルト)

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「ピンクパンサー2」(2009年・米)
監督 ハラルド・ズワルト
脚本 スコット・ノイスタッター マイケル・H・ウェバー スティーヴ・マーティン
出演 スティーヴ・マーティン ジャン・レノ アルフレッド・モリーナ アンディ・ガルシア 松崎悠希
アイシュワリヤー・ラーイ ジョン・クリーズ エミリー・モーティマー
"The Pink Panther 2"
Harald Zwart /Scott Neustadter /Michael H. Weber /
Steve Martin /Jean Reno /Alfred Molina /Andy Garcia /Yuki Matsuzaki /
Aishwarya Rai /John Cleese /Emily Mortimer
 ”トルネード”と名乗る泥棒が10年ぶりに活動を再開、世界の重要文化財を立て続けに盗み続けている。そこで各国の警察でドリームチームを結成することとなり、以前宝石”ピンクパンサー”盗難事件のときに功績のあったクルーゾー警部(スティーヴ・マーティン)がリーダーに推薦された。

 スティーヴ・マーティンでリメイクされた「ピンク・パンサー」(2006年)の続編です。前作を見たときに書いたのを読むと、ボチボチ面白かったみたいなんだけど正直ほとんど覚えてない。
 今回ドレフュス主任警部を演じるのはジョン・クリーズに変わりました。体を張ったギャグのシーンは年なのによくやるなぁ。70歳がやるギャグじゃないよ。

 怪盗”トルネード”を追うのは、各国選り抜きの捜査官を集めたドリームチームです。日本人捜査官松戸はテクノロジーに長けている。まだこのイメージは通用するんだな。髪型のイメージは松田優作か。アンディ・ガルシア演じるイタリア人捜査官は女好き。

 それにしても全体的に感じるのは、やっぱりスティーヴ・マーティンとピーター・セラーズってタイプが全然違うなぁということです。

 スティーヴ・マーティンは確かに背後に知性を感じさせます。スタンダップコメディやSNL時代のコントのときからそうでした。それでセラーズの代わりという大任を任されたんだろうけど、でも彼って知的ではあっても都会的ではないんだよね。テキサスの土の匂いを感じさせるモッサリ感とでもいうか、それが芸風にバカバカしいナンセンスな味を加えています。例えばニューヨーカーのウディ・アレンとははっきり違う。

 だからクルーゾー警部的なギャグのシーンをやるたびに、どうも他人の上着を羽織ってるような居心地の悪さがあって笑えません。ドタバタもやる人のはずなのに、ピンクパンサーっぽいことをやろうとすると似合わない。
 そんな中でたまーに出てくる、スティーヴ・マーティンを感じさせるギャグのシーンはクダラなくてとても面白いんです。指パッチンのくすぐりとか、教皇への取調べシーンとかはかなり好きです。でもそれは全体から見ればわずか。

 監督はそれなりにまとめてはいます。だからこそこれなら「ピンクパンサー」としてでなく、スティーヴ・マーティンの警察コメディのほうが見たかったなぁ。例えば彼主演の軍隊コメディ「Sgt.ビルコ」(1996年)、これも作品としてはそんなに突出したものでなかったけれど、好感が持てます。

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”大陸横断珍道中”系コメディ(トッド・フィリップス)

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「デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜」(2010年・米)
監督 トッド・フィリップス
脚本 アラン・R・コーエン アラン・フリードランド アダム・スティキエル トッド・フィリップス
出演 ロバート・ダウニー・Jr ザック・ガリフィアナキス ミシェル・モナハン ジェイミー・フォックス
"Due Date"
Todd Phillips /Alan R. Cohen /Alan Freedland /Adam Sztykiel /
Robert Downey, Jr. /Zach Galifianakis /Michelle Monaghan /Jamie Foxx
 建築家のピーター(ロバート・ダウニー・Jr)は妻の出産に立ち会うため、仕事先のアトランタからロサンゼルスへ帰る。ところがイーサン(ザック・ガリフィアナキス)という男に旅行かばんを取り違えられた上、飛行機ではテロリスト扱いされて搭乗拒否になってしまう。

 財布がないので立ち往生、仕方なくイーサンが借りた車に同乗してアメリカ大陸横断の旅に出発する。

 ヒット作「ハングオーバー!」(2009年)は見かけほどコメディ要素はなくて、本質的にはミステリー映画のように感じたので、迷ったけどブログで取り上げるのは見送り。作品としてはわりと面白かったですけどね。

 翌年撮ったのが本作「デュー・デート〜」です。有能だけど若干自己中な建築家と、変わり者の男、このデコボココンビがアメリカ大陸横断の旅をするはめになるというストーリー。
 大陸横断の旅、というシチュエーションは「ロード・トリップ」(2000年)でも使っていたなぁ。劇中「コーチが選手たちをロッカールームで激励するようなシーンの出てくる映画は、二年に一本はある」なんてセリフがあったけど、アメリカを横断するコメディもそれくらいあるんじゃないか。

 「ロード・トリップ」と違ってこの作品はデコボココンビ、ピーターとイーサンのふたりの印象しかないのでこじんまりしています。製作費は「ハングオーバー!」の倍近いようだけれど、全然そうは感じませんね。
 変わり者イーサンのキャラのための映画といってもいいかもしれません。粗雑でめんどくさいこの男と付き合わされて災難なのはピーター。

 災難で思い出したけど、この映画のベースはジョン・ヒューズの「大災難P.T.A.」(1987年)とそっくりだな。ギャグにはトッド・フィリップスらしいセンスがあって、そういう意味ではこの監督にハズレなしでしょうが。
 うまくまとめていつものセンスを楽しませてくれるけど、似たタイプの作品が多く、器用さの部分は良くも悪くも。気楽に90分楽しんであとは何も残らない、アメリカの若者向けにひたすら消費されていくような作風は、たぶん本人も分かってやっているんだとは思いますが、こういうものしか作らないのか、作れないと言うべきなのかは微妙なところです。作風そのものが飽きられたり時代に合わなくなったりしたら終わり、か。

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原題は「悪党の学校」(トッド・フィリップス)

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「恋愛ルーキーズ」(2006年・米)
監督 トッド・フィリップス 脚本 トッド・フィリップス スコット・アームストロング
出演 ジョン・ヘダー ビリー・ボブ・ソーントン ジャシンダ・バレット マイケル・クラーク・ダンカン ベン・スティラー
"School for Scoundrels"
Todd Phillips /Scot Armstrong /
Jon Heder /Billy Bob Thornton /Jacinda Barrett /Michael Clarke Duncan /Ben Stiller
 内気なロジャー(ジョン・ヘダー)は駐車取締りの仕事では違反者から逆に身ぐるみはがされ、市民センターのコーチもクビになったりとみじめな毎日。隣に住んでいるアマンダ(ジャシンダ・バレット)に気はあるが、まともに会話もできない。

 そこで知り合いに勧められた秘密の学校へ入ってみることに。講師”ドクター・P”(ビリー・ボブ・ソーントン)と助手レッシャー(マイケル・クラーク・ダンカン)によるスパルタ授業がはじまった。

 やっぱり映画のタイトルってのは大切なわけで。ある程度内容の前フリになったり、見る側の心構えにもなるというもの。この「恋愛ルーキーズ」っていう邦題は良くないなぁ。

 人生を変える授業の最初の課題として与えられたのが、ポケベルで指令を受けたときその場で「何かに挑む」ということ。

 ところが引っ込み思案な生徒たちのはずが、いきなり他人の物を壊したりムチャクチャしはじめます。どう考えても行動が飛び過ぎだろうと思うんですが、それも原題を知ると印象が変わってきます。"School for Scoundrels"は「悪党の学校」という意味。「醜聞」の"scandal"とは違うのね。

 英語が分からないのが悪い、と言われればそれまでですが、普通に見ているだけだと謎の学校は自己啓発セミナーとたいして区別がつきません。でもタイトルでネタバレしてあれば、いきなり犯罪をやりはじめるシーンが並んでいても素直に笑えます。生徒たちが最初からずいぶん積極的に見える違和感も感じなかったでしょう。

 タイトルを知って見れば、今回もトッド・フィリップスらしくまとめてあるコメディです。

 クラスで目立って好成績で、人生がうまく回りはじめたロジャー。それに嫉妬したドクター・Pはアマンダを横取りしようとします。ロジャーとPは全面対決へ。
 教え子があまりにうまく行ってしまうと妬ましく思えてくる、というのは相当ゆがんだ性格ですね。でもこれがはじめてではないらしい。昔の生徒役でベン・スティラーが出演しています。

 嫌がらせの応酬にもうちょっと伏線が欲しかったところとか、結局ウソのバレるところがわりとすんなりだったりとか、欲を言えば物足りないところもなくはない。でもトッド・フィリップスはギャグを撮るのが結構うまいです。ちょっとしたくすぐりにも細かい意外性があったりして面白い。基本的なストーリーテリングがしっかりしている人だし、やはりなかなか演出力のある監督なんだと思います。

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アトキンソン、談志、メンツェル(2011年下半期)

 明けましておめでとうございます。旧年暮れあたりからだんだん忙しくなってきて、ブログの更新ペースも落としていますが、これからも少しずつアップしていくのでよろしくお願いします。

 さて2011年下半期にとりあげたのは映画33本、落語CD15枚、テレビが3シリーズの、計51本。

 わりと大きな目玉と言えるのがローワン・アトキンソン特集でした。アトキンソンといえば日本では「Mr.ビーン」が有名でしょうが、本国ではその前に「ブラックアダー」というキャラで知られており、イギリスのシットコムを代表するシリーズのひとつとも言われています。

 キャラクターはビーンと大違い、皮肉屋で超毒舌。この強烈なイメージがあったからこそ、逆に一切しゃべらないビーンがより新鮮に感じられた部分はきっとあると思います。
 また歴史コメディという内容も特徴でしょう。しっかりした脚本と俳優陣で、厚みのあるウェルメイドな出来になっています。

 そしてビーンを挟みつつ、再び皮肉っぽいキャラのシットコムスタイルに帰ってきたのが「シン・ブルー・ライン」。「ブラックアダー」ほどのインパクトはありませんが、堅実な警察署コメディのシリーズでした。



 同じくBBCのコメディで取り上げたのが「エキストラ」。スベリギャグを大フィーチャーした「The Office」のヒットに続いて、リッキー・ジャーヴェイスとスティーブン・マーチャントが放ったシリーズで、セカンドシリーズ後半に力尽きたかんじはありましたが濃い内容でなかなか面白かった。
 ジャーヴェイスは長編映画を初監督した「ウソから始まる恋と仕事の成功術」もなかなか見どころがあったし、今後も注目の人でしょう。



 落語CDの15枚は全て三遊亭金馬です。抜群の口跡の切れ味と分かりやすい内容。そしてポップさにとどまらない練り込みの深さをもしっかり持った名人でした。口調の細かい部分や、案外ブラックなネタも好む漫談スタイルなど、のちの立川談志にかなり影響を感じるんですが、あまりそういう指摘をしている人はいないみたいです。
 その談志の訃報もついに来たかー、というかんじでしたね。MXテレビで「談志陳平の言いたい放だい」のあとを引き継いだ西部邁の番組に、2010年の終わり頃に久しぶりにゲストとして登場したのが最後のテレビ出演だと思いますが、顔色が白くなって抜け殻のような見た目になってしまったのがショックだったのをはっきり覚えています。
 トークは相変わらずの談志節だったけれど、元気なように振舞っていたんでしょう。



 あとは映画の中で印象に残っている作品を挙げておきます。一頭地を抜くのがチェコのイジー・メンツェル監督が2006年に撮った「英国王給仕人に乾杯!」。主人公が歴史に翻弄されていくストーリーは、エミール・クストリッツァの傑作「アンダーグラウンド」にも通じるところがありますね。この作品は大オススメ。

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「英国王給仕人に乾杯!」(2006年・チェコ、スロバキア)


 監督がハワード・ホークス、脚本ビリー・ワイルダー&チャールズ・ブラケットという強力な布陣の「教授と美女」は期待を裏切らない佳作でした。
 あとかなり突っ込んだ政治風刺コメディであり、映画としての面白さとも両立した「スリー・キングス」も良かったな。デヴィッド・O・ラッセル監督はなかなかクレバーだ。

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「教授と美女」(1941年・米)

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「スリー・キングス」(1999年・米)


 アクションコメディも二本挙げておきましょう。優秀すぎるスパイ、デレク・フリントが大活躍する「電撃フリントGO!GO作戦」。若き日のバート・ランカスターがスタントを見せるコメディタッチの活劇映画「真紅の盗賊」。

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「電撃フリントGO!GO作戦」(1965年・米)

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「真紅の盗賊」(1952年・米)


 他にもチェビー・チェイス主演の探偵モノ「フレッチ 殺人方程式」は好きだったな。
 巨匠フェリーニの初監督作「白い酋長」も、のちの傑作群と比べれば全く手堅い内容なんだけど、ニーノ・ロータの音楽とあいまってグッとくるものがある。これはこれで気に入っています。
 キャメロン・クロウの監督二作目「シングルス」はウディ・アレンの影響も感じさせる軽快な群像劇。
 松林宗恵は「東京のえくぼ」以降、森繁のコメディなどとともに、戦記映画も撮っていて秀作がいくつもあります。この人は基本的にかなり上手い監督だと思います。

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「フレッチ 殺人方程式」(1985年・米)

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「白い酋長」(1952年・仏)

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「シングルス」(1992年・米)

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「東京のえくぼ」(1952年・日本)


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リメイクというよりパロディに近い(トッド・フィリップス)

スタスキー & ハッチ [DVD]
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「スタスキー&ハッチ」(2004年・米)
監督 トッド・フィリップス
脚本 ジョン・オブライエン トッド・フィリップス スコット・アームストロング
出演 ベン・スティラー オーウェン・ウィルソン スヌープ・ドッグ フレッド・ウィリアムソン ヴィンス・ヴォーン ウィル・フェレル
"Starsky & Hutch"
Todd Phillips /John O'Brien /Scot Armstrong /
Ben Stiller /Owen Wilson /Snoop Dogg /Fred Williamson /Vince Vaughn /Will Ferrell

 70年代に好評を博したテレビシリーズ「スタスキー&ハッチ」。脚本もなかなかしっかりした良質の刑事アクションドラマでしたが、30年のときを経て復活した本作は、むしろコメディメインと言ってもいいような内容。こんなにはっきり方向性を変えたリメイクも珍しいですね。
 何せ出演者にはベン・スティラー、オーウェン・ウィルソン、ヴィンス・ヴォーン、ウィル・フェレル、と米コメディのいわゆる”フラットパック”の面々が勢揃い。この世代を代表する佳作「ズーランダー」(2001年)にも近いくらいのノリを感じます。

 主役スタスキーとハッチのキャラクターもかなり変えてある。
 スタスキーは熱血なんだけどあまりに真面目過ぎて空回りしてばかり。同僚からもからかわれてしまう存在です。一方のハッチはチャランポラン。融通が利くゆえに裏社会にも顔も通りますが、かといって目立った成果を挙げてるわけでもなさそう。

 正反対のキャラのバディムービー形式になっているわけです。テレビシリーズではふたりにそれほど極端なキャラ付けはしていなくて、むしろ気の合う似たもの同士でした。シリーズもので毎度仲が悪くなって良くなってを繰り返してたら、見ていてウンザリしてしまうでしょうしね。

 あと情報屋のハギーもずいぶんイメージが変わったなぁ。もうちょっとこすっからくて裏社会をうまく渡っているかんじだったのが、むしろ手下を従えた顔役に。刑事に影で協力する男としては、元のほうがイメージに合ってると思います。

 捜査をしていく刑事モノとしてのストーリーはごく単純で、目立った仕掛けはありません。やっぱりこれはアクションコメディですね。ベン・スティラーたちが小さいの頃に夢中で見ていた「スタスキー&ハッチ」を、リメイクというより愛情込めてパロディした映画だ、と言うべき作品ではないでしょうか。
 70年代の映画や音楽へのオマージュも散りばめられていますが、決して映画のタッチとして70年代テイストを目指しているかんじはしませんし。それにスタスキーの髪型だってあえてズラっぽいままにしてるしね。

 クソ真面目なスタスキー、いい加減なハッチ。あとウィル・フェレルの変態っぷりとか、キャラクターごとの笑いもなかなか面白いし、「イージー・ライダー」はじめとするパロディもいいね。こういうギャグのノリが「ズーランダー」と似てるんだよな。
 ラッパー、スヌープ・ドッグの怪しいキャディのシーンもかなり好きです。

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この監督ってパーティ好きだね(トッド・フィリップス)

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「アダルト♂スクール」(2003年・米)
監督 トッド・フィリップス 原作 コート・クランドール トッド・フィリップス スコット・アームストロング
脚本 トッド・フィリップス スコット・アームストロング
出演 ルーク・ウィルソン ウィル・フェレル ヴィンス・ヴォーン エレン・ポンピオ ジェレミー・ピヴェン
"Old School"
Todd Phillips /Court Crandall /Scot Armstrong /
Luke Wilson /Will Ferrell /Vince Vaughn /Ellen Pompeo /Jeremy Piven
 出張から早めに帰ったミッチ(ルーク・ウィルソン)は、奥さんが見知らぬ男女を家に呼んで変態チックな乱交プレイの真っ最中。セックスが目的で浮気ではないと言うものの、あまりにショックで距離を置くことに。
 引っ越した家は大学のキャンパスの中。30年間住んでいた教授が亡くなってちょうど空き家になったそうだ。友達のビーニー(ヴィンス・ヴォーン)はミッチを立ち直らせるために盛大なパーティを開く。

 ところが学生たちを大勢集めた派手なイベントが大学で問題に。「今後学校の施設としてしか使用を認めない」との通達を受け、ミッチとビーニー、そしてもう一人の友達フランク(ウィル・フェレル)は社交クラブを設立することに。

 トッド・フィリップスはそれなりにウマさがある監督だと思うんだけど、パーティムービーとでも言いたいこの手のノリが随分好きなんだな。大学生くらいの若者がわいわいリアクションしながら見そうなかんじの。実際のちの「ハングオーバー!」(2009年)も含め、いわゆるアメリカ的な乱痴気パーティのシーンも必ず入っているし。

 若手の監督が企画モノとして引き受けて職人的に仕上げるのはよくあるパターンですが、好き好んで作るとなると結構変わった趣味だなぁと思ってしまいます。「ロード・トリップ」(2000年)も本作も、脚本にも噛んでるからね。

 「アダルト♂スクール」という邦題だけど、「ブギーナイツ」的な、ポルノ業界をネタにしたような中身ではなく、エロ系下ネタが多めってだけです。
 原題は"Old School"で、おっさん達が大学の社交クラブを設立しようというのがメインストーリー。

 ただアメリカ映画なんかにはよく登場するこの「(大学の)社交クラブ」ってのは日本人にはあまりピンと来ませんよね。やってることは分かるしそれなりに楽しい作品ですが、入団テストのしごきとか、クラブ自体の資格審査とか、たぶんアメリカ人にはもっとアルアルの延長で笑えるんだと思います。

 ルーク・ウィルソン、ウィル・フェレル、ヴィンス・ヴォーンという今や米コメディでおなじみの面々はちょうど売れっ子になろうとしていた時期。トッド・フィリップスは三人のキャラをちゃんと立てているし、ストリーキングのウィル・フェレルのしょーもなさには笑いました。

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ビデオを取り戻す旅(トッド・フィリップス)

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「ロード・トリップ」(2000年・米)
監督 トッド・フィリップス 脚本 トッド・フィリップス スコット・アームストロング
出演 ブレッキン・メイヤー ショーン・ウィリアム・スコット エイミー・スマート
パウロ・コスタンゾ DJクオールズ トム・グリーン
"Road Trip"
Todd Phillips /Scot Armstrong /
Breckin Meyer /Seann William Scott /Amy Smart /Paulo Costanzo /DJ Qualls /Tom Green
 ジョシュ(ブレッキン・メイヤー)は彼女のステファニーと別々の大学に入って遠距離恋愛をすることに。しかし最近は電話も留守がちで不安が募り、ビデオでメッセージを送ろうと考えた。

 しかし友人EL(ショーン・ウィリアム・スコット)のパーティで、ジョシュのことを前々から想っていたベス(エイミー・スマート)と一夜をともにしてしまう。
 間違ってそのときの様子を録画したビデオを郵送してしまったことに気づき、ジョシュは友達のルービン(パウロ・コスタンゾ)、EL、カイル(DJクオールズ)と四人で、ステファニーが受け取る前にビデオを取り返しに行く。ニューヨークからテキサス州オースティンまで約2900キロの旅に出発。

 大学生が主人公のセックスが絡んだコメディは、80年代再評価の流れとともに再び作られるようになりました。軽めの手堅い題材として、また収益もわりと挙げやすいのか、なにやら経験の浅い監督のための登竜門のようにもなっている気がします。
 トッド・フィリップスの初監督作は、この手のコメディをロードムービー形式でまとめた路線。ちなみに以前取り上げた「ユーロトリップ」は2004年の製作ですね。

 もちろんネタは下品なものもあるんだけど、トッド・フィリップスの語り口自体は結構スマートだと思います。あからさまなインパクトを狙い過ぎずサラッと進めようとするところがあるので全体の流れがしなやか。突出した内容があるわけじゃないけど、ちゃんと楽しませてくれる良作に仕上がっています。

 ひ弱で父親の怖いカイル、マリファナ好きで最近欝気味のルービン、それぞれに悩みを抱えているのは定番の設定のしかたでしょう。カイルの父親としてフレッド・ウォードが出演。
 ELは四人の中で一番おバカな役回り。ショーン・ウィリアム・スコットは「アメリカン・パイ」(1999年)でもこんなかんじのキャラだったな。車が無くなって盲学校で調達してくるのはすごい。

 あとこの作品で変わってるのが、旅行のエピソードを友達バリー(トム・グリーン)が語っている形式になっていること。しかもバリーは一緒に行かず留守番してた人のはずなんだよな、なのにどうして旅行のことを詳しく知っているのか。大学八年生でかなりアブなそうなこの男の、ひょっとしたら作り話かもしれないという裏要素も結構面白いところだと思います。完全に飛び道具なトム・グリーンの演技もスパイスとして嫌いじゃない。

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小人に気をつけろ(コリン・ヒギンズ)

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「ファール・プレイ」(1978年・米)
監督・脚本 コリン・ヒギンズ
出演 ゴールディ・ホーン チェビー・チェイス バージェス・メレディス ダドリー・ムーア
"Foul Play"
Colin Higgins /Goldie Hawn /Chevy Chase /Burgess Meredith /Dudley Moore
 車の故障で立ち往生しているボブという男をドライブ中に拾って町まで乗せてあげたグロリア(ゴールディ・ホーン)。ふたりで映画を見る約束をするが、遅れてやってきたボブは「小人に気をつけろ」という言葉を言い残し、何者かに刺されて死んでしまった。

 殺し屋に追い回されることになったグロリア。警察に電話をしてファーガソン警部とカールソン警部補(チェビー・チェイス)がやってくるが、「死体は消えてしまった」という話をなかなか信じてもらえない。

 長らくVHSでしか見られなかった「ファール・プレイ」がようやくDVD化。

 ヒッチコックの「知りすぎていた男」(1956年)を意識したコメディタッチのサスペンス映画ですが、元ネタは知らなくても全く問題なし。むしろ若々しい魅力溢れるゴールディ・ホーンのための映画として見ても楽しい作品だと思います。ブリジット・バルドーのコメディタッチミステリー「気分を出してもう一度」(1959年)のような。

 あとチェビー・チェイスにとっても、本格的な劇映画デビュー作と言っていいようです。1975年から76年まで出演していたサタデー・ナイト・ライヴを抜けて間もなくの時期。それにしてはすでに堂に入った演技なのが結構ビックリです。
 チェビーおなじみの飄々としたドタバタは少なめで、コメディ要素はかなり薄い役どころなんですが、後年の演技と並べても髪がわりとフサフサな点以外に違いは感じられません。

 「フレッチ 殺人方程式」(1985年)や「透明人間」(1992年)とかも見ていて、ウマ面ノッポのこの男が愛されている理由が分かった気がします。ギャグを全面に押し出すときも悪くはないけれど、それよりストーリーの中で主要な役を演じたときのチョイ軽さが絶妙。力の抜けた演技と彼自身のフラ、両方がうまーく作用してるんでしょうね。

 「ファール・プレイ」のコメディ部分を担うのは脇役たち。家をディスコに大改造しているスタンリー、スクラブルに興じるおばさん二人、そして空手をかじっているご近所ヘネシーさん、どれも好きだったなぁ。

 コリン・ヒギンズははじめて監督した作品とあって、中盤に小人のセールスマンがでてくるあたりとか若干タッチの雰囲気が変わってしまったり、終盤のカーチェイスがいまいちスピード感を出し切れていなかったり、実力がまとまりきってはいない感じはあるけれどそんな中でも楽しい作品に作りきりました。

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