行かない旅 - お笑い編

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独立国を作っちゃいました(岡本喜八)

近頃なぜかチャールストン [DVD]
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「近頃なぜかチャールストン」(1981年・米)
監督 岡本喜八 脚本 岡本喜八 利重剛
出演 利重剛 古舘ゆき 財津一郎 本田博太郎 小沢栄太郎 田中邦衛 殿山泰司
 不良少年次郎(利重剛)は婦女暴行未遂で留置場へ。するとそこにはお互いを「総理大臣」「外務大臣」などと呼び合う爺さんたちがいた。「ヤマタイ国」と称して独立国ごっこをしている彼らは現在、偶然にも失踪した次郎の父親が持っていた家に上がりこみ、生活しているという。

 新聞や牛乳のコソ泥の罪をなすりつけられてしまった次郎は、仕返しするために「ヤマタイ国」へ乗り込むが逆に捕まってしまう。そして刑を免れるかわりに亡命・帰化し、「労働大臣」としてその家で働くことになった。

 岡本喜八監督の未見作だった一本。

 今は失踪した次郎の父の家に許可を得て住み着いているとはいえ、もともと「ヤマタイ国」の大臣たちは浮浪者も同然。「大蔵大臣」の貯金やギャンブルの稼ぎなどで生活し、牛乳や新聞は近所からちょろまかしたりしています。
 立ち退きを迫られても「独立国」として拒否。…といっても漫画「沈黙の艦隊」のような途方もない計画があるわけじゃなく、単にちょっと頭のオカシな迷惑な人たちなだけなんだけどね。けれど立ち退きを要求する家主側には危ない裏事情があるようです。

 「ヤマタイ国」の状況を、第二次大戦の頃の日本と重ね合わせる政治風刺コメディ。しかし風刺と言っても日本を自虐的にコキ下ろすことはなく、かといってノスタルジーで美化するわけでもなく、政治的なメッセージからは突き放されている。こんな乾いたコメディは日本だと岡本喜八にしか作れないじゃないかな。
 キャラクターたちへの感情移入はしずらい部分はあるけど、そもそも世界観全体が戯画的で少し現実離れしているからok。いくら撃ってもターゲットに命中しない殺し屋や、ドジ刑事本田博太郎のあからさまな過剰演技とかね。

 そんな中、田中邦衛が演じる元ヤクザの「陸軍大臣」はかっこいい役どころだったな。あ、でも登場人物それぞれに見せ場を作ってちゃんとキャラを立てています。この辺はさすが手練の技というかんじ。
 それに強力なこのワンアイディアに終わらず、保険金詐欺というミステリー要素をうまく絡めて膨らませているのにも感心します。

 ATG作品なので画面のチープさはあるし、ノビノビ撮ったアクの強さもまた人を選ぶでしょう。入門には東宝諸作がいいと思うけれど、喜八ファンとしてはやっぱりこれも見落とせない作品ですね。それにしても二回出るタイトルにはビックリしたなー。

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”女装している男”を演じる女(ブレイク・エドワーズ)

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「ビクター/ビクトリア」(1982年・英、米)
監督・脚本 ブレイク・エドワーズ 音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 ジュリー・アンドリュース ジェームズ・ガーナー ロバート・プレストン レスリー・アン・ウォーレン
"Victor Victoria"
Blake Edwards /Henry Mancini /
Julie Andrews /James Garnerk /Robert Preston /Lesley Ann Warren
 仕事がなくてろくに食事もできないでいる歌手のビクトリア(ジュリー・アンドリュース)。昔は片田舎のオペラ団でリードをとっていたが、パリのナイトクラブには上品過ぎて敬遠されがち。

 しょうがないのでレストランで無銭飲食をすることに。料理に虫が入っていた、と言い張る作戦。そこへクラブのオーディションを横で見ていたトディ(ロバート・プレストン)が通りかかる。ゲイのクラブ歌手である彼もまた、ケンカ騒ぎを起こして仕事をクビになったばかり。文無し同士、無銭飲食につきあうことに。

 翌日、ビクトリアが服を借りて家に帰ろうとするところを見て、トディはピンとひらめいた。「女装しているゲイ歌手」として売り出せば大当たりするのではないか。さっそくふたりは芸能事務所に売り込みに行く。

 女のビクトリアが「女装している男」を演じる。頭で考えるとこんがらかりそうな設定を中心にして、シカゴの興行師キング(ジェームズ・ガーナー)との恋愛コメディが絡んできます。

 キングだけは本当は女だと見抜いて、ビクトリアと相思相愛になるのですが、周りは知らないので当然ゲイカップルだと思われてしまう。ゲイ差別する気はないつもりだけど、やっぱりゲイじゃないのにゲイだと思われるのは抵抗がある。ましてや興行師として裏社会とも繋がりあるタフガイのイメージとはかけはなれています。

 ブレイク・エドワーズ監督作ですが、今回ドタバタコメディは控えめ。でも名作「ティファニーで朝食を」(1961年)で示されているとおりロマンチックな恋愛を描ける人で、実はそっちの路線のほうが合ってるんじゃないか、と僕はずっと思い続けています。

 コメディ要素はセリフによるものが多くて、どうやらルビッチやワイルダーのようなクラシックなスタイルに挑戦しようとしているようにも見えます。でもああいう粋なセリフ回しは、やろうと思ってなかなか簡単にできるものではないようで。軽妙なやりとりを狙っているとしたらちょっと不発かなぁ。

 展開も全体的に丁寧すぎてまったり。133分という上映時間はミュージカル映画だと普通にあるサイズですが、よく見ればワンアイディアがベースのストレートな恋愛コメディといってもいい内容だから、100分くらいで軽快にまとめるくらいが良かったのではないでしょうか。

 ちなみにセリフの代わりに歌を歌うわけではないのでミュージカル映画でもありません。歌はすべて、あくまでナイトクラブのステージで披露するシーンとしてでてきます。
 でもそれらジュリー・アンドリュースの歌声は皆素晴らしい。やはりこれが映画の一番の見所となるでしょう。曲はもちろんヘンリー・マンシーニ。あとゲイ歌手トディを演じるロバート・プレストンのほうの歌もなかなか味があります。

 実夫ブレイク・エドワーズは、「テン」(1979年)のときといい、奥さんの豊かな才能を生かす眼力は確かですね。あんまり近くにい過ぎると客観的に見られなくなっちゃいそうですが、この夫婦はとても珍しい成功パターンか。

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10点満点中11点の女(ブレイク・エドワーズ)

テン [DVD]
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「テン」(1979年・英)
監督・脚本 ブレイク・エドワーズ 音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 ダドリー・ムーア ジュリー・アンドリュース ボー・デレク ロバート・ウェバー
"10"
Blake Edwards /Frank Waldman /Henry Mancini /
Dudley Moore /Julie Andrews /Bo Derek /Robert Webber
 作曲家として成功したジョージ(ダドリー・ムーア)は42歳の誕生日を迎え、自分の年齢に気落ちしている。妻のサム(ジュリー・アンドリュース)とはつまらないことで張り合ってケンカに。

 そんなある日の道すがら、結婚式場へ向かう車に乗っていた見知らぬ花嫁に一目惚れする。

 ジョージは成功してビバリーヒルズの高級住宅街住まい。ところが人生も後半に入ってむなしさを感じています。第一線で仕事に打ち込む時期は終わった。若い女性と遊んだり恋愛したりするような歳でもない。奥さんとは倦怠期気味。

 生きがいや目標を見失ってなんとなく不安定になっているとき、通りすがりの女性に一目惚れしてしまいます。相手はしかも今から結婚しようという花嫁。しかしどうしても我慢しきれず、一体誰なのか調べはじめます。

 浮気心というのとはまたちょっと違うでしょう。もちろん下心がないとはいいませんが、新婚ホヤホヤの女性を追いかけてどうにかなると本当に思っているわけでもない。
 ただ人生を見失ったジョージは、最高の目標を見つけたと信じたかったんでしょうね。いや、すべてを投げ打っても惜しくないような恋愛になんて、発展するはずがないんだということを一応確認しておきたかったのかも。

 もともとのアイディアは単に無謀な浮気のドタバタコメディだったのかもしれませんが、そんな不安定な中年の心境が全体を哀愁こめてまとめています。軽いドタバタギャグはいいスパイスになっている。あとブレイク・エドワーズとおなじみのコンビ、ヘンリー・マンシーニの音楽が今回も効いてますね。
 ジョージは少し時代遅れのスタイルになってしまった作曲家で、これはマンシーニ自身も重ねられているキャラだと思います。

 キャラといえば、セックス狂いのお隣さんはかなり強力ですね。ストーリー的にはたいした役割は持っていないのにインパクトが強いのは、考えてみれば「ピンク・パンサー」のケイトー系と言えるかも。隣どおしいつも互いに望遠鏡で覗きあっています。ジョージの家のほうは覗いてもたいして面白くなさそうだけどね。

 中盤お隣に乗り込むあたりの流れが唐突だったり、後半若干ダラダラ続いてしまう部分もありますが、全体のテイストは結構好きです。ちょっとだけアレン映画っぽくもあるかな、精神科医もでてくるし。
 ちなみに奥さんサムを演じているジュリー・アンドリュースは、ブレイク・エドワーズの実の奥さん。健康的なミュージカル映画のイメージが強いジュリーに、艶笑コメディというまったく違う土俵の中で、無理なく生き生きした役どころを与えていて、さすが旦那の眼力。

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神出鬼没(ブレイク・エドワーズ)

ピンクパンサー2 [DVD]
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「ピンク・パンサー2」(1975年・英)
監督 ブレイク・エドワーズ
脚本 ブレイク・エドワーズ フランク・ウォルドマン
音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 ピーター・セラーズ クリストファー・プラマー カトリーヌ・シェル
ハーバート・ロム ピーター・アーン バート・クウォーク
"The Return of the Pink Panther"
Blake Edwards /Frank Waldman /Henry Mancini /
Peter Sellers /Christopher Plummer /Catherine Schell /
Herbert Lom /Peter Arne /Burt Kwouk
 中東ルガシュ国の象徴でもある世界最大の宝石”ピンク・パンサー”が再び盗まれた。皇太子直々の指名により、以前盗まれたときに取り戻してくれたパリのクルーゾー警部(ピーター・セラーズ)が捜査を依頼される。

 現場には怪盗ファントムのイニシャルが入った手袋が残されていた。クルーゾーはファントムの正体と言われるリットン卿(クリストファー・プラマー)を追う。一方のリットン卿は事件を知って、自分にかかる疑いを晴らすため真犯人を探す。

 宝石”ピンク・パンサー”を巡る映画としては「ピンクの豹」(1963年)の続編。リットン卿を演じていたのはデヴィッド・ニーブンでした。このとき準主役だったクルーゾー警部を主役に格上げしたのが「暗闇でドッキリ」(1964年)であり、晴れてクルーゾーが主役の”ピンク・パンサー”としてカタチの整ったのがこの「ピンク・パンサー2」。

 これまではブレイク・エドワーズが撮るピーター・セラーズのドタバタギャグに不満だったけれど、今回はわりとチマチマした印象が薄れ、だいぶ動きの勢いも感じられるようになってきました。昔見たのはトリミングされたビデオだったけれど、DVDで見ると間延びしたかんじもないですね。ギャグの中身はベタベタだけどそれもまたよきかな。

 でも一番ナンセンスで面白いのは神出鬼没のケイトーだよなー。いつどこから襲い掛かってくるのか、二回目なんて全然予想できなかったし。見ているほうとしても不意打ち。で相変わらずクルーゾーの反撃は卑怯すぎます。

 考えてみればケイトーというキャラのナンセンスさはかなり際立っていますね。年代的にはこの年にサタデー・ナイト・ライヴがはじまるわけだけど、SNLより前の世代のコメディにはあまり出てこないセンスのような気がします。
 何の脈絡もなく登場し、ストーリーには何の影響もあたえずすぐ去っていく。飛び道具として嫌味すぎず、けれどインパクトは大きい。クルーゾーあってのケイトーですが、コメディ史に残る名キャラクターに数えられるのは間違いないでしょう。

 もうひとり、ピンクパンサーシリーズに欠かせないキャラ、ドレフュス主任警部はクルーゾーのせいですっかり精神衰弱状態。こちらのほうは意外なところでストーリーに絡んできます。

 シリーズの様式がだいぶ整ってきた「〜2」。これならもうちょっと続編を見ていきたいんだけれど、なぜかレンタルだと「〜3」以降のDVDは扱っていません。なぜなぜ?

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招かれざる客(ブレイク・エドワーズ)

パーティ [DVD]
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「パーティ」(1968年・米)
監督 ブレイク・エドワーズ
脚本 ブレイク・エドワーズ トム・ウォルドマン フランク・ウォルドマン
音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 ピーター・セラーズ クロディーヌ・ロンジェ
"The Party"
Blake Edwards /Tom Waldman /Frank Waldman /Henry Mancini /
Peter Sellers /Claudine Longet
 インド人の新人俳優バクシ(ピーター・セラーズ)は、撮影現場でセットを木っ端微塵にするトラブルを起こす。当然映画会社社長の逆鱗に触れて出入り禁止に。
 ところが手違いから、その社長宅でのパーティの招待客名簿にバクシの名前が載ってしまった。

 ストーリーらしいストーリーは一切なし。ピーター・セラーズ演じるバクシというおっちょこちょいのキャラクターが、パーティでトラブルを起こしまくるだけという内容です。長編映画としては逆に珍しいタイプですね。

 僕はブレイク・エドワーズとピーター・セラーズのコンビが苦手なようで、ギャグの熱が感じられなくてどうしても乗り切れないんだよなぁ。セラーズのイギリス時代の作品ではそう感じたことはなかったし、ブレイク・エドワーズのセラーズ絡みじゃない作品は面白いと思うから相性の問題なのか。なんでセラーズを撮るエドワーズの画面はいつもあんなに死んで躍動感がないんだろう。そう感じるのは僕だけなんだろうか。

 ギャグの中身はすごーくベタなドタバタの連発で、それ自体は嫌いじゃないんだけどな。100分弱の尺は長く感じなかったので、そこは監督がうまく展開をつけていたおかげなんでしょう。細切れにならないよううまく一本の映画にしています。

 パーティ会場にはスター俳優のケルソや、女優の卵ミシェル(クロディーヌ・ロンジェ)など、映画業界の人たちがたくさんいるようです。バクシのほかにもう一人、いつも酒を飲んでばかりのウェイターがボケ役のキャラ。
 終盤はベトナム戦争の反戦デモに参加した帰りの若者たちが登場。60年代後半という時代に作られた映画だということを思い出させられます。カオスになっていくパーティ会場で、泡に埋まっていくバンドマンたちは結構好きだったな。

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とりあえず祭りが先(ブレイク・エドワーズ)

地上最大の脱出作戦 [DVD]
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「地上最大の脱出作戦」(1966年・米)
監督 ブレイク・エドワーズ 原案 ブレイク・エドワーズ モーリス・リッチリン
脚本 ウィリアム・ピーター・ブラッティ 音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 ジェームズ・コバーン ディック・ショーン セルジオ・ファントーニ ジョヴァンナ・ラッリ
"What Did You Do in the War, Daddy?"
Blake Edwards /Maurice Richlin /William Peter Blatty /Henry Mancini /
James Coburn /Dick Shawn /Sergio Fantoni /Giovanna Ralli
 第二次世界大戦中のイタリア・シシリー島。ヴァレルノ村をイタリア軍の一個中隊が占拠しているとの情報から、歴戦のベテランC中隊を率いて、キャッシュ大尉(ディック・ショーン)が攻め落とす任務を受ける。

 ところが村に到着してみると、イタリア軍の中隊はいきなり投降してきた。その代わり今日は村を挙げてのお祭りの日だから、撤退は明日に延ばしてそのまま祭りをやらせて欲しいと言う。

 激しい戦闘を覚悟して侵入した村で、オポ大尉をはじめとする陽気なイタリア人たちの歓迎ぶりに面食らうキャッシュ大尉。教科書どおりの対応しかできない彼をフォローしてくれるのが副官のクリスチャン少尉です。実戦経験豊富で、機転を利かせてうまくその場をまとめてくれます。

 この三者の対比だけでもかなり面白いですね。全体のアイディアは少し「まぼろしの市街戦」に通じるところがあります。奇しくも両作品とも1966年の制作。

 イタリア兵、村人たち、米兵入り乱れての乱痴気騒ぎの翌朝。急遽情報部のポット少佐が情勢視察に訪れます。交戦中だと言って投降を一日引き伸ばしたので、戦っているふりをしてなんとか誤魔化さなければならない。もはや作戦の相手はイタリア兵でなく、米軍の上官たちになってしまいました。
 強引な嘘八百を並べ立てるクリスチャン少尉がイイなぁ。ジェームズ・コバーンがよくハマっています。それにもまして上手いのがディック・ショーン。ジーナの色気に負けて結局泥酔してしまったキャッシュ大尉のドタバタギャグをいきいき演じきっています。

 脇役のドタバタも面白くて、これは役者がツボを心得ているのもさることながら、ブレイク・エドワーズの演出手腕なのかもしれないな。ウディ・アレンみたいなメガネをかけた兵士なんか、さほど大きな役どころではないのに印象に残りました。「ピンク・パンサー」では感じられなかった力量です。

 そしてさらにさらに展開は重なります。イタリアには、欧州でともに戦う同盟国がいましたよね。彼らが乗り込んできてしまうのです…。

 他にもマヌケな泥棒二人組みや、村人の中にも企みをめぐらすグループが現れたり、凝りすぎなくらい凝ったストーリー。そういえば一体いくつの立場があったんだろうなぁ。
 女装ネタや入れ替わり、死体ネタもあるし、アイディアを詰め込めるだけ詰め込んで、詰め込み過ぎかもしれないけれど、115分もあっという間。かなり面白い戦争コメディの佳作です。

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史上最長のカーレース(ブレイク・エドワーズ)

グレートレース 特別版 [DVD]
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「グレートレース」(1965年・米)
監督 ブレイク・エドワーズ
脚本 ブレイク・エドワーズ アーサー・A.ロス 音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 トニー・カーティス ジャック・レモン ピーター・フォーク ナタリー・ウッド
"The Great Race"
Blake Edwards /Arthur A. Ross /Henry Mancini /
Tony Curtis /Jack Lemmon /Natalie Wood /Peter Falk /Burt Kwouk
 危険な興行で人気をとっているレスリー(トニー・カーティス)はアメリカの自動車会社と提携して、前代未聞の大会を企画した。それはニューヨークを出発してパリのゴールを目指すという史上最長の自動車大レース。
 常々レスリーの人気を妬んでいた同じく興行師のライバル、フェイト教授(ジャック・レモン)も参戦を決定。その他、全六台の参加でレースはスタートした。

 調べてみると1908年に実際行われたニューヨークからパリまでの自動車レースをモチーフにしているようで、ネット上に当時のニュースを紹介してくれているところもいくつかあります。実際はゴールまで五ヶ月くらいかかったようですね。

 映画的にはまず「八十日間世界一周」(1956年)の影響が大きいでしょう。上映時間はどちらも160分ほど。10年経って、もう一度あのような作品を作ってみようと企画が持ち上がったのでは。超大規模なロードムービーなので、各地の環境や文化の違いがガラッとシチュエーションを変えていって華があります。

 ブレイク・エドワーズはとてもマンガチックな表現をしていて、のちのティム・バートンの初期作品とかを思い出すくらい。今回はノートリミングのDVDで見たのでしっくりきました。
 こういうデフォルメされた表現は、作りこみに加え、画面の構図の力なども込みで成立させているから、トリミングバージョンだとうすら寒く見えたりしていけませんね。

 ギャグはベタベタのドタバタだけどそれもまた良し。ヘンリー・マンシーニのノスタルジックな音楽が素晴らしくて、うまく映画の世界観を包み込んでいるんだと思います。でも酒場の大喧嘩シーンのスタントなんかはずいぶん激しい。人がビュンビュン壁に突っ込んだりして。
 あと当時の女性解放運動もスパイスに加えていますね。

 出演陣ではナタリー・ウッドがすごく魅力的。くるっとカールした髪型とか、スタイルも良くてマンガチックなファッションが映えるなぁ。白い歯キラリと光るトニー・カーティスはイイ体を見せるため、わざわざもろ肌脱いで格闘します。
 敵役のジャック・レモンは悪くないけど、彼の素晴らしさを感じられる映画はもっと他にあるな。与太郎皇太子との二役は見せ場ではありますが。助手を演じるのはピーター・フォーク。

 展開はレスリーとフェイト教授の2チーム5名に絞っているのですが、作品規模を考えるともう少しいろんなチームが競う映画にしても良かったかもしれない。まあでも160分の長尺を飽きず気楽に楽しめる作品です。

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セラーズの一面にしか過ぎない(ブレイク・エドワーズ)

暗闇でドッキリ [DVD]
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「暗闇でドッキリ」(1964年・米)
監督 ブレイク・エドワーズ 原作 ハリー・カーニッツ マルセル・アシャール
脚本 ブレイク・エドワーズ ウィリアム・ピーター・ブラッティ 音楽 ヘンリー・マンシーニ
出演 ピーター・セラーズ エルケ・ソマー ジョージ・サンダース ハーバート・ロム バート・クウォーク
"A Shot in the Dark"
Blake Edwards /Harry Kurnitz /Marcel Achard /William Peter Blatty /Henry Mancini /
Peter Sellers /Elke Sommer /George Sanders /Herbert Lom /Burt Kwouk
 バロン氏(ジョージ・サンダース)の屋敷で射殺事件が発生、クルーゾー警部(ピーター・セラーズ)が捜査にあたる。
 第一発見者の執事モーリスによれば、メイドのマリア(エルケ・ソマー)が死体の横で銃を持って立っていたという。しかしクルーゾーは別の真犯人がいるのではないかと疑う。

 見直し含め、ブレイク・エドワーズ監督作をいくつか取り上げようと思います。まずは「ピンク・パンサー」シリーズの二本目にあたるこの作品。ドレフュス本部長(ハーバート・ロム)や使用人のケイトー(バート・クウォーク)ら、シリーズおなじみのキャラクターが登場したのもココからです。

 それにしても見直してみて、やっぱりあまりピンと来ない作品でした。

 クルーゾー警部はピーター・セラーズが演じた中でひときわ知名度の高い役でしょうが、イギリス時代の作品をたくさん見てみると、彼の魅力の一面しか引き出していないキャラのように思えます。
 実際見比べてみると、スティーヴ・マーティンは思ったよりはクルーゾーらしさを捉えているのかもしれない。やっぱりセラーズの都会的なフラとの違いは感じるけれど。

 でもこの作品の一番の問題はブレイク・エドワーズじゃないかな。ヘタな人だとはまったく思いませんが、ドタバタコメディには向いているのだろうか。画面作りが落ち着き過ぎです。
 確かにギャグにあざとい演出は禁物なんだけど、ここまで距離を置くと訴えかける力が半減してしまうような気がします。

 クルーゾー警部のギャグの中身だけ見直してみると、いい加減な推理やトンチンカンな言動などなど、結構好みの小ネタの数々なんだけどなぁ。ミステリー映画のパロディとしての展開はちゃんとオチをつけ、90分ほどにまとめてあるのでそれなりに楽しめます。

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知的だけれど都会的ではない(ハラルド・ズワルト)

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「ピンクパンサー2」(2009年・米)
監督 ハラルド・ズワルト
脚本 スコット・ノイスタッター マイケル・H・ウェバー スティーヴ・マーティン
出演 スティーヴ・マーティン ジャン・レノ アルフレッド・モリーナ アンディ・ガルシア 松崎悠希
アイシュワリヤー・ラーイ ジョン・クリーズ エミリー・モーティマー
"The Pink Panther 2"
Harald Zwart /Scott Neustadter /Michael H. Weber /
Steve Martin /Jean Reno /Alfred Molina /Andy Garcia /Yuki Matsuzaki /
Aishwarya Rai /John Cleese /Emily Mortimer
 ”トルネード”と名乗る泥棒が10年ぶりに活動を再開、世界の重要文化財を立て続けに盗み続けている。そこで各国の警察でドリームチームを結成することとなり、以前宝石”ピンクパンサー”盗難事件のときに功績のあったクルーゾー警部(スティーヴ・マーティン)がリーダーに推薦された。

 スティーヴ・マーティンでリメイクされた「ピンク・パンサー」(2006年)の続編です。前作を見たときに書いたのを読むと、ボチボチ面白かったみたいなんだけど正直ほとんど覚えてない。
 今回ドレフュス主任警部を演じるのはジョン・クリーズに変わりました。体を張ったギャグのシーンは年なのによくやるなぁ。70歳がやるギャグじゃないよ。

 怪盗”トルネード”を追うのは、各国選り抜きの捜査官を集めたドリームチームです。日本人捜査官松戸はテクノロジーに長けている。まだこのイメージは通用するんだな。髪型のイメージは松田優作か。アンディ・ガルシア演じるイタリア人捜査官は女好き。

 それにしても全体的に感じるのは、やっぱりスティーヴ・マーティンとピーター・セラーズってタイプが全然違うなぁということです。

 スティーヴ・マーティンは確かに背後に知性を感じさせます。スタンダップコメディやSNL時代のコントのときからそうでした。それでセラーズの代わりという大任を任されたんだろうけど、でも彼って知的ではあっても都会的ではないんだよね。テキサスの土の匂いを感じさせるモッサリ感とでもいうか、それが芸風にバカバカしいナンセンスな味を加えています。例えばニューヨーカーのウディ・アレンとははっきり違う。

 だからクルーゾー警部的なギャグのシーンをやるたびに、どうも他人の上着を羽織ってるような居心地の悪さがあって笑えません。ドタバタもやる人のはずなのに、ピンクパンサーっぽいことをやろうとすると似合わない。
 そんな中でたまーに出てくる、スティーヴ・マーティンを感じさせるギャグのシーンはクダラなくてとても面白いんです。指パッチンのくすぐりとか、教皇への取調べシーンとかはかなり好きです。でもそれは全体から見ればわずか。

 監督はそれなりにまとめてはいます。だからこそこれなら「ピンクパンサー」としてでなく、スティーヴ・マーティンの警察コメディのほうが見たかったなぁ。例えば彼主演の軍隊コメディ「Sgt.ビルコ」(1996年)、これも作品としてはそんなに突出したものでなかったけれど、好感が持てます。

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”大陸横断珍道中”系コメディ(トッド・フィリップス)

デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜 [DVD]
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「デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜」(2010年・米)
監督 トッド・フィリップス
脚本 アラン・R・コーエン アラン・フリードランド アダム・スティキエル トッド・フィリップス
出演 ロバート・ダウニー・Jr ザック・ガリフィアナキス ミシェル・モナハン ジェイミー・フォックス
"Due Date"
Todd Phillips /Alan R. Cohen /Alan Freedland /Adam Sztykiel /
Robert Downey, Jr. /Zach Galifianakis /Michelle Monaghan /Jamie Foxx
 建築家のピーター(ロバート・ダウニー・Jr)は妻の出産に立ち会うため、仕事先のアトランタからロサンゼルスへ帰る。ところがイーサン(ザック・ガリフィアナキス)という男に旅行かばんを取り違えられた上、飛行機ではテロリスト扱いされて搭乗拒否になってしまう。

 財布がないので立ち往生、仕方なくイーサンが借りた車に同乗してアメリカ大陸横断の旅に出発する。

 ヒット作「ハングオーバー!」(2009年)は見かけほどコメディ要素はなくて、本質的にはミステリー映画のように感じたので、迷ったけどブログで取り上げるのは見送り。作品としてはわりと面白かったですけどね。

 翌年撮ったのが本作「デュー・デート〜」です。有能だけど若干自己中な建築家と、変わり者の男、このデコボココンビがアメリカ大陸横断の旅をするはめになるというストーリー。
 大陸横断の旅、というシチュエーションは「ロード・トリップ」(2000年)でも使っていたなぁ。劇中「コーチが選手たちをロッカールームで激励するようなシーンの出てくる映画は、二年に一本はある」なんてセリフがあったけど、アメリカを横断するコメディもそれくらいあるんじゃないか。

 「ロード・トリップ」と違ってこの作品はデコボココンビ、ピーターとイーサンのふたりの印象しかないのでこじんまりしています。製作費は「ハングオーバー!」の倍近いようだけれど、全然そうは感じませんね。
 変わり者イーサンのキャラのための映画といってもいいかもしれません。粗雑でめんどくさいこの男と付き合わされて災難なのはピーター。

 災難で思い出したけど、この映画のベースはジョン・ヒューズの「大災難P.T.A.」(1987年)とそっくりだな。ギャグにはトッド・フィリップスらしいセンスがあって、そういう意味ではこの監督にハズレなしでしょうが。
 うまくまとめていつものセンスを楽しませてくれるけど、似たタイプの作品が多く、器用さの部分は良くも悪くも。気楽に90分楽しんであとは何も残らない、アメリカの若者向けにひたすら消費されていくような作風は、たぶん本人も分かってやっているんだとは思いますが、こういうものしか作らないのか、作れないと言うべきなのかは微妙なところです。作風そのものが飽きられたり時代に合わなくなったりしたら終わり、か。

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