「セカンド・サークル」(1990年)
監督 アレクサンドル・ソクーロフ
"Krug vtoroy (The Second Circle)"
Aleksandr Sokurov


 アレクサンドル・ソクーロフ監督。大雑把に言えばタルコフスキーなどのような、映像や色使いなどの表現に重きを置く、ロシアのいわゆる映像派監督。最近まとめて何本も見ています。監督としては、うーん…どれもちゃんと分かるようにはできているので、言うほど難解とは思わないけど、ズバ抜けた強度と魅力を感じさせる作品ってのはまだ見られない。

 さて、どー考えても笑いを扱うブログで登場する名前ではありませんが、ではなぜ取り上げるかと言うと、この「セカンド・サークル」という映画、後半がどう見ても喜劇なんだよなぁ。

 えっと、今回はコメディとしてオススメとか、質が高い、とかそういう話ではありません。まあ軽い余談と思って。

 話は父親を亡くした若者が、死亡の報せを聞いてから葬儀を終えるまで。

 ストーリーにはほとんど説明がなく、前半は不思議な色使いの映像で、父親が死んだショックに沈む若者をゆーっくり描きます。

 葬儀屋の女性がやってきて埋葬の打ち合わせ。他に身寄りのない父親なので葬式などもなく、とまどいながらも若者ひとりで相談します。
 しかし一通り相談が終ってみて、若者は財布を盗まれていることに気付き、葬儀屋の女性は帰る。

 父親の死後処理と、まだ落ち込む若者をじーっくり映して、一変するのはココから。

 親切な葬儀屋の女性は一旦費用を立て替えて納棺と埋葬の作業をしに来ますが、親切でやってるとは言えこんな損な役回りに怒り心頭。父を亡くした悲しみと初めての葬儀へのとまどいで、いつまでも全然テキパキしない若者にイライラを募らせて、ちっとも噛み合いません。

 これがどう見ても喜劇なんだよなぁ、ひたすらスローテンポのそれまでが前フリで。監督も役者への演出を喜劇的に付けていると思われるし。SMの女王様がごとき威圧感の葬儀屋の女性と、イチイチ要領を得ずぐだぐだ行動する若者。

 伊丹十三監督「お葬式」のソクーロフ版、と言ったら大袈裟だけど。

 でも葬式のときのドタバタを喜劇的に捉える感覚はどこの国にもあるのだなぁ、と思ったので今回ブログに書いてみました。

 ちなみに「セカンド・サークル」の作品としての出来はそんな大したものでもありません。まあまあくらい。前半やラストに印象的な色使いのシーンがいくつかあったので。