あわただしく8月が終わろうとする頃、私たち〈スワロウカフェ〉は経ヶ岬と高島へ足を運びました。経ヶ岬はこのblogでも度々お伝えしているように、米軍Xバンドレーダー基地建設予定地です。高島は、オスプレイを使った日米合同軍事演習が10月に行なわれる場所です。

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経ヶ岬へ

















京都市内から経ヶ岬までは高速道路を乗り継ぎつつ、車で3時間ほど。京都市内を抜けると、山や川がつづき、そこを抜けると日本海が広がっていました。道の駅の直売所で、地元のおじいちゃん、おばあちゃんとおしゃべりをして、地元のおいしいミニトマトや豆の煎ったお菓子などをいただきました。

到着した経ヶ岬のまわりは、一面の田畑でした。稲穂の匂いが鼻に入り込みます。田んぼが吹いている風を受け止め、波のようにしなっていました。若狭国定公園内でもあります。

そして、突然現れたのが自衛隊の基地。建物を緑色にしてまわりの風景に溶け込もうとしているようですが、田畑、山と海の景色からすると、かなり異様な物質感。沖縄の高江や辺野古で、米軍基地が生理的な嫌悪感とともに映ったのを思い出しました。
自衛隊基地



















自衛隊基地2














 

米軍建設予定地の傍らに、通称「穴文殊」と呼ばれる清涼山九品寺があり、訪れました。お寺のパンフレットによると「境内は千古の老松が生い茂り、二町余りの松林は日本海に突出して数町歩の面積があり、堂宇の背後、松林の窮まっている所は玄武岩で十数米の絶壁、しかも奥底の知れない一大洞穴があり、これを穴文殊という呼称のある所以である[…]東は経ヶ岬の燈台を臨み、西は丹後松島と呼称される絶景をはさんで、北陸の奇景東尋坊にも劣らない絶壁の巌頭、千古の怪松老幹、盤根龍伏している様子は、実に日本海沿岸にも稀に見る絶景である」。穴文殊は知恵の神様としても有名だそうです。ちなみに、京都府は穴文殊を「緊急に保護を要する地形・地質・自然現象」に定め、「レッドデータブック」に登録しています。米軍基地建設が行なわれることによって、穴文殊の「地形・地質・自然現象」はさらに「緊急に保護を要する」ものとなるでしょう。京都府の対応は矛盾だらけです。





そんなことを考えながら歩いていると、「ぜひお参りしていってください」と地元の方に声をかけていただきました。ありがとうございます、お邪魔します、とお返事をし、「この土地を守って下さい」と静かに手を合わせました。

お寺をお参りしていると、その背後に自衛隊基地のフェンスが見えました。この自衛隊基地のなかに米軍のXバンドレーダーが設置される予定です。
Xバンド設置地
















フェンス越しに、既に建設に向けたボーリング調査が行なわれているのが確認でき、とても驚きました。受入をめぐってたくさんの反対の声があがっているにもかかわらず、誰が、どのような権限で、どのお金を使ってやっているのでしょうか。その後、自衛隊基地の外の民有地でもボーリング調査が始まったと聞いています・・・。
ボーリング調査
















また、お寺のパンフレットが誇りながら記述している老松の一部は、米軍から伐採を求められるだろうとの話も聞きました。村では穴文殊で毎年夏祭りをしているそうです。きっと地域の大切なシンボルであったり、寄り会う場所なのだろうなぁと思いました。貴重な自然と文化の遺産を、軍事基地建設によってばっさりと切り落としてしまう。この土地の歴史や誇りが破壊されるようで、胸が痛みました。こんなことでよいのだろうか。

さて、地元の方によれば、Xバンドレーダーが設置され、米軍基地となることによって、160名以上の米軍人・軍属が駐在することになるそうです。この人数は決定ではなく、防衛省の説明が二転三転しており、もっと増えるのではないかという意見もありました。また、米軍の管理棟や簡易な宿泊・滞在施設、電源設備、冷却設備なども設置し、運用するため、新たに約5haの土地をなかば強制的に買い上げ・借り上げて米軍基地建設をする計画があります。沖縄以外では、民有地を買い上げ・借り上げて米軍基地にする事例はほとんどないのではないか、という声も聞かれました。

穴文殊を背にして、真横が建設予定地です。見てみると、静かな田畑が広がっていました。新たな米軍基地がつくられれば、穴文殊をぐるりと取り囲むように軍事基地ができあがることになります。田畑の向こうには、緑色のこんもりとした山々、周辺の集落と田んぼが続いています。
基地建設予定地1


















基地建設予定地2
















また、米軍人・軍属は、基地周辺数kmの範囲内のさまざまなところに宿泊・滞在することになるだろうと言われています。基地と宿舎の往復は、当然自動車が使われるでしょう。米兵は娯楽を求めて、遠い場所まで車を走らせるでしょう。沖縄の現状をみても、すべての交通事故やトラブルは「公務中」であることを言い訳に、日米地位協定によって捜査や起訴ができない可能性が高いです。自分の身が痛まない米兵は、この静かな集落とその周辺でどのように過ごすのでしょうか。地元の方によれば、戦後の占領期に、一時、米軍がこの土地を占領していたことがあるそうです。「米軍基地建設の計画を聞いて、当時の、特に女性の嫌な思い出が蘇る」と語る方もいらっしゃるとのこと。一見穏やかな目の前の土地の、歴史の複雑な地層に触れた気がしました。

そもそもXバンドレーダーとは、1000km離れた場所にある10cm単位の物体を認識する超強力な電波を発する軍事設備です。設置予定地から200mもすれば人家がたくさんありました。
棚田2
















(海につきでた岬が建設予定地。そのまわり家が多いことが分かります。そして海と田畑の美しさ)

こんな電波が人体や動植物に影響がないわけないと思うのですが、京都府は参与会をつくり、専門家による検討を行ない、「生体等への影響は考えにくい」と結論づけています。しかし、参与会の検討結果 
http://www.pref.kyoto.jp/somucho/documents/xband_20130730.pdf を読んでみると、参照された資料は防衛省の説明と開発会社である米国Raytheon社のホームページ(!)となっています。たとえるならば、福島第一原発事故の深刻な影響を、東京電力の説明と原発製造会社のホームページで調査したようなものです。専門家が何を寝ぼけたことを言っているのでしょうか。と、怒りで身悶えしつつ、レーダーが発せられる海を見ていると、漁に出ている漁船が行き交っています。鷲や鳶、カモメなどの鳥もたくさん飛んでいます。寝ぼけた専門家と京都府の判断によって、人、漁船、生物への悪影響が出るのでは、ととても心配です。

計画地から少し離れて、俯瞰できる場所を、地元の方に案内していただきました。そこには、きれいな棚田が広がっていました。「日本の棚田百選」に選ばれた袖志(そでし)の棚田です。京都府のホームページは「扇状地に開けた棚田からは日本海を望むことができます。急峻な山々と日本海に挟まれて棚田が広がっており、海岸線は若狭湾国定公園区域にあって、海と里山と棚田集落が調和した美しい景観をなしています。」と紹介されています。「美しい景観」と米軍基地や自衛隊基地。ここにも、京都府の矛盾だらけの政策が・・・。
http://www.pref.kyoto.jp/furusato/15600037.html
棚田
















防衛省の説明によると、米軍基地がつくられることによって、1日50tの水を使うことになるそうです。現在、自衛隊も1日70tの水を使用中。川や伏流水から使用する計画ですが、周辺の田畑での水利用、水源に生息する貴重な動植物(絶滅危惧種のアベサンショウオ http://www.pref.kyoto.jp/kisyosyu/1217814310588.html やアユなど)への悪影響も心配されます。

海にもおりてみました。はじめは曇り空だったのですが、徐々に太陽が顔を出すと、息をのむような美しい海が広がっていました。「経ヶ岬」や「京丹後」というと、「めっちゃ海がきれいやで!」とたくさんの人が言っていたのはこのことなのか~と思いました!
海



















海2

















こうして現地を訪れ、分かったことは多くあります。

「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」がいつも仰っているように、地元はいっさい「了承」しておらず、防衛省・京都府・京丹後市が説明会を開くたびに不信と怒りが増していること。強力なレーダー施設ができることによる人体への影響がきちんと検討されていないこと。そして、周辺の美しく豊かな景観や自然環境への影響も調査されずに計画が進められていること。つまり、防衛省、京都府、京丹後市は受入ありきですべての手続きを行なっているということです。現地・宇川の方々が「私達住民はカヤの外に置かれたままです。地元住民をないがしろにするのもいい加減にして頂きたい」と切実に訴えている理由や背景が、痛いほど理解できました。 

また、経ヶ岬をさらに東へ東へと車を走らせると、福井県に入り、高浜原発や大飯原発など、原発が密集する地域になります。私たちのような都市に住む人間は、都市にはない原子力発電所や基地・軍隊を受け入れざるを得なかった/押し付けられてきた土地とそこに住む方々の暮らしに、もっともっと想像力を広げなければいけないとも思います。これらの土地を見て「美しい」とか「豊かだ」とか、簡単には言ってはならないような気もしてきました。さらには、米軍レーダーが向かう朝鮮半島や中国へも想像力を届かせたい。他者を踏み台にして生きるような暮らし、他者との敵対関係を前提とするような社会のあり方をやめること。そのためにこそ、私たちは基地反対の声をあげるのではないでしょうか。
反対の掲示板





























(経ヶ岬周辺の集落でたくさん掲示されていた地元の方々の意思表示)

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さらに、私たちは滋賀県・高島へと向かいました。陸上自衛隊とアメリカ海兵隊が10月上旬から、オスプレイを使用した共同訓練を実施する予定の滋賀県・饗庭野(あいばの)演習場です。日本海側から琵琶湖へと抜ける直前に、饗庭野演習場はありました。
あいばの1
















カーナビで確認していると、演習場の巨大さが分ります。はずかしながら、このような巨大な軍事演習場があったことを〈スワロウカフェ〉の面々の多くは知りませんでした。
演習場のまわりには国道や幹線道路が広がっています。また、JR湖西線の近江今津駅も目と鼻の先。周辺には民家も多く、高島私立今津西小学校や広瀬小学校や郵便局などの施設もあります。そして、演習場内外にダムや貯水池も存在しています。
あいばの2
















(演習場のすぐ近くに市街地、駅、小学校、JR湖西線、そして琵琶湖があります) 
あいばの4



















あいばの3
















(演習場ゲートすぐ近くの家々)

オスプレイはどこから、どのようにこの演習場に飛来するのか。そして、どのような演習を実施するのか。先日もオスプレイは米国内で墜落しています。

日本政府はこの計画を「沖縄の負担軽減」として演出したいようです。
しかし、その実態は、普天間に配備されたオスプレイを既成事実として固定化し、さらには「負担軽減」という理屈・言葉とともに、日本各地で日米合同の多種多様な訓練に使用することではないでしょうか。その証拠に、防衛省、自衛隊は2015年度にオスプレイを購入し、使用を開始する計画です。自衛隊はオスプレイを沖縄だけでなく、どこででも使いたくてしょうがないのです。そして、その背後には、オスプレイを売りたくてしょうがない軍需産業の存在があります(シリアでの戦争も彼らにとって必要なのでしょう。人の命をなんだと思っているんだ!)。その布石として、高島が位置づけられ、利用されているように思えてなりませんでした。必要なことは、私たちが高島でのオスプレイ使用に反対し、同時に、沖縄への配備撤回を引き続き強く求め、抗議することだと思います。


高島へは京都市内から車で1時間ほど。経ヶ岬へは3時間ほど。百聞は一見に如かず。ぜひ、みなさんもご自身の身体で現地を感じることからはじめてみませんか。