「米軍基地いらんちゃフェスタ」がいよいよ開催ですが、開催場所の近くの「島津」という地区で、米軍続住宅建設工事が2015年7月末からつづけられています。既に概要はお伝えしましたが(こちら)、あらためて、これまでの経緯と問題点を整理してみたいと思います。
 
◆島津地区
 島津は、京丹後市役所のある峰山から車で北へ約30分、宇川から車で西へ約30分の距離にあります。世帯数約470。島津から車で数分のところには、京都府や京丹後市が熱心に広報し観光客を呼んでいる「丹後王国・食のみやこ」があります。鳴き砂で有名な琴引浜へも車で10分ほどの距離。琴引浜といえば、2015年6月末、ケネディ駐日米国大使が訪問し、中山泰・京丹後市長と笑顔でツーショット写真を撮った場所です。島津を含む網野町は、戦後、丹後ちりめんの産地として有名になりました。数は少なくなりましたが現在でも織機の音を聞くことができます。

島津2

◆住宅建設に至る経緯
 島津で建設が進められているのは、宇川の米軍基地に勤める軍属のうちシェネガ社のセキュリティスタッフのための6棟68室の住宅です。静かな農村の島津には、公共の施設を除けばこのような大きな建物は他になく、これだけ多くの人が集住するところもありません。また、「セキュリティスタッフ」といっても、基地ではライフル銃を持っています。ゲートを飛び出し、宇川の国道にまで出てきたこともある人たちです。
 防衛省は軍人の居住地は基地内に、軍属については基地の外に設置されるとしてきました。丹後の住民は、基地の外に米軍関係者が住むことについて不安を抱えてきました。防衛省や京丹後市が行なった住民「説明会」では「事件や事故が起こる」、「日米地位協定では米軍関係者の行動を取り締まれない」という意見が多く出されたのです。しかし、防衛省や京都府、京丹後市は根拠を示さないまま「住民の安全・安心は守られる」との「説明」をくりかえし、2014年9月には米軍人・軍属の駐留が開始されました。その暫定的な居住場所は峰山市街地にあるビジネスホテルでした。国や行政の「説明」とは異なり、駐留開始以降、現在まで米軍関係者が関わる交通事故(20件)や道路交通法違反(スピード違反)の軍属の不起訴処分など、深刻な問題が続いています。このようななか、防衛省は2015年3月、島津で「説明会」を突然開き住宅建設計画を住民に一方的に伝えたのです。そして、7月末、建設工事は着工強行されました。

島津1(写真は9月下旬の工事現場)


◆問題点
(1)住民自治の破壊と国・行政の無責任
 米軍基地の受入表明にあたって、中山市長は防衛省に対し「米軍関係者の施設・区域外における居住場所の選定にあたっては、地元区、地元自治体の意向を踏まえ、適切・丁寧な手続きを確保すること」(2013年9月10日付公文書)を求め、国から確約を得たと述べてきました。しかし、防衛省は島津での計画公表から一貫して「住宅地建設契約は不動産業者と米国の警備会社との間でなされ、われわれは介在しない」という無責任な態度を取っています。住民にとっては、誰も責任を取らない決定事項として伝えられたわけです。そのため住民は「子や孫の世代まで居住地は残り続ける。将来に禍根を残さないために住民の意向を確認すべき」との意思を確認し、島津連合区として20歳以上の住民を対象とした住民意向調査を行ないました(2015年6月)。この結果は住民に公表され、市長に提出される予定でした。
 しかし、中山市長は「住民の合意が前提ではない。住居の問題であり、法制上、倫理上地元合意が前提ということはあり得ないし、あってはならない」(6月18日市議会での発言)などと執拗に述べ、調査の実施と結果の公表に対し政治圧力をかけました。その結果、島津連合区代議員会は「市長の考えを参考にした」上で、調査結果を非公表とすることを「決定」(7月1日)。住民からは「市長発言は自治活動への侵害、不当介入」、「調査は一体何のためにやったのか。公表しないことなどあり得ない」などの抗議の声があがっています(毎日新聞7月8日)。
 島津に住む方々の意向と住民自治が、国と京丹後市によって破壊されたのは明白です。この件について対応を拒んできた山田啓二知事や京都府の姿勢も大問題です。

(2)建設計画をめぐる問題
 建設現場周辺は軒先すれすれを通る車道があり、ガードレールはほとんどありません。小学校の通学路もあり、現場から小学校までは車で数分の距離です。ダンプカーなど工事関係車両が行き来するのはとても危険です。軍属たちの滞在、車両運転、移動、それらすべてが子どもを含む住民の暮らしを脅かし、危険にさらすことにもなります。
 また、工事のプロセス自体にも問題がありました。住民「説明会」で「着工日」とされた日よりも前から工事は開始されていました。また、防衛省や京丹後市は、日曜日は建設工事を行なわないと「説明」していましたが、日曜日でも作業員が現場に入り工事を続けています。「説明」された日中の工事の時間帯をこえて早朝や日没後にも作業が行なわれていることもあります。住民への「説明」や「約束」がいかに口先だけのものか、米軍・国・行政が住民の存在自体を無視しているのかが分かります。住民はこの態度に深い怒りや憤りを溜め込んでいるように感じます。

(3)広がらない情報
 マスメディアは、毎日新聞丹後版をのぞけば、島津での軍属住宅地建設問題をほとんど報道してきませんでした。京都新聞の報道も皆無といってよいのが現実です。そのため島津の外へと事実や問題が広がらず、島津の住民が孤立しているように思えます。私たち一人一人がこの問題に関心を寄せ、声をあげ、情報を広めていく必要があります。
 
(4)今後への影響
 防衛省はレイセオン社の軍属(技術者)約70名向けにも新たな住宅地建設も用意するため、候補地を探していると話しています。島津で行われたやり方は、今後、活用されてしまうでしょう。そうさせないためにも、今、島津をめぐって起こっている不正やごまかし、暴力の一つ一つをきちんと指摘し、批判することが求められます。
 また、仮にこのまま居住が始まる場合、住民が指摘してきた事件や事故の可能性は増し、広域化すると考えられます。宇川では、基地の運用開始後、地域住民が長く続けてきた大切な伝統行事(夏祭り、秋祭りなど)に、米兵や軍属が「参加」を要求するようになりました。島津の住民からは「宇川のように祭りに軍属が参加するのは困る」という声があがっています。島津のなかで、米軍の存在をどう考え対応するのか、話し合うこと自体がますます困難になっていくのではないかと思います。
 
 すべてはもう手遅れでしょうか?そんなことはありません。米軍、防衛省、中山市長、山田知事、京丹後市や府に対し、抗議の声をあげましょう。島津で起きていることを多くの人に知らせましょう。島津を、宇川を孤立させないために、みなさん、声をあげてください。

《京丹後市・中山市長への抗議連絡先》
▼市長秘書広報広聴課 
 電話 0772-69-0110 
 FAX 0772-69-0901
 E-mail hishokoho@city.kyotango.lg.jp
 http://www.city.kyotango.lg.jp/shisei/shicho/shichotop/index.html

▼京丹後市基地対策室 
 電話 0772-69-0012 
 FAX 0772-76-0018
 E-mail kichitaisaku@city.kyotango.lg.jp
 http://www.city.kyotango.lg.jp/kurashi/oshirase/kikakusomu/kititaisaku/xband/index.html

▼ほかの抗議先一覧
 http://blog.livedoor.jp/noarmydemo/archives/35140690.html

hanareko(写真: 島津ちかくの離湖)