2010年01月

被災地で何が求められるかという話

ハイチで震災にあった人に千羽鶴を送るって話が、あちこちで賛否を呼んでいるそうである。実はこの地震が発生したころ、CESの帰りで飛行機の中だったので、地震のニュースを知ったのがずいぶん後だったんだけど、まあそれは置いておいて。

どうせ善意を集めるのならもっと役に立つものにしろよって話もわかるし、なんかしなくちゃという善意もわかるだけに、どうしようもないなぁ、というのが正直なところである。そんで、じゃあ役に立つものってなんだよってところでもまた、習慣の違いから、あるいは場所が離れすぎてることから、難しいよなぁ。

昔中越地震があったときに、地元ケーブルテレビの報道支援に行ったことがあるのだけど、現地には善意でおにぎりとかいっぱい送られてくるものの、食べきれなくて捨てるしかなかったって話を思い出した。保存場所もないし、そのままでは日持ちがしないので、その日に消費しきれない分量じゃないととって置けない。それで腹でも壊したら二次災害になっちゃうので、自治体でも善意には感謝するものの、どうしようもないわけである。

しかも人口の集中する新潟市内では、結構はやくライフラインは復旧して、煮炊きにはあんまり困っていなかった。震災2日目からはコンビニや弁当屋はもう営業を再開していたというのは、あんまり報道されなかった。

僕も昔ニュースをやっていたのでわかるんだけど、「通常に戻った」というのは、ニュースバリューがない。せっかく取材するなら、ニュースで放送されたい。そう思うと、みんな復旧してないところへと向かうので、大丈夫になった地域のことは、全国ネット向けには報道されなくなるのである。だからいつまでも支援物資が届いてしまうのだけど、あれ、無駄になっちゃうんだよなぁ。

新潟に行ってわかったのだけど、現地の人が一番感謝してたのが、自衛隊が提供していた「お風呂」である。水道は比較的早くに復旧したものの、風呂釜が割れたり壊れたり、あるいは倒壊の危険があるとして自宅に入れなかったりして、お風呂が沸かせない家庭が結構あったのだ。そのとき、自衛隊が展開した、なんか防水のテント地みたいな布製のお風呂を無料開放して、それが大人気だった。まあそういうのは、思いつかないよねぇ。つかそういうの、キャンプ用品でもなかなかないだろうし、自衛隊独特の装備なんだろう。

一番喜ばれる支援は、現地の人に何が欲しいか直接聞くことだったりする。報道経由じゃなく。今はネットインフラが結構発達してきたから、そういう生の一次情報は昔に比べれば格段に取りやすくなっているはずなので、そういうネットワークが作れて、それに乗って無駄のない善意が届けられるといいよね。

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むさぼるように読める著作権本「著作権の世紀」

Think Cでお世話になっている、福井先生の新刊。タイトルが表わすように、著作権法なるものが台頭してきた背景に始まり、テクノロジーとの関係、創作との関係をわかりやすく紐解いてくれる。

福井先生の書きぶりというのは、非常に図示的だ。本の中に図はほとんどないにも係わらず、さまざまなパワーバランスや効力というのが、絵に描いたようにわかる。さらに卑近な例を数多く取り上げることで、具体的でもある。

ただ著作権法のさまざまなリフォーム論を解説した部分は、他の部分に比べると難しかった印象がある。これはそれぞれが現在議論進行中の話であることから、表現の正確さを重視したせいかもしれない。

他の著作権本にはないユニークな部分として、肖像権やパブリシティ権などを「疑似著作権」と位置づけ、その効力の範囲を明確化したことである。現実には法的根拠のない主張に振り回されて、行動を規制されたりお金を取られたりしていることは、これまでにも結構あるんじゃないだろうか。

この本によって、権利の範囲というのは常に動的であるということを、改めて確認する事ができた。著作権問題に興味がある人は、まず読んでおいて損はない本だ。

著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」 (集英社新書 527A)著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」 (集英社新書 527A)
著者:福井 健策
販売元:集英社
発売日:2010-01-15
おすすめ度:5.0
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インタビュー起こし2.0

ライターになって正直一番面倒だなと思うのが、インタビュー記事の原稿起こしである。つまりインタビューした動画や音声ファイルとかを聞きながら、テキストに内容を起こしていく作業なんですな。

大量にインタビューした場合なんかは、それ専門の人に外注して貰うこともあるんだけど、小規模のインタビューの場合は自分でやることになる。小規模とはいっても、時間が短いわけでもないので、1時間とか1時間半とかのしゃべりを書き起こすのは、結構時間と根気のいる作業なのである。

そういえばビデオの編集マン時代、インタビュー編集ってこんなにめんどくさかったなぁ、と思ってその時のことを思い出したりしていたのだが、ふと思い立って、インタビューの動画ファイルをビデオ編集ソフトで編集してから、テキストに書き起こししてみた。元々音声や動画を切り刻んだりするのはお手の物なので、先にそういう動画ファイルを転がして切った貼ったしながら、インタビューを編集しちゃうわけである。

そうすると通常のインタビュー起こしにくらべて、作業量が1/4ぐらいになった。話の組み替えなんかもノンリニア上でやってしまうので、全体の構成が見えやすい。トータルでかかった時間は同じぐらいだが、疲労度が全然違う。普通小一時間のインタビューを起こすと、今日はもうこんだけがんばったからもういいかー、と他のことに逃避したりするのだが、まだ本編を書けるだけの余力が残っているというのは大きな違いである。

あまり万人にお勧めできる方法ではないけど、割と動画編集なんかに躊躇ない人は、トライしてみるといいんじゃないですかね。あとインタビューはビデオカメラで撮っておくと、頭の中で記憶が鮮明に甦ってくるので、お勧め。

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販売元:ソニー
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炭火ライフ12

久々に炭火ライフである。

世の中炭火に興味ある人というのはものすごく少ないらしく、炭火ライフへのアクセス数は他の記事の1/5ぐらいになるのだが、それでも書いちゃうのである。

前回注文した三原興産さんの富士炭 10kgがそろそろなくなってきた。途中ヤキトリとかやって大量に使ってしまったりしたのだが、ほぼ毎日、一日4個セットでの燃焼を2回もしくは3回ぐらいやって、だいたい1ヶ月ぐらいで使ってしまったことになる。

追加で注文しなければならないのだが、前回の富士炭が結構良かったので同じのにするか、それともほかの炭も試してみるかずいぶん悩んだ。だって10kg来ちゃうんだよ。ダメだったら始末に困るではないか。

DSC01512それでも意を決して、国産だからハズレはないだろうと、今回は匠炭 10kgというのを注文してみた。前回の富士炭が四角で太く短かったのに比べて、匠炭は六角形で細長い。右が富士炭、左が匠炭である。写真のものは比較的短いほうで、もっと長いものもゴロゴロ入っている。長さは結構ばらつきが大きい。ただ長すぎるものは、火起こし器の角にぶつければ簡単に折れるので、長さの調整が自分でできると考えれば、使い勝手はいい。

というのも、今日は午後から出かけるとかの予定があるときは、朝は短めの炭を使って出かけるときにはなくなるぐらい、といった分量の加減ができるからである。

DSC01511燃焼は、富士炭は比較的サイズが揃っていたので、4つを卍型に並べれば手間いらずで燃えてくれたのに対し、匠炭は長いので、同じように配置するとお互いの間が遠すぎて火が弱くなってしまう。お互いを近づけるためには立体的に配置しなければならないため、結構知恵を使う。

ただ、実際に燃えた感じは天然の備長炭のような風情があり、見た目はなかなか良い。たぶんこれも1ヶ月ぐらい持つと思うので、いろいろ置き方を研究して報告したい。誰にも期待されてないけど。

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CESのおみやげ

米国のBluetoothのヘッドセット事情はやはり日本人からすれば奇異に見えるようで、同じような疑問を持ってたという人が沢山見受けられた。

一方日本で売られるBluetooth製品というのは、どうしてもこういう格好になっちゃうようで、やはり文化の違いは大きいようだ。しかしここまで受信機側が大きいと、もはやワイヤレスであるという意味合いが殆どないような気がするのだが、それは言っちゃいけないのだろう。

DSC01509今回米国で買って来たBluetoothのヘッドセットは、BlueTrekというメーカーのDuoStereoというやつである。たしか59ドルだった。

値段、メーカーなどピンキリでいろいろあったのだが、20ドルぐらいの安いヤツは、ホントにデザインがイケてない。購買プロテクトなのかと疑いたくなるほど、イケてないんである。一方そこそこいいデザインのやつは、だいたい70ドル以上。機能的には大差ないと思われるのだが、なにか時計なんかと同じように、ステータスを表わすようなことになっちゃってるのかもしれない。

BlueTrekを選んだのは、そこで売られているものの中で唯一、ステレオのイヤホンも使えるものだったからである。例えばケータイで動画を見たり音楽を聴いたりするときに、片側だけしか聞こえないのではバランスが悪い。

またSRS WOW HDが搭載されているのも決め手になった。サウンド補正技術として優れており、オーディオ製品にも搭載されている。日本ではあまり搭載製品は売られていないが、韓国製音楽プレーヤーでは採用例が多い。

DSC01503付属のイヤホンは、イヤーチップが僕にはちょっと小さかったので、ソニー製のシリコンチップに付け替えている。どの製品用なのか、手元にあったものを適当に付けただけなのでわからないが、一番内径の大きいヤツを選べば間違いないだろう。

ステレオヘッドホンは、ケーブルを首に掛けられるようになっており、その先にBluetoothユニットがペンダントよろしくぶら下がることになる。電車の中で録画番組などを楽しんでいるが、荷物を持っていてもケーブルの取り回しを気にしなくていいので、楽ちんである。

SRS WOWのモードを変えるには、ボリュームの+ボタンを長押しするなど、少ないボタンでいろいろやりくりしているため覚えづらいところもあるが、まあよく使う機能だけ覚えれば十分であろう。個人的には、大変いい買い物をしたと思っている。

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発売日:2009-02-16
おすすめ度:2.0
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人の話、という娯楽

今回の飛行機は、初めてシンガポール航空に乗った。これがなかなか快適で、機内食は旨いし、CAは小柄だしで、とても満足した。いやこれが米国系航空会社だと、CAが巨大なおばちゃんだったりして、通路をぎしぎしきしらせながら怖い顔でドスドス歩いてくるので、通路側だとおちおち寝てられないというね。

帰りの便での話だが、飛行機に乗り込む前からずーっと電話で話している東南アジア系の男がいた。その男は通路を挟んで僕の斜め前だったんだけど、機内に乗り込んでからもずーっと電話している。皆荷物も棚に入れ終えて、着席して、シートベルトして、CAがあんたそろそろいいかげんにしなはれやと言いに来るまで、ずーっと電話しているのである。

旅慣れた感じはするので、離着陸時の電子機器の使用制限を知らないわけでもないだろうが、海外ではたまにこう言う人を見かける。我々ネットワーカーが、公衆無線LANがあると繋がずにはいられないように、そのタイプの人にとっては、誰かと話し続けることは、習慣というか娯楽というか、半ば依存症気味になっているのではないかという気がする。

話し好き、という人は世の中に沢山いるが、「会話依存症」などと呼ばれることはない。人とコミュニケーションすること、面白い話を聞くことというのは、人間の基本的な欲求なのだろう。それがメールやMixiやTwitterに変わっただけで、依存症扱いされるというのは、考えてみればおかしなことである。

人の話というのは、面白い。酒の席などではみな相当無責任な話をするわけだが、そういう根拠の無さとかウラの取れてないうわさ話というのは、大抵尾ひれが付いていて、おもしろおかしくなるようにできている。たぶん落語のように、人から人へ伝わる間に、起承転結の構成や落ちなどが付いていって、一つのエンタテイメントとして完成していくのだろう。

みんなも自分がおもしろいできごとに遭遇したら、会う人ごとに話すわけだが、何人かに話している間に、だんだん話として完成していくという経験はないだろうか。

映画やテレビ番組など、プロの手にかかった完成されたシナリオを楽しむことだけがエンタテイメントではなく、人の話こそがエンタテイメントの原点であったはずだ。もちろん、その話をより面白く受けてくれる人の存在というのも、重要である。金を払って一方的に楽しませて貰うという娯楽が勃興した20世紀の反動が、今来ているのだとしたら、21世紀は「人の話」の時代になるのだろうか。その兆候はすでに、現われ始めているような気がする。

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なんでアメリカ人はいつもBluetoothヘッドセットを耳に差し込んでるのか

いや表題の通りなんだけど、アメリカに行くたびにいつも思うのがこれである。片耳にヘッドセット突っ込んだまま歩いてる人の多いこと多いこと。

今回渡米したついでに、まあアメリカだとBluetoothヘッドセットの種類が山ほどあるし安いので、一つ買ってみた。ゆくゆくはJVCの新型ビデオカメラもレビューすることだし、どのみち必要になるからである。

幸い今僕が使っている携帯もBluetoothヘッドセットに対応しているので、さっそくペアリングして使ってみた。それでわかったんだけど、これペアリングしてると、携帯本体では電話に出られないのね。いや出る、というか通話開始はできるんだけど、携帯本体からは音も聞こえないし、声も送れない。

ヘッドセットを鞄の奥にしまってたりすると、いくら本体で頑張って応答しようと思っても、できないんである。

ヘッドセットの電源を切っておけば接続されないので、携帯本体で通話できるのだが、それだとヘッドセットを持ってる意味がない。それでみんな、電源いれたままとりあえず耳に突っ込んで持ち歩いてるのだ。

あれを見ておまえそんなにしょっちゅう電話でしゃべってんのかと思っていたのだが、ああする以外に仕方がないという、消極的解決法なのである。

しかし実際ヘッドセットを使ってみると、両手が使えるのはすごく便利だ。パソコンを使いながらの電話打ち合わせなどには、最適である。あとワイヤレスなので、電話機をおいたまま別の用事を済ませながら通話できる。

通話したあとケータイクリーナーで顔の脂を拭くぐらいだったら、Bluetoothヘッドセット、おひとついかがでしょうね。

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いろいろあきらめる

過去こんなエントリを上げておきながら、実は今回のCES取材はそれほどしんどくなかった。実は今回から、ちょっと取材方針を変えたのである。

以前であれば、とにかくわざわざ来たんだから、全部見てやろう、という気持ちが先行した。例えばヘッドホンは全部聴いてやろうとか、MP3プレーヤーは全部押さえようとか、そういうスタイルで会場を回っていた。まあそういう努力の甲斐あって、ブームになる前のShureのイヤホンとかをいち早く発掘したんだけどね。

しかし今回は、事前の取材アポイントをなるべく断わらないで回ってみることにした。日本に居る間から、会場で個別に取材させてくれるアポイントというのは、結構オファーが来るものである。そういう取材の方が落ち着いてじっくり説明も聞けるし、深い話が聞けると思ったわけだ。

あと、いろいろ諦めたというのもある。例えば、英語。これまで英語で質問するときは、文法的におかしくないか一生懸命考えていた。しかし今回その辺はもうあきらめて、相当ブロークンでもつたわりゃいいかぐらいのことで喋っていた。先方もこっちがネイティブじゃないことは分かっているので、なんとか意味をわかろうとしてくれる。それでだいぶ助かった。街の一般市民じゃそうはいかない。

あと諦めたのは、Samsungへの取材である。これまでマメに取材していたが、苦労した割には記事にならないことが多かった。というのも、現場で掲載してある内容とプレスリリースの内容が全然違うといったことが数年続いており、どっちが正しいのかの裏を取るのにものすごい時間と手間がかかるのである。

幸い、といっていいのか分からないが、今年はかなり取材に対して厳しく、プレスに写真を撮らせない、価格を教えないといった報道規制が行なわれていた。世界No.1シェアのテレビなどはそれを押してでもなんとか取材しないとしかたがないとは思うが、ビデオカメラやMP3プレーヤー担当の僕としては、日本で発売される可能性がないものを、現場で大げんかしてまで取材するメリットがなかった。

だって写真を撮るなという現場のお姉ちゃんに、プレスなのになんで写真とっちゃいけないんだと聴いたら、理由は知らんがとにかく写真はダメだと言えと言われた、という返事だったんだぜ。これどう考えても埒があかんパターンのやつや。

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ブロガーという言葉の指す意味

CESでのこぼれ話をぽつぽつと書いている。

DSC01311CESを取材で訪れる人には2種類ある。プレスとブロガーだ。米国では個人のブロガーが、いわゆるマスメディアに対抗する一つのジャーナリズムを形成している。CES会場にも、プレスとブロガーのラウンジがあり、お互い別の所属のラウンジには入れないようになっている。プレスは水色、ブロガーは黄色のバッジホルダーを付けているので、色ですぐわかる。

プレスルームの向かいがブロガーラウンジだが、昼食時と除けば、会場でブロガーの姿はほとんど見かけなかった。彼らはいったいどこを取材していたのだろうか。

3日目のこと、Zennheiserのブースで新モデルのイヤホンを接写していたところ、目の前で撮影中のヘッドホンをザッと横に投げ捨てられた。むかいがわにいたブロガーが、自分が写真を撮りたい製品をそこにデンと置いて写真を撮り始めたのである。

思わず日本語で「オイ。」と低い声で言うと、20代そこそこの若い男は「Sorry.」と非礼を詫びたので一応怒りを収めた。撮影のマナー、そして展示品に対するマナーの悪さに、イヤな気分になった。普通展示会などのモノの撮影は、同時に撮れない場合は順番待ちするものである。こういうのは国際的ルールというのではなく、人間性の問題だろうという気がする。

DSC01374ブロガーといえば、Engadgetは今年、CESオフィシャルパートナーとなった。彼らもブロガーだが、プレス扱いになっていた。一方同じようなサイトのGizmodoは、08年のCESで、特殊なリモコンを使って展示ブースのテレビの電源を落としまくるといういたずらをやって、該当スタッフはCESから出入り禁止になっている。昨年はEngadgetを相手に、つまらぬいたずらをしていたようだ。
(Engadgetへのいたずらは初出では今年と書いていたが、09年であったので訂正した。)

僕はこのような、他人の寛容さを頼りに迷惑をかけ、それを許さぬのなら度量の狭さを笑うような行為は、唾棄すべきことだと思っている。仲間内でふざけ合うのとはわけが違うのだ。

ブロガーも、大きく道が2つに別れてしまったということなのかもしれない。

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ジャーナリストの老朽化問題

CESの取材を始めて、間もなく10年になろうとしている。午前中から会場を回って今日のネタを探し、インタビューのアポイントをこなし、夕方5時ぐらいに会場を出る。朝食は自前でなんとかするが、昼食にはありつけないことも珍しくない。

ホテル周辺で手早く食事を済ませて、7時ごろから原稿を書き始める。書き上がるのはだいたい夜中の12時過ぎだ。これをプレスカンファレンスと会期4日間、合計5日間繰り返すわけである。

毎年CESに取材に行く顔ぶれは、10年前からほとんど変わっていない。今雑誌やWEBも含め、技術系のライターで新しく入ってくる人というのは、ほとんど居ない。

僕は比較的歳がいってからライターに転身したので、キャリアは浅いが年齢は高い方だ。だいたい現役でバリバリ書いている人は、30台半ばから後半ぐらいの人が多い。それでもかなり、体にはみんなガタが来ていて、取材を終えてホテルに帰ったらベッドにひっくり返って動けなくなったりしている。

そもそもライターは座り仕事なので、腰が悪い人が多い。一日中取材道具を背負って広い会場を歩き回るわけだから、みなかなり腰に負担が来るようだ。

以前はコロコロバッグことストローラーバッグで取材道具を転がして行けたのだが、数年前からCES会場はストローラーバッグは使用禁止となっている。もっとも会場のカーペットがふかふかなので、転がしてもそれほどなめらかに転がらない。かえって腕がいつも後ろに引っぱられることになるので、変な姿勢で固まってしまう。

自分も含め、みんな年とったなぁ、と思う。大御所と呼ばれるライターさんはみな50を過ぎていて、そのレベルになるとさすがに毎日原稿は書かない。取材結果を持ち帰って、ゆっくり原稿を書くことができる。だから夜は遊んだり休んだり、割と余裕がある。

僕はこういう執筆体制で、あと何年やれるだろうか。今回もかなり腰に来たが、会期後半は朝早くからのアポイントがなくなってくるので、ランニングができる。走ると腰が楽になるから、無理して走っているのだ。考えてみれば、会場を毎日数km歩くのに、さらに自分でも数km走るなど、まったく酔狂なことである。


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プロフィール

小寺信良
WEBに巣食うモノカキ。
原稿依頼、取材などのご連絡は、nob.kodera(at)gmail.comまでお願いします。

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