2010年06月

iPadで原稿は書けるか

昨日のエントリーには沢山の反応をいただいた。文書ファイルの同期方法についていくつかの方法をしめしたが、中でもSimplenoteにこだわりを持つ人が多いようである。昨日は紹介するのを忘れていたが、Simplenoteと同期するPCやMac側のクライアントがいくつかあって、それを使うことでWebサービスを使うことなく同期できる。

ただそのクライアントソフトが文章を書くのに足る機能を持っているかと言うと、そこはまた別問題である。一番大きいのは、文字数をカウントする機能がないことだ。例えば書籍や論文のように限りなく長い文章では、細かく文字数をカウントする必要はないのだが、僕が日々書いているような原稿は、やはり文字数が気になる。つまりこのペースで書いて行って規定の文字数内で話が終わるのか、といった小まめなチェックは、無駄書きしないために重要なのである。

僕がDropBoxでの同期にこだわったのは、母艦ではいつも使っているエディタで書きたいからである。そういう意味ではSimplenoteもEvernoteも、厳密には僕の用途を満たしていないことになる。別にこれは、贅沢なリクエストではないだろう。たかだかプレーンテキストのファイルを同期したいだけのことが、こんなに大事とは思わなかった。

さて今日は、実際に原稿を入力するにあたっての事を書いてみたい。iPadの文字入力は、画面上のソフトウェアキーボードを使うか、Bluetoothのハードウェアキーボードを使うかという選択になる。

まずはソフトウェアキーボードだが、これのメリットは何といっても、本体だけですぐに本格的なタイピングができる事である。縦表示でのキーボードはちょっと狭いが、横表示のキーボードはサイズ的にも本物のキーボードとほぼ同じサイズなので、使いやすい。今ここまでの文章も、ソフトウェアキーボードで書いている。

率直な印象は、意外にこれでも行ける、という事である。所詮は手触りのないガラス板に向かってタイプする事になるので、相当のストレスになるだろうと予想していた。なぜならば、つねに手元を見ていなければならないだろうと思っていたからだ。しかし実際には最初にタイプするポイントさえ確認すれば、それほど手元を見る必要がない事がわかった。指がもう形としてキーポジションを覚えているので、ほとんど間違わない。逆に新しい感触で文字を打つのが楽しめる点は、スリリングな体験である。

ちょっと困るのは、長音のキーの位置が普通のキーボードと違う事、文字入力に間違いをEscキーでいっぺんにクリアできない事ぐらいだろうか。文章を書くときは、一定の分節を一連の指のフレーズとして記憶しているので、一文字だけ入力を直すより、一気に全クリアして入力し直したほうが、脳内の整合性が取れる。

では外部キーボードを使った場合はどうか。これのメリットは、ハードウェアとして指の位置が決まるの決まらないのといった事より、画面とキーボードが分離するというメリットの方が大きい。

すなわち本体を縦方向にしても、十分なサイズのキーでで入力できるというところである。また変換候補がインラインで表示されるため、ソフトウェアキーボードよりも視線異動が少なくて済むのもいい。しかし現実には結構デメリットとも大きい。

デメリットその1
iPad本体を手で持っていられてないので、適切な角度でどこかに立てかけなくてはいけないという点。これはドックなどを持ちあるかない、あるいはドック付きではないキーボードを使っているという前提である。

僕が購入したのは、これまでも売られていたAppleの小さなワイヤレスキーボードである。ドック付きのものを購入しなかった理由は簡単で、単にApple Storeからはドック付き英語キーバージョンが買えなかったからである。

しかし結果的にはそれで良かったと思っている。なぜならば、iPad純正のカバーを付けたまま、ドッキングできないということが後から分かったからだ。キーボードで文字を打つ度に一々カバーを外すなど論外である。

昨日ドック付きキーボードの現物を見る機会があったが、背もたれ部分の突起がかなり出っ張っている。短期出張ぐらいならば考えてもいいが、あれは日常的な持ち歩きには不便だ。

デメリットその2
意外にキーの取りこぼしが多い。ソフトウェアキーボードに比べると、タイプの修正回数は外付けキーボードのほうが激増する。その原因の一つは、ソフトキーボードに比べると入力スピードが全然違うからのようである。要するに、書くスピードにiPadが全然追いついてこないということだ。

またiPadの日本語入力は予測変換がかなり充実しているが、これが返って邪魔になる。すでに全部のひらがなを入力し終わっているのに、さらにそれに続くであろう語句の候補を示してしまうため、うっかりそれを確定してしまって長々と不要部分を削除するハメになる。

また一段深い変換候補を出してしまうと、それをキャンセルするのにEscキー一発というわけには行かない。スクリーンをタッチしないと、候補画面が引っ込まないのである。またその中のどれかに確定する場合も、矢印キーでは選択することが出来ない。手を伸ばして画面上をタッチする必要があるのだ。

これはキーボードのせいというより、日本語入力システムの実装の問題と言えそうだが、iPadでの外部キーボードによる入力は、ソフトウェアキーボードとは別物と考えた方がいいだろう。

個人的には、外部キーボードとiPadの組み合わせに期待していただけに、残念である。外部キーボードの購入を検討されている方は、一度その組み合わせでテストしてみたほうがいいだろう。特にタイプのスピードが速い人は、その速度に付いてこれるかどうかは重要なポイントとなるので、そのあたりのチェックはしたほうがいい。

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iPadで原稿を書きたい人に向けたいくつかの方法

iPadが届いた28日はまだ中国に居たので、残念ながらTwitterのiPad届いた祭りには参加できなかった。遅ればせながら触り始めたわけだが、これで原稿を書くとしたらどんな方法があるだろう、とTwitterで聞いてみたところ、いろいろ有力な情報をいただいた。誰かの参考になるかもしれないので、それらの情報を元に僕がトライしてみた結果を報告しておきたい。

もちろんただ文を書くだけならば、「メモ」相手にでも書いていればいい。しかしiPadだけで最終的な入稿まで持って行ける完成度まで行くとは考えていないので、なんらかの方法でPCに転送する方法が必要になる。

ちなみに「メモ」の文章は、iTunesで同期するたびに、MacのMail内のメモと同期するのだそうである。しかし僕はMacの「Mail」など使っていないし、Mailで原稿が完成するわけではないので、この方法はない。できればわざわざ線を繋いで同期するよりは、ワイヤレスのネットを使っていつの間にか文章ファイルが同期している、という状況が一番美しいわけである。

おそらくそういう手法ならば、次の3つの選択肢がある。

1. Google系の何らかのサービスを使う
2. なんか新しいサービスを探す
3. Evernoteを使う
4. DropBoxでなんとかする

まず1のGoogle系サービスだが、一番始めに思いつくのが、Google Docsで文章を書いてしまうことである。しかしiPadのSafariはモバイル版だからなのか、Google Docsで文章が入力できなかった。入力モードにならないんである。

そこでいろいろTwitterで情報を貰った結果、2つの方法があることがわかった。単純な方法としては、Gmailの下書きを使うという方法。これはまあ最後の方法として、有効である。メリットとしては、Safariを使うので、WEBで調べ物をしながら書くときに、いちいちHomeへ戻ってAppを立ち上げ直さなくてもいい、という点である。

もう一つは、Google Groupの機能を使うという方法だ。Google Groupは、複数人で共同作業を行なうためのツールだが、一人で利用することもできる。さびしいけど。ただ「ノート」には入力できず、「ディスカッション」を使うことになる。ちょっとこの方法は本来の使い方ではないため、長く運用するといろいろ面倒なことになりそうだ。

2の新しいサービスとしては、SimpleNoteというのを教えて貰った。iPad上はシンプルなテキストエディタだが、書いた原稿はWEB上のSimpleNoteのサイトにログインして、見ることができる。これは確かにシンプルだ。ただPC上ではいちいちこのサイトを開いて文章を別ファイルにコピペするという作業が必要になる。

なんで素直に3のEvernoteを使わないかというと、iPad版のEvernoteは、テキスト編集画面が一段小さく表示されるので、せっかくのiPadの面積の半分ぐらいが無駄になる。まあちょっとした取材メモでは一番手っ取り早い方法ではある。

そういう不満を漏らしたら、FasrEver XLというAppを紹介して貰った。これはEvernoteを立ち上げることなく、すぐに新規ドキュメントとして文章を書き始めることができるツールだ。

ただこれにも弱点があって、いったん保存してしまうともうFasrEver XLで開けなくなる。いったん保存して、またあとで続きを書くということができないんである。手早いメモとしては便利だが、作業の継続性がないという点では、ちょっと僕のワークフローには合わない。

普段ノートPCとデスクトップを行き来しながら原稿を書く僕は、DropBoxの同期フォルダ内にテキストファイルをしまっておいて、それをいろんなPCを使って更新していく、という方法を取っている。iPadにもDropBoxのAppがあるが、これはDropBox内のファイルのビューワーであって、iPadで作った文章をDropBoxに送り込むことができない。

それでもうDropBoxの利用は諦めていたのだが、全然別のところから道が開けた。ビューワーとして優秀という評判のGoodReaderをインストールしたのだが、なんとこれでDropBoxの中味まで見ることができる。さらには書きかけのテキストをダウンロードして、続きを書くこともできるのだ。

テキストファイルはもうダウンロードしてしまっているので、DropBox内のテキストとは違うモノになっている。つまり同期してないわけだ。だがGoodReader内の機能として、ファイルをコピペする機能があるので、一通り書いたところでテキストファイルをDropBox内にコピペすれば、PC側で開いたときには同期しているわけである。

どの方法も一長一短あるものの、とりあえずいろいろな方法があることがわかった。どれかお気に召す方法があっただろうか。

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プロフィール

小寺信良
WEBに巣食うモノカキ。
原稿依頼、取材などのご連絡は、nob.kodera(at)gmail.comまでお願いします。

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