昨日5月10日、いよいよ日本でiPadの予約がスタートした。リアル店舗に並んだ人も多かったと思うが、今日のように雨でなくてなによりだった。

先日、産経ニュースがこんな記事を配信していた。冒頭のインタビューでは、あえて電子書籍に対して否定的な意見を抽出していることからわかるように、全体を通してかなり否定的なスタンスで伝えている。これをiPad予約前日に配信するあたり、どうにかして出鼻をくじいてやろうと躍起になっている新聞社の思惑が透けて見える。

文中で東京電機大学出版局 植村八潮局長の、キンドルは買ったが持ち歩かない、というコメントをわざわざ抜き出しているところも恣意的である。こんなことは、人による。

僕は数年前にSONYのLiblieを愛用していたことがあり、いつも持ち歩いていた。電車の中でもこれでよく本を読んだものだ。重さは文庫本と大して変わらないし、なによりも薄いので鞄に入れやすい。京極夏彦の本を持ち歩くことを考えれば、パラダイスである。

当時の不満は、電池の持ちが悪いこと、もうすこし字の色が明るいグレーだったら良かったということだった。逆に言えば、それだけ本を読みまくっていたわけだ。今使っていないのは、これで読める配本サービスが終了してしまったからである。

電子書籍端末には、単に本を読める、ネットで買えるというだけのメリットに収まらない。例えば膨大な量のマニュアル、特に技術者はメンテナンスマニュアルがいつ何時必要になるかもしれないので、こういうものをiPadに入れて持ち歩けたら、というニーズは高いと思う。

幸いなことに、メーカー各社は次第にマニュアルをPDF化してネット上に無償で置くようになってきている。現在はまだコンシューマ機に限られるが、ワークフローが出来上がってくれば、専用機器のものもPDF化が進むだろう。

iPadの端末としての可能性は、カラー表示が可能であるという事である。これは、子ども向け絵本や図鑑のようなものも、電子化できる可能性を示している。例えば「飛び出す絵本」は今も昔も普遍的に人気のある商品だが、これの難点は、紙でできているので、子どもに触らせると一撃で破れるということである。

これによって、そーっと触らないと壊れる、ということが学習できるのかもしれないが、それができるようになった頃には飛び出す絵本は卒業なので、結局高い金を出して壊されるモノをわざわざ買ってる、というのが「飛び出す絵本」の産業構造である。

しかしこれを電子化すれば、少なくとも一撃で壊されることなく、本来の目的を全うできるだろうし、どうにかこうにか紙で実現していたアクションも、もっと複雑で高度なものが実現できるかもしれない。さらにアプリケーションとしては、飛び出す仕組みの中味や裏側を観察できるように作ることも可能だ。

指で触ることが体験学習として重要であるという点では、紙の飛び出す絵本も価値があることは認める。しかしその脆弱性からすれば、紙の飛び出す絵本は、そもそも大人が鑑賞するための工芸品として見るべきものなのかもしれない。

さらに教育という点では、2015年から電子教科書の導入が検討されているのをご存じだろうか。あと5年後のことである。それに向けて、さまざまな可能性を探る実証実験が活発化するだろう。その時すでに何らかの普及端末が存在するということが、どれだけ重要な意味を持つことか。生徒も教員も、「これなら使える、使ったことある」というものの存在が。

モノのあり方、考え方が変わるという点で、電子書籍はテレビのデジタル化などより、よほどパラダイムシフトを起こす可能性があるムーブメントである。これは本を代替するものではなく、新しいメディアであると考えた方が、スマートではないのか。

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