書評

世界の子どもとケータイ・コミュニケーション 5カ国比較調査

先週の金土と、もっとグッドネットのシンポジウムで山口県に行ってきた。酒と魚の旨さに驚愕したってのはまあおいといてだな、写真も撮ってないし。

その時のパネルディスカッションの資料で大変有効だったのが、モバイル社会研究所が出した「世界の子どもとケータイ・コミュニケーション」という本である。日本のほか、韓国、中国、インド、メキシコで同じ調査をするという、世界的に見ても珍しい、大がかりな調査の報告だ。以前から調査をしているという話は聞いていたのだが、大変資料性の高い本に仕上がっている。

MIAUでも保護者に対してアンケート調査を行なっているが、さすがに親の年収などの属性を取るのは難しい。我々的には、年収などが子どもにケータイを持たせるにあたって影響があるのかないのか、はっきりさせたいと思っていた。この調査ではちゃんと親の年収まで調査していて、さすがである。

これによれば、親の年収と子どもの携帯への支出額には明確な相関関係はなく、すでに子どものケータイが贅沢品ではなく、必需品となっている傾向を示しているなどのデータが出てきている。

全体は大きくわけると3部構成になっており、第1部が5カ国調査による各国の傾向、第2部が日本の調査結果にフォーカスした詳細分析、3部が09年のパネルディスカッションのログとなっている。

子どものケータイ問題を語るには、避けて通れない貴重な資料だ。

世界の子どもとケータイ・コミュニケーション―5カ国比較調査世界の子どもとケータイ・コミュニケーション―5カ国比較調査
著者:モバイル社会研究所
販売元:エヌティティ出版
発売日:2009-12-22
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むさぼるように読める著作権本「著作権の世紀」

Think Cでお世話になっている、福井先生の新刊。タイトルが表わすように、著作権法なるものが台頭してきた背景に始まり、テクノロジーとの関係、創作との関係をわかりやすく紐解いてくれる。

福井先生の書きぶりというのは、非常に図示的だ。本の中に図はほとんどないにも係わらず、さまざまなパワーバランスや効力というのが、絵に描いたようにわかる。さらに卑近な例を数多く取り上げることで、具体的でもある。

ただ著作権法のさまざまなリフォーム論を解説した部分は、他の部分に比べると難しかった印象がある。これはそれぞれが現在議論進行中の話であることから、表現の正確さを重視したせいかもしれない。

他の著作権本にはないユニークな部分として、肖像権やパブリシティ権などを「疑似著作権」と位置づけ、その効力の範囲を明確化したことである。現実には法的根拠のない主張に振り回されて、行動を規制されたりお金を取られたりしていることは、これまでにも結構あるんじゃないだろうか。

この本によって、権利の範囲というのは常に動的であるということを、改めて確認する事ができた。著作権問題に興味がある人は、まず読んでおいて損はない本だ。

著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」 (集英社新書 527A)著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」 (集英社新書 527A)
著者:福井 健策
販売元:集英社
発売日:2010-01-15
おすすめ度:5.0
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プロフィール

小寺信良
WEBに巣食うモノカキ。
原稿依頼、取材などのご連絡は、nob.kodera(at)gmail.comまでお願いします。

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