楕円系萬週報

サムタイム・ラグビー・ウォッチャーの眠れない日々

『慶明戦』が引き分けに終わって、これで、『早慶戦』、『早明戦』が面白くなる。
ただし、フロント・ロウそれも左右プロップを欠くワセダが帝京をクリアできたらという条件つき。

「明治×慶応」29対29(秩父宮)。
お互い、相手の持ち味を殺さずキャラを立てた、日本プロレスみたいな内容。

明治は事前に、FWで消耗戦を挑むと言っていた。しかし、首尾よくFWが「前に」出ながら、消耗したのは明治の方。

慶応FWは、スクラム、ラインアウト・モールで押し込まれながら、最後まで足が止まらなかった。
しかし、前半23分までに明治が3トライ、17対0となった時点で、だれが引き分けの結末を想像できただろうか。

65分、慶応が追いついて同点となったときも、残り15分間このままのスコアで行くとはだれも思わなかっただろう。

引き分けを、願った我輩ですら、半分ジョーク気味に言っていただけ。

最後の展開は、ワールド・カップのジャパン、対フィジー戦、対カナダ戦を思わせるボールの動き方。
共に、あまたの判断ミス(主として慶応)を犯して勝ち越すことが出来なかったが、見ている方は面白かった。

山田のランニング(&トライ)もたっぷり見ることができて、今日は結構良い日だったような。
贔屓チームには危険でも、彼のランだけで試合を観る価値がある。とにかく怪我だけはしないように。

RER駅

RER「スタッド・ド・フランス駅」

試合一時間前

記者席は左手中央最上段にある

《RWC2007発作旅》
PART3<準決勝の夜と朝>

スタッド・ド・フランスにはRER(高速郊外鉄道)2線、地下鉄13号線が通じていて、きわめて交通至便。

しかし、RERのB線に乗ったつもりが、シャトレ・レ・アルで強制的に乗り換えさせられた。もしかしてD線?

私はいま、何線に乗っているのだ。地図をみるかぎり、B線の方がスタッドに近い。

まあ、わけがわからないなりに、「ラグビー・スペシャル」編成だろうと良い方に解釈する。なにせ、サポーター集団がいるので、彼らの後についていけばいいから不安もなし。

いずれにせよ北駅から一つ目なので、たいした違いはないのだが。


10・13「ENG×FRA」14対9(サン・ドニ)。
超満員のスタッド・ド・フランス。歓声ではどちらのサポーターが多いのか判断できない。
4万とも言われる、イングランドのサポーターが来仏したという報道は本当らしい。

与えられた記者席は、TV機材が占領。空いてる席に適当に座っていたら、そのままOKになった。

試合は、勝つ気がないレ・ブルーが、ジョニーのために最高の舞台をセット・アップ。
ああ、思い出したくない。

ゲーム後、友人らとサン・ミッシェル広場前で待ち合わせの予定になっていたが、時間が遅く会えず。
あとで聞けば、深夜3時ぐらいまでバスが動いているらしい。そうと知っていれば、もう少し努力したのだが。


前夜、フランスが負けてがくっとモチヴェイションが下がる。
これで決勝を見ずに帰ることに未練なし。シャンゼリゼを大群衆がラ・マルセイエーズを歌いながら跳ね回るシーンはなくなった。

朝のTF1では、「レ・ブルー妻たちの24時間」(超訳)をやっていたが、ベッセンの妻しか識別できなかった。みんな美人妻揃いながらゲーム中には、ピー音が必要な言葉が飛び交う。

その後スタジオでは、ラパッセ、ラポルト、ボネールが出席して反省会。うすうす感じていたけど、大会中にジュリアン・ボネールがFWリーダーに納まったのは本当だったようだ。

試合のVTRを見ながら、ラポルトは「10分が云々・・・・」と相変わらず自己弁護。おまえの采配全てが間違っていたんだよ。

日本語は分からないだろうから、思いっきり突込みを入れておく。


10・14「RSA×ARG」37対13(サン・ドニ)。
アルゼンチンが普通にやれば、もっといい勝負になったはず。ところがなにを血迷ったか、気持ちよく展開。らしくない攻撃をして案の定インタセプト。

もっと、キャラに合った専守防衛ラグビーでタックルだけしていれば別の展開もあったと思うのだ。

いまごろになって、SOのエルナンデスのキッキング・フォームがアメフトのパンターそっくりなことに気づく。
この天才的キッカーを「レスター」と「スタッド・フランセ」が取り合い。結局、パリに残ることになったが、NFLの方がもっと儲かりまっせ、と悪魔のささやき。

今日は、最上段の席だったので、場内のモニターが見えない。スコア・シートの時間やら、経過のディーテイルが大雑把になる。

自宅でも、TV画面が小さすぎて時計は読めないのだから、同じことだが・・・・。

昨日目覚めたら、喘息症状がまったくなく呼吸器系が正常に。
いつものことだが、季節が、変わり目から、冬型に落ち着いたのだろう。

この「ケロリ治りました感」は、喘息の典型で、昨日までの威嚇的剣呑さはなんだったのかと言いたくなる。まあ、声だけはまだおかしいが、なんとなく元気になった。しばらく、春まで忘れよう。

ホテルの窓から1

ホテルの窓から2

50ユーロの部屋
50ユーロの部屋


《RWC2007発作旅》
PART2<イタリー広場>

ホテルは、インターネットで適当に選んだ。
ホテル名はあえて記さないが、パリ市内あちこちにあるチェーン。

3つのホテルが合併してできたホテル・チェーンだが、それぞれのイニシャルを並べただけの芸のないネーミングなので、思いっきりひどい名前。

場所は、パリ東南の13区、メトロ6号線コルヴィサール駅。イタリー広場の隣駅になる。

公にはふたつ星なのに、事実上星なしホテル設備の部屋。料金はシャワーなしで50ユーロ。これが安く感じるから、異常な物価というしかない。

写真は部屋の窓からみた風景。一部四角なRC造ビルが見えるが、奇跡的に古いパリの風情が残っている。
欠点は、坂の途中にあるというところ。毎日最後の余力を振り絞って坂を登らなくてはならない。

近所の坂もなにげに風情が
近所の坂もなにげに風情がある


今回は、先発組がリヨン駅近辺に宿をとったことから、11区、12区、13区の東南方面を攻めることになった。

簡単に活動報告しておくと、朝市(オーギュスト・ブランキ)、牡蠣、牡蠣、朝市(シャロンヌ)、アンティール料理、レユニオン料理、濃厚フランス料理、朝市(バスティーユ)、パエーリャ・・・・。

東南部はちょっと観光ルートから外れているが、廃線となった高架橋を再開発した歩道(ヴィアデュック・デ・ザール=バスティーユからドーメニル通り沿いに1キロ以上続く)を散歩していると地元通気分に浸れるかも。

ここをジョッギングをするフランス人を観察していると、みごとなまでに自分勝手なフォームで走っていることに驚くはず。

(合理的なフォームを教えても言うこと聞かないらしいが、)とにかくフランス人が画一的なことを嫌うことが一目瞭然に納得できる。

あれは、ナシォン広場で牡蠣した日だったか、侘び寂び系スポーツ・バー(パブ)があるので是非見てもらいたいというフランス人がいて、2次会に流れたことがある。

どこが侘しいかというと、スポーツ・バーと自称しながらTVがなく、ビッグ・マッチのある日だけレンタルで持ち込むという、そんな感じが侘しいわけ。

この日は、そもそも誰かの個展で1962年に「ボー・ザール」に留学したというOGに会ったことをきっかけに、ボー・ザール同窓会みたいな面子になっていて、それだけで充分異常事態。

無試験にかこつけてもぐりこんだ我輩、たまたま飛行機で隣り合わせに座ったフランス人がボー・ザールの教授で、「おやまあ先日はどうも、奇遇ですな」式に入学できた画廊ママ、親がボー・ザールの先生だったというフランス人などなど、5人も6人もの同窓生に会った日。

我輩は、建築科にもかかわらずヌード・デッサンばかりやっていたように、インチキ学生に近かったので恐縮していると、ボー・ザールってそんな学生ばかりだよと言う。

侘び寂び系スポーツ・バーは、カウンターと椅子・机以外、たしかになんにもない。
かろうじて、奥にレ・ブルーの写真が何点か飾ってある。イバニェースの隣に20世紀初頭のアヴィロン・バイヨネの集合写真が。

聞くと、バイヨンヌとははなんの関係もなく、写真を飾る意味もないらしい。
ジョークにしても分からん。

話が長くなりそうなので、思いっきりはしょるが、この場末のスポーツ・バーの雰囲気(客筋、会話の内容)が昔のボー・ザール近辺のカフェ・バーにそっくりだということを言いたかった。

つまり、物価高騰のカルチェ・ラタンから避難した若者文化がこちら方面に流れてきたのだ。
もうちょっとでペール・ラシェーズ墓地(パリ・コンミューン終焉の地)。学生文化最後の砦がこの辺りにあるのも、偶然ではないかも知れない。

昼間、市の立つ日はまったく客層が変わって、それもまた楽しいらしい。

それでああ、イタリー広場のことを忘れていた。

昔、我輩が住んでいたころにはパリに中華街はなかった。
ヴィエトナム風の中華が何軒か固まっている場所はあったが、いわゆる世界のあちこちある「中華街」みたいな密集地はまだ存在しなかった。

いまやっとパリの中華街というものを見るが、だだっ広い通りが、雅趣を減じている。しかも、すでにエスニックの中核はベルヴィルに移っている。

時間不足の中、かろうじてフォーの名店を制覇。残念ながら写真はなし。お粗末。

ジャージーがゆらり
上空にゆらり

人気ものふたりはいない
人気ものふたりはいない

一軒だけホワイト&ローズで正解
一軒だけホワイト&ローズで正解

いま再び「Jスポーツ・マイナス」状態。
2ケ月間の命だった。

今後、「シックス・ネイションズ」、「ハイネケン・カップ」などがあるが、たった1チャンネル見るのに1,200円というのは暴利に近い。

また会う日まで。たぶん、4年後ですね。

明日はホームレスか、というコンディション・レッド状態を無視して「ラグビー・ワールド・カップ」に急遽参戦。

今日から、10月10日から16日までのパリ6泊7日旅の報告を、日付順不同で掲載しようと思う。
周知のように、ラグビー関連でははなはだ遺憾な旅行だったが、それ以外では極めてリッチ&ハッピーな旅でした。

《RWC2007発作旅》
PART1<カルチェ・ラタン>

パリ到着が夜だったので、活動は2日目から。
まずは、凱旋門近くにあるメイン・メディア・センターに行って、取材パスをピックアップ。

やたら、警備が固く、タカピーな場所。主としてTV対応用施設。シドニーとは雰囲気が大分違うのでほうほうの体で撤収。

次は、とりあえず、ラグビー・マッド度が何の説明もいらず分かる場所へ。

37年前、2年近くのパリ滞在中、7回引越しをしている。
左岸には一番長く住んだ。サン・ミシェルのクリュニー美術館(現・中世美術館)、ソンムラール通りに我輩の長期逗留ホテルがあった。

いまは見る影もなく(笑)立派な3星ホテルに生まれ変わっているが、昔は2軒の星なしホテルだった。

さて、メトロ・マビヨンの再開発されたサン・ジェルマン市場のすぐ横に、ラグビー・マッドが集う場所がある。
ギサルド通りとプランセス通りというふたつの小さな通りがT字路になっている場所。

行ってみると凄い。通り一面、各バーのエクステリアがブルーと代表の写真で埋め尽くされている。上空には、巨大な代表ジャージイのレプリカ。

ゲームのある夜は、相当なカオス状態らしい。
簡単に言えば、香港のラン・カイフォンみたいなところ。しかも、ラン・カイフォンより狭い地域なので、それも仕方ない。
こぼれた人は、隣のオデオンなど周辺にある幾つかのスポーツ・パブに集結するらしい。

もともとこの辺は(カルチェ・ラタンに含まれるかどうかは分からないが)、学生街だった。ところが、8年前きたときにはかつての面影なく、さびれていた。

再開発なったばかりのサン・ジェルマン市場には、テナントも揃っておらず、公衆トイレのアサガオだけが意気軒昂さを主張していた。

当然のことながら、すぐ傍にこれ見よがしのスポーツ・バー密集地なんかなかったと思う。

8年前、そして今年の一瞬の比較・見聞で結論付けるのは早急かもしれない。(しかし、こまかい時間のつじつまは別においといて、大筋では間違っていないはず。)

つまり、再開発は成功したってこと、学生抜きで。

セーヌ左岸が空洞化したのは、増加する学生を収容するため増殖する学部を郊外に移転してしまったせいだという。

文化(若者文化)の中心は、バスティーユなど右岸に移っていた(なぜバスティーユかは分からない)。

ところが、サン・ミッシェル、オデオン、サン・ジェルマン・デ・プレのいずれも、いまや観光客で一杯。空洞化を観光客が埋めている。これがすべてオルセー美術館一館だけの効果だとしたら凄い話だ。

当然物価もうなぎのぼり。サン・ジェルマン市場の隣にはフランク・メネルの「イーデン・パーク」など高級ラグビー服店もある。

ま、よく知られた画ですが、ラグビー・マッド度の一番高いシーンを最初にもってきました。
(写真はクリックで拡大)。

体調不良が続く。
ちょっと良くなると外出してしまうのがいけないのか、風邪から季節物の喘息にどんぴしゃのタイミングで合ってしまったのか、弱り目に祟り目状態。

バイオリズムが下がると、喘息モードがチカチカしてくる。
不思議だが、咳、声、咽喉以外にはなんの障害もない。頭痛、節々の痛み、胃腸などにはなんの影響もないのだ。それだけが、救い。

土曜日も雨、多くの競技場が水浸し。
雨中ながら、「三洋×クボタ」19対6(太田)、「ヤマハ×トヨタ」26対20(ヤマハ)はボールがよく動いて、なんとか鑑賞に耐えられた。

金曜日のオープニング・ゲームは仕方ないにしても、「リコー×IBM」9対3(秩父宮)まで煮え切らない内容では、お客さんに申し訳が立たない。

日曜日は一転して快晴。
「関東学院×東海」22対21(秩父宮)。

東海が勝てる試合を落とす。
高校までの「勝者のDNA」を持ちながら、無自覚な自己認識。ゲーム・マネジメントとかゲーム・コントロールという言葉を知らないらしい。

関東学院は、昨年と同じように死んだふり作戦か。焦点を絞りきって準備すれば、どこにも負けないと思っているのだろう。

今季「リーグ戦」はこれで打ち止め、か。
結局、法政だよね、レギュラー・シーズンをつまんなくしてしまった原因は。


「慶応×帝京」26対10(仙台)。
心配されていた慶応がチーム建て直しに成功したのか、それとも帝京が明治戦のトラウマから立ち直れないでいるのか。

慶応には勝利を呼ぶ男エディ・ジョーンズが付いている。
そうでした、林――エディのラインが最初だった(東海――エディの線は時効)。

慶応ラグビー100周年でしたね。その後、サントリーとの付き合いがあって、現在に至るのでは。
なにか、記憶が飛んでいるかもしれないが、まあいい。

これで「早稲田×帝京」が面白くなった。帝京は、死に物狂いでやってくるだろうから。
常にどこかに甘さを残す中竹ワセダ、そろそろ真価を見せていい頃だ。

その前に「慶明戦」がある。

「神戸×NEC」36対21(花園)。
神戸の快勝だが、点差ほどの実力差はない。

NECの敗因は、ターンオーヴァーから失った4本のトライ。
半分は、ハンドに見えるあやしげな絡み。

大西一平流のラック&モールに対する備えが必要だ。

この日の問題は、相手がいないのにモール成立を認めるレフェリーだ。

ラインアウトの最初の段階からNEC側の選手がだれもいないのにもかかわらず、ボール・キャリアーに対する働きかけを認めない。

あるいは、一旦形成されたモールからNEC側選手が全員離脱していてなおモールとは、これいかに(ゴール前でそのままなだれこむ状況なら分かるが)。

トップリーグ開幕戦「東芝×サントリー」3対10(秩父宮)。
金曜日ナイト・ゲームも、雨。

お客さんの動員には致命傷のはずだが、9千人もの観衆が。
しかし、雨はゲーム内容にも影響。昨年とたいして代わり映えしないメンバー同士が、いつかみたラグビーを展開。

一応、サントリーが勝って国内ラグビー沈没の危機を回避した。
つい1ケ月前、東芝のラグビー・スタイルが世界に通用しないことが分かったので、たとえ東芝が勝っても、このラグビーで世界に打って出ようとはだれも考えないだろう。

しかも、国内においてこのスタイルが許されていたのは勝っていたからにすぎない。勝てないと、もはやぶざまにしか見えないから不思議だ。

多くの東芝ファン、慶応ファンにも理解していただけたと思う。東芝司令塔の精度の低いハイパントをみてなぜ、JKが追加招集しなかったか。

問題の核心は、SHの方にある。
JK体制の継続が正式に決まったようだが、JKの言う日本らしさとはどういうものか、まずその説明をしてもらいたい。

時間終了を告げるサイレンが威嚇的で不快だ。
体調(咳、声、咽喉)も変わらず不調。

風邪でダウン。
相当悪質な奴で、下手をすると医者にかからなくてはならない感じだった。保険証なき身としてはこれはまずい。必死に、気持ちで直す。

MERDE! もしいま我輩が死んだら、ヤプー(米畜人)コイズミ、リアル売国奴タケナカ、ノーと言えないが障子に穴はあけられるシンタローの3人が犯人である。


留守の間に『ムッシュー・ソレイユ』(西荻ほか)の季節商品「マロン・パイ」(158円)が出ていた。

以前紹介したときに、シュー・クリームっぽいと書いたが、それは外見のこと。やはり、パイ皮のパリッとした歯応え、サクサクと崩れる食感は、上質なパイそのもの。
是非お試しを。

西荻には、『青葉』も出来ていた。ちょっと迷ったが、『いしはら』でつけ麺。
どうも、自販機(券売機)はよくない。同じ程度の味なら、機械の介在しない注文・支払い店に高い点をつけたい。だから『いしはら』の勝ち。

最後は、落ち着くところに落ち着いた。
ワールド・カップは、チャンピオンシップを争う場であって必ずしも最強者を選ぶ場ではないことが、今回ほどクリアに出た大会はない。

大会前のトップ・スリーがみなこけて、4番手が頂点に立ったわけだが、すべては開幕ゲームでレ・ブルーが躓いたことが原因。

「ENG×RSA」6対15(サン・ドニ)。
準決勝、裏決勝の3試合が締まらない内容だったせいか、この決勝はノートライ・ゲームでも見ごたえあり。とくに接点でのドライヴ・絡み合いは80分間ずっと激しく続く。

ラインアウトの南ア、スクラムのイングランドと、想定どおりのキャラを立てつつ、ゲーム支配を狙う。

蹴りあいも、前半は教科書通りの精度で、チェイサーとキャッチャーが常に交差するから、緊張感を削ぐことにはならなかった。

イングランドは、パブリック・イメージとは違い、意外とボールを動かしている。
ラインアウトのクィック・スタートとか、センターでのブレイクとか、いろいろやっている。強大なFWをバックにウィルコのキックという、悠然としたゲーム・コントロールをしているわけではない。

南アは、スクラムでやられても、勝負どころではコレクティフに結束。それはモールでも同じ。

結局ゲームは蹴りあいに終止したわけだが、前述した理由でそこそこ楽しめた。


表彰式では、大統領がふたり、首相が少なくともひとり、(スタンドにはプリンスがふたりいて)楕円球宇宙最高峰の大会に花を添える。

6回の大会の中で、常に会場一杯の観客、アプセットまたアプセットの内容で、興行としてもエンタテインメントとしても過去最高の大会となった。

開幕戦、ロス・プーマスのラックでのしつこい絡みを許したことで、大会全体の基準が決まってしまった。したがって、洗練された「スーパー14」系のボールが動くラグビーを志向するチームには厳しい大会になった。

もちろん、大会に出場したほとんどチームの世界観には「スーパー14」系のラグビーは存在しない。

名誉がかかったバトルでは、きれいに掃除されたラックなんてものはない。ボールが次から次へとリサイクルされて動くのは、TVショウ・ラグビーだから。

南半球3強で南アが残ったのは、国内にストリート系のラグビーが生きているからだろう。イングランドのファイナリストも同じ理由。

<三位決定戦>
「FRA×ARG」10対34(パリ)。
4年前は「プチ・フィナル」、8年前はうろ覚えだが「三位四位プレイオフ」とか言っていた。
とうとう「ブロンズ・ファイナル」と、呼称が決まったようだが、ラグビーのワールド・カップで銅メダルに価値があるとは思えない。

フランスは、まず銅メダルの価値などは認めていないのだろう。多くのフランス通は、イングランド戦と同様にこの試合も負けると予想していた。

そして、その通りになった。
もちろん見所がなかったわけではない。

前半25分までに、4、5回決定的シーンを創っていた。
少なくとも、アルゼンチンのノータッチ・キックを美しいカウンターで3回インゴールを陥れた。しかし、いずれも、フォワード・パスで得点ならず。

このあと28分、ペナルティからラインアウトで、アルゼンチンは簡単にオーヴァーラップを創ってトライ。
自信喪失気味のレ・ブルーには最悪の展開。

あとの展開は、なにをやっても裏目裏目で、ロス・プーマスの思うがまま。フラストレーションを抱えたレ・ブルーは、相手のささいなちょっかいに随所で報復の手を出す。

準々決勝までのディシプリンはどこにいってしまったのか。

今大会のレ・ブルーは(個人的には今でも世界で2番目に強いと思っているが)、一旦ブレイクし損なうと、ここまで堕ちてしまうのだという見本のようなチーム。

決勝ラウンドに入って、スタッツでは理解できない勝負の綾が幅を利かすようになった。
一方で、乱闘シーンも頻発するようになって、興趣を削ぐようにもなってきた。

準決勝以降、ちょっとしらけ気味なのは、フランスが負けたせいだけではないと思う。

まあ、大会最終日前日まで残ったことで、最低限のノルマは果たしたわけだが、後味の悪い終わり方。これでは、フランス国内のラグビー人気はあまり盛り上がらないだろう。

コーチの采配ミスで逃した勝利が、かえすがえすもったいない。

<スト>
フランスでは大規模スト。
土曜(日本時間)の裏決勝、パルク・デ・プランスは、市内のどこからでも歩いていけるからあまりダメージはないけど。

労働者の権利は、ちゃんと行使すべきだが、フランスの場合はやりすぎ。
日本の場合はやらなすぎ。弱者は集団で固まらないと権力者に対抗できない。

しかし、公務員にスト権を、みたいな検討がなされているというニュースを聞くとちょっとむかつく。いまや、一般庶民より高給取りの公務員にスト権が必要なのか。

杉並区の例で言うと、平均給与が700数十万という莫大なもの。庶民の倍近い額だ。
とりあえず、公務員の給与を半分にして、そのあとスト権を与えるのならまだしも、納税者の八割より高額の給与をもらって(年金も)いるのだ。話は、こういう寄生虫化した公務員制度を直してからだ。

まず、公務員の給与を一般納税者、庶民(東証1部上場企業のホワイトカラーを除く中小企業労働者)の平均給与をビタ一文上まわってはならないという法律をつくろう(能力によるインセンシティヴ・ボーナス制度はOK)。

これだけで、介護とか医療といったライフ・ラインにかかわる公共サーヴィスの水準を落とす必要はなくなる。
ちょっと熱くなりすぎた。保険証返せ!


19日、IRBの新しいチェアマンが決まる。
だれが立候補しているか、そんなこともわからない。

噂どおりベルナール・ラパッセが新チェアマンになれば、アングロサクソン支配からは脱するが、魑魅魍魎が支配するラテン的カオスが到来するかもしれない。

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