日本の食品企業とJASMEQ日本農業の未来 若手農業者とネットワーク

2009年04月17日

アメリカの政策とポール・クルーグマン

42834a0a.jpg「世界大不況からの脱出」なぜ恐慌型経済は広がったのかーポール・クルーグマン、プリンストン大教授。

最初に、かのシカゴ大学のノーベル賞受賞教授の恐慌の問題の核心は解決された、との見解が引用されている。
そして、しかし残念ながら我々は愚かだったという。その疫病神はわれわれに襲いかかっているのだと。

恐慌への対処。
その結論は、景気対策だとする。世界の信用機能は麻痺状態にあり、その勢いを増しつつある。
当面の危険な状態をとうにかしなければならない。それは二つ。信用フローの回復と消費の換気だという。

そして金融機関への多くの資本注入である。それでも回復は疑問だというのだ。

答えは古きケインジアン流の財政刺激策である。
ケインズを引用する「善や悪にとって危険となるのは、既得権益ではない。われわれの思考である」


この結論に導くために1978年のジョアン・スウィニーらの「金融理論とキャピトルヒル・ベビーシッター協同組合大論争」が紹介される。

議会関係の仕事をもつ若い夫婦でお互いにベビーシッターをする協同組合。代用通貨としてクーポン券を発行していた。これが貯める人が増えると、かえって労務提供だけが増え続け使う人が減り、協同組合の危機に直面したというもの。

これをモデルとして、システムを単純化し、それがいかに機能するか思考実験をしている。

要は有効需要を引き出すこと。クーポン券の供給量を増やすことだという。これで増えて配られたクーポン券でベビーシッターを利用する人が増えたという。

さて、銀行の国有化と通貨供給量の増発、公共事業の拡大と矢継ぎ早に対策を取っていく。とるべきだと主導する。これがいまのアメリカ政府の政策だ。

だが、問題は多くの人びとの意識だ。金融は経済の血液に過ぎない。人そのものあり方、すなわち実体経済がどうあらなければならないか、いまそれが問われている。

われわれは、いままでの自動車や電気産業の復活にかけるのか。それを回す金融資本にまた翻弄されるのか。

そうではない。まさに農と食を基本とした自然との共生のあるべき社会こそ生み出してゆく。こういうビジョンにとって必要な信用とはなんだろか。


nobu23 at 08:03│Comments(2)TrackBack(0) 読書 | 事業・起業

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この記事へのコメント

1. Posted by ブナガヤ   2009年04月17日 13:59
一筆啓上。公共投資バラマキ型ケインジアンか、貨幣量、つまりはクーポンを増やし、同時に規制緩和をしていくことが経済の活性化なのだというマネタリズムかについての「思考ゲーム」はとりあえず置きます。私たちは経済学者でもなく、必死にこの世を生きている者ですから、この世の中をどのように認識するということは切実な問題ではありません。

問題なのは、「農と食」とブログ主様はおっしゃいますが、この上記の2ツの大きな経済の方針でどちらに与するのかです。和郷園さんや関西のモクモクのような農的テーマパークを選択するなら、マネタリズム型が適しています。
それとも農村で拠点的な有機農業の生産拠点や、JAS有機認証に対する支援を投資しろ、というならケインジアン型でしょうか。
はたまた、以上の2ツとも離れた自給的な農生活なのか。これならば経済政策はいりません。
ブログ主様のいう「あるべき社会」、「食と農」が大切にされる社会とはいったいなんなのでしょうか。それは経済政策に支えられないと実現できないはずですが。こちらの側の経済政策をリアルに構想しないといけない時代に差しかかっています。



2. Posted by 野生のトキ   2009年04月18日 11:21
農を核とする新たな経済の誕生は
様々な、チャレンジがあると思います。
豊富で楽しく、面白い多様なやり方で。

お金をほとんど使わない自給自足的な農的くらし

農生産物の販売、加工品、さらに農的サービスの提供含む新たな生活圏の創造(農商工連携)

農と文化、学校など多様な連携の誕生

なにはともあれ、それぞれの場で実現しましょう。
その連携と学びあいをしていきたい。


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