2008年10月

初めての街から

こんにちは

パルジファル公演の合間の休日を利用して、
今日からフランスのナントという街に来ています。

昨晩のパルジファルが終わって自宅に戻ったのが12時頃、その後自宅に帰って荷造り+部屋の片づけをして、就寝は3時頃、すいません、生来ののんびり屋な上に本番後でかなりくたびれてたので頑張ってやったつもりでもそんな時間になってしまいました。
でも、今朝は7時過ぎに出る便だったので、起床は5時前、なんだか全然寝た気がしなかったですが、考えてみたら2時間も寝ていなかったので当たり前ですね。
9時過ぎにはパリに着いて、公演終了から12時間経った頃にはナントに着く直前の電車の中で景色も目に入ることなく熟睡中でした。

夜、地元のロワール地方を拠点とするオーケストラの定期演奏会を聴きに行きました。
ベルクのヴァイオリン協奏曲(ソロはイザベル・ファウスト)とベートーヴェンの「運命」というプログラムでした。
会場でもらったパンフレットによると、この国立ロワール管弦楽団は現在1万人以上の定期会員がいるそうです。
定期演奏会は会員にきちんと聴いてもらうために、同一のプログラムでの演奏会をナントとアンジェという2つの街で2回づつ、それに加えてロワール地方のほかの街でも場合によって1〜2回開いているそうです。

あまり事情に詳しくないのではっきりとは分かりませんが、これだけの規模の定期会員がいるオーケストラはフランス国内すべてを見ても、ごくごく限られているのではないか、と思います。

ナントと言えば、「ラ・フォル・ジュルネ」というユニークな音楽祭の開催地としても有名ですが、それも地元オーケストラを支えているの膨大な定期会員なくしてはあり得なかったのかもしれません(最近は有楽町の国際フォーラムでその音楽祭の日本版が開かれるようになっていますね)。

あ、そうそう、このオーケストラのメンバーの名簿をパンフレットで見たら日本人のヴァイオリン奏者が一人在籍していらして、今夜も演奏されていました。
客席から遠目で見ただけなので勘違いかもしれませんが、東洋人系の名前はほかになかったので多分演奏されていたのがご本人だと思います。

初めて来た街のオーケストラに日本人がいて、活躍されているのを見ると、なんとなくうれしくなるというか、思わず応援してしまいます。

しかし、フランスの秋はつくづく素敵だな、と思います。

それでは、また。

Fosa 訂正しました

こんにちは。

10月も下旬に入り、温暖な地中海性気候の町バレンシアもさすがに朝夕がぐっと涼しくなってきました。
とはいえ、晴れている昼間などはそこそこの陽気にはなるわけで、寒暖の差に体が参ってしまわないように気をつけなければいけません。

オペラのオーケストラは舞台の前にあるオーケストラピットが普段の主たる職場になります。
ピットはスペイン語ではフォサ(ふつうは墓穴という意味で使う単語です)といいます。
(追記 …なんて偉そうに書いてましたが、なんか変だなと思ってもう一度辞書にあたってみると、オーケストラピットを意味する単語は「Foso、フォソ(男性名詞)」であるようです、これはもともと「穴・堀」を意味する言葉で、「fosa、フォサ(女性名詞)」では含まれる「墓穴」という意味は「foso」には含まれないようです。訂正します)

文字通り、穴倉状態の狭い空間に多くの人間がひしめき合って演奏するわけです。
このフォサでこれからの季節に特に困るのは…、
そうです、風邪などの感染症です。

一口にオーケストラといっても、
主に交響曲などをコンサートで演奏するのが主なシンフォニーオーケストラは、
ステージの上で、つまりもっと開かれた空間で練習や本番をしますし、本番の演奏時間も短いですから、まだましなように思います。

しかしながらオペラのオケの場合、上記のような労働環境では、寒くなってきてからの感染症の予防対策は、なかなか大変です。
気をつけていないと、誰かからもらった風邪がようやく治ったと思ったら、病み上がりの弱った体に早速別方面からの風邪が進駐してくる、なんて切ないこともあります。

これからの季節は、いつも以上に体調管理に気をつけながら、手洗い・うがいなどを徹底するしかないですね。
桑原桑原。

それでは、また。

気になるもの

こんにちは。

突然ですが、「目が疲れる」ってよく言いますよね。
仕事でパソコンの画面と一日中にらめっこでもう目がしょぼしょぼするよ…、という経験がおありの方も多いと思います。
疲れ眼用の目薬なんかも市販されてますね。

多分、耳にもそういうことってあるような気がします。

日本で仕事をしていた頃、
地方での演奏会の時、新幹線で移動して、会場に着いた直後にすぐリハーサルと本番、ということがあり、そういう時にはしばしば演奏中に音の具合がいつもと違って聴こえ、なんだかしっくりこない思いをしました。
あの頃は、ただ単に移動で体が疲れていたからだと思っていましたが、
耳の疲れからくるものも大きいと思います。

とはいえ、疲れ耳に効く薬ってのは知らないですから、
治すには静かな環境において自然に回復するのを待つ、しか方法はないのでしょう。
また、耳は加齢に伴って特に高い周波数の感度が鈍ってくると言いますし、
今後のことを考えても、特に僕のような生業の人間は、耳をいろいろなストレスから守っておく必要があると思います。

ということで、日頃はなるべく騒がしい場所にいるのを避けたりしてますし、
電車や飛行機などでの長時間の移動の際には耳栓が必需品。
また、機(車)内で映画や音楽を聴くことはほとんどありません。
やはり、あの騒音の中で音を聞こうとすれば、かなり音量を上げて聴かざるをえず、相当な負担が耳にかかることは避けられないと思うからです。
正直言えば本当はそういう移動の時こそゆっくり映画を見たり音楽を聴いたりしたいんですが…。

そんな僕が最近気になるもの、
それは、ノイズキャンセリング機能が付いた高機能のヘッドフォンです。

以前イヤホン式のものは使ってたことがあるんですが、ヘッドフォンで耳を完全に覆ってくれるものは値段も高く、まだ手が出せずにいます。
音楽を聴かない時でも、あのヘッドフォンを使えば、飛行機の機内で完全に近い静寂が得られる、のだとか。
それがただの噂でないのならちょっとすごいことだな、と思います。

実際のところどんな感じなのか、使ってらっしゃる方に是非感想をお聞きしたいものです。
興味津津。

さて、耳の疲れをとる一番いい方法、
それは多分睡眠ではないか、と思います。
健康を維持し体力や集中力を回復させるだけでなく、
そういった意味でも音楽家にとって良質な睡眠は大切ですね。


それでは、また。

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