謎の人類の第3の化石、しかも南アジアで最初の化石が、このほどラオス北部の洞窟(写真)から見つかった。イリノイ大学のローラ・シャックルフォードらの国際的研究チームが『ネイチャー・コミュニケーション』5月17日号で報告した。
◎年代は16.4~13.1万年前
見つかったのはヒトの大臼歯で(写真)、巨大だが、歯根が未発達なことから子どものものと考えられた。しかもY染色体と関係する特定のペプチドをエナメル質に欠いていたことから、女性と分かった。
少女の大臼歯は、洞窟の多くの動物骨の集積場所に混じっていた。ヤマアラシが持ち込んだものと見られ、ヒトの他の骨は見つかっていない。
骨の年代は、16.4~13.1万年前と推定された。
この年代となるとホモ・エレクトスが考えられるが、歯の形はもっと複雑で、むしろネアンデルタール人の歯と似ていた。
◎チベットのデニーソヴァ人下顎骨の大臼歯と酷似が決め手
そこで思い出されたのは、1980年にチベット高原の白石崖溶洞で発見され、2019年に発表されたデニーソヴァ人下顎骨である。見つかった少女の大臼歯は、この歯とそっくりだった。
チームは、アジアで3例目のデニーソヴァ人化石と結論づけた。