ASUSは11月5日、キーボードが着脱できる8.9型2-in-1「TransBook T90Chi」を発表、7日から販売を開始した。ベースは今年(2015年)3月に発表した同モデルと変わらないが、OSをWindows 10 Homeに、OfficeをOffice Mobileに変更し、実売価格を32,000円前後と大幅にコストダウン。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

■ HDMI出力が無いのは惜しいがBluetoothキーボード込みで3万円台前半

 冒頭で触れたように、今回ご紹介する「TransBook T90Chi」は、今年の3月に発表されたモデルとハードウェア的には同じだ。違いはソフトウェア。元々OSはWindows 8.1 with Bing、OfficeはOffice Home and Business 2013。主にOfficeのコストが加わるため、価格は59,800円と、内容の割に割高であった。

 余談になるが、これまで海外モデルも含め、国内販売する場合は、Officeのライセンス込みになるケースが多く、その分割高になっていた。しかしOffice 365や、10型までは無料のOffice Mobileなどの登場で、今では逆に入っていると、場合によっては二重のライセンスになる可能性もあり、個人的にはそろそろ外してもいいのではと思っている。

 この「TransBook T90Chi」は、まさにその発想に則り、OSをWindows 10 Homeにした上で、Office Home and Business 2013を落とし、Office Mobileをプリインストール、大幅にコストダウンした魅力的なモデルだ。主な仕様は以下の通り。

 SoCは8型クラスのタブレットなどでお馴染みAtom Z3775。4コア4スレッドでクロックは1.46GHzから最大2.39GHz。キャッシュは2MBでSDPは2W。メモリはLPDDR3-1066の2GBを搭載。この関係からOSは32bit版のWindows 10 Homeとなっている。ストレージはeMMCの64GB。

 グラフィックスはSoC内蔵のIntel HD Graphics。残念ながらHDMI出力が無く、本機唯一の弱点となる。ディスプレイは光沢ありの8.9型IPS式1,280×800ドット。10点タッチ対応だ。サイズ的にはフルHDが欲しいものの、コストとの兼ね合いだろう。ただそれでもデスクトップ環境の文字は標準だと結構小さい。

 ネットワークはIEEE 802.11a/b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応する。その他のインターフェイスは、Micro USB(充電用兼)、microSDカードスロット、音声入出力、カメラ(前面200万画素/背面500万画素)。また付属するBluetooth式のキーボードドック側にも充電用のMicro USBがある。センサーは、加速度センサー、ジャイロスコープ、環境光センサーを搭載している。

 サイズは本体のみで241×137×7.5(幅×奥行き×高さ)、重量約400g。キーボードドック込みで241×137×16.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約750g。クラムシェル型のノートPCと考えても重量1kgを大幅に切り、ポータビリティは抜群だ。

 バッテリ駆動は本体約10.3時間。Bluetooth式のキーボードドックは約380時間。どちらもそれなりの長時間運用に耐えられる。

 そして価格は32,000円前後。正直この円安の中、このクオリティでこの価格は、儲けがあるのだろうかと心配するほどのハイコストパフォーマンスと言えよう。

 筐体は、背面が少しブルーがかった非光沢のブラック。前面は左右が少しフチが広いものの綺麗にまとまっている。また厚みが7.5mmなので結構薄い。手持ちの機材で比較したところ、MADOSMAとほぼ同じ。実測で重量391gということもあり、持った時に軽くも重くも感じず、ちょうどいいバランスだ。

 前面は、パネルの左上に200万画素カメラ。写真からも分かるように、少し珍しい8.9型なので片手で持つにはギリギリと言ったところ。またWindowsボタンは無い。背面は左上に500万画素カメラ。左側面にmicroSDカードスロット、下に音声入出力。その間のメッシュにスピーカー。右側面に充電用を兼ねたMicro USB。左側面同様スピーカー用のメッシュがある。上側面に音量±ボタンと電源ボタン、その横に電源LED。下側面には何も無い。付属のUSB式ACアダプタは、サイズ約40×40×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量52gとコンパクト。出力は5V/2A。

 ディスプレイは光沢ありの8.9型IPS式。視野角は十分広く、発色やコントラストもなかなか良い。明るさは、バックライト最小では暗いものの、25%なら低照度の室内であれば十分見ることができる。最大の100%は眩しいほどではないが、このクラスとしては明るい方だろう。また解像度1,280×800ドットは意外とこのサイズでも標準の状態では文字が小さい。もちろんタッチも問題無く反応する。

 ノイズや振動は皆無。発熱は左側が若干暖かくなる程度だ。サウンドは、左右外向きにスピーカーがあるので、音が分散してしまうが、それでもこのクラスの割にパワーがある。またサイズ的に低音が出ないのは仕方ないものの、全体的に抜けの良い音質だ。

 付属のBluetoothキーボードドックは、アイソレーションタイプで主要キーのキーピッチは約18mm。[Enter]キー周囲の一部ピッチが狭いものの、たわむこともなく、普通に入力ができる。筐体のクオリティもチープさが無く良好だ。ドッキング時の重量も実測で729gとかなり軽い。ドック部分に本体がカッチリ入り、少々振り回しても落ちてしまうことはない。

 ただし接点が無く、ドッキングしたことを本体が認識できないので、Continuumは機能しない。逆にBluetooth接続なので、非ドッキング時でもキーボード入力ができるのが特徴だ。

 唯一気になるのはデスクトップモード時にタスクバー上にあるアイコンをキーボードのフチが邪魔をし、かなり押しにくいこと。正直設計ミスでは? と思えるほどだ。キーボードショートカットを多用するユーザーであれば問題ないかも知れないが、一般的には結構辛く、マウスなどポインティングデバイスが別途必要となってしまう。

 価格も安く、筐体などのクオリティもクラス以上、非常に満足度の高いマシンなだけに、この部分とHDMIが無い点が個人的には残念だ。

 カメラは軽くテストしたものの、作例を掲載するほどの画質ではないため今回は省略した。後半に掲載したカメラアプリ「ASUS LifeCam」で、フレームを付けたり、フィルタをかけたりすることができる。デジタルズームは3倍まで対応。

■ Atom搭載タブレットとしては標準的な速度

 OSは32bit版のWindows 10 Home。おそらく先日リリースされたTH2(Build 10586)に更新すれば、メモリ効率が上がり、更に動きは良くなると思われる。

 初期起動時スタート画面(タブレットモード)は、標準に加え、Office Mobileの追加と、ASUS GIFXBOXやTripAdvisor、Flipboardなどがプリインストールされている。デスクトップは壁紙の変更のみと非常にシンプルだ。

 ストレージは64GBのeMMC「Hynix HCG8e」が使われ、C:ドライブのみの1パーティションに約57.49GBが割り当てられ空きは45.7GB。Wi-FiはBroadcom製だ。また、付属のBluetoothキーボード「ASUS T90CHI DOKING」やセンサー類も見える。

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリが「ASUS GIFTBOX」、「ゲームロフトのゲーム」、「ASUS LifeCam」、「TripAdvisor」、「Twitter」、「Excel Mobile」、「PowerPoint Mobile」、「Word Mobile」、「Flipboard」など。ASUS系以外は一般的なので特に説明の必要は無いだろう。ASUS系に関しては画面キャプチャを掲載したので参考にして欲しい。

 デスクトップアプリは、ASUSフォルダに、お馴染みの「ASUS Camera Indicator」、「ASUS Install」、「ASUS Live Update」、「ASUS On-Screen Display」、「Chi Keyboard Power」、「Splendid Utility」、「WebStorage」、「WinFlash」。その他に「Evernote」、「i-フィルター6.0」、「マカフィーリブセーブ・インターネット」など。本機固有のアプリとしては「Chi Keyboard Power」となるだろうか。キーボードドックのバッテリ残量を確認できる。

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(4コア4スレッドで条件的には問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 3.8。プロセッサ 6.8、メモリ 5.5、グラフィックス 3.8、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.9。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは1233。CrystalMarkは、ALU 29710、FPU 25124、MEM 17793、HDD 16623、GDI 5052、D2D 3331、OGL 3519。参考までにGoogle Octane 2.0は8,465(Edge)だった。Atom搭載機としては標準的(少し速め)と言ったところ。予想以上でも以下でもない。

 BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果は、バッテリの残3%で43,048秒/12時間。何時もの5%で約11.7時間。いずれにしても仕様上の約10.3時間より長い。明るさ25%以上にすると少し落ちて、仕様の範囲に収まると思われる。

 以上のようにASUS「TransBook T90Chi」は、Atomと8.9型IPS式1,280×800ドットのパネルを搭載したタブレットにBluetoothのキーボードドックが標準で付属する、ある意味2-in-1とも呼べるマシンだ。価格の割にチープな感じもまるでない。SoC的にパワーは期待できないものの、ライトな用途であれば十分使える環境だろう。バッテリ駆動時間も実測で10時間を超えた。

 唯一HDMI出力がないのと、キーボードのフチが邪魔をしてタスクバー上のアイコンがかなり押しにくいのは気になる部分であるが、それでも3万円台前半の価格は、非常にコストパフォーマンスが高い。約8型のタブレットを2-in-1的に安価に揃えたいユーザーにお勧めできる逸品と言えよう。

 日本マイクロソフト株式会社は11日、11月の月例セキュリティ更新プログラム(修正パッチ)に関するセキュリティ情報12件を公開した。脆弱性の最大深刻度は、4段階で最も高い“緊急”が4件、2番目に高い“重要”が8件。事前に情報が公開されていた脆弱性もあるため、マイクロソフトではできるだけ早急に修正パッチを適用するよう呼び掛けている。

 最大深刻度“緊急”のセキュリティ情報は、「MS15-112」「MS15-113」「MS15-114」「MS15-115」の4件。

 「MS15-112」は、Internet Explorer(IE)に関する25件の脆弱性を修正する。脆弱性が悪用された場合、特別に細工されたページをIEで表示した際に、悪意のあるプログラムを実行させられる可能性がある。現在サポートされているすべてのIE(IE 11~7)が影響を受ける。

 「MS15-113」は、Microsoft Edgeに関する4件の脆弱性を修正する。脆弱性が悪用された場合、特別に細工されたページをMicrosoft Edgeで表示した際に、悪意のあるプログラムを実行させられる可能性がある。影響を受けるOSはWindows 10

 「MS15-114」は、Windows Journalに関する1件の脆弱性を修正する。脆弱性が悪用された場合、ユーザーが特別に細工されたジャーナルファイルを開いた場合に、悪意のあるプログラムを実行させられる可能性がある。影響を受けるOSは、Windows 7/Vista、Windows Server 2008 R2/2008。

 「MS15-115」は、Windowsに関する7件の脆弱性を修正する。脆弱性が悪用された場合、ユーザーが特別に細工されたドキュメント開いた際や、埋め込みOpenTypeフォントが含まれるウェブページを開いた場合に、悪意のあるプログラムを実行させられる可能性がある。影響を受けるOSは、Windows 10/8.1/8/7/Vista、Windows RT 8.1/RT、Windows Server 2012 R2/2012/2008 R2/2008。また、修正した脆弱性のうち1件は、事前に情報が公開されていたことが確認されている。

 このほか、最大深刻度“重要”のセキュリティ情報として、Officeに関する「MS15-116」、NDISに関する「MS15-117」、.NET Frameworkに関する「MS15-118」、Winsockに関する「MS15-119」、IPSecに関する「MS15-120」、Schannelに関する「MS15-121」、Kerberos認証に関する「MS15-122」、Skype for BusinessおよびLyncに関する「MS15-123」が公開された。このうち、「MS15-116」「MS15-120」「MS15-121」で修正する脆弱性については、事前に情報が公開されていたことが確認されている。

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