PA100249東京都江戸川区、都営新宿線船堀駅の南口にある江戸川区管理の公衆トイレを見てきました。
(トップ画像は2014年10月撮影)

船堀駅は、都営新宿線では数少ない地上駅(高架駅)で、駅自体は丸ごと江戸川区内に所在しています(もう一方の地上駅である東大島駅は、東側の半分が江戸川区、西側の半分が江東区に所在しており、ホーム上に区境がある)。急行停車駅である上に都営新宿線単独の駅の中では最も乗降人員数が多く、2019年度では約64000人の利用があります。駅北口では、展望台や大ホールなどを備えた江戸川区の複合施設「タワーホール船堀」があります。
船堀以東の各駅では、駅前ロータリーが展開されており(一之江以東の各駅は地下駅だが、駅前ロータリーがある)、船堀・一之江・瑞江・篠崎4駅の駅前ロータリーには江戸川区管理の公衆トイレが設置されています。なお江戸川区管理の駅前・街路上の公衆トイレについては、正式名称を"○○手洗所"としており、当物件も正式名称は「船堀駅前手洗所」になります(ところによっては(一之江などが該当)、駅前に公衆トイレが2か所あるが、この船堀駅前では公衆トイレは1か所のみであるため、正式名称には「南口」と冠されていない)。これらの公衆トイレは、バブル経済期の1980年代末期から、その名残の残る1990年代前半ぐらいに建設されたのではないかと思います(なお、都営新宿線船堀駅の開業は1983年で、トップ画像のような現在の駅舎に改築されるに至ったのは1997年ごろのことになる)。

このトイレは、円形の建物が特徴的となっていました。初見は2006年ごろですが、特筆すべき点として、街路上の公衆トイレでありながらも、大便器個室は完全洋式化が成立しており、その他の江戸川区管理の公衆トイレについても、駅前ロータリーにある公衆トイレを中心に、完全洋式化成立の物件が多く(しかも小田急東急などが駅トイレの完全洋式化本格化を打ち出すよりも20年以上前から完全洋式化成立の江戸川区公衆トイレが多かった)、当時としては先進的なものでした。なお江戸川区公衆トイレでは、他の自治体に先駆けて、1980年代後半以降に建設の物件の大部分で完全洋式化が成立となっており、繰り返して書くように先進的なものとなっています。

■船堀駅前手洗所 改修前
●撮影日
 下記以外:2008年11月30日
 説明文頭●印:2013年2月11日
●器具カラー:パステルアイボリー(TOTO色番号:#SC1)
●多機能トイレのドアは手動
DSCN1261●船堀駅前手洗所の南側からの外観・遠景です(バックに見えるタワー状の建物はタワーホール船堀)。男性用・女性用トイレは南北に入口があり、北側(船堀駅南口側)および南側のどちらからも男性用・女性用トイレに入ることができる構造となっていました。竣工当時から円形状の建物の躯体が特徴的となっていました。東側半分が男性用トイレ、西側半分が女性用トイレとなっていました。
funabori (1)北側(船堀駅南口側)からの外観です。ここからは男性用・女性用トイレは建物外から直接分岐する形態となっていました。この視点から見て右半分が女性用トイレ、左半分が男性用トイレとなっていました。


funabori (2)南側からの外観です。こちらは建物外から内部に入ると前室がある構造となっており、右半分が男性用トイレ、左半分が女性用トイレとなっていました。北側からアプローチした際、多機能トイレはないように見えますが、多機能トイレは一応設置されており、中央に設置されていました(多機能トイレ入口は南側にあった)。また建物外壁の施設名表記は、漢字1文字ずつのタイルを離して貼る形態をとっていました。
funabori (6)洗面台はカウンター式で、TOTOのL331R(非CeFiONtect仕様)を2台使用していました(北側入口付近・南側入口付近に各1台ずつの設置。この写真は北側入口付近のもの)。蛇口はオートストップ水栓を使用していました。

funabori (5)小便器はTOTOのU307Cを2台使用していました。洗浄方式は押しボタン式です。手すり・フックの設置はありませんでした。小便器にはCalmicサニタイザーも組み込まれていました。


funabori (3)大便器個室は2室(洋式×2)ありました。洋式便器は個室ごとに異なっており、側の個室の洋式便器はTOTOのタンク密結型サイホンゼット式便器C790B+S790Bを使用していました。便座は普通便座(TC291J)です。大便器個室内には2室とも手すりの設置はありませんでした。
funabori (4)一方、側の個室では、洋式便器はTOTOの洗い落とし式便器C14に隅付ロータンクS570Bを組み合わせて使用していました。便座は普通便座(TC290J)です。床タイルの取替の痕跡がなかったことから、大便器個室はこのトイレの竣工当時から2室とも洋式となっていたのではないかと思いますが、先ほどの個室で便器が密結ロータンクの便器となっているのに対し、この個室で隅付ロータンクの便器が入っているのは、C790B設置の個室では便器背後の壁がタイル壁となっていて、便器背後の壁から給水を取り出しているのに対し、このC14設置の個室では、便器背後の壁がブース壁となっていて、ブース壁から給水取り出しができないためではないかと思います。なお江戸川区の公衆トイレでは、駅前や街路上の公衆トイレ("○○手洗所"という名称が付加されている物件)のみならず、小規模公園のトイレでもロータンク式の便器が入っている事例が多いです。
DSCN1259●多機能トイレです。レイアウトは右勝手で便器の正面にドアがありました。便器はTOTOの車いす対応サイホンゼット式便器C48AS(上面高さ417mm)を使用していました。洗浄装置は靴べら(ソフトレバー)式スイッチ+足踏み式スイッチ併用フラッシュバルブを使用していました。便座は普通便座(TC291J)です。洗浄管にはCalmicサニタイザーも組み込まれていました。非常ボタンの設置はありませんでした。
DSCN1260●多機能トイレの洗面台はTOTOのL103を使用していました。蛇口はオートストップ水栓を使用していました。この多機能トイレにはベビーシートやオストメイト対応設備の設置はありませんでしたが、


funabori (9)多機能トイレ内には幼児用小便器も設置されていました。幼児用小便器はTOTOのU309Cを使用していました。洗浄方式は押しボタン式です。こちらにもCalmicサニタイザーが組み込まれていました。江戸川区の駅前公衆トイレでは、多機能トイレ室内に小便器または幼児用小便器を設置するケースが多かったです(主に多機能トイレを男女共用で設置していた場合が該当)。

江戸川区の駅前ロータリー・街路上の公衆トイレは、竣工時期が古い物件でも大部分で完全洋式化が成立となっていることから、殆どノーマークでしたが、一昨年から一之江駅東側にある公衆トイレ「一之江駅前手洗所」を皮切りに改修工事を実施(この改修工事は自力で把握していた)、その後東京メトロ東西線西葛西・葛西両駅前にある公衆トイレ(葛西駅前は少なくとも葛西駅西口手洗所が該当)も改修(これらは他サイト・Twitterでの把握)、これらの改修された江戸川区公衆トイレでは、多機能トイレのオストメイト対応化が行われたとの情報も入ったほか、一部ではウォシュレットが設置されたとの情報も入ってきました。

そしてこの船堀駅前手洗所も、改修されていました。
■船堀駅前手洗所 改修後
●撮影日:2020年10月4日
●器具カラー:ホワイト(TOTO色番号:#NW1)
●多機能トイレのドアは手動
TOTOフチなしトルネード便器実使用物件3154件目を確認
●多目的トイレマップ当該データはこちらを参照
201004-120今般改修された「船堀駅前手洗所」です。外観での施設名表記は「船堀駅前手洗所 Restroom」となりました。一連の江戸川区公衆トイレの改修では、ところによっては建物の躯体を丸ごと再構築して改修するところもあるようで、まだ見たことがないものの一之江駅前手洗所・葛西駅西口手洗所などが該当しますが、ここでは改修前の円形の躯体を流用して改修、北側の入口は男性用トイレ(左)・多機能トイレ(右)となり、女性用トイレは反対側の南側に入口があります。
201004-123点字表記付きのトイレ内部案内図です。男性用トイレの器具配置数は洗面台2台・小便器3台・洋式個室3室です。男性用トイレでは小便器が1台、大便器個室が1室増加した一方、なぜか女性用トイレの大便器個室が男性用トイレの大便器個室よりも少なくなっており、また男性用・女性用トイレは南北両方から入れる構造ではなくなり、片側から入る形態になりました。
201004-135洗面台はカウンター式で、TOTO製CeFiONtect仕様の「セルフリム洗面器」L350Cを2台使用しています。蛇口は自動水栓アクアオート(TENA40A)を使用しています。改修に際して床材・壁材は全てシート張りのものに変わりました(ここ最近のサイゼリヤの店舗内トイレ()などで見るもの)。
201004-136小便器はTOTO製CeFiONtect仕様の自動洗浄小便器UFS900R(壁掛け低リップ)を3台使用しています。「く」の字の内側にへばりつく形で、左側2台+左奥1台に設置されています。1台(左側/入口側)には手すりを併設しています。小便器にはCalmicサニタイザーも設置されています。洗面台・小便器バックのガラスブロックは、改修前と変わっていません。
201004-145大便器個室は3室(洋式×3)あります。洋式便器は江戸川区公衆トイレではほぼデフォルトとなるロータンク式で、TOTO製CeFiONtect仕様のタンク密結型ニューボルテックス式便器「パブリックコンパクト便器・タンク式」CS597BMS(フチなし形状・トルネード洗浄採用、排水芯可変仕様、洗浄水量大4.8L/小3.6L)+SH596BAYRを使用しています。便座はウォシュレットウォシュレットPS2An・エコリモコン・ふたなし仕様(2018/02~モデル、オート・リモコン便器洗浄付き)TCF5523AYRです(便器洗浄リモコンもエコリモコン)。大便器個室は3室とも手すりも設置されています。大便器にもCalmicサニタイザーが組み込まれていました。
201004-148大便器個室は3室とも手すりのほか、ベビーチェア(COMBIベビーキープスリムF62タイプ)も設置されています。また3室全てに災害用トイレで使用するマンホールが設置されています。


201004-125多機能トイレです。改修に際してオストメイト対応設備が追加されたほか、こちらにも災害用トイレのマンホールが設置されています。レイアウトは改修前と同様の右勝手となっています。
非常ボタンなし

201004-127多機能トイレの便器はTOTO製CeFiONtect仕様のタンク密結型ニューボルテックス式便器「パブリックコンパクト便器・タンク式」CS597BMS(フチなし形状・トルネード洗浄採用、排水芯可変仕様、洗浄水量大4.8L/小3.6L)+SH596BAYRを使用しています。便座はウォシュレットウォシュレットPS2An・エコリモコン・ふたなし仕様(2018/02~モデル、オート・リモコン便器洗浄付き)TCF5523AYRです(便器洗浄リモコンもエコリモコン)。小型手洗器・背もたれも設置されています(便器横の小型手洗器はTOTO製だが、よくあるL590系ではなく、L90DR+自動水栓となっている)。大便器にもCalmicサニタイザーが組み込まれています。
201004-126多機能トイレ内のオストメイト対応設備(給湯設備付き)です。オストメイト対応設備はTOTO「コンパクトオストメイトパック」で、汚物流しはTOTO製CeFiONtect仕様のSK117(フチなし形状・トルネード洗浄、洗浄水量4.8L)を使用しています。蛇口はシングルレバー式混合プルアウト水栓です。 汚物流しの洗浄はオートクリーンCと同様のタッチスイッチ式ですが、給水はロータンク式(リモコン便器洗浄ユニット内蔵)です。オストメイト対応設備側に紙の備え付けがあります。汚物流しでは珍しく、Calmicサニタイザーが組み込まれていました。
201004-128多機能トイレの手洗設備について、大型の洗面台の設置はなく、小型手洗器が設置されています。小型手洗器はTOTO製CeFiONtect仕様のL870Aを使用しています。蛇口は自動水栓です。鏡はありません。


201004-130多機能トイレ内にはベビーシート(左側)・ベビーチェア(右側)も設置されています。ベビーシートはTOTOのYKA24R、ベビーチェアはCOMBIベビーキープスリムF62タイプを使用しています。


江戸川区の街路上の公衆トイレでは、繰り返して書くように完全洋式化成立箇所が多くなっており、特に駅前ロータリーや街路上にある公衆トイレでは、完全洋式化と多機能トイレ設置がセットで行われていたところが多かったものの、オストメイト対応という事例は全く見たことがありませんでした。今般の改修は、設備老朽化が目立ってきたことによる改修と多機能トイレの付加設備の充実化を主眼とした改修のようですが、改修に際して全大便器へのウォシュレット設置までも行われており(公衆トイレにおけるウォシュレット設置は、江戸川区のほか千代田区・文京区・渋谷区などでいくつかの事例があり、ここ最近に竣工したもの)、公衆トイレにしては充実した設備を持っている、というのは確かなことですが、一方で多機能トイレの非常ボタンがない点が、「唯一にして最大の欠点」として目立っており、これが残念なところです(多機能トイレの便器右側、ウォシュレットリモコンの周辺には非常ボタン設置予定スペースがあるので、将来的に非常ボタンの整備を行う可能性もあるかもしれない)。
また、同じ都営新宿線沿線上にある東大島駅前手洗所(東大島駅小松川口付近)・篠崎駅前手洗所も、ここの改修前と同様、多機能トイレ設置・完全洋式化は行われてはいるものの、多機能トイレは男女各トイレ内に内包の狭いもので(乳幼児・オストメイト対応設備はおろか、洗面台もなく、手洗設備は個室外の洗面台と兼用となっている)、介助者が異性の場合やLGBTの利用に適合していない状態なので、そちらもここと同様の改修されていることを期待したいところです。

※「ウォシュレット」はTOTOの登録商標です。