ゼロカートラブルブログ::ちょっとエンスーな欧州車のブログ

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【メルセデスベンツVクラス】
mercedes-benz-v-klasse-07

ドイツの高級乗用車メーカーメルセデスベンツが唯一ラインナップしている乗用ミニバン。
ソイツの名前はVクラス。 

鼻先にぶら下げたスリーポインテッドスターのエンブレムに恥じない品格のある佇まいに高い質感と作り込まれた感のあるインテリア。
そして、ミニバンにも関わらずその乗り心地は同社にラインナップされるサルーンと遜色なく・・・。とはならない残念ながら(笑)
勘の良い人は冒頭で「乗用」って表現使ってる時点でオチが見えてるかもしれないけれどコイツの出で立ちは商用車。そう、商用車をベースに乗用仕様にしているミニバンでキャラクターとか出で立ちで言えば本来はルノーカングーとかのほうがよっぽどお仲間。

日本で「メルセデスベンツ」と聞けば真っ先に思い浮かぶイメージは「高級車」となると思う。
けれど、ヨーロッパではメルセデスベンツといえばバスやトラック、貨物車両などもバリバリに製造している総合自動車メーカーなのだ。
なので、メルセデスベンツと言う自動車メーカーはヨーロッパでは「高級車ブランド」のイメージと共に「商用車ブランド」と言う認識がある。
なので、日本で認知されている「メルセデスベンツ」と言うブランドは全体の中での「高級車部門」だけに過ぎなかったりもする。

で、前置きが長くなったけれどこのVクラスというクルマは特に初代に関してはその「商用車」としての出で立ちの方が強い。
メルセデスの言い分としては商用仕様のVITO(ヴィトー)と共同開発と言う触れ込みだけれど、実質はVITO作ってそれをVクラスに仕立て直したという手法のほうが強い。
乗用ベースで作って、それを商用化するっていうのはサスペンションの耐久性なり何なりやら掛けるコストの部分の違いとか色々と弊害があるからメーカーとしては「商用」を「乗用」に仕立て直すほうがよっぽど楽ちん。それで生まれたのがこのVクラス。
参考までに駆動方式はこの頃は基本的に乗用のVクラスはFFで商用のVITOはFRとなっている。

しかし、日本導入の際には「メルセデスベンツが作った高級ミニバン」として導入され、その上価格は導入当初は400万円を切っていただけにエルグランドやグランドハイエースあたりの顧客層に対する訴求力は高かった。
そして、当然の事ながらそういう顧客層は「エルグランドやグランドハイエースより威張れるベンツのミニバン」を期待するわけなんだけれど、そんな期待は見事なまでに肩透かしを食らう事となる(笑)
質実剛健な走りはともかく、この手の車の購入層が期待するような豪華な装備類だったり、数多くの電動装備品だったり高い質感なんかは当然の事ながら備えては居ない。
だって、あくまでもコンセプトは全然違って商用車ベースの優れたピープルムーヴァーとして企画されているわけだから・・・。
で、そんなVクラスは本来どんなキャラクターかと言えばこんな感じになると思う。

【メルセデスベンツVクラス本国版の廉価グレード】
vito
あれ?日本のイメージと全然違う・・・。
そう思った人も多いと思う。
それもそのはず、日本に導入された仕様は基本的には全てボディーと同色化されたミラーやバンパーとフロントグリルにクリアサイドウインカーなどを備える最上級仕様だからだ。
インポーターとしてもメーカーとしても「メルセデスベンツ=高級乗用車、及び商用車メーカー」として認知されているヨーロッパとは違って「メルセデスベンツ=高級乗用車」として認識されている日本市場ではそういう仕様を持ってこなければ売れないと当時は考えられたのだろう・・・。

なので、本来の立ち位置で言えばフォルクスワーゲンのヴァナゴンやシトロエンジャンピー、或いはフィアットウリッセあたりのポジションに当たる半乗用で半貨物の合理的なピープルムーヴァー。
日本で言えばハイエースの乗用仕様をファミリーカーにするくらいの感覚で個人的には決してランチアフェードラみたいな品格のあるクルマではないと思っている。(←これはややえこひいき)
しかし、日本ではその「高級」と言う ブランドイメージもあって、あろうことかこのVクラスはインチアップされたりローダウンされたり、はたまたエアロパーツを纒わされたりとAMG的なスポーティーな弄くり方へとベクトルを向けられる事が多かったし、実際に街で見かけてもそんな風にヤン車チックに改造されてる車両も多かった用に感じた。
そして、メディアもそういう事情を知ってか知らずか「名ばかりのベンツ」とか「内装が安っぽい」とか「価格に見合っていない。エルグランド買ったほうがマシ」みたいな冷たい物言いが多かったようにも感じる。
そんな風に散々言われたりしたけれど、一皮むけば本来の姿は下の写真みたいなクルマなんだからそんなふうに言ったら可愛そうだと思う。
そもそも、当時で言っても同クラスの日本車の倍近い価格設定だったメルセデスベンツのミニバンが同クラスの日本車と同じ価格帯って言う時点でもはや褒めてるのか貶しているのかわからないような表現だけれど比べる土俵が違うと思う。

【メルセデスベンツVITO】
mercedes-benz-vito-1999-2003

で、そんなVクラスもデビューした1998年から随分と時間が立って鼻先にぶら下げたスリーポインテッドスターで威張れる高級ミニバンなんかじゃ到底なくなった。
中古車市場でも「その辺に転がってる程度のよくわからない中古ベンツ」って言う立ち位置に見事なまでにしっくりと収まっている。
前オーナーによってセンス悪くヤン車チックにイジられた怪しい距離で微妙な程度のクルマが中古車屋の軒先で物悲しく「38万円」みたいなプライスタグをぶら下げている事もしばしば。
中古車業界においてはなかなか物悲しいポジションに置かれてしまっているのがVクラスの現状である。
確かに、新しい高級車を好む層からすれば改造されている個体なんかは「乗るのも恥ずかしい」って言われかねない物悲しさが漂っている・・・。


w638
しかし、そういう新しい高級車を好む客層からはそっぽ向かれても場合によっては逆にこういうクルマを好む客層もいる。
冒頭の無塗装樹脂バンパーの赤いVクラスを見た時に「おっ!!コレは!!」と思ったヘンタ・・。じゃ、無かった。クルマ好きはいるんじゃないかと思う。 
日本市場ではずーっとバイアスかかった見方しかされなかったし「ベンツ」ってブランドからも「本国仕様のベースグレード」を善しとするようなイタフラ系のクルマ好きからこのクルマが注目される様な事もなかった。
場合によっては、意外にコレは中古車市場の大穴場と思うのは自分だけだろうか?
個人的にはコレ、一手間加えれば「6人乗れるデッカイカングー」みたいなクルマだと思う。

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僕が数年前から一方的に提案している「チープアップ」と言う方法で無塗装バンパー風にしたりして廉価グレード風にカスタマイズすれば相当素敵なクルマに変身してくれると思う。
それこそ、元々が安い車だから思い切ってオールペンなんかしちゃえば日本での「Vクラス」のイメージなんて一瞬で吹っ飛んで、それこそカングーなんかにしれっと紛れて「可愛いクルマ」と言うポジションに鎮座できるんじゃないかと考えている。
また、それなりにチープな内装や意味不明な模様のファブリックシートだって一気に「ご愛嬌」と言うものに変化すると思う。
だって、日本仕様がお化粧しすぎただけで本来がソッチなんだから。

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どうだろう?この雰囲気は。
今まで持たれていたVクラスのイメージがガラッと変わるに違いないと思う。
スライドドアで6人乗りのミニバンだから家族で使うようなシチュエーションでもかなり頼もしいツールになってくれるだろうし、家族の理解も得ながら乗れる趣味者にもなると思う。

また、自営業者や会社経営者には社用車としてこんなクルマを使うのも相当洒落てるんじゃないかと思う。
特に、荷物を載せて長距離移動なんてケースでは快適な乗り心地故に疲労も相当軽減されるだろう。
素朴な4気筒の230も悪くないけれど、低速域から粘りあるトルクを持つフォルクスワーゲン製VR6ユニットを搭載したV280も高速移動が多い人には良い選択だとは思う。
余談だけれど、珍しくベンツが他所からエンジン買ってくるなんて事をしたのは自社製のV6じゃエンジン全長が長すぎて搭載できなかったから。独特の配置を持つフォルクスワーゲン製のVR6はCセグメントのゴルフ3にも横置きで詰めちゃうくらいに全長が短い。それでいて良いエンジンかつ粘りあるトルクってなったら天下のおベンツ様でも思わず「これください!!」ってなっちゃったわけ(笑)

ちなみに、内装に乗用メルセデスのような高級感はなくともそれは表面上だけの話でシート本体の作り込みだったり足回りだったり安全性だったりとそういう部分は当然の事ながらメルセデスベンツらしくしっかりとコストが掛けられているクルマである。
商用車だからと暫く乗ると腰が痛くなるような日本製の商用バンとは発想が逆で、仕事で使うプロツールだからこそしっかり作ると言う考え方を感じられると思う。
エアサスに関しても高額消耗品として話題になる事が多いベローズは左右で4万円程度からと安価に流通しているのでエアサス車特有の心配も少ない。
それでいて、中古車市場ではかなりお手頃な部類のクルマ属するので100万円ほどの予算があれば低走行の車両をベースにウイークポイントなんかにも手を入れて安心できる状態で乗り始めることも可能だろう。この値段なら少なからぬエクストラコストを払って思い切って好きな色にオールペンしても十分以上に値打ちアリだと思う。
なんならこちらのほうが嗜好が合うなら2代目のビアノ(後期からは再びVクラス)なんかでやってみても面白いと思う。
アンビエンテあたりをベースにしたらホイールキャップ外してスチールホイールに出来ることだし(笑)
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コメント

 コメント一覧 (3)

    • 1. いんけつ
    • 2017年02月25日 17:31
    • あーいいっすねえ、いつかはヴァナゴンとか乗ってみたいと思っていた僕に新しい選択肢です
    • 2. ゼロカートラブル
    • 2017年03月16日 17:14
    • いんけつ久しぶり^^
      当時は微妙に思えたVクラスもこうしてみるとヒジョーにありな選択よね^^
    • 3. まさき
    • 2022年08月28日 12:44
    • 私は25年ビトーを乗って23万キロ走破してます。修理代もそれなりにです。しかし今はまだ更新するつもりも無くまだまだ乗って行くことでしょう。
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