中学校
2009年01月17日
リゲルの見かけの等級
(1)オリオン座の恒星X(左の図)の名称と、明るさを表す等級を次の語群から選び、記号で答えよ。
a.シリウス b.リゲル c.ベテルギウス d.アンタレス
e.-27等星 f.0.1等星 g.1等星
この問題は昨日、ある中学校の理科のテストで出題されたものである。(一部改)
この恒星の名称はリゲルで問題ないとして、多くの生徒を悩ませたのが明るさを表す等級だ。「f.0.1」等星なのか、それとも「g.1等星」なのか。
星の明るさは等級で表す。紀元前2世紀にギリシャの天文学者ヒッパルコスが一番明るく見える星を1等星、一番暗く見える星を6等星としたのが始まりといわれる。その後の天文学の発達により、19世紀になると1等星は6等星の100倍(1等差で約2.5倍)明るいことが知られるようになった。
1等星から6等星までの等級についての説明は、中学理科の教科書にも載っている。そして、リゲルは全部で21ある一等星の中でも、冬を代表するオリオン座の一等星として(ベテルギウスとともに)知られている。そのような意味で言えば、上の問題の正答は「g.1等星」となる。(教科書には0.1等星の記述は無い。)
しかし、選択肢にマイナス値や小数値が含まれているところをみると、さらに細かい等級分けを要求しているとも受け取れる。そうすると、リゲルの見かけの等級は「f.0.1等星」が最も正答に近い。だが、そうであるなら、他の選択肢「e.-27等星」や「g.1等星」も小数値で桁を揃えて記述するべきだろう。
そもそもリゲルの見かけの等級は0.1等でよいのだろうか。理科年表では「実視等級0.1等」で、天文年鑑では「0.12等」となっている。さらにステラデータベースを参照すると、「Apparent visual magnitude: +0.14」と記述されている。
ここまで細かい数値にこだわるのであれば、別の問題もでてくる。というのは、リゲルは弱い変光星であるという点だ。大阪市立科学館の加藤賢一氏のデータセンターによると、リゲルの「実視等級は +0.18」で「25日周期の弱い変光(幅は0.06等)」がある。つまり、リゲルのみかけの等級は0.12〜0.24等級の間で変化していることになる。
30年ほど前の本になるが、「Burnham's Celestial Handbook」(1978、Robert Burnham, Jr.著)によると、リゲルの見かけの等級は約22〜25日周期で、0.03〜0.3等級の幅があることが示されている。
また、京都大学のVSNETでは、リゲルは0.17〜0.22等級の変光星とされている。
よって、上の問題でリゲルの見かけの等級を「f.0.1等星」とすることには疑問が生じる。この問題が「明るさを表す等級を次の語群から最も近いものを選び、記号で答えよ」となっていれば、「f.0.1等星」を選択することは可能だが。
実際に学校の授業でどのように取り扱ったのかは不明だが、あまりにも不親切な出題だと感じる。この問題の正答と解説については、来週にも判明する予定だ。生徒たちは、どのような説明を受けるのだろうか。できれば、学校ホームページで問題と解答・解説を公開してほしい。
参考
・和歌山大学:「星の等級の算出」
・Internet STELLAR DATABASE
・大阪市立科学館 加藤賢一氏 データセンター:「一等星とその性質」
・Rigel-wikipedia
・京都大学:「VSNET」:「beta Ori」
a.シリウス b.リゲル c.ベテルギウス d.アンタレス
e.-27等星 f.0.1等星 g.1等星
この問題は昨日、ある中学校の理科のテストで出題されたものである。(一部改)
この恒星の名称はリゲルで問題ないとして、多くの生徒を悩ませたのが明るさを表す等級だ。「f.0.1」等星なのか、それとも「g.1等星」なのか。
星の明るさは等級で表す。紀元前2世紀にギリシャの天文学者ヒッパルコスが一番明るく見える星を1等星、一番暗く見える星を6等星としたのが始まりといわれる。その後の天文学の発達により、19世紀になると1等星は6等星の100倍(1等差で約2.5倍)明るいことが知られるようになった。
1等星から6等星までの等級についての説明は、中学理科の教科書にも載っている。そして、リゲルは全部で21ある一等星の中でも、冬を代表するオリオン座の一等星として(ベテルギウスとともに)知られている。そのような意味で言えば、上の問題の正答は「g.1等星」となる。(教科書には0.1等星の記述は無い。)
しかし、選択肢にマイナス値や小数値が含まれているところをみると、さらに細かい等級分けを要求しているとも受け取れる。そうすると、リゲルの見かけの等級は「f.0.1等星」が最も正答に近い。だが、そうであるなら、他の選択肢「e.-27等星」や「g.1等星」も小数値で桁を揃えて記述するべきだろう。
そもそもリゲルの見かけの等級は0.1等でよいのだろうか。理科年表では「実視等級0.1等」で、天文年鑑では「0.12等」となっている。さらにステラデータベースを参照すると、「Apparent visual magnitude: +0.14」と記述されている。
ここまで細かい数値にこだわるのであれば、別の問題もでてくる。というのは、リゲルは弱い変光星であるという点だ。大阪市立科学館の加藤賢一氏のデータセンターによると、リゲルの「実視等級は +0.18」で「25日周期の弱い変光(幅は0.06等)」がある。つまり、リゲルのみかけの等級は0.12〜0.24等級の間で変化していることになる。
30年ほど前の本になるが、「Burnham's Celestial Handbook」(1978、Robert Burnham, Jr.著)によると、リゲルの見かけの等級は約22〜25日周期で、0.03〜0.3等級の幅があることが示されている。
また、京都大学のVSNETでは、リゲルは0.17〜0.22等級の変光星とされている。
よって、上の問題でリゲルの見かけの等級を「f.0.1等星」とすることには疑問が生じる。この問題が「明るさを表す等級を次の語群から最も近いものを選び、記号で答えよ」となっていれば、「f.0.1等星」を選択することは可能だが。
実際に学校の授業でどのように取り扱ったのかは不明だが、あまりにも不親切な出題だと感じる。この問題の正答と解説については、来週にも判明する予定だ。生徒たちは、どのような説明を受けるのだろうか。できれば、学校ホームページで問題と解答・解説を公開してほしい。
参考
・和歌山大学:「星の等級の算出」
・Internet STELLAR DATABASE
・大阪市立科学館 加藤賢一氏 データセンター:「一等星とその性質」
・Rigel-wikipedia
・京都大学:「VSNET」:「beta Ori」
2008年05月08日
通知表もインフレ!?
先日、産経新聞に通知表に関する話題がのっていた。なんでも首都圏の公立中学校では通知表の5段階評価でインフレ化がおきているという。
これは何も首都圏ばかりではなく、ここ北海道の公立中学校でも同様の現象がおきている。子どもたちに身近に接している者として、学力低下の問題もそうだが、通知表の数字の学校間格差も大きな問題だ。絶対評価に変わってから今までに札幌市内だけで30校ほどの中学校の生徒を担当してきたが、明らかに通知表のつけ方に差が見られた。高校入試に関していえば、公平でないと感じることが多かった。
絶対評価に変わってからは、全体としては良い数字を付ける傾向にあるが、一方で相対評価の時とあまり変わらずに評価している中学校も見受けられた。特に学力的に上位の中学校ではその傾向が強い。上位校では、学校に対する期待も大きい分、逆に学校側も細かく厳しく評価しているようである。実際にそのような学校が示した評価基準をみると、かなり具体的に細分化されていた。
本当の意味での絶対評価は、今のところ難しそうだ。とりあえず学力テストの結果だけでも全学校で公表すべきだと考える。できれば、定期テストの公表も。
参考
・MSN産経新聞
これは何も首都圏ばかりではなく、ここ北海道の公立中学校でも同様の現象がおきている。子どもたちに身近に接している者として、学力低下の問題もそうだが、通知表の数字の学校間格差も大きな問題だ。絶対評価に変わってから今までに札幌市内だけで30校ほどの中学校の生徒を担当してきたが、明らかに通知表のつけ方に差が見られた。高校入試に関していえば、公平でないと感じることが多かった。
絶対評価に変わってからは、全体としては良い数字を付ける傾向にあるが、一方で相対評価の時とあまり変わらずに評価している中学校も見受けられた。特に学力的に上位の中学校ではその傾向が強い。上位校では、学校に対する期待も大きい分、逆に学校側も細かく厳しく評価しているようである。実際にそのような学校が示した評価基準をみると、かなり具体的に細分化されていた。
本当の意味での絶対評価は、今のところ難しそうだ。とりあえず学力テストの結果だけでも全学校で公表すべきだと考える。できれば、定期テストの公表も。
参考
・MSN産経新聞
2008年02月21日
縄文時代復活
学習指導要領改訂にともない、小学校では円周率3.14や台形の面積が復活するなど理数系の強化が目立つ。言語活動では各教科で言葉や式・図による解釈や説明、意見交換を指導するなど、国語の強化もはかられていることにも注目したい。ただ、現場できちんと消化しきれるのかが心配である。
今回の改訂で個人的に注目しているのが、小学生の社会科で縄文時代が復活したことである。現行の教科書では、いきなり弥生時代から始まっていて、正直これでは歴史は面白くないと思っていた。縄文時代の復活により、少しでも多くの子どもたちが歴史に興味を持って欲しい。
理科離れの問題がよく話題になるが、中学生をみていると地理や歴史も人気がないと感じられる。これを覚えて今の生活になんの役に立つの、調べればすぐわかることなのにどうして覚えないといけないの、という考え方が根強く残っている。情報社会において地理や歴史が陳腐化されたままになっているし、何より教科書がつまらない。
縄文時代は人間が自然条件を克服しながら社会生活の基盤をつくりあげていった時代である。地球温暖化による異常気象や食糧問題をかかえる現代人にとって、それらを克服していくという点において縄文時代に原点を見い出すことができるだろう。
今回の改訂で個人的に注目しているのが、小学生の社会科で縄文時代が復活したことである。現行の教科書では、いきなり弥生時代から始まっていて、正直これでは歴史は面白くないと思っていた。縄文時代の復活により、少しでも多くの子どもたちが歴史に興味を持って欲しい。
理科離れの問題がよく話題になるが、中学生をみていると地理や歴史も人気がないと感じられる。これを覚えて今の生活になんの役に立つの、調べればすぐわかることなのにどうして覚えないといけないの、という考え方が根強く残っている。情報社会において地理や歴史が陳腐化されたままになっているし、何より教科書がつまらない。
縄文時代は人間が自然条件を克服しながら社会生活の基盤をつくりあげていった時代である。地球温暖化による異常気象や食糧問題をかかえる現代人にとって、それらを克服していくという点において縄文時代に原点を見い出すことができるだろう。
2007年07月15日
2007年05月12日
成績と学習時間
ベネッセ教育開発センターが昨年6〜7月、全国の小5、中2、高2生を対象に実施した「第4回学習基本調査」の結果(速報版)より抜粋。
■平日の家庭での学習時間(分/塾・家庭教師も含める)。
(小学校5年生)
成績上位 105.6分
成績中位 77.6分
成績下位 61.9分
(中学校2年生)
成績上位 97.7分
成績中位 91.1分
成績上位 76.8分
(高校2年生)
偏差値55以上 105.1分
54以下50以上 60.3分
49以下45以上 62.0分
偏差値44以下 43.2分
一言。やはり成績上位の生徒ほど学習時間も長い。
参考
・ベネッセ
■平日の家庭での学習時間(分/塾・家庭教師も含める)。
(小学校5年生)
成績上位 105.6分
成績中位 77.6分
成績下位 61.9分
(中学校2年生)
成績上位 97.7分
成績中位 91.1分
成績上位 76.8分
(高校2年生)
偏差値55以上 105.1分
54以下50以上 60.3分
49以下45以上 62.0分
偏差値44以下 43.2分
一言。やはり成績上位の生徒ほど学習時間も長い。
参考
・ベネッセ