名門実業家の三男に生まれた明生は自軍を出来損ないだとおもっている。育ちを鼻にかけないところを評価する人がいる。
妻には好きな人がいて、家出される。明生にはもともといいなづけがいたが、そのいいなづけは明生の兄が好きで、その兄は美しい兄嫁がすきでして。自他ともに認めるブスの上司が気っぷが良くて、だけど肺癌を病んでいて。若い人が好みそうなお膳立てがそろっている。きちんと書いたら面白い題材かも知れないけれど何しろ冗長で。
単行本で180頁なのだけれど、60頁に凝縮する力があったらね。

下町ロケット
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小さいおうち
題名のとおり幼稚。


廃墟に乞う
鬱で休職中の刑事に三人目の殺人をした古川から電話が来ます。超短編です。


鷺と雪
昨日は帝劇今日は三越でしたっけ。そんな昭和10年頃の華族の生活に戦争の影が忍び寄っています。
山村暮鳥の詩だというのがあって、

窃盗金魚
強盗喇叭
恐喝胡弓
賭博猫
騒擾ゆき

関係ないのに微妙にうなづける単語が巻頭にあるそうだ。


庄三郎は友人に怪我をさせて切腹のところを向山村に幽閉されている秋谷の切腹を見届ける命を受けます。秋谷は10年の期限付きで切腹することになっています。それまでに家譜編纂の仕事を完成させることになっています。あと三年しかありません。
秋谷の咎とは、陰謀で殺害されそうになった側室を救って、一夜二人で姿を隠したことで密通とされたのでした。その側室は秋谷の父に仕えていた男の娘で、14歳の頃まで秋谷は見知っていました。
長い長い陰謀騒動はめんどくさいので省略。村でも一揆がおきそうです。殺される役人、村人。
陰謀と一揆で情緒派が最後まで読めるはずがありません。
対して庄三郎と秋谷一家の清廉さが際立ちます。庄三郎は秋谷の娘にあなたを守ると口走り、受け入れの証しに夕餉に卵一個が庄三郎にだけつきます。切腹の日までに祝言を上げます。
切腹の数日前、尼僧になった元側室が村の寺にきて、哀惜の別れをします。秋谷は、若いころの思いを、ともに語れるひとがこの世にいてくださるだけでも嬉しゅうござると言います。

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