雨やどり

古い酒蔵から伸びた大きな軒下で起きる物語。

酒蔵の軒下で 6

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 竜治がハンカチの事を話すと男は意外そうな顔をした。
「あんたにハンカチを貸した娘さんもたまにここに来るんだ」
「そうですか・・・。では今度持って来ますから渡して貰えませんか」
「それはお断りだ。自分で渡すべきだろ」
「・・・・・・・」
「さて、行くかな」
竜治はスッと立ち上がって店へと歩き出した。
「待ってください」
男も立ち上がって竜治の後ろを歩いた。
 軒下からは店までは20メートルもなかった。
藍色の上品な暖簾をくぐると中には何人か客がいたが、
丁度、二席が空いていた。
一席ごとに空いていたので席の間に座っていた客に竜治はぺこりと会釈をして続きで席を空けて貰った。
「いらっしゃいませ。こちらさん初めてですね。ようこそいらして下さいました。ごゆっくりなさって下さいませ」
そして、女将さんは少し俯き加減の男をみるとにっこり笑って声を掛けた。
「山田さんでしたよね。今日はお客様をお連れ頂いて有難うございます」
「あ、いえ。自分が連れて来たというより・・・」
「あぁ、俺が誘ったんだ」
「そうでしたか。あ、お飲み物は何になさいますか」
竜治は出されたおしぼりで手を拭きながら
「じゃ、ビールを。えぇと、山田さんはどうするんだ」
とニヤニヤしながら言った。
「ビールで・・・」
竜治は女将の前でドギマギしている山田という男を見ているのが
面白くてしょうがなかった。
「近くで見ると益々綺麗な人だな」
竜治は口に手を当てて小声で山田に言った。
山田は返事もなく、しきりにおしぼりでせわしなく手を拭いていた。
竜治のニヤニヤは止まらなくなった。
「お待たせしました。ビールです。お客様、何か楽しそうですね」
「ホント、楽しいな、山田さん」
山田はおしぼりで額の汗を拭っていた。
「おいおい、おしぼりで汗を拭くのは変だぞ。汗を拭いた後でまた手を拭くのか」
「山田さんどうぞ」
見兼ねた女将が新しいおしぼりを差し出した。

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酒蔵の軒下で 4(消えた張り紙)

「あれぇ?張り紙が無くなってる」優子が酒蔵の軒下に入って来た。
竹で組んだ長椅子には、景色に溶け込むように竜治が座っていた。
「こんにちは」優子は軽く会釈をして竜治に声を掛けた。「あの、お隣いいですか」
「どうぞどうぞ、大歓迎ですよ」優子はニッコリ笑って左手を先に長椅子に付いて、静かに腰を降ろした。
「あのぅ、先日雨に降られてここで雨宿りをしたら、この壁に大きな張り紙があったんです。もう剥がれちゃったんですね」
「へぇー、張り紙ねぇ」竜治はとぼけた顔で応える。
「さだまさしさんってご存知ですか」勿論知ってるよ。俺が若い頃に全盛だったからな」
「さださんの曲で雨宿りってあるでしょ。あの曲ってここの軒下から生まれたんですって」
竜治はニヤニヤしながら胸の辺りがこそばゆくなるのを感じていた。
「ほう、そうかね」
「私もホントかなぁって思っていたら、ずぶ濡れになった男の人がここに飛び込んで来たんですよ。お顔を良く見たら、その人ったら前歯から4本目に虫歯があったんです。まるで、さださんの雨やどりそのものみたいじゃないですか」
「ほう、それは面白いな。ここから雨やどりが生まれたって話し、まんざら嘘でもないんじゃないかね」
優子はうんうん頷きながら竜治の話に聞き入っている。
「じゃぁ、お嬢さん。その男にハンカチでも貸してあげたのかね」
「そうなんですよ。しかもスヌーピー。偶然ですよ。スヌーピーのハンカチを持っていたのは。その人、洗濯をしてから返すからって、持って行っちゃったんです。でも、お名前を聞くのも忘れたし、向こうも私の名前を聞かないで帰っちゃったんです。あのハンカチお気に入りだったんですけど・・・」
「ふ~ん、それは災難だったね。でも、雨やどりで言うと初詣で晴れ着の裾を踏んで再会となるね」
「まさか、そこまで偶然なんて」
「そのハンカチを貸してやった奴はどんな感じだったんだ?」「凄く大きな人でした。柔道か何か格闘技でもやっていたのかしら」
(ん?)竜治は心当たりがあるような気がした。

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酒蔵の軒下で 5

 竜治はいつものように酒蔵の軒下の長椅子に座っていた。目の前を急ぎ足で家路に向かう人々の様子を見ていると、辺りから夕餉の香りが仄かに立ちあがってくる。
竜治はこの変わりない日常が好きだった。西日が沈むと、街は夜へと急いで行く。
軒下の向かいに伸びた通りの飲食店街も息を吹き返したかのように一軒、一軒と看板に灯りが灯ってゆく。
「ゆかり」の小さな看板にも灯りが灯る。
竜治が隣に目をやると、いつの間にか例の体の大きな男が座っていた。
「いつの間に・・・」
「あ、すみません、声をかけそびれてしまって・・・」
「まぁいいさ。どうかね、今日は一緒にあの店に行ってみないか」
「ゆかり、ですか」
「あぁ、名前も知らない同士で呑みに行くのも面白いだろ」
「ちょ、ちょっと待ってください。なんで・・・」
「理由なんかどうでもいいだろ。あんたと呑みたくなったんだ」
「こっちにはそんな気持ちがないんですけど」
「いつもいつも、ここでゆかりの客を見張っていたってしょうがないだろ」
「え、別に見張っているわけじゃないですよ」
「ま、いいか。じゃぁ俺が一人で行ってくるかぁ」
竜治は立ち上がって、尻ポケットの上から財布を確認していた。
「待って下さい。私も行きますよ」
「なんだ、面倒くさい人だな。あ、それは良しとして、あんた、こないだの雨降りのときに若い綺麗なお嬢さんからスヌーピーのハンカチを借りなかったかな。」
「え、なんで知っているんですか」 
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