2015年05月13日

『おらがXX』と購買のアカウンタビリティ

最近日本のプロスポーツ選手のグローバルでの活躍が目立ちます。その代表なのが
テニスの錦織選手とゴルフの松山選手です。世界レベルでのプロテニスとプロゴルフ
は見ているだけでとてもエキサイティングですが、そんな中でやはり日本の選手が
頑張っていると応援したくなります。なぜなら「おらが国」の選手だからでしょう。

話は変わりますが最近集中購買、共同購買、グローバル調達をどのように推進して
いくか、という相談を受ける機会が再び増えてきているように感じます。これらの
集中購買、共同購買、グローバル調達等の課題で共通するのはアカウンタビリティ
です。

アカウンタビリティとはよく「説明責任」と訳されますが、当然のことながら裏にあるのは
権限を持つという前提になります。つまり責任と権限をどのように持たせるかということ
がこれらの購買手法においては重要なポイントであるということです。

集中購買はある組織もしくは人が事業部や部門横断で購買権限とそれに伴うリスク
や責任を負うということになります。共同購買もAとBという企業で実施するのであれば
AもしくはB又は第三者が購買に係わるアカウンタビリティを持ち、権限と責任を持つ
ということです。グローバル調達も同様で各国や拠点毎に購買が存在するところ、
例えばこの品目に関してはこの特定の人に全世界の購買に係わるアカウンタビリティ
を持たせる、ということになります。

これらの活動は何れも量的なメリットを活かし、ボリュームディスカウントを図るという
ことです。どの手法も主たる課題はアカウンタビリティの持たせ方であり、組織や体制
の整備が関係してきます。

前回のメルマガでも触れましたが、集中購買or分散購買には解がなく可逆的であると
「改革推進者勉強会」の組織体制整備・強化グループでは発表していました。確かに
集中購買によるメリットよりも集中化することによる様々なリスクや集中購買に係る
人件費等の追加的なコストを削減するために、一時期集中化した組織を再び分散化
しようという動きが出ていることを最近よく聞きます。このような動向と先ほどのアカウ
ンタビリティの課題とはどのような関係があるのでしょうか。

ある企業で購買が進化する方向としては、一般論としてやはり集中購買の方向になり
ます。メリットの大小はあるとしてもやはりメリットは出やすいからです。ですから、
一般論としては集中購買、共同購買、グローバル調達の方向に進みます。しかし多く
の企業で課題になるのは、集中購買組織やグローバル調達において購買権限を持つ
特定の部署や人がリスクへの対応等のアカウンタビリティを持ちきれないことがあげら
れるのです。

例えば海外の工場の購入品に関する品質不具合が発生した時にそのスムーズな対応
ができるのかというような点。当然、このような事案に対する対応は対サプライヤだけ
でなく対社内に対する調整も含まれます。そうすると心理的な制約がどうしても出てくる
のです。これらが正に「おらが工場」や「おらが製品」的な思考と言えます。

中国の生産工場には今まで購買をやっていた現地採用のバイヤーがいます。それに
対して品目リーダー制(コモディティリーダー、カテゴリマネジャーともいいます)をとり、
「明日からあなたがアカウンタビリティを持って購買をやってください」と言われても、
やはり現実味はありません。本当にできるのか、という不安が先に立つことでしょう。
またそれも現地のバイヤーと比べてよりパフォーマンスが出せるか点も危惧されます。
これは、グローバル企業といえども工場毎の購買で、中国工場でどのような製品を
生産しているかも分からない、サプライヤの工場すら見たことがないというケースは
少なくないからです。このようなバイヤーにいきなり全世界の購買の権限と責任を
持ちなさいと言っても無理な話でしょう。

これが「おらが工場」や「おらが製品」的な思考です。グローバル化しても「あらがXX」
の思考は必ず残るものです。

一方、企業によってはグローバル調達体制やアカウンタビリティを整備し、上手くいって
いるところもあります。上手くいっている企業に共通する点の一つが購買部門の位置
づけです。このような企業の場合、購買部門は各工場や生産本部の傘下ではなく、
購買本部という機能組織になっていることが多い。また各工場との結びつきよりも
むしろ、開発・設計部門との関係が強いことが上げられます。

このような体制やアカウンタビリティの設定が「おらが工場」的な思考に陥り難くしている
結果なのかもしれません。このように体制やアカウンタビリティの設定で「おらがXX」的な
思考による弊害を超えていくことはできるのかもしれません。

集中購買、共同購買、グローバル調達などの取組は「トップダウンが必須」ということは
言うまでもありません。しかしこのような「おらがXX」的な思考が残る限り、トップダウン
だけで上手く進むことはありません。購入品毎にアカウンタビリティの持たせ方に無理は
ないのか、最適なアカウンタビリティの持たせ方はどうなのか、という視点から組織設計
や体制の整備を行っていく必要があります。

集中購買、共同購買、グローバル調達など、トップダウンでないから進みません、という
言葉が昔からよく聞かれました。しかし実は制約になっているのはバイヤー個々の
「おらがXX」的な思考法という極めて内なる課題であったという極めてアナログな指摘
でした。



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2015年04月30日

調達購買資材改革推進者勉強会-その2

先回に引き続き4月11日に行われました「調達購買資材改革推進者勉強会」の発表
について紹介していきます。

まずはグローバル調達グループです。

グローバル調達グループの発表で印象に残ったのは、グローバル調達発展論でした。
このグループでは当初、所謂欧米を中心としたグローバル企業における調達モデルを
将来像として検討することから始まったのです。しかし「多くの日本企業にとって有効性
を持った内容を目指す」べきとしてグローバル調達の発展を以下の視点(自社リソース、
サプライヤリソース、対象マーケット、モデルとなる売上高、規模)から6つのステージに
分類し、それぞれ上のステージに移行するためにはどのような課題を克服しなければ
ならないか、という地に足のついた研究を行っていました。

一例を上げると「海外からの調達を進める段階では予算獲得のスキルが必要」になる
と言っています。これは「海外調達を進めてコストを削減しろ」とトップダウンで指示が
出ているにも関わらず、海外出張規程は20世紀型のままで、社長承認が必要で、
予算もついていない、という有りがちな課題を取り上げたものです。

またこのグループの発表で非常に印象深かったのは発表者のこの言葉でした。
「国内外を意識しないで調達購買を実践するのが本当のグローバル調達です」、と。
発表者はグローバル企業でのサプライヤ開拓育成に携わっている方ですが、国内外
を意識しないで同じ基準で評価をすると、「結果的に日本国内のサプライヤを選定
している」という言葉も印象的でした。

色々な壁、課題はあるものの「国内外を意識しない調達購買の実践」がグローバル調達
の本質であるという言葉には目から鱗です。

次は組織体制整備・強化グループ。

このグループは「だったら、世界一の購買部をつくってやる!」というテーマに基づいて
組織構成、人的リソース、役割・機能、についてあるべき像を研究しています。
発表で印象に残っているのは、「集中購買」「分散購買」の組織論に解はない、という
ことです。調達購買部門のマネジメント層にとってこの「集中」「分散」の議論は悩ましい
課題の一つと言えます。一方でこの10年位はどちらかというと組織論としては「集中」化
が望ましいという方向であったでしょう。しかし、最近は「集中」化によるメリットが少なく
なり再び「分散」化している企業も増えてきているようです。

調達購買部門のマネージャーが中心となったこの勉強会でも、一度集中化した組織の
分散化は可能であり、その時々の経営戦略、事業戦略に応じた組織構成が求められる
という指摘をされており、とても興味深い点でした。

また、このグループの提言でこれからの調達購買部門では2つの機能を強化すべきで
あるという指摘をされています。「調達市場調査機能」と「原価企画分析機能」です。
「調達市場調査機能」とは調達品に関する市況動向やサプライヤ動向、技術動向や
需給動向などの幅広い動向を調査分析し、調達品に関する戦略をたてる上で活用する
ための機能。「原価企画分析機能」はコスト分析などでコスト妥当性を判断し、場合に
よってはコスト分析を駆使することでVE、VAへつなげていくための機能です。
多くの企業でこれらの機能は担当者が実務の傍らやっているのが実態ですが、これら
の機能を専任部隊として持つことで、より戦略的な機能を満たしていくという提言でした。
昨今LCB(ローコストバイヤー)ということでオペレーション業務はシェアード化やアウト
ソーシング化が進んでいます。こういう時代に、より戦略的な機能へ人員を配置する
ことが、世界一の購買部作りにつながるという提言でした。

最後は横浜グループです。

このグループは特定のテーマを研究するという事ではなく、勤務先や自宅が横浜周辺
である方々を中心としたグループになります。このグループの研究テーマは「企業価値
を最大化する世界最高の購買部を作る」という壮大なものです。またそのためのプロセス
とツールの研究・開発をしてきました。

具体的にはカテゴリーマネジメント、ステイクホルダーマネジメント、オーガニゼーション
マネジメントの3つのマネジメントとそれに紐付く23のアクションそして23のアクションに
ついてそれぞれプロセス、ツール等を開発しており、全体として約400ページにも上る
アウトプットを作り上げました。(彼らはバイブルと名付けています)これらの23の
アクションは様々なケースに応じていくつかのアクションを組合せることで解決できます。

このグループの最大のポイントはまずはその圧倒的な量です。以前私が在籍していた
外資系のコンサルティング会社でもこのようなメソドロジをまとめ、コンサルティング
活動やコンサルタントの教育に役立てていました。それに匹敵するようなノウハウの
体系化をコンサルタントではない現場の人間が作りだしたのです。
本当に凄いことですね。

今回は先回に引き続き3グループの発表内容を紹介いたしました。
全てのグループに共通することはアウトプットの質と情熱の高さです。今回5グループ
の発表を全部聞いていただいた参加者には最優秀グループの投票をお願いしました
が、各グループとも最優秀グループ賞を本気で取りにきていました。
また各グループとも甲乙つけがたい素晴らしい内容でした。

企業内で改革を推進している方々はたくさんの課題と困難に日々悩まされています。
このような方々が時間と情熱をかけこのような素晴らしい勉強会を実施できました。
勉強会メンバー、特に各グループのグループリーダーの方にはたいへん感謝して
おります。皆様のお蔭でとても良い機会を作ることができました。有難うございます。

今後この勉強会は全体での発表等を行う予定はありません。継続するかどうかも
各グループに一任しております。多分多くのグループは活動を暫く休止することに
なるかもしれません。しかし私たちのこのような取り組みは何らかの形で皆様の改革
にお役に立つ形で活用されることでしょう。

最後になりますが、今回の活動の中で2つのグループ(人財育成・教育、サプライヤ
マネジメント)はオペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会の全国大会で研究
成果の発表を行うことになりました。2015年6月13-14日学習院大学で行われます。
http://e-jomsa.jp/zenkoku15.html
ご興味、ご関心あられる方は是非ともご参加ください。



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2015年04月15日

調達購買資材改革推進者勉強会-その1

2013年1月に購買ネットワーク会の分科会として「調達購買資材改革推進者勉強会」
を私(野町)が発起人となりスタートさせました。
当会は企業内で調達購買資材部門の業務改革に従事するマネージャー職以上の方
(原則)を対象に「調達・購買・資材改革のノウハウ、手法、コツの情報共有および
体系化」を目的とした勉強会です。

当初、このメルマガや購買ネットワーク会のメルマガなどで参加希望者を募り約70名
程度のメンバーでスタートしました。
この勉強会の特徴の一つはボランタリーな活動であることです。ですから、研究した
内容や開発した手法等は広く改革推進者へ提供することを目的にしています。また
参加メンバーは業務時間外に貸会議室等に集まり、費用も各自が負担しながら
進めるなど、草の根的な活動であることが特徴です。
ですから、当然のことながら業務の都合や転勤、異動などもあり、当初8つのグループ
で活動を進めてきましたが、どうしても活動を休止せざるを得ないグループもあり、
最終的には5つのグループが活動を継続することができました。

このような手法開発は我々のようなコンサルタントやややアカデミックな世界での仕事
です。しかし企業内の改革担当者によりこのような研究、手法開発を行うことで、より
実践的であり実務に根差した体系化、手法開発ができることを期待してスタートしました。
ですから私自身はできるだけ自分の考えを出さずにファシリテーターとして活動を
サポートしてきたのです。

先日(2015年4月11日)に約2年間の活動の総括として勉強会メンバー以外にも門戸
を開き研究成果報告会を開催しました。会場のキャパ等もありましたが70名強という
多くの参加者が出席し朝9時から1日中ほぼ缶詰め状態で成果報告会が開かれたの
です。

このメルマガで全てのグループの発表内容を詳細に紹介することはできませんが、
ここではメルマガ上でそれぞれのグループの発表の中で印象に残っているキーワード
をいくつか挙げていきます。

最初は今回最優秀グループ賞として選ばれた『人財育成・教育グループ』です。
このグループの発表ではとても印象に残るキーワードが多く出されました。例えば、
「パフォーマンスはスキルとモチベーションの掛け算」。

正にその通りです。それをコンサルではなく実務をやられ人財育成を日々やっている
人達から言葉として出てきたところに意味があります。
「スキルは簡単に上がらないがモチベーションは一瞬で上げることも下げることも
できる」。

これも素晴らしい言葉です。と同時にモチベーションの重要性を改めて認識させられ
たキーワードです。このグループは人財育成に欠かせない10のスキルを定義し、
それを育成するための手法を定義しています。しかしスキルの育成には時間がかかる。
それを担当する上司には「庭師の心」が必要である、と説明しています。
「庭師の心」。

また他社事例の調査も同時に行っており、そのアンケート調査の結果、グループ内で
定義した必要不可欠な10のスキル同様、調達購買人材にはファンダメンタルスキルが
重要視されることを立証しています。
そして最後のまとめとしてあげられたキーワードは
「当たり前のことを地道にやること」。

とまとめています。
人財育成グループはモチベーションの重要性を説いており、人材育成もサプライヤ育成
も同じ、とおっしゃており、これは私が先回のメルマガでも取り上げているサプライヤ
モチベーションマネジメントにもつながることです。

次にサプライヤマネジメントグループです。
このグループでもサプライヤモチベーションの向上を先進企業事例としてその重要性を
取り上げています。
それと同時に印象に残ったキーワードとしては
「企業の仕組みへのインストール」。

サプライヤマネジメントグループは当初どんな企業でも使える標準的なサプライヤ評価
の軸を開発しようとしていました。しかしそれを進めるうちにサプライヤ評価は各企業や
業界、購入品目毎にその重要性は異なるため、標準化は困難である、ということを理解。
その上で、サプライヤマネジメントはサプライヤ評価と同義ではなく、サプライヤ評価を
如何に活用していくか、という観点で研究を進めていきました。
そしてアンケート調査、先進企業事例の調査を行うだけでなく、メンバーの属する企業
でのサプライヤマネジメントの仕組みを作るところまで進めていったのです。

正に研究のための研究ではなく、勉強や研究を「実務にインストールする」ところまで
至っています。これは正に今回の勉強会で狙っていたことです。

残り3グループはグローバル調達グループ、組織・体制強化整備グループ、横浜グループ
になります。この3グループでも印象に残ったキーワードはいくつも上げられます。

次回メルマガではこの残り3グループの発表紹介をしていきましょう。



nomachi0306 at 15:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2015年04月01日

サプライヤモチベーションマネジメント

昨年末のメルマガで私はプチ予言しています。

「・・・新しい日本型調達・購買の方向性が生まれてくることです。私はこれを
サプライヤとの「協働」と捉えています。ここでは特にサプライヤとの関係性作りが
より重視され優秀なサプライヤをより大切にしていく動きがでてくることでしょう。」

「・・特に特定の業種や品目については供給力不足が叫ばれています。サプライヤの
囲い込みや戦略サプライヤ制の導入、サプライヤのモチベーション向上をどうやって
いくか、頭を悩ませはじめている企業やバイヤーも少なくありません。このような視点
からサプライヤとの関係性を捉え、サプライヤのニーズを把握した上で、本来日本企業
が重視し、強みとなってきた「協働」をいかに進めていくか、今後数年間で多くの企業
にとって正に重要な視点となってくることは間違いないでしょう。」

「共通するのは「コスト至上主義」からの訣別という点と言えるでしょう。来年は調達・
購買分野でもサプライチェーン全体の強化を目指し、一方でこのような
「脱コスト至上主義」的な動きが益々出てくることをプチ予言しておきましょう。」

この傾向は昨今益々強くなっているようです。

先日もある企業からこんな相談を受けました。

それは、ある特定の業種でサプライヤ評価を行うソリューションを開発している。
しかし、このソリューションは評価を通じていかにサプライヤのモチベーションを
高めさせるかということを目的にしたものだそうです。もしくはモチベーションが高い
サプライヤを見つけるためにどのような評価をすべきか、という考え方でソリュー
ション開発がなされているとのことでした。

このようなソリューションが必要となった理由としては、この業界の特性として企画
提案力がある人的リソースを重要顧客担当として張り付けており、顧客の差別化を
図っている業界だからです。つまり顧客重要度がAランクに入らないと如何に大手
の企業でも優れた提案が引き出せない状況なのだそうです。逆にAランク顧客に
入ることがよいサービスや提案を受けられる条件となります。Aランク顧客に入る
ためにはサプライヤと協働を進めるための様々な仕組みや買い手企業側の魅力が
高くなければなりません。

こういう傾向が売り手企業(サプライヤ)側から出てきていることは注目すべきです。
サプライヤから見た買い手企業としての魅力度を上げ重要顧客として捉えてもらう
ことが、よいサービスや提案を受けるための必要条件になっています。
言い換えると「サプライヤモチベーションマネジメント」によりサプライヤのやる気を
上げることが買い手企業にとって必須ということです。

モチベーションマネジメントの事例や手法をネット等で調べると、多くは従業員の
モチベーション向上について捉えたものです。所謂B2E(Employee)の領域ですが、
この領域でのモチベーションマネジメントの研究や手法開発は多く行われています。
B2Eのモチベーションマネジメントの施策についてこれらの重要なポイントをまとめる
と以下のような5点にまとめられます。

1.ニーズや願望を理解しリーダーシップを示す
2.成長やそのための機会を与える
3.意味のある仕事をやらせる
4.表彰と報酬
5.人に焦点をあて、評価され耳を傾けられていることを理解させる

これらはB2Eのモチベーションマネジメント施策のポイントですが、よく考えてみると
B2Bでも同じことが言えることがわかります。当てはめてみると。。

1.(サプライヤの)本来のニーズや願望を把握する
:サプライヤの本来のニーズとは何でしょうか。私が尊敬するあるコンサルタントが
おっしゃっていました。「サプライヤの本来のニーズは継続的な売上の確保でも、
収益の拡大でもない。サプライヤの経営者は買い手企業との取引を通じて自社の
競争力が強化され、他社の売上向上にそれがつながっていくことを望んでいる」と。

2.(サプライヤの)成長やそのための機会を与える
:1にも関係しますが、サプライヤにコストダウン活動をさせることは、サプライヤ
自身の競争力強化やそれに基づく他社も含む売上げ拡大の機会を与えることに
つながります。ですから意味のあるコストダウン活動はサプライヤに機会を与える
ことにつながるのです。

3.(サプライヤにとって)意味のある仕事をやらせる
:あるサプライヤは「どのような仕事をやりたいか」と聞かれたときにこう答えたそう
です。「儲かる仕事、、ではなく後世に名が残る仕事、難しい仕事をやりたい」と。

4.(サプライヤの)表彰と報酬
:サプライヤに対する表彰制度を持っている企業は少なくありません。一方で表彰
自体がマンネリ化しているケースも少なくありません。
しかしサプライヤにとってみると、バイヤー企業に「よくやってくれた。」と本心から
言ってもらえることはとても励みになります。大切なのは「本心から」表彰すること。
また報酬についてはリーズナブルな報酬を求めます。ボロ儲けしたい訳ではなく、
仕事に応じた赤字にならない報酬を与えられることが重要なのです。

5.(サプライヤが)評価され耳を傾けられていることを理解させる
従来から申し上げ続けていますが、サプライヤとの間では双方向のコミュニケー
ションが求められます。そのためにはサプライヤの本音を聞く場やそのためのVOS
(Voice of Suppiles)の活動は非常に有効です。サプライヤの声を聞きそれを改善
につなげるという活動はサプライヤモチベーション向上に有効であることは自明の
理でしょう。

このようにモチベーションマネジメントのコツについてはB2EもB2Bも何も変わらない
ことがわかります。サプライヤモチベーションマネジメントの前提となるのは自分を
理解してもらい相手を良く知ることです。自分たちがこういう信頼関係や協働の環境
を作りたいことをサプライヤに理解してもらう。また、相手の会社のカルチャーを知る、
営業パーソンを知る、工場を知る、事務所を知る、これも重要です。こういう相互理解
の活動を通じて相手がこちらを向いてくれているのかを知り、もしくは向いてくれるか
どうかを知る、このような相互理解はサプライヤモチベーションマネジメントの前提と
なります。

先ほど述べたように買い手企業だけでなく売り手企業も売り先を選ぶ時代になって
いるのです。しかし、売り先は必ずしも購買金額の多寡で売り手企業を選んでいる訳
ではありません。そこには購買金額の多寡以外の個別のなにかが含まれています。
ですから相互理解を深め、サプライヤモチベーション向上の施策を地道に講じること
で、Aランク顧客として取引をしていこう(売ってもらおう)というのがこれからの時代に
求められていることなのです。

ある企業の調達担当役員は「評価が高いが信頼関係ができていない会社よりも
評価が低いくても信頼関係が高いサプライヤと取引をする」と宣言されていました。
またある企業の調達担当役員は「先遣隊」と称して生産拠点を作る前に購買部門が
グローバルで優秀なサプライヤを探す部隊を持っていて信頼関係を作っていく、と
言われています。否が応でも既にこのような時代に入っているのです。



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