2017年02月22日

世界一シンプルなケーススタディ(結果ご報告)

前回のメルマガで「世界一シンプルなケーススタディ」について書きました。
以下前回内容の抜粋です。

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皆さんはどういう意思決定をしますか。

ある品目(アセンブリの機能部品としましょう)のソーシング(契約)プロセス。
サプライヤは歴史的にある特定の一社だけという状況。つまり相見積などの競争化は
できません。
この特定サプライヤに開発委託もしている、いわゆる承認図部品であり、ほぼ丸投げの
状態です。今回は新しい主力製品に使用する新しい部品のソーシング機会になります。

現行価格は600円、新機種の見積りを取ったところ800円で出てきました。
価格差の200円について査定してみたところ、仕様差で200円のアップはほぼ妥当な
コスト水準のようです。
それに対して社内の目標コストは780円です。つまり仕様差で査定すると800円ですが、
それでは社内の目標コストはクリアできません。

ところが、このサプライヤの営業から誤送信されたメールがあなたに配信されました。
(誤送信してしまったことはもちろんサプライヤの営業も知っています)
そのメールの添付資料は当該部品のサプライヤの社内標準コスト資料だったのです。
内容を見たところ当サプライヤのこの部品の社内標準コストは580円ということがわかり
ました。当該サプライヤとの管理費利益は製造原価に一定比率を掛け合わせる方法で
積算しており20%が妥当なラインとしてサプライヤとは握れています。そうすると購買コスト
基準で積算すると700円が標準価格となります。

あなたが担当バイヤーだったらいくらでこのサプライヤと購入価格を決めますか?
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このメルマガを読んでいただいて沢山の方からご返事をいただき有難うございます。
また、先日九州で実施されたネットワーク会でも皆さんに答えていただきました。

その結果を簡単に共有させていただきます。

まず決定価格ですが、大きく分けると
700円未満
700円
700円〜780円
800円
に分けられますが、

700円未満: 15%
700円:  35%
700円〜780円: 37%
800円:  13%

という結果になりました。
一番多い回答は700円〜780円となりました。中でも780円(目標コストそのもの)
という回答が25%と多くなっています。

私の事前予想では、△圧倒的に多いかな、と考えていたので、やや想定外です。

また、回答及びその理由から回答を”現犖恐全霆爿¬槁献灰好抜霆爿仕様差基準
い修梁勝,箸いΨ萃蟯霆猖茲冒慂未靴討澆泙靴拭

”現爛灰好抜霆燹 33%
¬槁献灰好抜霆燹 42%
仕様差基準: 12%
い修梁勝 13%

となっています。決定価格の結果とおおよそリンクしていますが¬槁献灰好抜霆爐
価格決定するという方が4割強となっており、多くのバイヤーが目標コストを意識して
意思決定していることが理解できます。

繰り返しになりますが、ケーススタディですから正解はありません。
3月にもネットワーク会がありますので、何人かの方にこのケーススタディの答えを
いただく機会があります。また別途結果をこのメルマガでお伝えいたしましょう。その時
には私自身の考えもお伝えします。

もし今回このケーススタディを読まれて答えていただける方がいらっしゃいましたら、
引き続きinfo-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。



nomachi0306 at 10:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2017年02月01日

世界一シンプルなケーススタディ

私は調達購買関連の研修やセミナーではケーススタディやロールプレイを多用します。
やはり一方的な講義だけではどうしても飽きてしまいますし、どんなに集中したとしても
集中できる時間は限られてしまうからです。

ケーススタディをやられた経験がある方はご存知とは思いますが、色々な情報が混ざっ
ている中で本当に重要な情報が何かを理解し、設問に対して仮説を立て、それを検証
して自分なりの答えを出していきます。ケーススタディをやっていると受講生からよく
「模範解答を教えて欲しい」という声が聞かれるのです。しかし、ケーススタディには正解
はありません。

正解がないからこそ、自分の意思決定とそこに至る理由や論理性、それから意思決定
に至るまでにどういうことを検討したか、が重要になってきます。一般的には比較的時間
がない中でケーススタディを行うことが多いので、作業に追われてしまい、幅広い検討が
おろそかになることが多いようです。

今回、調達購買のあるケーススタディを考えてみました。とてもよくあるケースです。
しかも世界一シンプルなケーススタディでしょう。
皆さんはどういう意思決定をしますか。

ある品目(アセンブリの機能部品としましょう)のソーシング(契約)プロセス。
サプライヤは歴史的にある特定の一社だけという状況。つまり相見積などの競争化は
できません。
この特定サプライヤに開発委託もしている、いわゆる承認図部品であり、ほぼ丸投げの
状態です。今回は新しい主力製品に使用する新しい部品のソーシング機会になります。

現行価格は600円、新機種の見積りを取ったところ800円で出てきました。
価格差の200円について査定してみたところ、仕様差で200円のアップはほぼ妥当な
コスト水準のようです。
それに対して社内の目標コストは780円です。つまり仕様差で査定すると800円ですが、
それでは社内の目標コストはクリアできません。

ところが、このサプライヤの営業から誤送信されたメールがあなたに配信されました。
そのメールの添付資料は当該部品のサプライヤの社内標準コスト資料だったのです。
その社内宛てのメールを営業担当が誤ってあなたに送ってしまったのです。

内容を見たところ当サプライヤのこの部品の社内標準コストは580円ということがわかり
ました。当該サプライヤとの管理費利益は製造原価に一定比率を掛け合わせる方法で
積算しており20%が妥当なラインとしてサプライヤとは握れています。そうすると購買コスト
基準で積算すると700円が標準価格となります。

あなたが担当バイヤーだったらいくらでこのサプライヤと購入価格を決めますか?

ちなみに情報が不足しているとか、こういう条件でいくら、とか、いつまでにいくらとか、
は要りません。今(立上げ時)購入価格をいくらで決めるか数字でお答えください。

私はこのケースはとてもシンプルですが、バイヤーの役割・機能、大袈裟に言えば哲学
に関わるものかと考えます。



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2017年01月19日

コスト削減手法のトレンド

この正月に研修用の資料を作りながら感じたことがあります。
それは、コスト削減手法にもトレンドがあるな、ということです。

昭和の頃のコスト削減手法はどちらかというと加工費の削減に重みをおいています。
IEアプローチやOR、ECS、などの手法であり、どちらかというとコスト削減よりも出来高
の向上(工数削減、生産量増加)に力を注いでいるものです。外注コストに関しても
その流れを踏まえて加工費を中心にコスト目標を試算しサプライヤの生産性向上を
指導していく、という考え方が一般的でした。

何故ならそもそも製造業におけるサプライヤの活用は、基本内製からスタートし、生産
能力の不足から外注を活用するという位置づけから始まったからです。また、この時期
は、作れば売れる時代でしたので、出来高を上げて供給力を如何に増強していくか、
が重視されました。そのような時代背景もあって主要なサプライヤのコスト削減手法は
コスト分析によるコスト妥当性の評価やそれによる指導という手法だったのです。

これが経済の低成長期に入り、でてきたコスト削減手法のトレンドがソーシングです。
戦略ソーシングと言う言葉が使われるようになったのもこの頃からでした。ソーシング
とは、「安いところから買う」というコスト削減手法です。この手法の特徴は応用範囲が
広いことです。従来の外注加工だけでなく、広がってきた購入品や開発品(サプライヤ
に開発から委託)、購入材料、また2000年代に入ってからは所謂間接材である経費系
の買い物やサービスなどの調達購買でも活用できる手法でした。また、ソーシング手法
と合わせてサプライヤの切替えや集約を図ったり、購買計画に基づき集中購買を進め
ボリュームメリットを引出すことで大きな効果をもたらしたのです。

ところが、ソーシング手法も昨今は行き詰まりをみせています。様々な企業の調達
本部長と話をしていると皆さんが同じことをおっしゃられるのです。
最近の購買は「相見積や比較購買、入札ばかりであり、コスト査定の能力が落ちている」
と。またソーシング手法も同じ費用や品目で同じサプライヤを競い合わせることを何度も
繰り返せば限界が来ることは容易に想像できます。
(「調達購買改革の誤解」というレポートにもそういう内容を書いています。)

ソーシング手法の限界が見えてきた今、もしくはこの先、どのようなコスト削減手法が
求められるでしょう。私はイノベーションを伴ったコスト削減手法を活用する活動が、
次第に広がってくると期待も込めて考えています。

イノベーションは「安いところから買う」とか「(コスト妥当性を評価し交渉して)安くする」
というややゼロサムに近い世界から脱却し、無駄な買い物を抑制することにつながり
結果的に大きなコスト削減効果が出ると考えられます。従来は単価を下げることに
ばかりに集中していました。しかし、よく考えてみると1個10円のものを1円、2円などの
単位で単価削減をしても1個余計に無駄な買い物をすればこの単価削減が全くの無駄
になってしまうことが分かります。そもそも何が無駄な買い物で何が無駄な買い物では
ないか自体が見極められていない、のが現実ではないでしょうか。このように、今後は
何かのイノベーションを活用することでそもそもの購入量を削減するような方向にコスト
削減手法はシフトしていくでしょう。

例えばIoTの活用などはその最たるものでしょう。IoTは資産効率を高めたり、在庫最適
化に直結するイノベーションです。稼働率の管理が可能になり資産効率が高まれば、
過剰な設備など資産の購入が必要なくなります。同様に在庫の見える化、管理が可能
になれば無駄な在庫の購入が不要です。このようなIoTというイノベーション活用による
コスト削減事例のようなコスト削減手法はこれからのトレンドとなっていくでしょう。

間接材などは在庫管理という概念がありません。しかしこれは管理コストがかかるから
管理していないだけであり、イノベーションによって低コストで在庫管理が可能になれば
無駄な買い物を一気になくすことができます。これはモノだけでなく、サービスでも同じ
ようなコスト削減手法が可能となっていくでしょう。このようにイノベーションを活用し無駄
なサービス費用を削減する、という興味深いコスト削減手法活用事例を最後に紹介
します。

対象となるコストはゴルフ場の維持管理コストです。ゴルフをやられたことがある方なら
想像できるでしょうが、ゴルフ場の芝生等のメンテナンスはとても行き届いています。
同時に相当なコストがかかっているようです。私も趣味などでゴルフをやるのですが、
やはり手入れが行き届いているゴルフ場は気持ちいいですし、多くのゴルファーがゴルフ
というものはそういうものだと考えていることでしょう。

これは、ゴルフ場経営会社の調達部門にいた知人バイヤーから伺った話なのですが、
実はこの管理コストで大きなポーションをしめているのが肥料や水などの維持管理用
の資材費用と人件費なのだそうです。そして中でも無駄なコストと考えられるのは芝生
の状態は「ベテランの管理者がチェックをしないとわからない」ため、その人が芝生の
状態を見て回る時間(コスト)がたいへん多くかかってしまうことなのだそうです。また
その時間を節約するために、本来ならやらなくていい箇所にも肥料や水をやることに
なり、それは芝生にとっても良くないし、肥料コストの無駄につながるとのこと。

そしてこのバイヤーが考えついたのがドローンの活用です。ドローンにカメラを搭載し
芝生の状態のモニターを行い、状況に応じて芝生の維持管理を行ことで、先に上げた
無駄な費用を削減することを考えたのです。ドローンという新しいイノベーションをこの
ような分野で活用するといったアイディアはイノベーションを開発する側ではなかなか
思いつかないでしょう。

このように世の中のイノベーションを活用しコスト削減につなげていくような手法は
今後益々活用事例やアイディアはでてくることでしょう。しかし容易いことではありま
せん。従来のやり方に慣れたユーザーや社内関係者、開発担当者は新しいやり方を
好まないのが通常です。できれば今までと同じやり方をしたいという方が多いでしょう。

またIoTにしてもドローンにしてもイノベーションを開発する人たちは応用スキルも
持っていないことが少なくありません。イノベーションがどのような分野で活用でき、
それがどのような効果をもたらすか思いつかないのです。

バイヤーは社内関係者とイノベーション側ををつなぐ役割があります。この両者を
つなぐことができるバイヤーにならなければならないのです。それが次世代バイヤー
の姿です。そのためにはバイヤーはもっと新しい技術やイノベーション、世界に目を
向けなければならないのです。



nomachi0306 at 12:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2017年01月05日

「調達購買改革の誤解」レポートアップしました

この20年間で日本企業の調達購買部門の重要性は確実に増してきています。
また今では当たり前になっているような調達購買改革はこの20年の間にかなり進展してきてます。

それは調達購買改革の第一ステージとも言えます。

この第一ステージはどちらかというと欧米型調達手法の横展開でした。
具体的には、欧米企業では当たり前になっているような効率化、集約化、集中化、 競争化などの取組みです。

結果的に現在多くの企業で調達購買部門は本部化し、一定の人員とポジションを占めるようになりました。また多くのバイヤーが専門家として育成され、プロフェッショナルバイヤーは確実に増えています。
また他の企業では調達購買部門がない企業が新しく調達購買部門を立上げ
企業収益への貢献等を達成していきました。

しかし、この数年段々とその状況が脅かされ始めました。
従来のようにやれば効果が出る改革手法に限界が来ており、
新しい調達購買改革の基軸が求められているからです。

ここでは新たな改革手法が求められています。
果たしてどのような改革の方向性なのでしょうか。

このレポートでは多くの日本企業が現段階で調達購買改革の舵取りを変えていく ための視座となるような基本的な考え方を述べています。

http://www.agile-associates.com/2016/12/vol25_2.html



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