2022年12月28日

企業経営におけるサプライチェーンの重要性

今年最後のメルマガです。
ちょっと長くなりますが、今年を総括する私のメッセージを
是非お読みください。

2022年は企業経営における歴史的転換点になったかも知れ
ません。アップル社を除くGAFAの業績悪化が顕在化し、各社とも
大規模なリストラを遂行しています。GAFAは2010年代に台頭し、
2020〜21年のパンデミック開始による巣ごもり需要増大で、
成長が一層加速しました。それが2022年に入って、一転して
業績が悪化したのです。このように巨大ITプラットフォーマー
による支配が終わり始めたのが2022年でした。

一方で2021年〜22年には、企業は、市況の高騰による調達価格
の増加と、モノが買えない供給不足という大きな課題に直面
しました。「モノが買えない時代」に入っており、これは
一時的な課題ではなく、構造的な変化だと捉えられました。
こういう背景下、企業経営における「サプライチェーンの
重要性」は益々高くなっています。

ここで数社の足元の業績の状況を見てみましょう。

まずは、エネルギー業界の東京電力と東京ガスです。

東京電力の2022年度第二四半期決算は、燃料・卸電力市場
価格の高騰などによる電気調達費用が増加したことにより、
前年同期比3,402億円減の2,388億円の損失となりました。
一方で東京ガスは、純利益が前年比2.6倍の716億円となり、
2023年3月期の連結純利益予測も1180億円となり、過去
最高益を更新すると発表しています。

東京ガスの好業績は同社の海外事業の好調によるものも
大きいですが、同社の調達改革が功を奏しているようです。
具体的には、東京ガスはLNGの長期契約の比率が約7割超と
言われ、国内平均より高いです。また、同社はリスク分散
目的で、米国のガス価格指標に連動する長期契約も増やして
おり、原油価格上昇によって高騰しにくくなっている契約
も多いとのことです。このように安定調達とリスク分散が
上手くできているのが好業績につながっています。

次は自動車業界のトヨタ自動車とテスラです。

トヨタ自動車の2022年度第二四半期の決算は、営業収益が
17兆7093億円(前期比2兆2280億円増)にかかわらず、
四半期利益は1兆1710億円(3534億円減)と増収減益と
なっています。要因としては、資材高騰などで7650億円
減益となっているだけでなく、半導体などの供給不足から
当初計画の970万台の生産台数を920万台に引き下げざる
を得ない状況です。
テスラの2022年7-9月期の決算は、売り上げが前年比1.5倍
の214億5400万ドル、過去最高を更新しています。また、
利益も前年の2倍にあたる32億9200万ドルで、増収増益と
なっています。また、世界全体の販売台数は、34万3830台
と1.4倍余りの増加となっており、半導体不足でありながら、
販売台数を増加し、原材料の高騰分を価格に転嫁することも
できているとのことです。

テスラの強みは、自動車業界内での圧倒的な垂直統合型
モデルにあります。近年の供給不足に対しても、半導体の
内製化などを速やかに適応可能にしています。また、
テスラは最も川上である鉱山会社との関係性強化や、
代替材料の採用などを積極的に進め、サプライチェーンの
構造改革を柔軟に取り組んでいるようです。

最後はダイキン工業と三菱電機です。

三菱電機の空調・家電事業の2022年度第二四半期決算は
売上が6627億円となり、前年同期から1.1倍に伸びて
いますが、営業利益は大幅な減益となり、前年同期は
583億円だった営業利益が、246億円に沈み、約58%の
減益となっています。一方で、ダイキン工業の2022年度
第二四半期決算は、売上高は前年同期比30%増の
2兆198億円に、営業利益も前年同期比15%増の2217億円に
伸ばし、共に過去最高です。営業利益の増減要因を見ます
と、原材料・物流の高騰で(−940億円)にも関わらず、
売価(値上げ、+940億円)と拡販(+454億円)、
コストダウン(+220億円)の施策で取り返しており、
増益を実現しています。

ダイキン工業は2023年度中に、有事対応で中国製部品が
無くてもエアコンを生産できるサプライチェーン(供給網)
を構築する、と発表しており、中核機能にかかわる部品の
内製化や、取引先にも中国外での生産を要請するなどの
取組みを行っています。ダイキンは2217億円の営業利益
のうち、拡販で454億円、売価アップで940億円と合わせて
1400億円近く増収につなげており、モノが買えない時代
でも供給確保や原材料価格高騰の売価反映が上手くできて
いることが分かるでしょう。

このように、同じ業種の企業業績ですが、とても対照的な
ことが分かります。また、3業種の好業績企業3社ともに、
サプライチェーン改革や調達改革を積極的に進めている
という共通点があります。

もちろん、業績は様々な要因の集約結果ですので、全て
サプライチェーン改革や調達改革で説明できるわけでは
ないでしょう。

しかし、これはたまたまなのでしょうか。

私は、これらの企業事例を見ても、企業経営における
サプライチェーンの重要性が増していることは間違い
ないと考えます。前述した3社の好業績企業が意図して
サプライチェーンや調達改革を実施しているとは必ずしも
言えまえん。しかし、環境変化に合わせて、柔軟に
サプライチェーンの構造改革を進めることが、経営面で
求められ始めていることは間違いないでしょう。

様々な予測不可能な事態が起こりうる、VUCAの時代には、
サプライチェーンのコスト競争力だけでなく、継続性を
優先する体制に切り替える柔軟性が求められます。
このように、2022年という年はサプライチェーンの構造
や柔軟性で競争優位を確保する時代になったと言える
でしょう。

サプライチェーンの構造や柔軟性を持つことは経営視点
からの要請ですが、調達購買部門の取組みとして、
考慮すべきことは何でしょうか。
以前、私はサプライヤ供給力不足への対応について、
1.在庫を持つ 2.マルチ化 3.サプライヤとの関係性
づくり の3点を述べてきました。
今回の「モノが買えない時代」において、調達購買部門
は3つの重要性に気が付かされた年になったのです。

それは、計画の重要性/在庫の重要性/サプライヤとの
関係性構築の重要性、この3つになります。

従来、調達部門はいくらで買う、にだけフォーカスして
きましたが、いくつ買う、については気にもしていません
でした。購入数量を計画し、それを提示し、確保する、
極めて当たり前な話ですが、モノを買う上で、必要な
計画機能が欠如していたのです。

次は在庫の重要性です。従来日本企業はJIT信仰が強く、
在庫は悪と捉えていました。しかし、今般の「モノが
買えない時代」においては、長期発注、先行発注などで
将来の在庫をサプライヤにもってもらう、自社で在庫を
保持するなどの必要性が出てきたのです。これも、極めて
当たり前な話ですが、どれだけ在庫を計画的に持てば
よいのか、検討〜決定する機能も欠如していました。

最後のサプライヤとの関係性構築の重要性、ですが、
これは私が以前から述べ続けていることであり、
一部の先進的企業においては、サプライヤマネジメント
の導入として、進められ始めています。しかし、未だに
双方向の取組みではなく、買う立場の上から目線の
取組みに終わっている企業も少なくありません。

このように、3つの重要性に気が付いた調達購買部門が
主導して、企業経営におけるサプライチェーンの重要性
をマネジメントに理解させ、競争力強化につなげていく
必要性がでてきたのが2022年だっとのではないでしょうか。

昨今のモノが買えない状況は、少しずつ緩和されるとき
が来るかもしれません。しかし、モノが買えないことを
一時的な事象として捉えるのではなく、構造的な変化で
あることを理解し、具体的な対策に乗り出さなければ、
その企業は競争力を失っていくでしょう。
事業環境の変化に速やかに対応できるサプライチェーン
を構築することが重要であり、サプライチェーン構造改革
は待ったなしの状況なのです。

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2022年09月21日

調達購買部門の地位向上と見せる化ーその2−

だいぶ時間が空いてしまいましたが、今回は、調達購買部門の
地位向上のための方策と、そのポイントについて、前回に引き
続き、理解を深めていきます。

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前回のメルマガでは、KGI、KPIの設定と「見せる化」を進める
ことがマネジメントからの注目を集め、ひいては調達購買部門
の社内での地位向上につながる、ということを述べてきました。

今回も、調達購買部門の地位向上に、効果的な方法を紹介して
いきましょう。それは社内の従業員満足度調査です。従業員
満足度調査はEmployee Satisfactionを省略し、ESと呼ばれる
ことが多いですが、調達購買部門にとって従業員はユーザーで
あり、顧客そのものです。ので、私はこれをESではなく、
Customer Satisfation(CS調査)と呼んでいます。

私が知っている限り、調達部門でCS調査を実施している企業は
それほど多くないでしょう。感覚的には3割程度ではないで
しょうか。

何を調査するかというと、調達購買部門の業務(サービス)に
満足しているか、が主たるテーマとなります。また、重要なのは、
今後どのような業務(サービス)を期待しているか、という
設問です。とある企業で、この設問に対するユーザーの声を
聞いたときに、現状の業務(サービス)で満足されている点や
不足している点、今後の期待などで、多くのユーザーが
「多様な情報提供」を求めていることが、わかりました。

これは、バイヤー担当にとって、日頃、あまり感じていなかった
ようで、新たな気づきを与えてくれた、という声が多く聞かれ
ました。このような指摘から、多くのバイヤー担当がユーザー
部門とのコミュニケーションを密にし、様々な情報提供として、
サプライヤやサプライヤが持つユニークな技術や、サービスの
提案をするようになったのです。

結果的に、翌年のCS調査結果で、社員の満足度は一層高くなり、
その理由として、多様な情報提供が行われている、という評価
になりました。

私はこのような実績を踏まえて、CS調査が企業の調達購買業務
(サービス)の充実につながり、社内ユーザーの購買業務のQCD
最適化や、社内での調達購買部門の地位向上にもつながることを
経験した次第です。

CS調査は、調達購買業務の満足度を見える化するものです。また、
重要なのは、調査結果を社内ユーザーに公開することです。
これによって、調達購買部門の社内での評価を「見せる化」する
ことにつながります。

これは副次的な効果ですが、ある企業では、「見せる化」の活動
を続けるなかで、調達購買部門への異動希望者が、以前よりも
増えた、ということです。従来、調達購買部門は会社の中で、
それほど人気がある部署ではなかった、というのが一般的
な状況でしょう。この企業では「見せる化」をうまく活用し、
機能させた良い事例と言えます。

「自分の会社では、調達部門ポジションが高くない。どうしたら、
良いか」と悩むだけでなく、積極的にKPIやKGIを設定し、業務や
サービス、評価の「見せる化」を進めることが、肝要ではないで
しょうか。

nomachi0306 at 12:00|PermalinkComments(0)

2022年07月27日

調達購買部門の地位向上と見せる化ーその1−


今回は、調達購買部門の地位向上のための方策と、その
ポイントについて、調達購買部門のKPIやパフォーマンスの
見せる化を含め、2回に分けて述べていきます。

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最近でも、調達部門長などから、「自分の会社では、調達部門
ポジションが高くない。どうしたら、上げられるか」と聞かれる
ことがよくあります。

調達購買部門の重要性や経営からの期待は、20年前から比べたら、
圧倒的に高まっているでしょう。以前は、調達購買部員は、
年配の人が殆どでしたが、今は若い人や女性が増えています。
また、専門職としての専門的な研修や、調達購買部門としての
人材育成プログラムも整備され始めています。

このように、徐々に調達購買部門の地位や重要性は高まりつつ
ありますが、今でもこういう問いかけをされることが多いこと
から、やはり現在でも、ポジションが高くない企業も、多く
存在するようです。

以前、私がこう問いかけられたら、「小さな成功事例を積み上げ
ていくこと」しかない、と考えていました。しかし、様々な経験
をしてきて、それだけではダメだということに気がつき始めて
います。それでは、どうすればよいのでしょうか。

一つ目は、調達購買部門として、ビジョンミッション、共有の
価値観を持つことです。これも、自己満足のビジョンミッション
共有の価値観に終わってはいけません。

社内ユーザー、マネジメント、サプライヤー、部内の声を
吸い上げ、どのような役割機能を果たしていくべきかを定義し、
その上で日々機能強化をすすめていきます。それとともに、
これらの取り組みを、様々な手段で啓蒙していくことが、
社内評価の向上にもつながるのです。

前回までのメルマガで、調達購買部門のDXについて述べま
したが、その中で、調達購買部門の情報系DXは3つあり、
その一つがマネジメント系DXで、具体的にはKGIやKPIである、
と書きました。

私はKGI、KPIのデータ収集、分析、活用がマネジメントへの
啓蒙につながると考えます。具体的には、KGI、KPIのデータ
収集がKGI、KPIの設定にあたり、データ分析は、レポートの
作成であり、データ活用は、KGI、KPIの目標設定と進捗管理
にあたります。

本来、KGI、KPIとはマネジメントのニーズで、こういう指標、
データを見たい、というものですが、一方で、部門として
マネジメントに、こういう成果を見せたい、という意味もある
のです。

これは、「成果の見える化」であり、調達購買部門視点では、
「成果の見せる化」と言えます。しかし、マネジメント系
情報の収集-分析-活用は、とても難しい取組みです。中でも
活用のプロセスが上手くいません。

収集プロセスは、KGI、KPIの設定になりますが、従来から、
私は「調達購買部門を、コスト削減額や率だけで評価する
時代は、終わりにしましょう。」と言っていましたが、
総合的なKGI、KPIの設定をし始めている、企業は徐々に
増えています。

分析プロセスも、綺麗なレポートやダッシュボードでなくても
よいから、手間をかけずにレポートを月次で発行しましょう、
というようなプロセスの整備が、進んでいるようです。

一番の問題は活用プロセスであり、これはKGI、KPIの目標設定
と評価になりますが、日本企業でこれを上手く仕組み化して
いるところは、多くありません。これは、日本企業の従来
からの文化や人事評価の考え方によるところが、その原因と
なっています。通常、目標は部門単位から部単位へ、部単位
から課単位へ、課単位からグループ単位へ、グループ単位から
個人単位へと、展開していくべきですが、グループ別や個人別
の目標設定や評価自体が、自社のカルチャーや人事戦略に
あわない、と言った声も良く聞かれることです。

しかし、測れないものは評価されません。逆に、計測すると
いうことは、評価することにつなげなければならないと
いえます。

このように、様々な問題はありますが、KGI、KPIの設定と
「見せる化」は調達購買部門の地位向上につながります。

ある企業の事例ですが、過去に何度もボトムアップでKGI、KPI
の設定、分析、活用を進めようと検討してきましたが、そもそも
何を目的に進めるのか、など部内での反発や異論があり、中々
上手くいきませんでした。

それが、社内の、あるプロジェクトをきっかけに、KGI、KPIの
意義や目的を共有し、プロジェクトメンバーが尽力することで、
今まで集計、レポート作成に一カ月以上かかっていたものが、
3年後には5営業日までに、レポート作成の早期化を実現しま
した。

また、これによって、マネジメントに対しても、月次で
KGI、KPIの達成状況を定期的に報告できるようになったのです。

この企業の調達購買部門は、これによって、マネジメントから
の評価が改善され、褒められる機会が増えていきました。
これによって、一層、KGI、KPIだけでない調達購買部門の活動
や成果の「見せる化」の取り組みが進んでいったのです。

このように、できる所から「見せる化」を始めていき、それを
積み上げて、継続していくことは、調達購買部門の社内での
地位向上に非常に効果的なやり方と言えるでしょう。

次回は、調達購買部門のポジション向上の為の、もう一つの
効果的な方法について、述べていきます。

nomachi0306 at 10:00|PermalinkComments(0)

2022年07月06日

調達購買業務のDXは何故進まないか?ーその3−

今回は、調達購買業務のDX(デジタルトランスフォーメー
ション)について、最終回(3回目)のメルマガになります。
先回述べた調達購買業務のDXの課題(特に情報系DX)に
対して、どのように課題を解決していけばよいかについて
述べていきましょう。

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前回のメルマガで述べましたが、調達購買業務のDXは
大きく分けて、業務プロセスを直接的にデジタル化する、
取引系(実行系)のシステムと、調達購買業務を通じて
蓄積されたデータを活用して、コスト削減や付加価値の
向上を図る、情報系のDXに分けられます。

特に情報系DXが上手くいっておらず、何故なら情報系DXは、
情報毎に収集〜分析〜活用のプロセスを整備することが
必須であり、これが上手くいっていないことが、日本企業
の調達購買業務のDXが進んでいない、理由の一つと、
述べてきました。

それでは、この課題に対して、日本企業は、今後どのよう
に調達購買業務のDXを進めていくべきでしょうか。

情報系DXの情報は、大きく分けて、購入品に関する情報、
サプライヤに関する情報、マネジメントに関する情報の
三種類に層別されます。この中で、購入品に関する情報
のDXを例にして、もう少し考えていきましょう。

先回も触れましたが、購入品に関する情報は、コストや
コスト明細、品番、仕様などの属性等の情報です。これら
の情報を収集し、コスト妥当性の評価などの分析を行い、
コスト査定に活用することで、情報収集〜分析〜活用の
サイクルを回して成果につなげていきます。

バイヤーはサプライヤと価格を決める決定権をもって
います。購買経験のある方ならご存知でしょうが、
価格決定のためのデータ活用のニーズは、非常に高い
です。

価格決定のためのデータ活用とは、何かと比較すること
になります。私の方法論によりますと、比較対象になり
得るものは、10パターン以上上げられるでしょう。
しかし、今はその10パターン以上の比較対象を探すのに、
たいへん時間がかかっています。

これをもっと効率的に探せる方法があれば、データ活用は
進むのです。(コスト交渉の結果、コストが下がるか
どうかは、また別問題ですが。)データを探せない理由は
いくつか、上げられます。

まずは何を、です。比較対象にするためには、対象品と
同じ、もしくは似ているものが、いくらであったのか、
わからなければ意味がありません。つまり、何が、を特定
できないと、比較するためのデータが得られないのです。

ここで問題になるのは、何が、がきちんと図面や仕様書
などで、定義されていれば、良いのですが、モノを買う際
には、単品で購入したり、工事や運用全て購入したり
しますので、なかなか類似品や同じものを特定し、探し
出すことが難しいということです。

一方で、コストの情報も同じことが言えます。最近は、
コスト分析という概念が普及してきており、コスト明細
を取得しやすい状況になってきましたが、依頼しても、
サプライヤからコスト明細を提出してもらえない、と
いう声は、最近でもよくあることです。コスト情報は、
明細がなければ、細かい分析ができません。なので、
コスト妥当性評価をすることも難しくなります。

このようにコスト(明細)情報の収集、管理、分析も
難しいのです。

また、データ分析〜活用を一層邪魔しているのは、属性の
データとコストのデータが同じところに保持されていない
ことでしょう。つまり、分析しようにも違うところ
(システム)に情報が保持されているので、データを
様々なソースから集めて分析しないと、活用に至らない
という問題があります。

それではこららの課題をどのように解決すれば、良いで
しょうか。

まずはテクノロジーを上手く活用することです。
複数のシステムで蓄積された、ビッグデータをデータ
レイクに貯めて分析を行うことが、テクノロジーの進化
により、あまりコストをかけずに行えるようになって
ます。また、分析もAIを活用して、様々なシミュ
レーションを瞬時に行えるようになりました。テクノ
ロジーはスピードと低コストを実現できるのです。

ただ、それはあくまでもデータが各システムに蓄積
されていることが前提となります。属性のデータや、
コスト明細などが、未だにPDFや紙であったら、
そもそもデータを蓄積することが非常に困難です。

そういう場合にも、仕様書やコスト情報は必ずどこかに
存在します。まずは、対象物の比較対象になるような
過去の購買案件や件名などで、類似品を選択し、その
類似品が、一式でもよいので、いくらだったのかが、
わかるだけでも、データを活用した交渉が可能となるで
しょう。

このように、できるところから、データ活用を進めていく、
ことがポイントです。これは、現状のデータについて、
収集〜分析〜活用の視点から、どこまで可能なのか、
情報活用の方法を見極めることにもつながります。

コストや手間を無尽蔵にかければ、データ収集〜分析
〜活用は可能です。しかし、それでは効果に見合わない
コストがかかってしまいます。

自社で、どのようなデータが、どのような形態で、
どこのシステムに蓄積されているのか、これらの現状を
把握した上で、先ずは多くを望まずに、何から進めるか、
を検討していくべきでしょう。

具体例として、仕様書はPDF、検索できるように、
何らかの属性を追加項目として持たせる。コスト明細は
エクセルだが、明細があるものと一式見積が混在。
仕様書とコスト明細は同じフォルダーに必ず入れておく
ように運用されており、そのルールは近年は守られている。

このようなケースでは、最低でも、類似案件や類似購入品
を探し、その契約価格を参照することで、対象案件と
比較することができます。

これらは購入品についてのDXですが、サプライヤ情報
のDX、マネジメント情報のDXも同様であり、今収集
できているデータから、何ができるか、これをまずは、
検討していくことが重要です。

また、そのために最低限保持しておくべき情報があれば、
何らかの方法で収集できるようにしていく、といった
進め方をしていくべきでしょう。

このように考えると、DXと言っていますが、従来の
ナレッジマネジメントと同じ考え方です。リアリティ
のあるDXを進めないと、データを収集するために、
もの凄く手間が、かかったり、データが揃わなかったり、
揃っても、分析する上で、クリーニングしないと
使えなかったりと、いう状況がおこり、データ分析
のために、長い期間かかってしまうといった問題に
陥ります。そして、結局は使えないDXになってしまう
のです。

最後に、もう一つ調達購買DXで欠かせない視点を
述べます。それは、他部門でのデータ活用です。特に、
情報系DXの場合、データ活用するのは、従来は
調達購買部門だけです。今後は、調達購買部門以外
での、例えば上流部門である開発部門や、製品企画、
営業部門、また製造部門などにもデータを提供し、
開発段階での仕様設定で、そのデータを活用したり
とか、製品競争力につながるような製品開発に、
活用したりとか、造り易さにつながる購買品の選定
などに活用したりなど、できるようになってくる
でしょう。

このように、他部門でのデータ活用ができることで、
効果が認識されれば、データの収集に対する負荷を、
ある程度許容することにつながります。また、データ
収集の必要性の認識も高まるでしょう。このような
視点が今後の調達購買業務のDXには欠かせないと
言えます。

nomachi0306 at 10:00|PermalinkComments(0)