2020年10月30日
GO TO 座禅
NOMAのNOです。
10月上旬、右肩に激痛が走り、整形外科に飛び込むと「石灰沈着性腱板炎」との診断。
肩関節近くに石灰(カルシウム)が溜まり神経を圧迫しているとのこと。
そういえば10年以上前になるが、
NOMAの改装作業で、ペンキ塗りやら何やら毎日肩を酷使しているときにもなった記憶が。
どうやら今回は、台風続きでサーフィンをやり過ぎたせいなのか。
先生に聞いても、原因は解明されておらず、50代の女性に多い病気とのこと。
やっかいなのは、鎮痛剤を飲んで痛みは何とか緩和できるが、
明確な治療法が無く、肩に負荷を掛けずおとなしくしているしか手立がないこと。
言わば日にち薬という、一番辛い薬に頼らざるを得ない結果となった。
早々に徳島から引き上げ、自宅でクサクサしているNOを見かねたのか
MAが自分の参加するプロジェクトの展示が東京であるので
一緒にショートトリップしないかと誘ってくれた。
コロナ渦において禅に興味を覚え、
鈴木大拙さんや藤田一照さんの本を読みあさっていた私は
禅の聖地・鎌倉に泊まるならと提案すると、MAも乗ってきて
すぐにGOTOキャンペーンで飛行機とホテルを押さえることに。
すると多額の地域クーポンが付いてくることが分かり、
早速何を食べるか夜遅くまで話し合うほどテンションが上がった。
そして、さらにテンションを高めることが・・・
それは歴代の武将達を始め、夏目漱石や島崎藤村など多くの文化人も
座禅を組みに訪れたという、鎌倉五山のひとつ円覚寺で
毎朝座禅会が開かれており、私たちも参加できると知ったことでした。

そして、いよいよ座禅会当日。
まだ薄暗い中ホテルを抜け出し、となりの北鎌倉駅まで電車に乗る
朝の5時過ぎだというのに、すでにスーツ姿の人もちらほら。
鎌倉に住んでいると言えば聞こえはいいが、
都心まで通勤するのは、それなりの苦労があるに違いない。
北鎌倉駅で降りたのは私たちだけ、線路に沿って円覚寺へと向かう
正面の参道はまだ開いておらず、少し離れた通用口から境内に入る
薄暗い中に凛と佇む山門、それを見ただけで背筋がシャンと伸びる。
少し進むと座禅会が行われる仏殿が見えてきた。
まだ戸が閉ざされており、人の気配は無い。
そのとき、お腹がキュルキュルと不穏な音を立て始める・・・
昨晩、GOTOクーポンで調子に乗って飲み過ぎたせいか
起きたときから調子が悪く、ホテルでも2度トイレに行って備えてきたはずなのに
ガラガラガラ・・・
突然木戸が開く音がして見上げると、仏殿に鎮座する釈迦如来坐像の姿が見えた。
「スミマセン、お手洗いをお借りできないでしょうか?」
失礼は承知で扉が開くなり、不躾なお願いをする。
コロナ渦で仏殿脇のトイレは閉鎖されていたにも関わらず、鍵を取りに行ってくださり
何とか、危機を回避。
驚いたのは、外観からはにわかに信じがたいほどの最新便器を備えていたこと。
便座もフタも自動で開き、リモコン付きのウオシュレットを完備。
国賓級の VIPも訪れるということか、座るお尻に緊張が走った。
皆さんに遅れて仏殿へ、裏に回るように促される。
すでに多くの方々が縁台に座布団を敷いて座っている。
ふと気が付くと目の前には釈迦如来座像が迫り、その姿に圧倒される。

MAに促され靴下を脱いで、慌ててその横に座る。
ひとり試験に遅刻してきた学生のような気分で落ち着かない。
しかもすべての窓が開け放たれており、冷たい風が容赦なく裸足を撫でていくので
お腹がまた刺激されるのでは無いか、最後まで無事持ってくれるだろうか・・・
これから心落ち着けて座禅という今際に、すでに頭の中は邪念だらけだった。
初心者向けの姿勢などの説明もあっという間で、
気持ちを立て直す暇もないままに、開始を告げる拍子木の音がお堂に響き渡った。
シーンという音が聞こえてくるような静けさとは裏腹に、
心の中は未だアタフタしており、いつまで経っても静かにならない
気にしないでいようと思えば思うほど、お腹が気になる。
逆に些細なお腹の変化を、ずっと探るといった時間が過ぎていった。
突然、拍子木が響き、20分の座禅が終了。
ホッとするのも束の間、またすぐに拍子木が響き、後半20分の座禅が始まった。
ようやくこの頃になって、お腹の不安は少し遠のき
鳥の声や遠くに走る電車の音が、心地よく耳に届いて来るようになった。
すると、時折「タタタタタ」という不思議な音が混じる・・・。
何の音だろうか、鳥の声? 何かの作業音? 人の走る音?
どれにも似てるようで似てない不思議な音、そしてその妄想は止められなくなった。
排除するのでは無く、すべてをあるがままに受け入れながら
たいせつなのは、自分自身のコントロールを手放すこと。
いろんな本の知識で、頭では分かったような気分になっていたが
最初から最後まで、煩悩だらけの自分を何とかしようと悪戦苦闘していた。

きっと、座り続ける事でしか辿り着けない世界があるんだろうな。
そう思えただけでも、ここに来た意味はあったのかな。
お腹の調子も、不思議な音も、
すべては用意されていたシナリオなのかも、そんな気さえして、
人間っておかしいなものだあと、改めて感じることができた座禅体験でした。
不思議なことに旅から帰って、肩の痛みもずいぶん楽になったような気が・・・。
そろそろ徳島に戻っていい頃かも、少しまたテンションが上がりつつある。
そういう自分が素直に嬉しいなあ。
10月上旬、右肩に激痛が走り、整形外科に飛び込むと「石灰沈着性腱板炎」との診断。
肩関節近くに石灰(カルシウム)が溜まり神経を圧迫しているとのこと。
そういえば10年以上前になるが、
NOMAの改装作業で、ペンキ塗りやら何やら毎日肩を酷使しているときにもなった記憶が。
どうやら今回は、台風続きでサーフィンをやり過ぎたせいなのか。
先生に聞いても、原因は解明されておらず、50代の女性に多い病気とのこと。
やっかいなのは、鎮痛剤を飲んで痛みは何とか緩和できるが、
明確な治療法が無く、肩に負荷を掛けずおとなしくしているしか手立がないこと。
言わば日にち薬という、一番辛い薬に頼らざるを得ない結果となった。
早々に徳島から引き上げ、自宅でクサクサしているNOを見かねたのか
MAが自分の参加するプロジェクトの展示が東京であるので
一緒にショートトリップしないかと誘ってくれた。
コロナ渦において禅に興味を覚え、
鈴木大拙さんや藤田一照さんの本を読みあさっていた私は
禅の聖地・鎌倉に泊まるならと提案すると、MAも乗ってきて
すぐにGOTOキャンペーンで飛行機とホテルを押さえることに。
すると多額の地域クーポンが付いてくることが分かり、
早速何を食べるか夜遅くまで話し合うほどテンションが上がった。
そして、さらにテンションを高めることが・・・
それは歴代の武将達を始め、夏目漱石や島崎藤村など多くの文化人も
座禅を組みに訪れたという、鎌倉五山のひとつ円覚寺で
毎朝座禅会が開かれており、私たちも参加できると知ったことでした。

そして、いよいよ座禅会当日。
まだ薄暗い中ホテルを抜け出し、となりの北鎌倉駅まで電車に乗る
朝の5時過ぎだというのに、すでにスーツ姿の人もちらほら。
鎌倉に住んでいると言えば聞こえはいいが、
都心まで通勤するのは、それなりの苦労があるに違いない。
北鎌倉駅で降りたのは私たちだけ、線路に沿って円覚寺へと向かう
正面の参道はまだ開いておらず、少し離れた通用口から境内に入る
薄暗い中に凛と佇む山門、それを見ただけで背筋がシャンと伸びる。
少し進むと座禅会が行われる仏殿が見えてきた。
まだ戸が閉ざされており、人の気配は無い。
そのとき、お腹がキュルキュルと不穏な音を立て始める・・・
昨晩、GOTOクーポンで調子に乗って飲み過ぎたせいか
起きたときから調子が悪く、ホテルでも2度トイレに行って備えてきたはずなのに
ガラガラガラ・・・
突然木戸が開く音がして見上げると、仏殿に鎮座する釈迦如来坐像の姿が見えた。
「スミマセン、お手洗いをお借りできないでしょうか?」
失礼は承知で扉が開くなり、不躾なお願いをする。
コロナ渦で仏殿脇のトイレは閉鎖されていたにも関わらず、鍵を取りに行ってくださり
何とか、危機を回避。
驚いたのは、外観からはにわかに信じがたいほどの最新便器を備えていたこと。
便座もフタも自動で開き、リモコン付きのウオシュレットを完備。
国賓級の VIPも訪れるということか、座るお尻に緊張が走った。
皆さんに遅れて仏殿へ、裏に回るように促される。
すでに多くの方々が縁台に座布団を敷いて座っている。
ふと気が付くと目の前には釈迦如来座像が迫り、その姿に圧倒される。

MAに促され靴下を脱いで、慌ててその横に座る。
ひとり試験に遅刻してきた学生のような気分で落ち着かない。
しかもすべての窓が開け放たれており、冷たい風が容赦なく裸足を撫でていくので
お腹がまた刺激されるのでは無いか、最後まで無事持ってくれるだろうか・・・
これから心落ち着けて座禅という今際に、すでに頭の中は邪念だらけだった。
初心者向けの姿勢などの説明もあっという間で、
気持ちを立て直す暇もないままに、開始を告げる拍子木の音がお堂に響き渡った。
シーンという音が聞こえてくるような静けさとは裏腹に、
心の中は未だアタフタしており、いつまで経っても静かにならない
気にしないでいようと思えば思うほど、お腹が気になる。
逆に些細なお腹の変化を、ずっと探るといった時間が過ぎていった。
突然、拍子木が響き、20分の座禅が終了。
ホッとするのも束の間、またすぐに拍子木が響き、後半20分の座禅が始まった。
ようやくこの頃になって、お腹の不安は少し遠のき
鳥の声や遠くに走る電車の音が、心地よく耳に届いて来るようになった。
すると、時折「タタタタタ」という不思議な音が混じる・・・。
何の音だろうか、鳥の声? 何かの作業音? 人の走る音?
どれにも似てるようで似てない不思議な音、そしてその妄想は止められなくなった。
排除するのでは無く、すべてをあるがままに受け入れながら
たいせつなのは、自分自身のコントロールを手放すこと。
いろんな本の知識で、頭では分かったような気分になっていたが
最初から最後まで、煩悩だらけの自分を何とかしようと悪戦苦闘していた。

きっと、座り続ける事でしか辿り着けない世界があるんだろうな。
そう思えただけでも、ここに来た意味はあったのかな。
お腹の調子も、不思議な音も、
すべては用意されていたシナリオなのかも、そんな気さえして、
人間っておかしいなものだあと、改めて感じることができた座禅体験でした。
不思議なことに旅から帰って、肩の痛みもずいぶん楽になったような気が・・・。
そろそろ徳島に戻っていい頃かも、少しまたテンションが上がりつつある。
そういう自分が素直に嬉しいなあ。
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