2009年01月22日

ファミリーポートレイト   桜庭一樹3

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ファミリーポートレイト
桜庭 一樹
講談社
売り上げランキング: 6642
おすすめ度の平均: 4.0
2 作者の頑張りを押し付けた作品
5 母を求め続ける・・・永遠の子供の物語!
3 何か痛々しい
5 『私の男』を超える作品
5 サイン会へ行こう! I think 真紅!


 ママの名前はマコ、私の名前はコマコ。
 「ファミリーポートレイト」冒頭のコマコは口がきけない5歳の少女。
 ママは飛び切りの美人で、コマコを20歳の時に生みました。コマコはママが大好き。
 コマコが5歳のとき、ママとコマコの逃避行は始まり、コマコが14歳になるまで続きます。

 「ファミリーポートレイト」は、第1部「旅」で、ママと旅するコマコの生活、第2部「セルフポートレイト」では旅が終わった後、成長したコマコの17歳〜34歳が描かれています。

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 母と子の一代記を書いているという点で「赤朽葉家の伝説」の系統を継ぐ小説とも書かれていましたが、「赤朽葉家の伝説」よりも更に幻想的でした。
 
 第1部のコマコは、
あたしは情緒の発達が遅れてて、さらに幻覚と幻聴の症状があり、現実認識の能力は、誰かが脳に手を突っこんで握りつぶしちゃったかのようにガタガタに壊れていた。
というような状態なので、コマコの目からみた世界は、夢の中の世界のようです。
 読んでいて、こっちまでがクラクラしてしまうくらいで、幻想に浸るのは楽しいような、苦しくなるような。
 
 そして第2部でのコマコは、成長してもやっぱり普通とは違った目線を持っていて、高校時代の描写は、やっぱりクラクラするのです。

 やがて、小説家となったコマコの生活や、考えていることは、作者の桜庭一樹自身を投影しているのでしょうか。

 コマコが、文学賞の選考結果を待っているシーンでの
 小説というのは地下世界の文化だから、普段は世間全般の注目を浴びるようなことはない。ごく少数の、本を読む人たちだけに認識されてる向こう側の異世界だ。だけど文学賞はお祭りで、ショウアップされたなにか。
という描写は、桜庭一樹が直木賞を取ったときに思ったことなのでしょう。

 コマコがアルバイトをしている文壇バーでの、作家や編集者たちの会話や、
男の作家がまた涙ぐむので、あたしは、子供みたいなしょうもない人々である、作家という生き物のことを憂う。
というコマコの言葉など、第2部はコマコの人生についてだけでなく、「作家」というものを語った部分が大きく、私はその部分に惹かれました。
 
 また、第1部で、決してタイトル1冊も出てこなかった、ママを待ちながらコマコが読んでいた本の数々が、ストーリーから推測して何の本なのかを考えるのも楽しかったのです。
 「はてしない物語」のようにわかるものもあり、わからないものもあり。

 講談社の「ファミリーポートレイト」HPで、Comming Soon!!となっている「コマコが読んだ本リスト」が完成するのが楽しみです。

☆3.5

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キア at 23:58│Comments(0)TrackBack(0)clip!このエントリーを含むはてなブックマーク

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