私は映画「タイタニック」は評価しないが、
ジェームズ・ホーナーの書いたこのスコアは素晴らしい。
この曲は有名なセリーヌ・ディオンの主題歌とは違った
心を揺さぶられる奥深さがある。
しかし、この曲も苦い思い出と重なって聴くと胸が痛く
なる時期もあった。
タイタニック号沈没の悲劇は、あんな作り事の恋愛話より
もっと興味深い話がある。
沈没自体が故意に起こされたもので、その目的は保険金詐欺
だったという疑惑がある。
タイタニック号を所有していたホワイトスターライン社には
もう1隻豪華客船があった。
オリンピック号だ。
しかし何度も事故を起こして保険適用外になっていた。
会社は自前では修理できないほど経営不振で倒産寸前だった。
そこで、おんぼろのオリンピック号をタイタニック号に
見立てて沈め、船体を犠牲に保険金をだまし取ろうとした。
オリンピック号とタイタニック号の船体は、遠目から見ると
そっくりで簡単に見分けがつかない。
推論にすぎないが、都市伝説とも言い切れない。
人命を犠牲にしてまで、マネーロンダリングをするなど
現在でもよくある話である。
この陰謀には、有名な実業家J・P・モルガンも絡んでくる。
破産寸前のホワイトスターライン社に資金を提供し、
処女航海時のタイタニック号の乗船券を購入していた。
しかし、何故か直前になって乗船をキャンセル。
タイタニック号が沈没した後は巨額の保険金を手にしている。
ジャックとローズに嫉妬してキレたり、船中で銃を打ったり、
他人の赤ん坊を利用して船から脱出しようとしたローズの
婚約者キャルなどは紋切り型の悪人に過ぎず、モルガンこそ
真の意味で狡猾な確信犯と言える。
タイタニック号の沈没が1912年だから、今年で100年目だ。
ジェームズ・キャメロンもハイテクばかり追求してないで
大人の世界の泥臭い映画を撮ってほしい。