イランがガーセム・ソレイマニ暗殺に対する報復として、米軍の駐留するイラク西部アサド空軍基地と北部クルド人自治区アルビルの基地へ、弾道ミサイル攻撃を行いました。

イラン西部ケルマーンシャーから10発がアサド空軍基地に、5発がアルビル基地へ向けて発射されたようです。しかし、アルビルに向かったうちの4発が不発もしくは失敗し、アサド基地では米軍が配備していたC-RAMが少なくとも1発のミサイルを迎撃したと報じられています。

発射されたミサイルは、「Fateh-313」か「Qiam-1」とみられ、いずれにしても短距離弾道ミサイルです。ケルマーンシャーからアサド基地までは約420kmなので、射程から考えるとQiam-1ですかね。
iranian BMs
(「Iran’s Missile Priorities after the Nuclear Deal」より)


上記引用写真は、アサド基地から30km離れた村に誤着弾したミサイル。


上記引用写真は、ミサイルがアサド基地に着弾し、米軍の施設が破壊されたことを示す衛星写真です。Qiam-1であれば弾頭重量は500kg(〜750kg?)程度で、写真のように半径20m以下の非強化目標が吹き飛ぶくらいの威力です。

個人的に注目しているのは、CEP(半数必中界)が推測されていたよりも高性能である点です。Qiam-1の場合、CEPは500mとみられていましたが、今回のミサイル攻撃で用いられたものは10m以下のCEPを実現しているようです。

Qiam-1のオリジナルに位置する北朝鮮の「スカッドC(火星6号)」のCEPは1000mと推測されていますが、こちらも実性能は大きく向上している可能性が高いのではないでしょうか。

なお、短距離弾道ミサイルによる攻撃であれば、パトリオット・システムでの迎撃が可能です。PAC-3はもちろん、PAC-2GEMでも迎撃できます。しかし、アサド、アルビル両基地ともにパトリオット・ミサイルは配備されていませんでした。

米軍の早期警戒情報(イラン自身からのリークも含めた)により、兵員や関係者は事前に避難済みだったため、米国やイラク、アルビルに駐留する英独伊などからも現時点では死傷者の報告はないようです。イランが彼らの政治的体面を保った上で、エスカレーションを避けるために米側の被害局限を意図して巡航ミサイルかのような高精度な弾道ミサイルを用い、米国もそれを酌むことができれば、ここで両国とも止まれますね。

国際政治の危機管理における誤解・誤算を回避するためには、兵器の性能向上もおろそかにすべきではないことをイランが示した形になるかもしれません。

メモ代わりの更新でした。