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米国防総省が発行した『中国の軍事・安全保障に関する年次報告書 2011』の中に、中国の地下軍事施設に関する言及がありました。そういえば、先日、米海軍大学(Naval War College)のジェームズ・ホームズ准教授もこれに類する記事を 『The Diplomat』 へ寄稿していました。あれやこれやをまとめてみましたので、読み物としてお楽しみ下さい。

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地下の万里の長城が公にその存在を知られるようになったのは、2008年3月、中国の国営テレビ・中国中央電子台(CCTV)によるニュースがきっかけでした。

その内容とは、人民解放軍(PLA)が、戦略的に重要な資産・拠点を保護・隠匿するために、河北省の山岳地帯の地下数百mのところに5,000kmに及ぶトンネルを掘り、軍事施設を建設している、というものでした。中国の戦略ミサイル部隊である第2砲兵部隊が管理する核ミサイルを収容することが主目的とされ、1995年にトンネル工事が着工し、核攻撃にも耐えうる堅牢な施設であると伝えられました。台湾の軍事誌によると、1995年から10年間にわたり第2砲兵部隊員ら数万人が動員されて建設されたようです。

冷戦初期以来、核抑止における最高度の基準は、第二撃能力の絶対確保です。理論上、敵の第一撃に耐え、なおかつ相当量の核ミサイル戦力を残存させうるならば、敵の攻撃意図を抑止することができます。なぜなら、正常な判断ができる国であれば、敵の反撃によって自らが破滅的な被害を受けるのが分かっていながら、ミサイルを撃ち込むような真似はしないからです。

中国の核政策は、小規模かつ旧式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)による「最小限抑止」を採用してきました。「最小限抑止」の論理とは、例え1発の核ミサイルであっても、それが生き残って敵国の本土へ報復攻撃する可能性を示すことによって、敵国は中国への攻撃を思いとどまる、というものです。

加えて、「核の先制不使用(no first use)」政策や、近年までの限定的な弾道ミサイル早期警戒能力を考慮した上で、北京の指導層は、中国が「核反撃(nuclear counterattack)」をする前に、敵国による核の第一撃を吸収する必要があると考えていました。つまり、地下の万里の長城は、敵国の核兵器による第一撃に耐え、中国の核反撃能力を保証するためのものなのです。

2009年12月、PLAはCCTVが報じた番組内容が真実であることを認めました。そもそもPLA傘下の国営メディアが、国家戦略の機密でもある地下ミサイル基地の存在を公開したというのは異例のことで、敵国の核攻撃に対する中国の第二撃能力を誇示する狙いがあることは疑いありません。


【参考資料】


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