南沙諸島

中国が南沙諸島のいくつかの岩礁を実効支配していることはご存知かと思います。しかし、実は、ベトナムやフィリピンといった他の係争国に比べて、南沙諸島で中国が実効支配する箇所は少ないことはあまり知られていないかもしれません。今日は、そのうちの永暑礁、渚碧礁、美済礁、赤瓜礁、華陽礁、南薫礁を近影とともに簡単にご紹介したいと思います。なお、掲載写真は2009〜2011年に撮影されたとみられるものを中心にしています。

上記6つの礁は、すべて中国農業部漁政局の管理ですね。もともとはどれもちっぽけな珊瑚礁、もしくは人ひとり立つのがやっとの岩に過ぎないのですが、中国はこれらを埋めたてて観測所にしたり中継所にしたりするための建造物を設置し、実効支配を進めています。

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では、さっそく見ていきましょう。

永暑礁(Fiery Cross Reef)
長さ22km、幅約7km、水深14.6〜40m。
(人工構造物を除く)永暑礁自体は、低潮時にはいくつかの岩がわずかに水面に露出するものの、高潮時には水面下50cm〜1mに没してしまいます。

永暑0

永暑1

永暑2

永暑3


渚碧礁(Subi Reef)
長さ約6.5km、幅約3.7kmの環礁。渚碧礁自体は、高潮時には水没。
南側に一部、小型船が出入りできる箇所があります。

渚碧1
レーダードームが印象的です。

渚碧2


美済礁(Mischief Reef)
東西9km、南北5.2kmの環礁。中央は礁湖(ラグーン)になっており、水深は25.6m。

美済1
上写真は、フィリピン空軍による撮影(2003年)

美済2

美済3

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赤瓜礁(Johnson South Reef)
九章群礁(英:Union Banks and Reef)の西南端の礁。
赤瓜礁自体の長さは約5km、幅約400mで、低潮時には部分的に海面に露出。

赤瓜1

赤瓜2


華陽礁(Cuarteron Reef)
尹慶群礁(London Reefs)の中で最小の礁。
華陽礁自体は三日月の形をしており、長さは5.5km。低潮時には海面に露出します。

華陽1


東門礁(Hugh Reef)
九章群礁(Union Banks and Reef)の北縁中部にある礁。
東門礁は、南北2km、東西1.9kmの楕円形をしており、面積は約2平方km。低潮時には大部分が海面から露出し、高潮時にも露出する岩礁が一部あります。

東門1

東門2

東門3
構造物上階に据え付けられている37mm連装機関砲。


南薫礁(Gaven Reefs)
鄭和群礁(Tizard Bank & Reefs)の南西端の礁。
2.5km離れた2つの礁(長さ1.8kmの南薫礁と1.4kmの小南薫)から形成されています。

南薫1

南薫2

南薫3

◇ ◇ ◇

礁上施設はどれもほとんど同じような作りで、最上階には機関砲が数門備え付けられています。ヘリポートが確認できるところもありますね。電気は施設内で自家発電しているようです。


南シナ海では、本稿で取り上げた6つの礁以外にも、低潮時にわずかに海面に露出するような岩礁を埋め立てたり、拠点を構築したりしている所が確認されています。領有権主張のための実効支配にとどまらず、ベトナムやフィリピン相手に民兵や漁政を繰り出す小規模な実力行使の拠点として利用するには有効です。もちろん、南シナ海の権益は中国の「核心的利益」であることを考えれば、こういった施設の数及び規模は今後ますます拡大されていくでしょう。


※ スプラトリー(南沙)とパラセル(西沙)両諸島のうち、中国が実効支配しているのは8。ベトナムが28、フィリピンが7。


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