秋の連休、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は最近インプットの時間と量が少ないな〜と感じていて、この秋は吸収に努めようかと思っているところです。ブログの更新も滞りがちになるかと思いますが、何かしら興味を惹かれたものについてはできるだけ取り上げてみるつもりです。

というわけで、今回はとある本のご紹介。



ブルース・M・ラセットの『安全保障のジレンマ―核抑止・軍拡競争・軍備管理をめぐって』です。有名な本ですね。この本の主題である「安全保障のジレンマ」そのものについては、また稿を改めていつかじっくり書いてみたいとも考えています。

本稿では、先日、調べものをしていた時に手に取った際に改めて考えさせられる箇所があったので、その抜粋・要約です。

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以下は、第一次、第二次世界大戦、朝鮮戦争、そしてキューバ危機などの実例を通して、意思決定者(リーダー)たちが緊張に対してどのような知覚を示したかを分析し、その心理的効果を体系化したものです。危機管理を考える上でおさえておきたいエッセンスが含まれています。

  • 危機の時期、緊張が増すにつれ、コミュニケーションは短くなり、いっそう定式化する傾向を示した。
    定式化は事実を歪めるばかりではないそれらは事実を黒白のイメージに分解し、「敵のイメージ」の創出を促す傾向にある
  • 危機は、相手方の行動に対して、敵意と暴力のレベルにおける過剰な知覚を発展させる。言い換えれば、敵意が存在しないようなところに敵意を見てとる(希望的観測ないし自己充足的な予測によって)。
    他方、自分の行動が示す敵意と暴力については、過小の知覚しかなされない
  • このような過程を経て、紛争のらせん状況となる。つまり、互いを敵と知覚する二国間のミラー・イメージ状況である。懸念や恐怖といった知覚が、この状況下で増幅される。
    意思決定者は、能力についての知覚を無視するかもしれない。自分や彼我の同盟国、双方の強弱に対する知覚が薄くなる。
  • 危機が増大するにつれ、意思決定者たちは次第に自分たちの選択肢の範囲がいっそう限定されるようになると感じる
    一方で、意思決定者たちは、相手の選択肢は広がっているとみなす
  • 高い緊張にさらされた意思決定者たちは、自分の苦境を宿命論的なものだと反応し、怒りや絶望に落ち込む。そして、戦争をさらに回避する方法を探し求めることを止めてしまうことがある。

ブルース・M・ラセット、『安全保障のジレンマ―核抑止・軍拡競争・軍備管理をめぐって』、155-178ページ参照。

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朝晩は肌寒さを感じる季節になりました。皆さまご自愛くださいませ。