北朝鮮が3度目の核実験を行うことは間違いなく、今はそれがいつなのかという段階になっています。アメリカはWC-135WコンスタントフェニックスやRC-135Sコブラボールを嘉手納に展開させ、核実験の監視体制を敷いていますね。

ニューヨーク・タイムズに興味深い論考がありました。

Nuclear Test Could Open Window on North Korea (ニューヨーク・タイムズ)
By DAVID E. SANGER and WILLIAM J. BROAD

アメリカのインテリジェンス界隈では北朝鮮の核開発能力を低く見積もる傾向があり、反対に科学者の間ではその情報分析を疑問視する向きがあります。専門家の意見が割れている点からも、北朝鮮のような国の状況を推し測ることがどれだけ難しいか、ということが分かりますね。

核の研究で名高いロスアラモス国立研究所前所長のシーグフリード・ヘッカー・スタンフォード大教授らは、北朝鮮の核開発能力を再分析し、西側インテリジェンスは過小評価しているという研究を専門誌 『The Bulletin of the Atomic Scientists』 にて発表しました。その中で、2006年の実験における核爆発の規模は1キロトン、2009年のものは最大で7キロトンだったとしています。ヘッカー教授は、「北朝鮮の核兵器開発能力は考えられている以上に高い」とも述べています。

しかし、ロスアラモス研究所のライバルであるローレンス・リバモア国立研究所は、2006年の実験は小規模(1キロトン未満)であったという従来の立場を崩していません。この二つの研究所はどちらもアメリカの政策意思決定に大きな影響力を持っているのです。

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北朝鮮は過去2回(2006、2009)核実験を行いました。北朝鮮は実験内容に関する資料公開などしないので、いまだに不明瞭な点が多々あります。

戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーンは、「先月発射したロケットに搭載可能な核の小型弾頭化技術はあるのか?といった点についてもわからない」、だから「今度の核実験はこれまで得られていない情報を得る好機かもしれない」と、指摘しています。

北朝鮮が国際社会の制止を振り切って核実験を強行するのは言語道断なのですが、グリーンの言うとおり、ただ怒ってみたり非難したりというだけでは仕方がありません。彼らが「やる」というのなら、その詳細を可能な限り調べて、丸裸にしてはじめて適切な対策が考えられるようになります。

「知らない」「分からない」ということは、相手の行動に対応できないばかりか、こちらの不用意な行動によって両者が意図せずのっぴきならない状況に陥る可能性を生んでしまいますよね。その意味で、今回の実験をひとつの奇貨とする考えに納得します。



【参考資料】
  • Mary Beth Nikitin, North Korea’s Nuclear Weapons: Technical Issues, Congressional Research Service, February 2012.
    <http://www.fas.org/sgp/crs/nuke/RL34256.pdf>
  • Frank V. Pabian and Siegfried S. Hecker, Contemplating a third nuclear test in North Korea, The Bulletin of the Atomic Scientists, 6 August 2012.
    <http://thebulletin.org/web-edition/features/contemplating-third-nuclear-test-north-korea>
  • Stockholm International Peace Research Institute (SIPRI), SIPRI Yearbook 2012, Armaments, Disarmament and International Security, 2012.
  • Markus Schiller, TECHNICAL REPORT: Characterizing the North Korean Nuclear Missile Threat, RAND Corporation, 2012.
    <http://www.rand.org/content/dam/rand/pubs/technical_reports/2012/RAND_TR1268.pdf>
  • Could North Korea hit the US with a missile? (Christian Science Monitor)


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