弾道ミサイル保有国についてまとめたので、ミサイル防衛配備国も手持ちの資料でまとめてみました。過去記事「ミサイル防衛(MD)はポピュラーな兵器システムです (2012/4/20)」のリバイズです。
各種ミサイル防衛システムの配備国と配備を検討している国、あわせて27か国(クリックで画像拡大します)。

(As of 2013/2)
以下は、ミサイル防衛配備国・配備検討国の内容です。弾道ミサイルに対する迎撃能力があるものを太字(PAC-2やアイアンドームは含みません)、配備中のものは太字・ハイライトで強調してあります。
アメリカ
G M D
日 本
イージスBMD
また、米第七艦隊にはイージス艦が9隻あり、全てSM-3搭載。在日米陸軍もPAC-3を配備。これに加え、有事には米本土からTHAADを含めた増援部隊が派遣されます。
日本の弾道ミサイル迎撃態勢は世界でもトップクラスです。
ロシア
S-300PMU2 Favorit(SA-20 Gargoyle)
S-300V
これまでにS-300シリーズを輸入した国は多く、アルジェリア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ブルガリア、ギリシャ、インド、イラン、カザフスタン、モンゴル、ミャンマー、中国、クロアチア、キプロス、北朝鮮、スロバキア、シリア、ウクライナ、ベネズエラ、ベトナムが挙げられます。ただ、弾道ミサイル迎撃用であるS-300Vを導入したのはインド、ウクライナ、ベネズエラ、そしてS-300VをもとにHQ-18を開発した中国だけです。
S-400
イスラエル
イスラエルのMDは、日米と同じく複数の迎撃手段からなる多層迎撃態勢です。構想としては、弾道ミサイルから砲弾・ロケット弾までをカバーします。
アロー2
アイアン・ドーム
アロー2ブロックIVも最終試験段階ですし、ダビデスリングも間もなく配備予定。大気圏外迎撃体を搭載するアロー3 も2015までには実戦配備される予定で開発中です。
インド
プリトビ防空(PAD:Prithvi Air Defense)ミサイル
長距離追跡レーダー(LRTR:Long Range Tracking Radar、別名:ソードフィッシュ・レーダー)も配備。これはイスラエル製グリーンパイン・レーダーをベースにして、イスラエルとフランスの協力の下、インド国防省の国防研究開発機構(DRDO)が開発した600kmの探知能力を持つアクティブ・フェーズドアレイ・レーダーです。
BMD計画の第二段階として、IRBMやICBMを迎撃する極超音速BMDシステムの計画を持っています。THAADのようなものを想定していると言われます。さらに、これとは別に PDV という二段式固形燃料型の極超音速迎撃ミサイルの開発を進めるという話もあります。射高は150km以上ということです。
なお、ロシアからS-300V も購入済みです(1998年に購入契約締結)。
中 国
HQ-9(紅旗9)
なお、2010、2013年にミッドコース迎撃実験を行いましたが、詳細は不明です。
台 湾
PAC-2GEM
天弓3型
イギリス・フランス・イタリア
アスター15
さらに弾道ミサイルの迎撃能力向上のための開発も進んでいて、2011年にはアスター30が模擬標的弾ブラックスパローの迎撃実験に成功しています。イギリスは日米が共同開発中のSM-3ブロック2Aの導入も検討中です。
スペイン
AN/SPY-1Dレーダー搭載のイージス艦を保有。
EPAAに基づき、2014年からアメリカ、スペイン、NATOがイージスBMD×4隻をロタに配備予定です。
ルーマニア・ポーランド
EPAAに基づき、2015年までに陸上配備型SM-3ブロック1B をルーマニアへ、2018年までにSM-3ブロック2A をポーランドへ配備されることが決定しています。さらに発射・通信基地としてイージス・アショア・サイトも建設予定です。
トルコ
EPAAに基づき、AN/TPY-2 レーダーの配備が決定しています。
また、PAC-3導入を検討中。S-300やS-400、アスター30、HQ-9(輸出版:FD-2000)も候補として報道されることがありますが、おそらくPAC-3が選定されるでしょう。
現在、NATOによってシリアとの国境にPAC-3が6基展開中です。
オーストラリア
2003年12月、アメリカのMD計画への参加を表明し、翌2004年の米豪閣僚会議(AUSMIN)において以後25年間にわたる「ミサイル防衛システムの開発および試験に関する覚書」が締結されています。
加えて、艦対空ミサイルSM-6 をベースにした弾道ミサイル迎撃ミサイルが開発中で、海軍はイージスシステムを採用したホバート級駆逐艦へ搭載する予定。将来的にはSM-3ブロック2B を導入する見込みです。
韓 国
北朝鮮の弾道ミサイル攻撃から首都圏の人口密集地や空軍基地、指揮統制施設、原子力発電所など重要戦略施設を守るための「韓国型ミサイル防衛(KAMD)システム」を2015年までに構築する方針です。
PAC-2GEM、PAC-3(2015年以降の導入を目途)が主力となる見込みで、2020年までにイージス艦搭載のSM-6 を導入予定です。
ドイツ
PAC-3
イージスBMD導入候補国でもあります。
米伊と共同開発していたMEADS(中距離拡大防空システム)を導入予定でしたが、2011年に開発計画は破棄されました。
オランダ
PAC-3
日米が共同開発しているSM-3ブロック2Aの導入を検討中。また、Smart-L レーダー搭載のデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートによるMDシステム導入も検討しています。
イラン
S-300Vを調達すべくロシアと交渉していましたが、国連安保理決議1929に応じてイランへの兵器輸出が凍結されて以降停滞しています。しかし、調達意欲を失ってはおらず、たびたびロシアへ交渉を持ちかけている模様です。
GCC(湾岸協力会議)加盟国
アメリカは、「ミサイル防衛シールド」という構想のもと、サウジアラビア・UAE・カタール・バーレーン・クウェート・オマーンへPAC-3 の購入または配備を打診しています。「ミサイル防衛シールド」には、上記のGCC6か国に日本、韓国、オーストラリアを加えて情報共有システムの構築が盛り込まれており、実現すれば日本にとっても非常に有用な多国間フレームワークとなると思われます。
【参考資料】
http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/s-300pmu2.htm
http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/s-300v.htm
http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/s-400.htm
http://indiatoday.intoday.in/story/DRDO+readies+shield+against+Chinese+ICBMs/1/31874.html
http://www.hindu.com/2009/10/17/stories/2009101755791100.htm
http://missilethreat.com/defense-systems/s-300v-sa-12a-gladiator-sa-12b-giant/
http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/%a1%d6%c5%b7%b5%dd3%b7%bf%a1%d7%c4%b9%b5%f7%ce%a5%c3%cf%c2%d0%b6%f5%a5%df%a5%b5%a5%a4%a5%eb
http://digital.asahi.com/articles/TKY201204050766.html?ref=comkiji_txt_end
http://missilethreat.wpengine.netdna-cdn.com/wp-content/uploads/2013/01/Eisenstadt20130101-DefenseDossier.pdf
http://www.defpro.com/daily/details/390/
http://digital.asahi.com/articles/TKY201204050766.html?ref=comkiji_txt_end
http://missilethreat.wpengine.netdna-cdn.com/wp-content/uploads/2013/01/Eisenstadt20130101-DefenseDossier.pdf
http://www.defpro.com/daily/details/390/
他。
【関連記事】
各種ミサイル防衛システムの配備国と配備を検討している国、あわせて27か国(クリックで画像拡大します)。

(As of 2013/2)
以下は、ミサイル防衛配備国・配備検討国の内容です。弾道ミサイルに対する迎撃能力があるものを太字(PAC-2やアイアンドームは含みません)、配備中のものは太字・ハイライトで強調してあります。
アメリカ
G M D
- ICBMを迎撃。
- 迎撃ミサイルはGBI(Ground Based Interceptor)で、現在アラスカに26基とカリフォルニアへ4基配備中。
- 現在運用されている迎撃ミサイルはSM-3ブロック1A。
- ブロック1Bも開発が進んでおり、すでに昨年迎撃実験に成功。「欧州ミサイル防衛計画(EPAA)」では、ブロック1Bがルーマニアに2015年までに陸上配備される予定です。
- さらに、日本と共同開発中のブロック2AはIRBMを、ブロック2BではICBMをも迎撃する能力をもつようになります。
- SRBM〜IRBMを迎撃。2005年以来9回の迎撃実験を行い、すべての迎撃を成功させています。
- SRBM、IRBMをターミナル・フェイズで迎撃し、拠点防空を担います。
日 本
イージスBMD
- SM-3発射プラットフォームであるイージス艦を4隻保有しています(イージス・システムを持つ艦は全部で6隻)。SM-3は32発保有。
- 約200発保有しています。
また、米第七艦隊にはイージス艦が9隻あり、全てSM-3搭載。在日米陸軍もPAC-3を配備。これに加え、有事には米本土からTHAADを含めた増援部隊が派遣されます。
日本の弾道ミサイル迎撃態勢は世界でもトップクラスです。
ロシア
S-300PMU2 Favorit(SA-20 Gargoyle)
- 弾道ミサイル迎撃能力は限定的。主な迎撃対象は、巡航ミサイルや航空機です。
S-300V
- SRBM、MRBM迎撃を担うSA-12A Gladiator 型とIRBM迎撃を担うSA-12B Giant 型があります。
これまでにS-300シリーズを輸入した国は多く、アルジェリア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ブルガリア、ギリシャ、インド、イラン、カザフスタン、モンゴル、ミャンマー、中国、クロアチア、キプロス、北朝鮮、スロバキア、シリア、ウクライナ、ベネズエラ、ベトナムが挙げられます。ただ、弾道ミサイル迎撃用であるS-300Vを導入したのはインド、ウクライナ、ベネズエラ、そしてS-300VをもとにHQ-18を開発した中国だけです。
S-400
- ロシアのMDシステムの主力。三種類のミサイルを運用し、特筆されるべきは長距離対応の40N6Eミサイルですが、あまり詳しい内容が伝わってきていません。IRBMまでならば対処可能とされ、ミッドコース迎撃能力も示唆されていますが、今のところその能力は確認されていません。
- 将来的には現在開発中のS-500シリーズに代替されるものと見られます。
イスラエル
イスラエルのMDは、日米と同じく複数の迎撃手段からなる多層迎撃態勢です。構想としては、弾道ミサイルから砲弾・ロケット弾までをカバーします。
アロー2
- アロー2ブロックIIIを配備中。
- 射高10〜50km。PAC-3はhit-to-kill方式ですが、こちらは爆風破片方式です。
アイアン・ドーム
- ロケット迎撃システム。
アロー2ブロックIVも最終試験段階ですし、ダビデスリングも間もなく配備予定。大気圏外迎撃体を搭載するアロー3 も2015までには実戦配備される予定で開発中です。
インド
プリトビ防空(PAD:Prithvi Air Defense)ミサイル
- 高高度迎撃を担います。射高50〜80km。
- 射高30km。
長距離追跡レーダー(LRTR:Long Range Tracking Radar、別名:ソードフィッシュ・レーダー)も配備。これはイスラエル製グリーンパイン・レーダーをベースにして、イスラエルとフランスの協力の下、インド国防省の国防研究開発機構(DRDO)が開発した600kmの探知能力を持つアクティブ・フェーズドアレイ・レーダーです。
BMD計画の第二段階として、IRBMやICBMを迎撃する極超音速BMDシステムの計画を持っています。THAADのようなものを想定していると言われます。さらに、これとは別に PDV という二段式固形燃料型の極超音速迎撃ミサイルの開発を進めるという話もあります。射高は150km以上ということです。
なお、ロシアからS-300V も購入済みです(1998年に購入契約締結)。
中 国
HQ-9(紅旗9)
- 射程90km、迎撃可能高度(射高)は50km以下。S-300PMUがベース。SRBMに対して限定的な迎撃能力があると言われます。
- ロシアのS-300V1 type2システムをベースにライセンス生産、配備しています。SRBMに対応可能で、射程100km、射高25km。
- S-400をベースに開発。詳細は不明。
なお、2010、2013年にミッドコース迎撃実験を行いましたが、詳細は不明です。
台 湾
PAC-2GEM
- 対弾道ミサイル能力は限定的。
天弓3型
- 国産迎撃ミサイル。射高25km、射程200km。
イギリス・フランス・イタリア
アスター15
- 英仏伊が共同開発した艦対空ミサイル。
- 英仏伊が共同開発した中距離艦対空ミサイル及び地対空ミサイル
さらに弾道ミサイルの迎撃能力向上のための開発も進んでいて、2011年にはアスター30が模擬標的弾ブラックスパローの迎撃実験に成功しています。イギリスは日米が共同開発中のSM-3ブロック2Aの導入も検討中です。
スペイン
AN/SPY-1Dレーダー搭載のイージス艦を保有。
EPAAに基づき、2014年からアメリカ、スペイン、NATOがイージスBMD×4隻をロタに配備予定です。
ルーマニア・ポーランド
EPAAに基づき、2015年までに陸上配備型SM-3ブロック1B をルーマニアへ、2018年までにSM-3ブロック2A をポーランドへ配備されることが決定しています。さらに発射・通信基地としてイージス・アショア・サイトも建設予定です。
トルコ
EPAAに基づき、AN/TPY-2 レーダーの配備が決定しています。
また、PAC-3導入を検討中。S-300やS-400、アスター30、HQ-9(輸出版:FD-2000)も候補として報道されることがありますが、おそらくPAC-3が選定されるでしょう。
現在、NATOによってシリアとの国境にPAC-3が6基展開中です。
オーストラリア
2003年12月、アメリカのMD計画への参加を表明し、翌2004年の米豪閣僚会議(AUSMIN)において以後25年間にわたる「ミサイル防衛システムの開発および試験に関する覚書」が締結されています。
加えて、艦対空ミサイルSM-6 をベースにした弾道ミサイル迎撃ミサイルが開発中で、海軍はイージスシステムを採用したホバート級駆逐艦へ搭載する予定。将来的にはSM-3ブロック2B を導入する見込みです。
韓 国
北朝鮮の弾道ミサイル攻撃から首都圏の人口密集地や空軍基地、指揮統制施設、原子力発電所など重要戦略施設を守るための「韓国型ミサイル防衛(KAMD)システム」を2015年までに構築する方針です。
PAC-2GEM、PAC-3(2015年以降の導入を目途)が主力となる見込みで、2020年までにイージス艦搭載のSM-6 を導入予定です。
ドイツ
PAC-3
イージスBMD導入候補国でもあります。
米伊と共同開発していたMEADS(中距離拡大防空システム)を導入予定でしたが、2011年に開発計画は破棄されました。
オランダ
PAC-3
日米が共同開発しているSM-3ブロック2Aの導入を検討中。また、Smart-L レーダー搭載のデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートによるMDシステム導入も検討しています。
イラン
S-300Vを調達すべくロシアと交渉していましたが、国連安保理決議1929に応じてイランへの兵器輸出が凍結されて以降停滞しています。しかし、調達意欲を失ってはおらず、たびたびロシアへ交渉を持ちかけている模様です。
GCC(湾岸協力会議)加盟国
アメリカは、「ミサイル防衛シールド」という構想のもと、サウジアラビア・UAE・カタール・バーレーン・クウェート・オマーンへPAC-3 の購入または配備を打診しています。「ミサイル防衛シールド」には、上記のGCC6か国に日本、韓国、オーストラリアを加えて情報共有システムの構築が盛り込まれており、実現すれば日本にとっても非常に有用な多国間フレームワークとなると思われます。
- サウジは、PAC-3 配備。また、ロシアからS-400 購入契約済。
- UAEはPAC-3 配備。また、THAAD 購入の契約済。
- カタールもTHAAD 購入検討中。
- クウェートはPAC-3 配備。
【参考資料】
http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/s-300pmu2.htm
http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/s-300v.htm
http://www.globalsecurity.org/military/world/russia/s-400.htm
http://indiatoday.intoday.in/story/DRDO+readies+shield+against+Chinese+ICBMs/1/31874.html
http://www.hindu.com/2009/10/17/stories/2009101755791100.htm
http://missilethreat.com/defense-systems/s-300v-sa-12a-gladiator-sa-12b-giant/
http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/%a1%d6%c5%b7%b5%dd3%b7%bf%a1%d7%c4%b9%b5%f7%ce%a5%c3%cf%c2%d0%b6%f5%a5%df%a5%b5%a5%a4%a5%eb
http://digital.asahi.com/articles/TKY201204050766.html?ref=comkiji_txt_end
http://missilethreat.wpengine.netdna-cdn.com/wp-content/uploads/2013/01/Eisenstadt20130101-DefenseDossier.pdf
http://www.defpro.com/daily/details/390/
http://digital.asahi.com/articles/TKY201204050766.html?ref=comkiji_txt_end
http://missilethreat.wpengine.netdna-cdn.com/wp-content/uploads/2013/01/Eisenstadt20130101-DefenseDossier.pdf
http://www.defpro.com/daily/details/390/
他。
【関連記事】