北朝鮮が地下核実験を実施しました。北朝鮮による核実験はこれが3度目となります。

核実験実施と発表=北朝鮮 (時事通信)
【ソウル時事】朝鮮中央通信によると、北朝鮮は12日、3回目の地下核実験を成功裏に実施したと発表した。 

今後の情報を追う上でのポイントをいくつか。


プルトニウムか高濃縮ウランか
まずひとつめのポイントは、プルトニウム型か高濃縮ウラン型かという点ですね。

2006、2009年の実験で用いられたのはプルトニウム型と見られています。北朝鮮はプルトニウムを24〜42kg備蓄しており、この量は核爆弾4〜8個分に相当します。しかし、寧辺にあるプルトニウム施設は六か国協議での合意に基づいて運転を停止しており、このわずかな量のプルトニウムでは実験もままなりません。プルトニウム施設を増やすと言っても、監視の目を盗んでできる規模の事業ではありませんし、時間もかかります。

そこで北朝鮮が取り組んでいるのが、ウラン濃縮です。北朝鮮には天然のウランが豊富に埋蔵されていて、量産には適しています。2010年に訪朝したロスアラモス国立研究所のヘッカー元所長(現スタンフォード大教授)が確認したウラン濃縮施設では、高濃縮ウランが製造可能だと報告されました。IAEA査察団が国外に退去させられたため、現時点で北朝鮮のウラン濃縮プログラムがどの程度進行しているのかは専門家の間でも評価がまちまちです。

今回の実験が高濃縮ウランを用いたものだったとなれば、北朝鮮は以前考えられていたより多くの兵器用核物質を保有していることになります。

しかし、ヘッカー元所長によると、どちらのタイプ(プルトニウム or ウラン)が用いられたのかを知るのは「運」かもしれない、ということです(ニューヨーク・タイムズ)。地震信号などから爆発の規模を測定することはできても、それがプルトニウム型か高濃縮ウラン型を知るには、空気中に飛び散ったキセノン135(Xe135)、クリプトン85(Kr85)、セシウム137(Cs137)といった放射性粒子を回収しなければなりません。キセノン135などは半減期が短いので、実験後すぐ(10〜20時間)にサンプリングできるかどうかが決め手です。ところが、実験は地下で行われたため、ガスが地上に排出されるまで数日かかることもあります。時間が経過した後に回収したサンプルでは、実験がどちらのタイプだったかを識別するのは難しいかもしれません。

地下実験場が完全に密封されておらず、亀裂や何かで外に漏れることも考えられるので、それらを運良く回収できればどちらのタイプか分かるかも…ということのようです。

アメリカは実験強行の事前通告を受けていたようなので、抜かりなくWC-135Wコンスタントフェニックスなどを飛ばして情報収集していることと思われます(参考記事)。日本へも昨日の段階でアメリカから通知されていますね。航空自衛隊は三沢、百里、築城から集塵ポッドを取り付けたT-4が出動させたようです(産経新聞)。


小型化に成功したのか
今回の核実験では「ブースト型核分裂弾」という強化型原子爆弾を試すのではないか、という見方がされてきました。ブースト型核分裂弾は北朝鮮が持つすべての弾道ミサイルに搭載可能ですので、すでにノドンという運搬手段をセットされている日本にとってはより深刻な脅威となります。

ブースト型核分裂弾時事通信
重水素と三重水素を中心部に詰め、爆縮によって小規模な核融合を起こして中性子を発生させ、効率的な核分裂を起こさせる構造の原子爆弾。同量の核物質で、より大きな威力を得られ、核弾頭の小型化を進められる。
核融合技術を使った水素爆弾製造のための前段階といわれ、プルトニウム型、ウラン型の双方で開発可能とされる。1950年代に米国などで核実験が行われた。

朝鮮中央通信は、今回の核実験について「爆発力が大きいながらも、小型化、軽量化し、高い水準で安全で完璧に実施した」と報じていますね(産経新聞)。今のところ、今回の実験の爆発規模は6〜7キロトンほどと伝えられています(2006年は1キロトン、2009年は2〜7キロトン)ので、ブースト型核分裂弾ではなかったかもしれません。

果たしてこの6〜7キロトンという数字が小型化に成功したことを意味するのか、はたまたフィズル(核爆発は起こしたのだが、所定の爆発威力を発揮せずに小規模の核分裂で終わること)を意味するのか、専門家の分析を待ちたいと思います。


弾道ミサイル発射実験の噂
核実験に続いて行われるのではないかと懸念されているのが、ミサイル発射実験です。現時点(12日17:00)で短距離ミサイルが発射されたとの情報もありますが、おそらくシルクワームなどの対艦巡航ミサイルの事だと思われます(追記:短距離ミサイルが発射されたのは10日だったようです)。

専門家の間で噂されているのはこれではありません。弾道ミサイル、しかも長距離弾道ミサイルの発射実験です。2012年4月の軍事パレードで披露されたKN-08のことですね。射程距離は6,000km以上と見られるICBMです。なお、北朝鮮は2009年の核実験の際にも弾道ミサイル発射実験をセットにしています。

KN-08は移動発射車両(TEL)に搭載可能なことからも、テポドン以上に実質的な脅威があると言えます。今後の開発状況に注目しておきたい弾道ミサイルです。