ゴールデン・ウィークですね。連休中の方もそうでない方もいらっしゃると思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今日は記事の紹介だけ。

北朝鮮、核ミサイル獲得に近づく 米国防総省が初の報告書 (産経新聞)
米国防総省は2日、北朝鮮の軍事力に関する報告書を公表した。北朝鮮が核実験やミサイル発射実験を続ければ、米国に到達可能な核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)獲得にいっそう近づくと警告している。
国防予算関連の法律で議会への提出が昨年義務づけられ、今回が初めての報告書。4回目の核実験がいつでも実施可能な状況だと指摘、現時点で金正恩体制が米国などとの関係正常化や経済発展と引き換えに核・ミサイル開発を放棄することは考えにくいとした。
報告書は、北朝鮮の軍備が老朽化する一方で、日本や韓国だけでなく太平洋地域を射程に収める移動式弾道ミサイルを配備したと明記。中距離弾道ミサイル「ノドン」と「ムスダン」の発射台付き車両をそれぞれ最大で50台近く保有していると推定した。(共同)

この報告書とは、次のものです。

[PDF] Military And Security Developments Involving The Democratic People’s Republic Of Korea(国防総省)

報告書にもある通り、ノドンの発射機は最大で50基。以前から知られた数字ではありますが、こうして大きく発表されたのは初めてかもしれませんね。
nodong_launchers


北朝鮮はノドンを約200発保有しています。北朝鮮が開戦劈頭に一斉に200発日本に向けて撃ってきたら対処不能だ!だからミサイル防衛(MD)は不要だ!という言説をしばしば見かけます。

当たり前の話ですが、200発ミサイルを持っているからと言って、すべてが稼働状態であるはずもありませんし、それらをすべて初手で撃ち尽くしてしまうはずもありません。なにより、北朝鮮指導部が玉砕覚悟で持っているミサイルを全部一斉発射したくとも、発射機が50基しかないのではしかたありません。

発射機が50基以下ということは、開戦劈頭でノドンを一斉発射できたとしても50発以下ということです。ただし、ノドンは液体燃料型ですから、発射前に燃料注入が必要で、その活動をアメリカや韓国の諜報網から完全に秘匿することは簡単なことじゃありません。わずか数両のムスダン発射車両が移動したことでさえ早い段階で察知されたことを考えても、ノドン大量発射という事態において、その兆候さえ漏れないという可能性は低いですね。

北朝鮮のノドン×200あるいは発射機×50という数字だけを提示してこれを誇大に脅威視するのであれば、我が方にあるミサイル防衛の数量を提示してみましょう。

海上自衛隊はBMD対応イージス艦を4隻保有し、各艦8発ずつSM-3を搭載しています。米第七艦隊は9隻。ミサイル大量発射の兆候があれば、このほとんどがオンステージに入るでしょう。航空自衛隊が保有するPAC-3は約200発。在日米陸軍もPAC-3を配備(約400発)。これに加え、有事には米本土からTHAADを含めた増援部隊が派遣されます。

もちろん、稼働率やPAC-3の展開場所も考えなければなりませんが、それはノドンに対しても同じことが言えます。彼我のミサイルと迎撃ミサイルの保有数だけを見比べて脅威だとか安心だとかは言い切れませんが、ノドンが日米のMDシステムを飽和させるのは容易でないという点が今回の報告書でも再確認できたのではないでしょうか。