ミサイルや無人機の技術力は飛躍的に向上していますが、やはり戦争の帰趨を決定づけるのは陸軍です。如何に高性能な弾道ミサイルや巡航ミサイルであろうと、それこそ核兵器であろうとも、それらが果たす任務は破壊・無力化です。港湾・空港などのインフラを確保し、その土地をコントロールするのは陸上戦力でなければなりません。これは湾岸戦争、アフガニスタン、そしてイラク戦争などで実例として示されています。「陸上戦力が支配している相手の土地は、陸上戦力で占領・支配しなければならず、爆撃だけで奪い取ることも屈服させることもできない」(『軍事学入門』、153ページ)のです。
軍事的成功だけを欲するのであれば、ミサイル攻撃や空・海軍活動でも達成できます。しかし、軍事力は政治意思を強要する手段に過ぎず、政治意思を実現する上で陸上の支配は不可欠です。例えば、中国が台湾を併合する際、中国が持っている核ミサイルや航空爆撃で台湾全域を更地にしたとします。軍事的には中国の勝ちですが、そのまま放っておいたのでは、いずれ生き残った台湾人なり他国の勢力がそこに入り込み、中国に敵対的な政府を打ち立てるかもしれません。それでは何のために多大なコストとリスクを負って攻撃したか分かりませんよね。ですから、中国は自国の政治意思を台湾の地で実現するために、ミサイル攻撃や空爆後に陸上戦力を送り込む必要があるのです。これは、日本の離島を支配するシナリオにおいても同じです。
中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)環境下で、米中が高強度陸上戦を展開する蓋然性は非常に低いものですが、台湾、南シナ海、そして我が国の南西諸島における限定的な武力衝突の生起は十分想定されます。かつまた、それらの舞台は一見すると「海」のようですが、領海や排他的経済水域(EEZ)などはいずれも「陸」がなければ成立しない概念でもあります。
陸上国境を他国と接していない私たち日本人には感覚的に理解しづらいところですが、陸上の支配というのは絶対的で、海上の支配が相対的であるのとは対極です。オフショア・バランシング、エアシー・バトルといった作戦及び戦略環境では空と海ばかりに注目が集まりますし、実際そのドメイン(領域)へのリソースの投資が優先されるべきであるとも思います。とはいえ、陸上戦力が要らない紛争というのもまた幻想なのです。
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